「TC-EXE7J」は、2015年5月21日に三菱電機から発売となった、新型(マイナーチェンジ)のサイクロン式掃除機です。
これは、三菱製小型掃除機 "Be-K(ビケイ)" の、サイクロン式シリーズ3機種中の下位機種ということになります。
また、この製品は本体重量が僅か2.4sしかなく、サイクロン式として業界2位タイの軽さですが、サイクロン部でまともに遠心分離しない、"なんちゃってサイクロン" ということになっています。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (2)
この「TC-EXE7J」のヘッドは "(かるスマ)タービンブラシ" と呼ばれています。
"タービンブラシ" というのは、ヘッド内に吸込の風を使用して回る回転ブラシが内蔵されていることを意味しています。そしてその回転により、フローリング上のゴミを掻き込むことが可能ですし、絨毯内のゴミを掻き出すことも多少は可能です。
"かるスマ" とは、軽くてスマート、を意味しており、ヘッドが若干小型で、その分も含めて軽くできています。
ヘッド+延伸管+ホース部の重量としては、約1.2kgですので、回転ブラシ用のモーター内蔵式に比べるとかなり軽いです。
また、掃除機ヘッドの回転ブラシには、近年その回転によるフローリング上での "拭き掃除効果" を謳う製品が中・高価格帯で増えていますが、三菱製掃除機のヘッド全般でも "フローリングふき機能" が謳われています。
しかし、三菱製の場合には、それは回転ブラシよるものではなく、ヘッドの吸込口後部の横長の起毛部分が、単に床の表面を撫でているだけです。
その程度では、回転ブラシの高速回転による拭き掃除効果とは全く別物のはずですが、単なる起毛によるものでも、一応床を拭いているということで、"フローリングふき機能" となっているようです。
つまり、業界を見渡しての実際上、それは詐欺的な名称ということになります。
▼ 吸込仕事率 (2)
この「TC-EXE7J」の吸込仕事率は、最大310Wです。本体が小型なので、他社の同等サイズのサイクロン掃除機と同じく、吸込仕事率は低くて構わないという判断なのかもしれません。
しかし、まともに遠心分離しないこの種のサイクロン掃除機であれば、紙パック式と同等の吸込仕事率が可能ですので、紙パック式Be-K(ビケイ)と同じく500Wあっても良い位です。
▼ 清掃力 (1.5)
ヘッド性能がイマイチな上に、吸込仕事率が紙パック式Be-K(ビケイ)と比べて3分の2弱しかないので、ヘッド性能以上の清掃力はないだろうと思います。
ただし、フローリングを掃除するだけであれば、普通の掃除機なら "中モード" 〜 "弱モード" で十分だとされるので、この「TC-EXE7J」でも何の問題もないと思います。絨毯上にしても、回転ブラシのない掃除機よりはマシなはずです。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (1)
「TC-EXE7J」を含む三菱サイクロン式Be-K(ビケイ)のサイクロン部には、円柱状の透明プラスチックの部品が付いており、吸気とゴミは確かにその周囲を回り、大きなゴミはその渦からはじき出されて脇へ飛ぶはずです。
しかし、そのゴミとそのゴミが遠心分離されて少し綺麗になった空気は、何と同じフィルターを通りますので、せっかく遠心分離をしても意味がありません(※吸気の流路の吹き溜まりとなる位置に、大きなゴミが溜まるという程度の意味はあるかもしれません)。
また、こういった実質フィルター式の掃除機には、フィルターの目詰まりを防ぐ為に、張り付いたホコリを落とす目的でフィルターを振動させてホコリを落とす仕組みが付いていることが多いです。
それがこの「TC-EXE7J」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)の場合には、何とフィルター清掃用ブラシのプラスチック製の後端を、メインフィルターに付いたプラスチック製のガイド部分に沿って強く擦り付けることで、振動を起こす簡易的な仕組みとなっています。
勿論それが上手く機能すれば、それでも構わないのですが、実のところこのシリーズの場合、実際にはフィルターは殆ど振動しません。
ブラシの後端を擦りつける部分はフィルターの最上部ですが、酷いことに最下部には振動は全く届きません。
▼ ゴミ圧縮 (4)
サイクロン式Be-K(ビケイ)におけるゴミ圧縮効果は、仕組みとして単に紙パック式と同等のはずです。とは言え、紙パックのように中が一杯になる前に、ゴミを捨てることになるので、あのように圧縮される訳ではありませんが。
ただし、圧縮効果があるのは、ティッシュで集塵する大きなホコリのみで、メインフィルターから出る微細なチリは、舞いやすいので捨てるのが厄介です。
▼ ゴミの捨てやすさ (1)
この「TC-EXE7J」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)は、フィルター前にティッシュを挟み、そこで集塵をすることで、メインフィルターへのホコリの到達を軽減する仕組み、言わば "ティッシュフィルター式(「ティッシュdeガード」)" の製品となっています。
そして、ゴミ捨て時には、そのティッシュごとゴミを捨てれば良いですので、このタイプはゴミ捨てが簡単だということになっています。
しかし、本当に厄介な細かいチリは、ティッシュを容易にすり抜けてメインフィルターに溜まりますので、細かなチリにはティッシュは無力だと覚悟しておく必要があります。
そのメインフィルターは、表面積を増す為に幾重にも折り畳まれた蛇腹タイプ(プリーツタイプ)なのですが、その折り畳まれ方が他にはない粗さで折り目も深く、専用ブラシを使ってその谷間を掃除するのにも、通常以上の苦労が予想されます。
三菱掃除機は、日本製(少なくとも組み立ては日本の工場で、女性の工員さん達が流れ作業で作っています)であるのがウリとなっていますが、あんなフィルターを使っているのでは、せっかくの "日本製" の名が泣きます。
