「RX-V95A/RX-V70A」は、2015年4月下旬にシャープから発売となった、同社製ロボット掃除機シリーズ "COCOROBO(ココロボ)" の最新機種です。
いざという時に "聞こえない" おしゃべりロボ
これらは、基本的にはごく普通のロボット掃除機です。全機種充電基地を備えており、掃除後には自動で充電に戻ります。
ただし、ココロボに共通の大きな特徴として、"ココロエンジン" と呼ばれる簡単な会話(「RX-V95A」)、もしくは発声機能(「RX-V70A」)を備えている事が挙げられます。ロボット掃除機に名前を付けて可愛がる方は多いとされており、その側面に惹かれるユーザーを取り込もうとしています。
しかし、これには意外な欠点があり、何と稼働中には命令が聞こえないフリ(=音声認識機能が強制OFF)をします。なので、"とまれ" とか "戻れ" とか、言っても一切受け付けません。
勿論、稼働中は本体が出す音がうるさく、音声認識に支障を来すはずですし、間違って掃除を終えても不味いですので、仕方がない側面もあります。しかし、これには、"思ってたのと違う" 感がある方も多いかもしれません。
エアーすみブラシ
また、最新のこれら「RX-V95A/RX-V70A」では、一般にロボットが苦手とする部屋の角を掃除するために、本体からその角に空気を放出し、吸引できる位置にホコリを吹き出します(「エアーすみブラシ」+「首振り走行」)。これにより、部屋の角のゴミの除去率は、従来比2.6倍となったとされています。
ただし、これに関しては、パナソニックのルーロと、東芝のトルネオロボは、部屋の隅のゴミを掻きだす "サイドブラシ" が、ココロボのそれとは違い、独自の仕組みにより角まで到達可能です。なので、こちらのシャープ製ではそれが出来ない欠点を補うために、妙にややこしい仕組みを載せたことになります。
高性能なバッテリー&フィルター
ココロボは、バッテリーの長寿命にも特徴があり、これらにおいても約1,100回の充放電が可能で、最新のルンバ・800シリーズの約2倍となります。
バッテリーの価格も、ルンバの10,000円(税別)を何と下回る9,800円(税別)となりますので、この点では相当お得となります。
また、フィルターも高性能フィルターのHEPAフィルター相当品なので、排気はルンバ800,700シリーズと共にかなり綺麗です。
掃除可能な床面積は約30畳まで
これらの新型機「RX-V95A/RX-V70A」もそうですが、ココロボの中・上機種では、旧ボディモデル(第2世代機)から、掃除可能面積が約40畳だという記載があります。しかし、これは単に3LDK(約43畳)に対応することを表現したいようです。
それには、玄関、バス、トイレ、システムキッチン、収納+家具という、元々ロボット掃除機の掃除範囲に含まれない箇所の面積までもが含まれます。なので、それらを除けば、こういった一見ランダムに動くタイプでは標準的な、約30畳が掃除可能面積ということになります。
これは殆ど誤解しか生まないので、止めた方が良いと思います。
先代モデル「RX-V90」との違い
RX-V90 | RX-V95A | |
発売日 | 2013年6月 | 2015年4月 |
段差乗り越え | 1.5cm | 2.0cm |
集じん容積 | 0.1L | 0.25L |
サイズ | 直径30.4cm×高さ9.9cm | 直径31.0cm×高さ9.0cm |
重量 | 2.6kg | 2.3kg |
走行&発声パターン の強化 | × | 〇 |
聞いてボタン | × | 〇 |
センサーゴミ検出時 | 強吸引 | 強吸引+8の字走行 |
音声録音&入替 | PCのみ | PC+本体内蔵マイク |
充電時間 (稼働は双方100分) | 4時間 | 3時間 |
バッテリー電圧 | 16V | 18V |
バッテリー容量 | 3.0Ah | 2.4Ah |
バッテリー交換 | メーカー送付 | ユーザーによる交換 |
