「MC-SR33G」は2015年8月25日にパナソニックから発売となった、新型のサイクロン掃除機です。
シリーズ名としては "プチサイクロン" と呼ばれていますが、これはその中でも今年度新登場の本格サイクロン式 "ダブルメタル" タイプです。
特徴としては、本格的なサイクロン式であることに加えて、その名の通りの小型機で、本体重量はたった2.6kgしかありません。
この機能充実タイプの上位機種もありますが、これこそがパナソニック製サイクロン掃除機の中核的機種ということになるはずです。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (4.5)
この「MC-SR33G」に付くヘッドは、"小型軽量パワーノズル" です。
これは、モーター式回転ブラシを内蔵していますので、絨毯上でも威力を発揮します。
フローリングにおいても、"フローリングの菌までふき掃除" 効果が謳われていますので、効果は絨毯上以上に高いです。
また、足踏みペダルでヘッド部(親ノズル)が外れて子ノズルが現れる、"親子のノズル" 式でもありますので、狭いすき間やテレビの裏などを掃除する場合にノズルを付け換える必要がありません。
そして、その子ノズルには、前方を照らす白色LEDライトが装備されています。なので、今まで勘で掃除をしていた暗い物陰を、初めてまともに掃除が出来るようになります。
パナソニック製最上位ヘッド "パワフル自走ノズル" にもそれらと同一の機能がありますが、こちらでは回転ブラシの回転による自走力が謳われていない+小型・軽量型であるのが違いということになります。
▼ 吸込仕事率 (1)
この機種の吸込仕事率は、200〜約60Wです。これは非常に低い数値ですが、ゴミの遠心分離にパワーを割く本格サイクロン式としては、普通程度です。
▼ 清掃力 (3.5)
ヘッド性能は高いものの、吸込仕事率は低いのでこういった程度だろうと・・・。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (4)
プチサイクロンシリーズの上位2機種は、今年度から2段式の本格サイクロンです。
ダイソンを初めとする本格サイクロンのシリーズは、皆2段式のサイクロン構造を持ち、その2段目は複数の小型サイクロンから成り立っています。
それらは、基本的により小型で数が多いほど生じる遠心力が増す構造となっており、ダイソンDC63では24個(DC48は10個)、東芝・トルネオVでは12個、シャープ・2段階遠心分離サイクロン(パラレルフローサイクロン)と、当パナソニック製ダブルメタルでは8個となっています。
サイクロンで遠心分離力を強めるためには、吸引モーターのパワーも重要ですが、ダイソンに関しては1分間に10万1千回転が可能な高性能直流モーターを使用しており、そもそも3〜4万回転の交流モーターで、しかも消費電力を850Wと通常より低く抑えている東芝とシャープでは、その3分の1程度の回転数しかないはずで、最大720Wに止まる当プチサイクロンでは、理論上それ以下となっているはずです。
なので、当然ダイソン製とは性能が全く違います。
また、このプチサイクロンの場合には、サイクロン部の中央にある円筒フィルター部分に "ステンレスガード" という風向きとは逆斜めに極小の穴を開けた金属製フィルターを採用し、更に、円筒フィルターの内と外とで気流の向きを逆にすることで遠心分離力を上げ、ホコリは弾いて空気だけを筒内に吸い込みやすい構造としています。
それはそれで良いのですが、しかし、そこで弾けるようなゴミは8個の小サイクロン部で問題なく遠心分離出来ますので、意味は大きくありません。
ただし、弱運転時や電源のON/OFF時の吸引力が低く、遠心分離力も下がる時間帯には、保険として機能するはずです。
また、その小サイクロンの下の遠心分離されたチリが落ちる受け皿部分は、静電気の影響を受けにくい金属製となっており、ダストカップの下部にゴミを導きやすく出来ています。
そして、それら2種類の金属製部品の使用をもって、このパナソニック製新型サイクロンは、何と "ダブルメタル" と呼ばれています。
▼ ゴミ圧縮 (1.5)
今年度は何故か触れられていませんが、このプチサイクロンシリーズは、ダストカップ下部全体が膨らみを持つ形状となっています。そして、遠心力でその部分にゴミを集中して押し付けることで、それを圧縮するとされています。
ただし、ある程度大量のゴミを吸い込まないと、ゴミは回転しながら横に逃げるだけですので、圧縮は(ほぼ)されません。
▼ ゴミの捨てやすさ (2)
このシリーズでは、ゴミ捨て時には、一応ワンタッチでダストカップの底が開きます。しかし、そのままボトッと落とすとホコリが舞いますし、下開きの蓋の内側に残るゴミを落とすのも厄介です。
また、本格サイクロン型プチサイクロンのシリーズでは、同じ本格機の東芝・トルネオVと違って、2段目の小サイクロンで遠心分離したチリは、きちんとダストカップ内に落ちますので、そのようなゴミも捨てやすいです。
