米・アイロボット社から2015年6月3日に発売となった、ロボット掃除機・ルンバの最新・最上位モデル「885/875」です。
昨年・2014年3月にやはり800シリーズの880/870【+871】が発売となっていましたが、これらはそのマイナーチェンジ機種ということになります。
機能的特徴としては、それらのルンバは両機種共に、掃除終了後に自動で帰還するホームベース(充電基地)と時刻予約機能を持ち、お掃除ロボットのイメージ通りに自動で掃除をさせることが可能です。
吸引口には、回転ブラシの代わりに回転ローラーを備え、厄介な毛絡みに強くなっています。また、そのローラーにより空気の流れを最適化出来たことと、吸引モーターのパワーアップを合わせて、吸引力は以前の700シリーズの5倍、集塵力は1.5倍となったとされています。
フィルターは、アメリカでは高性能なHEPAフィルターであると明記されており、日本版にはその表記はないものの、全く同じ物が使われているはずです。
これら「885/875」からは、バッテリーも継ぎ足し充電に強いリチウムイオン電池となり、使用可能回数も約1,200回と、ロボット掃除機として最高レベルにあります(※1位はパナソニックのルーロの1,500回ですが、本当かは不明)。
また、日本製掃除ロボットのシャープ・ココロボやパナソニック・ルーロ、東芝・トルネオロボには何故か付属しない、ロボットの侵入不能な赤外線の壁を作る "バーチャルウォール" の発生装置も付いています。
これは勿論必要ない方には余計な物でしかありません。しかし、あれば余計な場所には行かないよう設定できますので、自宅にそれが必要か不必要かも分からないロボット掃除機の初心者にとっても、安心だと言えるかもしれません。
新型機「885」と「875」の違い
885 | 875 | |
バーチャルウォール | お部屋ナビ×2 (※9,180円×2) | オートバーチャル ウォール×2 (※7,020円×2) |
付属品1 | フィルター×2 (※1,620円×2) | |
付属品2 | エッジクリーニン グブラシ×2 (※2,160円×2) | ― |
色 | ブラック | シルバー |
価格 | 84,000円(税別) 90,720円(税込) | 74,000円(税別) 79,920円(税込) | 定価差額(以下税込) | ― ― ― | 10,800円 |
付属品合計額 | 25,920円 | 17,280円 |
付属品差額 | ― ― ― | 8,640円 |
◆ バーチャルウォール
まず、"バーチャルウォール" とは、ルンバが入れない区域を指定する赤外線の壁を発生させる小機器です。
これは勿論、必要ない方も一定数いらっしゃるはずで、その場合には買った時の状態そのままに、箱にしまったままとなる物です。
※その他の動画は、アイロボット ルンバ公式チャンネル - YouTubeにて。
◆ お部屋ナビ
"お部屋ナビ" とは、通常のバーチャルウォールの機能を持つと共に、ルンバが位置する側の赤外線で区切られた区域を掃除し終わると、何とその壁を外して(※最大25分間で自動解除)、次の区域へと誘導する機能(「ライトハウス機能」)を付加されたバーチャルウォールです。
一応ルンバでは、小区域ごとに区切って掃除をさせた方が効率的だという話ですので、3部屋同時に掃除させる等、広い面積を掃除させる場合には、あった方が良いでしょう。
特に、お部屋ナビを同時に2つ使う場合には、本体の稼働時間が通常の60分⇒75分に延長されますので(※限界稼動時間は約120分)、広い空間を掃除させるには良いでしょう。
これには、ルンバ本体の起動と同時に自動で電源が入り、掃除終了後に自動で電源が切れる機能、及び、掃除終了時には、それをホームベースの方向に導く機能まで付いていますとされています。(※⇒「お部屋ナビの必要性と電波障害」)
◆ オートバーチャルウォール
"オートバーチャルウォール" のオート=自動のはずですが、電源を入れると、何とずっと赤外線を出し続けるバーチャルウォールです。
時刻予約機能のない製品には、普通のバーチャルウォールが付きますが、それはONにすると約2時間で自動でOFFになるものでした。
しかし、[875,870,871,770,760] 等の時刻予約機能はあるものの、ルンバ本体に合わせて自動で電源のON/OFFをする "お部屋ナビ" を持たない製品には、いつ本体が動いても良いように、このように電源が自動でOFFとならない装置が必要とされています。
こちらにおいても、本体に合わせて電源をON/OFFすれば良いと思えます。