バッテリー価格(税別) | 15,000円 (※工賃&返送分送料込) | 9,800円 |
夜間充電機能 | × | 〇 |
センサーフェンス対応 | 〇 | × |
まず、段差乗り越え能力ですが、ルンバやトルネオロボ等1戦級のお掃除ロボは、皆2.0cmを乗り越えることが出来ます。しかし、ココロボは今までずっとそうではなかったので、今回の新型機「RX-V95A/RX-V70A」で、やっと他社製の高額機に肩を並べたことになります。
集塵性能も、先代は0.1Lと本当の最低限だったので、今回2.5倍の0.25Lとなり、一応普通に使えるレベルとなりました。
重量が300g軽くなったのはともかく、全高が9.0cmとなったのは大きいです。全高はルンバの9.2cmが実はほぼ限界で、従来型の9.9cmだと家具の下の部分に凹みがあると、引っ掛かってその部分を掃除することが出来なかったはずです(我が家には2か所有)。
走行パターンは、広い場所では新搭載のジャイロ(方向)センサーを活用しての、規則的な縦・横ジグザグ走行(「縦横無じんシステム」)を実行し、空間が複雑だとランダムに、そして椅子の脚周り等はクルっと回るように切り替えることが出来るようになっています。もっとも、全然上手く回れていないようですが・・・。
発声パターンは、"パワーアップ!"(「RX-V95A」のみ)、"壁際やりまーす" 等追加され、また、やはり新設の「聞いてボタン」を押した際には、"前回は20分以上お掃除したよ!" 等とデータを音声通知するパターンも追加されています。
実際に何分稼働したかについては、毎回非常に気になるところなので、他のお掃除ロボにも是非見習って貰いたいと思えます。
赤外線で吸気内のゴミを識別する "ゴミセンサー" がゴミを検知した場合には、従来は吸引力を上げるだけでした。しかし、「RX-V95A」では(※「RX-V70A」にはセンサー未搭載)、その場で8の字を描くことで、その周辺を集中的に掃除できるように改良されています。
ただし、同様の状況で、ルンバはその場で5回角度を微妙に変えつつ前後動作をし、東芝・トルネオロボは4角形を描きます。なので、今回、段差乗り越え能力のアップと並んで、"シャープもやっとか" という感があります。
バッテリーは、今回電圧が上がったので、微妙にパワーアップしている可能性があります。しかし、容量は下がっていますが、これは本体重量の300gもの減量や、エネルギー効率のアップで可能となったのかもしれません。
また、夜間充電機能(「RX-V95A」のみ)等という物も追加されていますが、これは予約運転用の時計を活用して、電気代の安い夜間に充電を行おうという機能です。しかし、充電にかかる電気代など1回1円程度のはずなので、殆ど気分の問題となります。その話をするならば、私等は、"これを買えるの?" と思ってしまいますが・・・。
▼ バーチャルウォールが未存在
そして、最後に要注意点として、ルンバで言うところの "バーチャルウォール" という赤外線でロボットが侵入不可能な壁を作る機能・装置のシャープ版 "センサーフェンス" が、旧型では使えたのに新型では使用不能になっています。
新型 "センサーフェンス" が発売されるという話もありません。なので、この機能があった方が良い方は、今回は(もしくは当面)縁がなかったということになります。
ルンバでは、バーチャルウォールは標準付属品ですが、実は(旧)ココロボに加えて、東芝・トルネオロボでも別売品です。そして、実はパナソニック・ルーロ、ダイソン・360Eyeでは、別売での販売もなく、未存在です。
なので、この機能が欲しい方は、ルンバかトルネオロボが向いているということになります。
新型機同士「RX-V95A」と「RX-V70A」との比較
RX-V95A (ハイグレードモデル) | RX-V70A (スタンダードモデル) | |
ゴミセンサー | 〇(強吸引+8の字走行) | × |
時刻予約機能 | 曜日毎時刻指定 | 指定時間後起動 |
会話機能 | 〇 | 発声のみ |
音声入替 | 〇 | × |