また、シャープ製本格機とも違い、小サイクロンから出たチリは、ダストカップ中央部の筒を通って底に落ちます。なので、その外周部にチリが張り付いて中が見えなくなることもありません。
更に、そのチリをとりあえず集める漏斗状となっている部分は、前述の通り静電気防止目的で金属製となっています。
つまり、このプチサイクロンの上位シリーズ "ダブルメタル" は、実は日本製本格サイクロンの中で、一応一番マシな構造となっています。
▼ ダストボックスの容量 (1)
プチサイクロンシリーズのダストカップ(ボックス)の容量は、0.25Lです。これは超小型機としては普通ですが、一軒家を掃除しようとするには心許ない数値です。
少なくとも、ゴミは毎回捨てるつもりでいた方が良いでしょう。
▼ フィルター (3.5)
プチサイクロン最上位機種「MC-SR33G」の場合には、0.5μm以上のチリの約99.9%を捕塵可能だとされています。これは、そこそこ高性能な数値ではあります。
また、機体後部フィルターとして "アレル物質抑制加工フィルター" と "抗菌酵素加工フィルター" という2枚のフィルターも装着しています。
▼ 本体重量 (4)
この本体重量は、2.6kgです。ほぼ超小型機相当となります。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (2)
それらの重量は1.6kgですので、全体としては重めですが、モーター式回転ブラシの機種としては普通程度です。
▼ 運転音(最大値) (3)
この「MC-SR33G」の運転音は、61〜約57dBです。かなり小型なのに、比較的静かなのは素晴らしいと思います。
もっとも、これは消費電力が妙に少ないので、モーターがあまり回っていないということも大きいはずです。
▼ エコモード (4)
この機種に付くエコモード(パナソニック名:エコナビ)は、吸気内の異物を赤外線で検知して吸引力を調整する "ハウスダスト発見センサー" と、ヘッドが床から離れると約3秒で吸引を停止する、"アイドリングオフ" から成っています。
▼ 特記項目 "ハウスダスト発見センサーランプ" (5)
"ハウスダスト発見センサー" はエコモードで使用されるだけでなく、ゴミを吸引した際に使用者にランプで知らせます。なので、人の目には見えないゴミを、掃除機が吸っているのを確認しながら掃除が出来るという、画期的な機能となっています。
ただし、この機能により、思わず念入りに掃除を行う羽目に陥ります。
なので、これはエコモード機能でもあるのに、掃除時間そのものが増えることで、電気代も幾らか増えるかもしれません。もっとも、掃除機は掃除道具ですので、室内が綺麗になるのが一番だと思いますが。
▼ 消費電力 (5)
この「MC-SR33G」の消費電力は、720W〜約250Wですので、その最大値は標準的な掃除機の28%減となっています。
しかし、通常クラスのモーターを載せて遠心分離力を高めるのが、サイクロン掃除機として本来のあり方だと思います。
特に、このシリーズとほぼ同サイズのダイソンDC63は、1,150Wモーターですので、サイクロンに対する本気度が足りなのではないか、としか言いようがありません。
▼ 手元グリップ形状 (3)
延伸管最上部の手元グリップですが、これは輪になった物の方が手前に引き易く、掃除が楽に進みます。
しかし、当機は若干手抜きなので、三日月状のものに止まります。
ただし、それでも付いていないよりは、付いている方がずっと良いのですが。
▼ 付属ブラシ類 (3)
この「MC-SR33G」には、手元グリップ下の手元ブラシと、延伸管部先端ブラシ(子ノズル)が揃っています。
普通のすき間ノズルも、勿論付属します。
▼ 価格 (3)
この機種の前年度型は、3万円を切るところまで行きました。今年度からは事実上の新シリーズ機となりましたが、価格は恐らく同程度であると思われます。
▼ 総合評価 (3.12)
当機「MC-SR33G」は、本年度からのパナソニック製本格サイクロン機なので、検討する余地は十分にあります。
特に、2段目のサイクロンから出るチリの処理は、東芝製とシャープ製より優れているはずです。
しかし、モーターの消費電力の最大値が720Wというのは異例の低さで、遠心分離力が他の日本製より高いということはないはずです。無理に小型機とすることなく、普通のモーターを使っていれば、日本製サイクロンの名機になったかもしれないのにと残念に思えます。
また、ヘッドですが、パナソニック製としては比較的軽くはあるものの、自走力を謳う最上位品ではないので、その点も若干マイナスです。
しかし、総合的には日本製としては最有力かもしれません。
ただ、この機種の前年度型は、意外と価格が下がらず、割高感からか殆ど売れていませんでした。
今年度のこの機種も、手元グリップが安めの三日月状である割にそうであったりすれば、また売れないかもしれません。
前年度型「MC-SR32G」との違い
MC-SR32G | MC-SR33G | |
発売日 | 2014年8月下旬 | 2015年8月25日 |
サイクロン | 1段式 | 2段式(本格機) |
フィルター清掃 の目安 | 未公表 (※通常未計測) | 約2年毎 |
