「EC-SX310」は、シャープから2015年7月中旬に発売となった、コードレスのハンディ・スティック兼用2WAYタイプの掃除機です。
サブネームとしては "FREED(フリード)2" と呼ばれ、これは2014年発売のその初代の後継機種ということになります。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (5)
この「EC-SX310」のヘッドには、特に名称はありませんが、モーター式回転ブラシを内蔵していているので、絨毯にも強いです。
そのブラシは実は4種類から成っており、フローリング用としても、"床みがきブラシ" が配置され、フローリングの汚れを掻き取る効果(から拭き効果)があるとされています。
また、このヘッドは、ブラシの回転による微妙な前進力 "自走アシスト力" をも備えています。
この機能は、コードレスタイプでは珍しい高性能なものであると同時に、コードレスであるが故に力強さはあまり期待できません。
しかし、このヘッドでは、前作比4倍のパワーであるとされますので、それなりに強いのかもしれません。
つまりのところ、これはコードレス用のヘッドとしては、かなり高性能であるということになります。
あと、掃除機の機能としてはおまけ的ですが、この機種の場合ヘッドの回転ブラシ、回転ブラシカバー、ヘッドカバーを丸洗いすることが可能です。
通常、回転ブラシのみなら水洗い可能なこともありますが、その周辺まで洗えるのは珍しく、長く使う上でありがたい仕組みではあります。
▼ 吸込仕事率 (―)
未公表。
コードレス機は、この数値は通常未測定ですが、この「EC-SX310 FREED(フリード)2」に関してもそうなっています。しかし、ダイソンやマキタは公表していますので、ダイソンには敵わないので公表できない可能性もそれなりに高いと思われます。
ただし、吸引モーターに関しては少し言及されており、前年度型「EC-SX200」では1分間に8万5000回転の性能だとされていましたが、新型機では吸引風量が前年度の30%増しだとされています。
パワーアップの原因は、ファン等の改良である可能性もありますが、それを回転数によるものであると考えた場合、それは110,500回転ということになります。
この数値は、ダイソンのV6モーターや、東芝「VC-CL1200/VC-CL200」用新型モーターの11万回転と全くの互角ということになります。
▼ バッテリー (4)
この「FREED(フリード)2」シリーズでは、高価格帯のコードレスタイプでは標準的な、高性能なリチウムイオンバッテリーが採用されています。
電圧は前年度型と同じ18Vであるはずなので、特別ではありませんが一応強くはあります。
吸込仕事率は、前述の通り不明ですが、なので高性能なモーターと合わせて、それなりに吸引力は高いはずです。
▼ 充電時間 (4)
この「EC-SX310 FREED(フリード)2」の充電時間は、80分だとされています。この数値は、家庭用コードレス機としては驚異的です。
これ以上の早さとなると、事実上業務用機のみということになります。
▼ 稼働可能時間 (3)
この機種は、強で8分、自動(パワー自動選択)で10〜30分使用可能です。
自動モード時には少し長めでして、それはそれでもちろん便利なのですが、それを可能とするために、パワーは若干抑えられているはずです。
▼ バッテリー充電可能回数 (4.5)
この「FREED(フリード)2」シリーズのバッテリーの充電可能回数は、前年度型から引き続いて約1,100回だとされています。
通常のリチウムイオンバッテリーは500回程度が普通ですので、これはその2倍程度となり、三菱製「HC-VXE20P」と同水準ということになります。
しかし、それでも東芝製トルネオVコードレスの約2,000回と比べると、負けてしまいます。
▼ サイクロン部(ゴミ集塵部) (2.5)
ダイソンの最新「V6」は遠心分離力の高い15個の2段目の小サイクロンを備え、東芝「VC-CL1200」もやはり同様の効果の2段目の小サイクロンを8個の備えています。
しかし、このシャープ「FREED(フリード)2」では、遠心分離力の高い2段目のサイクロンを備えていません。
その為、メインフィルターに達するホコリの量が(原理的に)多くなります。
その対策として、ダイヤル式フィルター振動装置をそのメインフィルターに取り付け、ゴミ捨て時に使用者がそれを回してフィルターからチリを落とすことで、その目詰まりによる吸引力の低下を防ぐ方法をとっています。なので、ダイソンは勿論として、東芝製と比べても高性能だとは言えません。
ただ、吸気を無理に曲げることでの遠心分離にエネルギーを割いていない分で、この「EC-SX310 FREED(フリード)2」では吸引力が高めである可能性、特に東芝製「VC-CL1200」に対しては有利に立っている可能性が存在しています。