しかし、実は "お部屋ナビ" が付属する製品(885,880,780)は、それと無線通信を行いますが、それが元々付属しない型番には、そもそも無線通信を行う機能がなく、(オート)バーチャルウォールが発する赤外線を感知するのみです。
なので、"お部屋ナビ" と "オートバーチャルウォール" では、定価で2,160円(×2=4,320円)の差がありますが、実は本体にも差があります。その為、本体もバージョンアップしないと、自動でのON/OFFは実現できず、コストアップになってしまいます。なので、"オートバーチャルウォール" の本当の「オート化」は、今後も多分ないでしょう。
ちなみに、"オートバーチャルウォール" と、「630,620」(600シリーズ)に付属する旧来・普通の "バーチャルウォール" では、価格は単に同一です。小さなスイッチ部分の、形状の違いがあるのみとなっています。
これら「885/875」における従来型「880/870」からの変更点
885 | 875 | 880 | 870 | |
バッテリー | リチウムイオン | XLife(ニッケル水素) | ||
バッテリー寿命 (※週4回使用時) | 約6年 | 約3年 | ||
回数換算 (※端数切捨て) | 1251回 | 625回 | ||
バッテリー適合 | リチウムイオン &ニッケル水素両用 | ニッケル水素のみ (※リチウムイオン不可) | ||
バーチャルウォ ール | お部屋ナビ×2 | オートバーチャ ルウォール×2 | お部屋ナビ×2 | オートバーチャ ルウォール×2 |
無料メンテナンス (※1度のみ) | 〇 | × | ||
色 | ブラック | シルバー | ブラック | ピューターグレー |
価格 | 90,720円 | 79,920円 | 82,080円 | 71,795円 |
◆ リチウムイオンバッテリー
新型のバッテリーは、理論上約1,200回も充放電可能なリチウムイオンタイプとなりましたが、このタイプにおける標準的な充放電可能回数は約500回です。
つまり、これは特別な長寿命型ということになります。
リチウムイオンの特徴としては、
- 小型・軽量
- 継ぎ足し充電に強い
- 保存に強い
とされています。
更には、残量が少なくなっても電圧が落ちにくい=吸引力が落ちにくいともされています。
ただ、小型・軽量であるはずですが、今回特にスペックに変化は見られません・・・。
また、これに関しては、実は「880/870/871」を含む従来機には、新型バッテリーを装着することが出来ません。
しかし、逆に「885/875」には、従来品・XLifeバッテリー(税別10,000円)を使用することは可能です。
新型バッテリーの単体での発売は未定だそうですが、恐らくは13,000〜15,000円程度になるのではないかと思います。
つまり、新型はバッテリーが2倍長持ちする分で、5,000(=10,000×2-15,000)〜7,000(=10,000×2-13,000)円程度得だと思っておけば良いはずです。
尚、実は従来型では、本当にリチウムイオンバッテリーが使えない訳ではなく、外形を少し変形させて装着できないようにしてあるだけです。
ルンバ用のリチウムイオンバッテリーは、実はサードパーティ製(非純正品。台湾製)であれば存在しており、これであれば1万円程度で買うことが可能です。
◆ 無料メンテナンス(「アイロボットケア ルンバ885/875バリュープラン」)
ロボット掃除機は、ホコリを集めながら動きますので、ホコリがセンサーを塞いだり、ボディのすき間に入り込んだりで、トラブルを招きやすいです。
その為、メーカーで時々個体ごとにチェックするのがベストという考え方がありまして、ルンバの正規輸入代理店・セールスオンデマンド社とココロボのシャープが有料のメンテナンスを請け負っています。
以下がルンバ用のメンテナンスパックとなりますが、
- レギュラーパック 6,667円(税別)
- ブラシパック(ブラシ&フィルターをついでに交換) 12,000円(税別)
- サービスパック(バッテリーをついでに交換) 16,667円(税別)
今回の「アイロボットケア ルンバ885/875バリュープラン」は、レギュラーパック相当ですので、消費税8%をプラスすると、7,200円(※往復送料込)です。
その内容としては、
- ルンバの分解・清掃
- 各センサーの点検
- 動作&バッテリー性能の点検
- ルンバのプログラムのアップデート
- 不具合が見つかった場合にはパーツ修復・交換(※故意・過失によるものである場合は有償)
となっています。
その中では、"ルンバのプログラムのアップデート" のみ多少異質ですが、これは最新版のデータがある場合に限られますし、また、プログラムのアップデートはそれ程頻繁でもないようです。
また、最新プログラムの書き込みは、修理を依頼した場合にも、最新データがある場合には勝手に行ってもらえます。
購入して10ヶ月後となれば、製造されて1年以上経っている可能性が高いですので、新データがある場合もあるかもしれません。
しかし、その時点で未存在であれば更新はされませんし、その後1度も有償メンテナンス・修理に出さなければ、結局更新はされないものです。そして、それでも現実として問題は何もありません。
ルンバのみ、実は以前も10ヶ月使用時の無料メンテナンスを行っていましたが、2011年発売の700シリーズ以降ひっそり終了となっていました。
ただ、無料メンテナンスと言っても、当然作業員の工賃は発生しており、それは本体価格に反映されているはずです。
かつて、本体価格の抑制目的に加えて、恐らくは製品の信頼性のアップにより、無料メンテナンス制度は終了したはずです。
しかし、今になって復活したのは、日本の有名メーカーがこぞってロボット掃除機を発売し、競争が激しくなったが故に、他との差別化を図る意図があるのかもしれません。
確かに、ロボット掃除機初心者には、そういった制度があった方が安心して導入できる気がします。その点ではこの制度は良いでしょう。
しかし、やることと言えば裏返してホコリを取ったり、動いていない部品・センサーがないか目視で確認する程度で十分のはずですので、少し機械に勘のある人であれば、手入れは簡単です(それで問題があるのであれば、その後の有償メンテナンスが必須となってしまいます)。
その為、自分で出来る人や、何度か使ってもう使わなくなってしまう人には、余計な制度でしかありません。
◆ 新旧どちらが良いか?
バッテリーは少なくとも5,400円程度お得で、無料メンテナンスが7,200円ですので、計12,600円となります。
新旧の定価の差としては、
- 885−880=8,640円
- 875−870=8,125円
ですので、あくまで定価で比べる場合には、一応「885」で(12,600-8,640=)4,000円程度お得です。
つまり、無料メンテナンスは(7,200-4,000=)3,000円程度以下で受けられる計算となります。
無料メンテナンスには、往復の送料が含まれますので、実際には1,500円程度で見てもらえることになります。
もっとも、それが必要なければ、純粋にその分高いということになりますし、従来機は古い分値引きが大きく、実際的な比較は困難です。
なので、例えば880が65,000円であれば、885とバッテリー使用可能回数を合わせるために、従来型XLifeバッテリーもう一個分の価格、約10,000円を上乗せしての、75,000円と885の時価をとりあえず比べれば良いのではないでしょうか。
その際、メンテナンスを受けたいのであれば、その費用としてあと約7,000円上乗せして考える必要があります。
しかし、例えば885が78,000円であれば、この場合計算上メンテナンス分は(78,000-75,000=)3,000円ですので、それならそれにしようかな、という考え方も成り立つと思います。
◆ 長寿命のリチウムイオンバッテリーを使える、使えない
掃除機の寿命は、一応7年だとされています。しかも、ロボット掃除機の場合、比較的痛みやすいと考えるのが普通のように思います。
その為、ルンバ885/875をバッテリー寿命の6年使ったとすると、もう一回6年寿命のバッテリーを買おうと思われる方は多くはないのではないでしょうか。
更に、価格の絶対値が高くなるという問題もあるので、交換時には3年寿命の従来型XLifeバッテリーを購入するという選択肢も現実味を帯びてきます。
そして実際にそうする場合には、従来型「880/870」がリチウムイオンバッテリーを使えない件を考えるは必要なく(使うことが出来れば便利だったと思いますが)、単に上に書いた考え方で計算をすれば良いと思います。
尚、社外品(台湾のANew Pow社製)のリチウムイオンバッテリーであれば、従来機でも使用可能ですし、それは少なくとも800回使用可能だとされています。
しかし、それはバッテリー容量が多い長時間稼働品であるので、純正品の規定稼働時間を確保できれば良いのであれば、純正品と同等の1,200回程度使用できるかもしれません。そしてその場合には、従来機でもバッテリー交換は1度で済むことにもなり得ます。
◆ どのルンバが良いのか?
"お部屋ナビ" が必要な場合には、当然上位機種「885/880」が必要となります。これは動かしようがありません。
また、それが必要なくても、"オートバーチャルウォール" が2つ必要なのであれば、「875/870」が必要となります。
しかし、多分それは普通2つも必要なく、1つも必要ない場合すらあると思います。そしてその場合には、「870」から付属品を減らした廉価機、オートバーチャルウォールが1つのみ付属する従来機「871」が良いでしょう。
勿論、無料メンテナンスはありませんし、リチウムイオンバッテリーも使えませんが、本体の性能は同じで、かつ50,000円程度で買えてしまいます。
ルンバのトップクラスの機種がその価格で買えるのであれば、文句なしだと思います。
885 | 875 | 871 | |
バッテリー | リチウムイオン | XLife(ニッケル水素) | |
バッテリー寿命 (※週4回使用時) | 約6年 | 約3年 | |
回数換算 (※端数切捨て) | 1251回 | 625回 | |
バッテリー適合 | リチウムイオン&ニッケル水素両用 | ニッケル水素のみ | |
無料メンテナンス (※1度のみ) | 〇 | × | |
バーチャルウォール | お部屋ナビ×2 (※9,180円×2) | オートバーチャル ウォール×2 (※7,020円×2) | オートバーチャル ウォール×1 (※7,020円×1) |
付属品1 | フィルター×2 (※1,620円×2) | フィルター×1 (※1,620円×1) | |
付属品2 | エッジクリーニン グブラシ×2 (※2,160円×2) | ― ― ― | |
色 | ブラック | シルバー | ピューター グレー |
価格 | 84,000円(税別) 90,720円(税込) | 74,000円(税別) 79,920円(税込) | 60,000円(税別) 64,800円(税込) | 定価差額(以下税込) | ― ― ― | 10,800円 | 15,120円 |
付属品合計額 | 25,920円 | 17,280円 | 8,640円 |
付属品差額 | ― ― ― | 8,640円 | 8,640円 |
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・ルンバ885 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ(+サイドブラシ) ・吸込仕事率:未公表/対応床面積:約25畳 ・自動充電機構/時刻予約機能 ・本体重量:3.8kg /運転音:未公表 ・サイズ:直径35.3cm×高さ9.2cm ・3時間充電・60分(ライトハウス×2稼働時は75分)可動/最大可動時間90〜120分 ・リチウムイオン充電池採用 ・段差乗り越え:2.0cm程度 ・色:ブラック ・リモコン、お部屋ナビ(ライトハウス機能付バーチャルウォール)×2付 ・[交換用フィルター×2+サイドブラシ×2付] | |
・ルンバ875 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ(+サイドブラシ) ・吸込仕事率:未公表/対応床面積:約25畳 ・自動充電機構/時刻予約機能 ・本体重量:3.8kg /運転音:未公表 ・サイズ:直径35.3cm×高さ9.2cm ・3時間充電・60分可動/最大可動時間90〜120分 ・リチウムイオン充電池採用 ・段差乗り越え:2.0cm程度 ・色:ピューターグレー ・リモコン、バーチャルウォール(オート版)×2 ・[交換用フィルター×2付] | |
・ルンバ871 [2014年度型] | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ(+サイドブラシ) ・吸込仕事率:未公表/対応床面積:約25畳 ・自動充電機構/時刻予約機能 ・本体重量:3.8kg /運転音:未公表 ・サイズ:直径35.3cm×高さ9.2cm ・3時間充電・60分可動/最大可動時間90〜120分 ・段差乗り越え:2.0cm程度 ・色:ピューターグレー ・リモコン、バーチャルウォール(オート版)×1 ・[交換用フィルター×1付] ・※純正リチウムイオンバッテリー非対応 | |
※ルンバ871の特集 |
非メーカー純正リチウムイオンバッテリー
・ANew Pow IWT-4400AN | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー: ・中国のバッテリーメーカー・BMTPow系の台湾企業・ANew Pow社製。販売はBMX robot japan ・4時間以上の連続稼働可能&800回充放電可能 ・容量は4,400Ahで、アイロボット社純正ニッケル水素型3,000Ahの146%の容量 ・BMS(Battery Management System)で過放電、過充電、過電圧、過電流等を制御 ・PL保険(生産物賠償責任保険)加入済みで、万が一ルンバ本体が当バッテリーのせいで故障した場合には、この販売価格を上限として保証 | |
関連ページ:
・ルンバ980(2015年度型)
・880/870/871(2014年度型)
・780/770/760(2011年度型)
・654(2015年度型)
・622/621(2014年度型)
・ブラーバ380j/371j(拭き掃除用)
関連サイト:
・Roomba885/Roomba875 Debut|iRobot ロボット掃除機ルンバ 公式サイト
・最新のロボット掃除機は何が違う?「ルンバ800シリーズ」の基礎知識(ITmedia)
・ルンバ・・・実際のところはどうですか?(発言小町/読売新聞)