ヘッド | パワフル自走ノズル | 小型軽量パワーノズル |
吸込仕事率 | 300〜約110W | 200〜約60W |
本体重量 | 2.7kg | 2.6kg |
ヘッド+延伸管 +ホース重量 | 1.8kg | 1.6kg |
運転音 | 57〜約54dB | 61〜約57dB |
排気方法 | まいあげブロック構造 | 標準型 |
前年度型は、サイクロン部が1段式の低遠心分離タイプでしたので、あまり比較の対象となりませんが、ヘッド等と運転音は前年度型の方が良かったです。
もっとも、前年度のヘッド等は少し重すぎでしたが。
吸込仕事率は今年度の方がずっと低いですが、本格サイクロンの分、吸引力が落ちにくいということはあります。
また、ヘッドも小型なので、それである程度補われているはずです。
プチサイクロン 上・下位機種との比較
MC-SR530G | MC-SR33G | MC-SR23J | |
サイクロン方式 | 2段式(ダブルメタル) | 1段式(旧型) | |
親子ノズル | 〇 | × | |
ヘッド部 LEDライト | 親&子ノズル | 子ノズルのみ | × |
拭き掃除効果 (※回転ブラシによる) | フローリングの 菌まで拭き掃除 | (単なる)拭き掃除 | |
吸込仕事率 | 200〜約60W | 300〜約50W | |
消費電力 | 720〜約250W | 850〜約230W | |
集塵率 | 0.3μmのチリの 99.9%を集塵 | 0.5μmのチリの 99.9%を集塵 | |
本体/全体重量 | 2.6/4.2kg | 2.9/4.4kg | |
運転音 | 61〜約57dB | 61〜約54dB | |
ハウスダスト 発見センサー | 〇 | × (※エコモードなし) | |
手元グリップ | サークル(輪)状 | 三日月状 | |
ローラーミラー加飾 | 〇 | × | ×(でも色有) |
付属品 | 3段伸縮ロング すき間ノズル, ふとん清潔ノズル | すき間ノズル |
上位機種はフィルター性能が高いですが、下位2機種の数値でもそこそこ高性能です。なので、アレルギー等ある訳でなければ、どちらでも問題ないでしょう。
手元グリップに関しては、持つ部分が輪になった物の方が使いやすく便利です。なので、実はこの点では上位機種を買う方が好ましいです。もっとも、使ったことがない等気にならない方には、下位2機種の三日月状のものでも十分使いやすいと思います。
下位機種「MC-SR23J」は、実は去年までの旧プチサイクロンのマイナーチェンジ品です。ゴミの遠心分離はするものの、かなり中途半端なタイプで、それが1機種だけそのまま残されています。価格はその分、比較的安くなるのかもしれません。
親子ノズルとは、ヘッド部が足踏みペダルで外れて小さなノズルが現れる仕組みです。掃除の途中で、通常のヘッドでは入らないすき間を掃除したい場合に便利です。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
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![]() | ・楽天![]() ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ![]() ・ヘッド形状:小型軽量(親子)パワーノズル ・目詰まり対策:(ダブルメタルサイクロン) ・吸込仕事率:200〜約60W[エコ自動モード有] ・本体重量:2.6kg/ 全体重量:4.2kg ・運転音:61〜約57dB ・排気方法:― ― ―/ 集塵容積:0.25L ・持ち手(本体):固定式 ・色:メタリックレッド(R) ・ハウスダスト発見センサー付 ・エアダストキャッチャー付 |
前年度型
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![]() | ・楽天 ・amazon ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:パワフル自走ノズル(子ノズルLEDライト付) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300〜110W[エコナビ有] ・本体重量:2.7kg/ 全体重量:4.5kg ・運転音:57〜約54dB ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・色:メタリックシルバー(S) ・ハウスダスト発見センサー付 ・エアダストキャッチャー付 |
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・色:メタリックレッド(R) ・「MC-SR32G」と性能・装備が同一の量販店販売用型番。赤色の方が良い方向けです。 |
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関連サイト:
・MC-SR530G/MC-SR33G 商品特長|パナソニック公式サイト