「MC-SR23J」は、2015年8月25日にパナソニックから発売となる、新型(マイナーチェンジ)のサイクロン掃除機です。
シリーズ名としては "プチサイクロン" と呼ばれていますが、3種類ある2015年度型の上位2機種が、新開発の本格サイクロン "ダブルメタル" となりましたので、これは唯一残った旧来の低遠心分離タイプということになります。
ただ、サイクロンの中心にある筒型フィルターは、目の細かい比較的マシなもの(であるはず)なので、比較的低価格なサイクロン掃除機の中では、購入の候補に入るかと思います。
他の特徴としては、その名の通りの小型機で、本体重量は2.9kgしかありません。
ヘッドには、モーター式回転ブラシが内蔵されているものの、高性能な自走式ではありません。また、パナソニック製のウリである、足踏みペダルでヘッド部が外れてこノズルが出る "親子ノズル" タイプでもありません。
その辺りは、価格相応ということになっています。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (3)
この「MC-SR23J」のヘッドは、"小型軽量パワーノズル" と呼ばれます。モーター式回転ブラシの内蔵型ですが、比較的高価な機種がそうである「自走式」ではありません。
ただし、回転ブラシによる "拭き掃除効果" はあるとされていますので、低性能という訳でもないようです。
尚、パナソニック製のウリである、足踏みペダルでヘッドが外れて子ノズルが出る "親子ノズル" や前方を照らすLEDライトは未装備です。
▼ 吸込仕事率 (2)
この機種の吸込仕事率は、300〜約50Wです。小型のサイクロン掃除機としては普通程度ですが、全体としては低い数値です。
▼ 清掃力 (2.5)
ヘッド性能は程々で、吸込仕事率は低いので、こういった程度だろうと・・・。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (3)
この「MC-SR23J」を含むプチサイクロンは、サイクロンは1段式で、基本的に大きなゴミを遠心分離できる程度です。
細かなチリは、ダストカップ上部の円形のメインフィルターで集塵されます。
そして、主に掃除終了後のゴミ捨て時に、フィルター振動ハンドルを回して、その振動で溜まったチリを下に落とすことで、ある程度の吸引力が回復します。
ただ、サイクロンの中心部にある円筒型フィルターの目が、このプチサクロンの場合割と細かな物ですので、そこを通過してメインフィルターに達することが可能なチリは、本当に細かな物だけとなります。
しかし、メインフィルターには振動では落ち切らない細かなチリが徐々に溜まって行きますので、そうなると手作業でのフィルター掃除が必要となります。
これは勿論、本来的なサイクロン方式とは言えず、褒められた方法ではありません。
2015年度には、プチサイクロンの上位シリーズ "ダブルメタル" が登場していますが、そちらはこの従来型プチサイクロンの欠点を克服した本格機ということになっています。
▼ ゴミ圧縮 (1.5)
このプチサイクロンシリーズは、ダストカップ下部全体が膨らみを持つ形状となっており、遠心力でその部分にゴミを集中して押し付けることで、それを約3分の1に圧縮するとされています。
ただし、ある程度大量のゴミを吸い込まないと、ゴミは回転しながら横に逃げるだけですので、圧縮は(ほぼ)されません。
▼ ゴミの捨てやすさ (1.5)
ゴミ捨て時には、一応ワンタッチでダストカップの底が開きますが、そのままボトッと落とすとホコリが舞いますし、下開きの蓋の内側に残るゴミを落とすのも厄介です。
また、実はこのプチサイクロンには、フィルター振動ハンドルを回して落としたチリを、ダストカップに掃き落とす部品がありません。下にまで自然に落ちるチリは、ダストカップ上部の円形フィルターの中央付近から出るチリだけとなります。
なので、そのチリをきちんと捨てようと思えば、円形フィルターを上に外してダストカップをひっくり返し、はたく必要があります。
勿論それを怠れば、フィルター振動で落ちたチリの何割かは、またフィルターに吸い寄せられて付着してしまうと思います。
▼ ダストボックスの容量 (1)
プチサイクロンシリーズのダストカップ(ボックス)の容量は、0.25Lです。これは超小型機としては普通ですが、一軒家を掃除しようとするには心許ない数値です。
少なくとも、ゴミは毎回捨てるつもりでいた方が良いでしょう。
▼ フィルター (3.5)
プチサイクロンシリーズのフィルターは、0.5μm以上のチリの99.9%を捕塵可能な "逃さんフィルター" です。
また、機体後部フィルターとして "抗菌酵素加工フィルター" と "アレル物質抑制加工フィルター" という、2枚のフィルターも装着しています。
▼ 本体重量 (4)
この「MC-SR23J」の本体重量は、2.9kgです。
この数値は小型機相当となりますが、最新の上位モデル "ダブルメタル" はこれより更に300g軽いです。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (3)
それらの重量は1.5kgとなっています。ヘッド性能が高くないこともありますが、モーター式回転ブラシの機種としては比較的軽いです。
▼ 運転音(最大値) (3)
この「MC-SR23J」の運転音は、61〜約54dBです。これは掃除機として、比較的マシな数値です。
▼ エコモード (1)
この機種は、ヘッドが床から離れると約3秒で吸引を停止する "アイドリングオフ" のみを備えています。
▼ 消費電力 (4)
この機種の消費電力は、850W〜約230Wですので、その最大値は標準的な掃除機の15%減となっています。
しかし、通常クラスのモーターを載せて遠心分離力を高めるのが、サイクロン掃除機として本来のあり方だと思います。