▼ ダストボックスの容量 (5)
サイクロン式Be-K(ビケイ)におけるダストボックスの容量は、0.6Lです。
これはサイクロン式としては多いですが、更にゴミ圧縮効果もありますので、本体は小型ですが、かなり多く入るはずです。
▼ フィルター (3.5)
この「TC-EXE7J」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)には、ダストボックス部のメインフィルターとして高性能フィルターのHEPAフィルター(2層)、しかも抗菌効果のある銀ナノの練り込まれた特別製が採用されています。更に、モーター後の最終フィルターとしても、"高性能クリーンフィルター" という名称のフィルターが装着されています。
HEPAフィルターが採用されているので、理論上0.3μm以上のチリの99.97%が捕塵可能なはずですが、これらのシリーズ(※2014年度型以降)の場合には、0.5μm以上のチリの99.9%以上が捕塵可能だとされています。
理論上、HEPAフィルターが付いていれば、その後方の "高性能クリーンフィルター" は不要のはずですので、前方のダストボックス部の(HEPA)フィルターからは、ゴミは漏れると考えることが必要なのかもしれません。
▼ 本体重量 (5)
この「TC-EXE7J」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)の本体重量は、2.4kgですので、2014年度型の東芝・トルネオミニの2.2kgに次ぐ軽さということになります。これはヨコ型掃除機としては、極端な軽さです。▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (4)
それらの重量は、約1.2kgですので、タービン式回転ブラシの機種としても軽い方です。
▼ 運転音(最大値) (1)
この「TC-EXE7J」の運転音の最大値は約65dBですので、単に安物掃除機のレベルです。
▼ エコモード (0)
この機種は安めの掃除機ですので、エコモードの類は付いていません。
▼ 付属ブラシ類 (2)
「TC-EXE7J」には、手元ブラシ(「すみずみブラシ」)と、通常のすき間ノズル(「サッシノズル」)が付属しています。
▼ 価格 (4)
この「TC-EXE7J」は、価格面では1万3千円を切ることも考えられる機種です。有名メーカー製の小型サイクロン掃除機としては、これが最安です。
▼ 総合評価 (2.57)
サイクロン式Be-K(ビケイ)は、サイクロン部の構造が最悪の一つです。小型でデザインが綺麗なので、見て欲しくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、全くお勧めは出来ません。
ただし、どうしても小型で丁度この位の価格のサイクロンを、という場合には、この「TC-EXE7J」でも良いかもしれませんが、あくまで "仕方がない" という心構えが必要だと思います・・・。
当「TC-EXE7J」と、前年度型「TC-EXD7J」との比較
TC-EXD7J | TC-EXE7J | |
発売日 | 2014年5月21日 | 2015年5月21日 |
吸込仕事率 | 300〜約80W | 310〜約80W |
ヘッド型番 | JB-676XBL | JB-687XEL |
2015年度型「TC-EXE7J」における変更点は、ヘッドの型番が更新されていることだけです。
ただ、ヘッドの型番等というものが公表されているのは三菱(とドイツのミーレ)だけで、変更点も未公表のマイナーチェンジですので、特にウリとはならない微調整であるはずです。
新発売と言っても、変更点は単にこれだけですので、今回の発売時にはプレスリリースすら配信されていません。
三菱サイクロン式Be-K(ビケイ)、上位機種との比較
TC-EXE8P | TC-EXE7J | |
ヘッド | 軽量パワーブラシ | タービンブラシ |
運転音 | 63〜約59dB | 64〜約59dB |
本体/全体重量 | 2.4/3.8kg | 2.4/3.6kg |
ご自宅がフローリングメインであれば、ヘッドの回転ブラシがタービン(風力)式の当「TC-EXE7J」で構わないのですが、絨毯があるなら、上位機種の「TC-EXE8P」でも良いかもしれません。…もっとも、サイクロン式Be-K(ビケイ)以外にするのが良いとは思いますが。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・TC-EXE7J Be-K(ビケイ) | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:タービンブラシ ・目詰まり対策:フィルター部ティッシュ装着 ・吸込仕事率:310〜約80W ・本体重量:2.4kg/ 全体重量:3.6kg ・運転音:64〜約59dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・すき間ノズル収納:延伸管横 ・色:ボルドーレッド(R) ・HEPAフィルター仕様 | |
前年度型
・TC-EXD7J Be-K(ビケイ) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:タービンブラシ ・目詰まり対策:フィルター部ティッシュ装着 ・吸込仕事率:300〜約80W ・本体重量:2.4kg/ 全体重量:3.6kg ・運転音:64〜約59dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・すき間ノズル収納:延伸管横 ・色:ターコイズブルー(A) ・HEPAフィルター仕様 | |
関連ページ:
・TC-EXE8P(上位機種)
・TC-EXD7J(前年度型)
関連サイト:
・TC-EXE7J(A) サイクロン式Be-K(ビケイ)|三菱電機公式サイト