夜間充電機能 | 〇 | × |
ボディカラー | ゴールド(N) | ホワイト(W) |
店頭予想価格(税別) | 9万0000円前後 | 7万5000円前後 |
ココロボの会話機能は、特に(もしくは全く)必要ない方もいらっしゃるものと思います。なので、その機能が省かれた下位機種が存在するのは良いことだと思えます。
しかし、ゴミセンサーまで削ってしまうのはやり過ぎなのではないでしょうか。
人間が操作するキャニスタータイプ(ヨコ型機)なら、センサーがなくても人間がある程度目視で判断できますが、ロボットにはそれは出来ません。なので、正直あまり真面目な機種には見えません。
ゴミセンサーを搭載した上で、主に会話機能の有無の違いのみで、1万円程度の価格差で売れば良いのにと思えます。しかし、それで下位機種ばかり売れたら困るということでしょうか・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・RX-V95A ココロボ | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワープラシ+サイドブラシ×2 ・目詰まり対策:(フィルター部ティッシュ装着) ・吸込仕事率:未公表/対応床面積:約30畳 ・18Vリチウムイオンバッテリー(2.4Ah) ・本体重量:2.3kg ・運転音:未公表 /集じん容積:0.25L ・段差乗り越え能力(cm):約2.0cm ・ゴミセンサー:8の字走行&吸引力アップ ・対物センサー:超音波型(&対象非接触) ・色:ゴールド系(N) ・サイズ:直径31.0cm×高さ9.0cm ・約3時間充電・100分可動(帰還用+20分) ・充電:約1,100回/価格:9,800円(税別) ・HEPAフィルター(相当)仕様 ・会話&プラズマクラスターイオン発生機能(※衣類等の脱臭で単独使用可)有 | |
・RX-V70A ココロボ | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:パワープラシ+サイドブラシ×2 ・目詰まり対策:(フィルター部ティッシュ装着) ・吸込仕事率:未公表/対応床面積:約30畳 ・18Vリチウムイオンバッテリー(2.4Ah) ・本体重量:2.3kg ・運転音:未公表 /集じん容積:0.25L ・段差乗り越え能力(cm):約2.0cm ・ゴミセンサー:8の字走行&吸引力アップ ・対物センサー:超音波型(&対象非接触) ・色:ホワイト系(W) ・サイズ:直径31.0cm×高さ9.0cm ・約3時間充電・100分可動(帰還用+20分) ・充電:約1,100回/価格:9,800円(税別) ・HEPAフィルター(相当)仕様 ・発声&プラズマクラスターイオン発生機能(※衣類等の脱臭で単独使用可)有 | |
関連ページ:
・RX-V200 ココロボ(スマホ対応型第2世代最上位機種)
・RX-V90 ココロボ(第2世代標準機)
・RX-V50 ココロボ(第3世代廉価機)
・RX-V100 RX-V80 RX-V60 ココロボ(第1世代機)
・トルネオロボ「VC-RCX1,VC-RVD1,VC-RV1」(東芝)
・ルーロ MC-RS1(パナソニック)
・360 Eye™(ダイソン)
・Botvac(ボットバック)85,80,75(ネイト)
・Scout RX1(ミーレ)
関連サイト:
・RX-V95A(N)/RX-V70A(W)|シャープ公式サイト
・ロボット家電「COCOROBO(ココロボ)」2機種を発売|シャーププレスリリース
・COCOROBO無料貸出モニター|SHARP i CLUB(2015/3/12〜4/13)
・部屋の隅にたまったゴミを風の力で取り除くロボット掃除機「ココロボ」(家電Watch)
・空気の力で部屋の隅までキレイに―シャープ「ココロボ」の新製品(ITmeida LifeStyle)
・おしゃべりパターンが増えた! ロボット掃除機「COCOROBO」新モデル(ACSII.jp)