「PV-FC100」は、日立から2015年5月16日に発売となった、同社初の布団用ハンディクリーナーです。その外観はなかなか独特ですが、サブネームはありません(※角のないゴブリンシャーク風にも見えますが ^^;)。
▼ 振動機能付き回転ブラシ
「PV-FC100」の性能的な特徴としては、掃除機としての吸引機能に加え、吸引口に回転ブラシを装備していることが挙げられます。
この回転ブラシは、布団表面の埃やチリを掻き取る役割を持っています。しかし、この機種の場合は少し特殊で、毛ブラシの合間にプラスチック製の突起を取り付け、それが布団を回転しつつ叩いて振動させることで、微細なチリを叩きだすとされています。
レイコップのジャパネット販売版の「RT-300J」やシャープの「EC-HX100 コロネ」も同様の方式を取っていますが、その両者の振動数が1分間に6,000回とされているのに対し、この「PV-FC100」は何と10,000回だとされています。なので、この面では一応、他の約1.67倍高性能であるということになります。
また、その回転ブラシ&吸引口の幅は20cmあり、ワイドであることがウリとされています。その為、上手く使えば、他機種より少し掃除時間が短縮できるかもしれません。
▼ ハウスダスト除去率は3分で99.9%
これはレイコップのRPとRSが3分で90%以上だとしているのに対抗して出している数値だと思われますが、試験方法が統一されていないので、あまり意味がありません。
パナソニックの「MC-DF100C」は、1分/uで99%以上だとしていますが、この「PV-FC100」とレイコップではその面積が不明ですので、そちらとも比較は不可能です。
尚、シャープ「EC-HX100」やその他の製品では、こういった数値は通常見かけず、測定もされていないはずです(韓国・LG製が91〜95%と出していますが、実験条件が全く不明です)。
▼ サイクロン方式
この「PV-FC100」における集塵方式はサイクロン式ですが、遠心分離力は大したことがなく、細かなチリは主にフィルターで集塵する方式です。
それでもサイクロン(空気の渦)があることにより、吸い込んだダニがダストケース内壁へ衝突し、その約94%が死滅するとされています。
しかし、やはり中途半端なサイクロン式であるシャープ「EC-HX100」だと、99%以上が死滅すると言われていますし、中途半端にサイクロンとは名乗らず、フィルター式で通しているパナソニック「MC-DF100C」でも、約99%の死滅率だとされています。
この数値に関しても、公表されている方が例外であり、レイコップやその他の製品に関しては不明です。
▼ 紫外線照射機能は未採用
レイコップだけではなく、従来の多くの布団用掃除機は、布団に紫外線(UV)照射をする機能を持っています。
紫外線には除菌効果があり、またダニに長時間照射すると実際に殺すことが出来るため、短時間の照射でも弱める効果があるとされています。
しかし、除菌効果など病院等でなければ通常必要とされませんし、布団にサッと使う程度でダニが弱るとは証明されていません。
また、紫外線自体人体には有害ですので、なければないでそれに越したことはありません。
恐らくはそのような理由からだと思われますが、当「PV-FC100」は勿論として、シャープ製も、パナソニック製でも、紫外線照射機能は未採用です。
▼ 最先端の温風機能は未装備
シャープは、ダニは約40℃以上の温風が苦手だと突き止め、通常繊維にツメでしがみ付いて吸い取れないそれを吸い取る為に、温風を本体裏に放出する方法を思いつきました。
2015年2月発売の最新のレイコップRPは、布団を乾燥させてダニが住み辛い環境を作ろうという発想から、約70℃の温風を放出する機能を実装していましたので、結果的にこれはダニを吸い取りやすくする効果も持つことになりました。
しかし、この日立「PV-FC100」にはそういった機能はなく、ほぼ同時発売のシャープ製にダニ対策で劣ることなっています。
尚、この機能はその他の全ての製品には付いていないので、勿論パナソニック製にも付いていません。
▼ 重量
重量に関しては、当「PV-FC100」はコード込で2.4kgとシャープ製と同一で、コード無で2.3kgのレイコップの標準機「RS」よりも軽いです。パナソニック製はコード込で2.3kgですが、全体を布団の上に置いて使うことが出来ない為、結果的に他より重く感じるはずです。
▼ 振動機能
布団用掃除機における布団を振動させる振動機能は、通常細かく振動する専用の振動パッドを使って行います。
しかし、この日立製やシャープ製では回転ブラシに付けた部品で振動させますし、パナソニック製にはそもそも振動機能はありません。
布団用掃除機の代表的機種であるレイコップでは、ジャパネット専売用の準エントリー機「RT-300J」のみ回転ブラシ使用型ですが、それのみあくまで例外機ですので、本来は振動パッドの方が良いのかもしれません。
振動機能を回転ブラシと一体化してしまうと、両方の機能を誇れるので割安なのです。
▼ 持ち手について
この「PV-FC100」は、持ち手の形状が何だかアイロンのように床に対して並行で、かなり不自然です。
アイロンの場合、横方向にも動かすので、そういった形状が適しているのかもしれませんが、布団用掃除機は前後に動かすのが通常です。
その為、もう少し傾斜していないと前に押すのにも引くのにも、少々使いづらいのではないかと思います。デザイン優先なのでしょうが・・・。
▼ まとめ
この日立製「PV-FC100」は、回転ブラシによる振動が10,000回/分もあることと、回転ブラシの幅が広めであること位がウリということになります。
集塵方式も一応はサイクロン式であることもあり、つまり、特別な製品というよりは、単に基本機能が高めのごく普通の布団用掃除機といった体裁です。
ライバルのシャープ製「EC-HX100」では、実はダニ対策の温風機能だけでなく、何と縦置き用のスタンドまで標準付属です。その為、仮に価格が同程度であれば、そちらの方が断然お買い得です。
しかし、それらがない分こちらの方が安いですので、国内有名メーカー製が希望で、しかもパナソニック製のように既存のハンディクリーナーにヨコ型機用布団用ノズルを組み合わせた間に合わせの物ではなく、専用設計品が欲しい場合で、更には安い方が良い場合には、良いのではないでしょうか。
レイコップと比べても、効果が不透明な(事実上効果がない)UV機能がない分安いはずですので、良いのではないかと思います。
実はどうやらOEM品
これは、どうやら中国のキングクリーン・エレクトリック社のJIMMY Bed Cleaner、LEXY Bed CleanerのOEM品のようです(ただし、サイクロン部が簡略化されており、オリジナルより残念になっていますが)。
以前、東芝が初の日本製として売り出したロボット掃除機のスマーボがサムスン電子製だなんて事件がありましたが、これも同種の出来事です。
ただし、今回はほぼ同時発売で、本当に日本製であるシャープ・コロネが割とヒットしている反面、こちらは注目されていませんので、何と日立にとってすら幸いだと言えるかもしれません。
日立にもがっかり・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・PV-FC100 | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:ワイド電動パワフルビーター(吸引+振動・約10,000回/分) ・目詰まり対策:(低遠心分離サイクロン) ・吸込仕事率:未公表 ・本体重量:2.4kg(コード込) ・運転音:未公表 ・色:シャンパン(N) ・ecoアイドリングストップ機能(持ち手を離すと機能OFF) ・ダニプレス(遠心分離中にダニは約94%死亡) ・ハウスダスト除去率・3分で99.9% | |
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