しかし、先程も触れたように、シャープに加えて東芝でも吸込仕事率は未公表ですので、確かなことは一般人には分からないようになっています。
▼ フィルター性能 (4.5)
この「EC-SX310 FREED(フリード)2」のフィルターは、0.3μメートルのチリの約99%を捕塵可能だとされています。
高性能フィルターの代名詞である「HEPAフィルター」という名称の使用は、近年業界として慎重にすべきと決められたようで、シャープもそれに従って従来HEPAだとしていたものも、約99%の捕塵率との表記と改めています。
なので、この機種に使用されているフィルターも、従来HEPAフィルターだとされていたものである可能性が高いです。
また、抗菌・抗アレルギー性物質効果のある "Ag+アレルディフェンスフィルター" も付いていますが・・・上記の高性能フィルターの後部に付けても意味がないはずです。
▼ ごみの捨てやすさ (2)
ダストカップは底開きではなく、底が平らな普通のカップ型で、しかもフィルター等を外さなくてもごみを捨てることが可能です。なので、コードレスのスティック・ハンディタイプでは上出来だと言って良いでしょう。
また、この機種は低遠心分離タイプのサイクロン式なので、大きなゴミはダストカップに溜まり、細かなチリはフィルターに溜まります。
フィルターには、手動・回転方式のフィルター振動機構が付いており、そのつまみを10回程度回してチリをダストカップにまで落とし、大きなゴミと一緒に捨てることになります。
▼ 全体重量 (3)
「EC-SX310 FREED(フリード)2」のヘッド+延伸管+本体の重量は、2.1kgとなります。
この数値は、このタイプとしては普通程度です。
▼ ハンディ部重量 (―)
未公表。
▼ エコモード (2)
この「FREED(フリード)2」には、床質を検知して例えば絨毯では "強" に準じるレベルに、そしてフローリングでは "弱" に自動で切り替える "自動モード" を備えています。
また、吸込口を床から約3秒離すと自動で一時停止し、床に付けると再び運転を開始する "節電アイドリングストップ" を備えており、自動モードでの運転中に作動します。
▼ 付属ブラシ等 (3)
この「EC-SX310」には、すき間ノズルと、ハンディ時用のブラシ付ノズルとなる "ベンリブラシ"、そしてソファや布団、カーテン用ノズル "2WAYベンリヘッド" が付属しています。
また、充電器に取り付ける形でそれらを保管できる "付属吸込口収納スタンド" も付属しています。
▼ 収納性 (2)
この機種には、本体を立てて置ける充電台は付属しませんが、その代わりにダイソンの "壁掛け用ブラケット" と同じく壁にネジで固定し、そこに掃除機本体を縦にして引っ掛ける "スタンド用フック" が付属しています。
また、この機種は、バッテリーを取り外して充電できるので、普段本体は押し入れ等にしまっておくことも可能です。ただ、そういった場所に心当たりがない方には、そう言われても困ると思いますが・・・。
あと、これを含む「FREED(フリード)2」は、ハンディクリーナーを基本とするタイプとしては珍しく自立するとされていますが、重心が高いので原理的に倒れやすく、全くおすすめは出来ません。
▼ 価格 (3)
この製品の店頭予想価格は、7万円前後だとされています。
前年度型「EC-SX200」のそれは、55,000円だとされていましたが、結局25,000円程度となりました。なので、これも1年経てば、3万円前半程度となるのかもしれません。
▼ 特記項目 "操作性"
「FREED(フリード)2」では、床用ヘッドを床につけた状態で、ハンドルを持った手にかかる重さが、前年度型と比べて何と40%減ったとされています。
これは一応 "マジックバランス" と命名されています。
- 2014年度・EC-SX200:1.82kg(重量2.2s)
- 2015年度・EC-SX310/SX210:1.08kg(重量2.1s)
しかし、これはあくまでもFREED(フリード)シリーズにおいてのみ意味のある話で、実は普通にダイソンの方が軽い操作が可能です。
なので、この話は、実は旧型がどれほど重量バランスが悪かったのかという話に過ぎません。
ただし、このバランスの良さにより、先程も述べたように、このタイプとしては珍しく掃除機本体が自立するようになっています。
▼ 総合評価
この「EC-SX310 FREED(フリード)2」は、ヘッド性能が高く、バッテリー寿命も長く、操作性も優れているとされますが、サイクロン掃除機としてのゴミ分離性能が低いです。
ただし、その代わりに価格はダイソンより安いので、バッテリー寿命が長い分も含めて、安く済む方が良い方には良いのではないでしょうか。
前年度型「EC-SX200」との違い
EC-SX200 | EC-SX310 | |
発売日 | 2014年5月下旬 | 2015年7月中旬 |
ヘッド | パワーヘッド | 洗える「強力自走 &床みがき」 パワーヘッド |
モーター | 従来型 | 大風量ターボ |
「自動モード」稼働時間 | 最大20分 | 最大30分 |
マジックバランス | × | 〇 |
重量 | 2.2kg | 2.1kg |
Ag+アレルディフ ェンスフィルター | × | 〇 |
ふんわり排気 | × | 〇 |
2WAYベンリヘッド (※2,800円) | ×(※別売有) | 〇 |
付属品収納スタンド | × | 〇 |
前年度型との大きな違いは、上から4つです。
まずヘッドですが、自走アシスト力と床磨き力(乾拭き効果)が強化されていますので、使い勝手も清掃力も上がっています。
また、モーターも強化されて吸引風量(吸引力)が30%も上がっています。
ただし、フローリングではそこまでの吸引力が必要ないからか、使用可能時間が20分⇒30分に10分間も延び、つまり約67%の電力消費に抑えられていますので、フローリングでは吸引力にほぼ変更はないようです。もっとも、使用可能時間が伸びたことで、より広い面積が掃除可能となっていますが。
"マジックバランス" に関しては、上にある項目で説明したように "操作性" のことです。
前年度は、掃除機本体をどこかにしまい、バッテリーのみを外して充電できるのが(何故か)最大のウリとなっていましたが、今年度はその "マジックバランス" こそが、この機種における最大のウリだとされています。
このデザイン変更により、何故かデザイン自体も非常に良くなりましたので、素晴らしいのではないでしょうか。
FREED(フリード)2 下位機種との比較
EC-SX310 | EC-SX210 | |
ヘッド | 洗える「強力自 走&床みがき」 パワーヘッド | パワーヘッド |
Ag+アレルディフ ェンスフィルター | 〇 | × |
ふんわり排気 | 〇 | × |
2WAYベンリヘッド (※2,800円) | 〇 | ×(※別売有) |
付属品収納スタンド | 〇 | × |
下位機種は、 "マジックバランス" 採用の同一ボディで、モーターや稼働時間も同一ですが、ヘッドや排気系統は前年度型「EC-SX200」と同等です。
やはり、前年度と同じく "2WAYベンリヘッド" と "付属品収納スタンド" も付属していません。
つまり、特に高性能ではないというだけで、そちらでも十分と言えば十分と言えます。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・EC-SX310 FREED(フリード)2 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:自走式パワーブラシ ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:未公表[自動モード(+アイドリングストップ)有] ・18Vリチウムイオン充電池採用 ・本体重量:不明(前年1.5kg)/ 全体重量:2.1kg ・運転音:未公表/ 充電回数:約1,100回 ・色:ゴールド系(N)、レッド系(R) ・80分充電・強8分/自動10〜30分可動 ・ "ベンリブラシ" (ハンディ部ノズル用ブラシ)、2WAYベンリヘッド付 | |
関連ページ:
・EC-SX210 FREED(フリード)2(下位機種)
・EC-SX200 FREED(フリード)(前年度型)
・V6 Fluffy/V6 Motorhead(ダイソン)
・VC-CL1200/VC-CL200 トルネオVコードレス(東芝)
・HC-VXE20P iNSTICK(三菱)
・CS3250 ORA(オーラ)(ブラック&デッカー)
・エルゴラピードリチウム(エレクトロラックス)
・MC-BU100J(パナソニック)
・MC-BR31G プチサイクロン(パナソニック製ヨコ型コードレス機)
関連サイト:
・EC-SX310(N)(R) FREED(フリード)2|シャープ公式サイト
・コードレスサイクロン掃除機 FREED 2(フリード ツー)<EC-SX310/SX210>を発売|シャープ・プレスリリース
・重心バランスを見直し、長時間の掃除でも疲れないコードレスクリーナー(家電Watch)
・シャープのスティック掃除機「FREED 2」を使ってみた - ハンディでも使いやすいバランス良好な優等生(マイナビニュース)
・【前編】コードレスサイクロン掃除機「FREED 2」追求した“3つの重さ”とは(シャープ広報ブログ)
・【後編】コードレスサイクロン掃除機「FREED 2」“強力な吸引力”を支える2つ目のモーターとは(シャープ広報ブログ)