特に、このシリーズとほぼ同サイズのダイソンDC63は、1,150Wモーターですので、そういった単純な所で既にかなり劣っています。
▼ 手元グリップ形状 (3)
延伸管最上部の手元グリップですが、これは輪になった物の方が手前に引き易く、掃除が楽に進みます。
しかし、当機は若干手抜きなので、三日月状のものに止まります。
ただし、それでも付いていないよりは、付いている方がずっと良いのですが。
▼ 付属ブラシ類 (1)
この「MC-SR23J」には、普通のすき間ノズルのみが付属します。
そんなに安い機種ではないはずですが、手元ブラシも延伸管先端部ブラシもないのには、正直閉口します。
▼ 価格 (3)
この機種の前年度型は、何故か25,000円弱程度にしか下がりませんでしたが、格的には20,000円程度にまで下がっても良い位です。
前年度の価格レベルだと、少なくともネット販売では厳しいでしょう。
▼ 総合評価 (2.50)
この従来型プチサイクロン「MC-SR23J」は、本格的なサイクロン掃除機だとは言えず、フィルターに付いたチリを手動式の振動装置で落としながら使う掃除機に過ぎません。
それで価格が安ければ、まだ存在価値があるのですが、シャープの本格サイクロン「2段階遠心分離サイクロン」の下位2機種が事実上これ以下ですので、こちらは実のところかなり中途半端です。
それでも、こちらは運転音が比較的マシですので、パナソニック製が良い方には、良いのかもしれません。
前年度型「MC-SR22J」との違い
MC-SR22J | MC-SR23J | |
発売日 | 2014年8月下旬 | 2015年8月25日 |
運転音 | 59〜約56dB | 61〜約54dB |
ワンタッチ 手元ブラシ | 〇 | × |
見ての通り、2機種はほぼ同型です。
運転音に関しては、上位シリーズの "ダブルメタル・プチサイクロン" より優れていては不自然なので、それらに合わせた可能性があります。
また、手元グリップ下部の手元ブラシに関しては、現在便利に使っているのでないと困る方もいらっしゃるものと思います。そういった方には、今年度型は縁がなかったということになるはずです。
パナソニック・サイクロン式 上・下位機種との比較
MC-SR33G | MC-SR23J | MC-SK16J | |
ヘッド | 小型軽量パワーノズル | 軽走パワーノズル | |
親子ノズル | 〇 | × | |
拭き掃除効果 | フローリングの 菌まで拭き掃除 | (単なる)拭き掃除 | |
ヘッド部 LEDライト | 子ノズルのみ | ― ― ― | |
吸込仕事率 | 200〜約60W | 300〜約50W | 500W〜約60W |
サイクロン方式 | ダブルメタル サイクロン (※高遠心分離) | パワープレス サイクロン (※低遠心分離) | ツインサイクロン (※非遠心分離) |
メインフィルター | 0.5μmのチリの99.9%を集塵 | 未記載品 | |
最終フィルター | アレル物質抑制&抗菌 酵素加工フィルター | アレル物質抑制 加工フィルター | |
本体重量 | 2.6 | 2.9kg | 3.1kg |
ヘッド+延伸管 +ホース重量 | 1.6kg | 1.5kg | |
運転音 | 61〜約54dB | 59〜約56dB | 65〜約60dB |
ハウスダスト 発見センサー | 〇 | × (※エコモードなし) |
上位機種「MC-SR33G」は、2015年度新登場のパナソニック製本格サイクロン "ダブルメタル" です。
ヘッドの性能も高く、ゴミセンサーの "ハウスダスト発見センサー" も付いていますので、基本的にはそちらの方が好ましいです。
下位機種は、"ツインサイクロン" というティッシュをフィルター代わりに使うタイプの製品で、サイクロン掃除機を名乗っていても、本当はサイクロン掃除機ではありません。
しかし、構造が単純な分で安く出来るのと、やはり紙パックを使わなくても良いので、一定の需要があるタイプです。
このタイプは、ティッシュに付くゴミはともかく、メインフィルターから落ちるチリを捨てるのが若干厄介ですので、あまりお勧めは出来ません。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MC-SR23J プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:小型軽量パワーノズル ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300〜約50W ・本体重量:2.9kg/ 全体重量:4.4kg ・運転音:61〜約54dB ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:レッドブラック(R) ・エアダストキャッチャー付 | |
前年度型
・MC-SR22J プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:小型軽量パワーノズル ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300〜約50W ・本体重量:2.9kg/ 全体重量:4.4kg ・運転音:59〜約56dB ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:メタリックピンク(S) ・エアダストキャッチャー | |
関連ページ:
・MC-SR33G プチサイクロン(上位機種)
・MC-SK16J ツインサイクロン(下位機種)
・MC-BR31G コードレス・プチサイクロン(充電式)
・MC-SR22J(前年度型)
関連サイト: