「CV-PA9」は、日立から2015年2月23日に発売となった、新型(マイナーチェンジ)の紙パック式掃除機です。吸込仕事率は高水準の650Wを誇り、ヘッドにはモーター式回転ブラシ "ごみハンターヘッド" を備えながらも、どちらかと言うと少し安めの製品です。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (3.5)
この「CV-PA9」のヘッドは、"ごみハンターヘッド" と呼ばれる日立製のモーター式回転ブラシ内蔵ヘッドです。
名前は華々しいですが、実のところ、モーター式によくある自走力までは持ち合わせていません。なので、性能はモーター式としては高くありません。
ただし、"かるふきブラシ" という、床の菌まで拭き取れるというフローリング用ブラシが植え込まれていますので、フローリングでは比較的高い性能を発揮できるはずです。
また、これは日立製最上位ヘッドの "スマートヘッド" でも同様ですが、ヘッド付け根の可動部が柔軟に動く為、ヘッドを横に90度曲げて縦にすることで、家具の間等の狭い場所に押し込んだり(「クルッとヘッド」)、ヘッドと延伸管をほぼ水平にまで出来ることで(「ペタリンコ構造」)家具の下等のすき間を、掃除しやすく出来ています。
▼ 吸込仕事率 (5)
この機種の吸込仕事率は650W〜約100Wです。
2014年度現在の業界最高は680Wですので、これはかなり高い数値です(※⇒「掃除機の吸引力ランキング」)。
ただし、その分で消費電力は高めとなります。
▼ 清掃力 (4.5)
吸込仕事率は高いですが、ヘッド性能はそこそこですので、こんなところだろうと・・・。
▼ 吸引力持続 (0)
この「CV-PA9」には、吸引力持続の為の仕組みはありません。
2012年度型までは、紙パックの後部だけではなく、上面からも吸う仕組みである "パワー長持ち流路" があったのですが、2012年度型を最後に撤廃されています。
▼ 標準紙パック価格 (3)
この掃除機の紙パックは「GP-110F」で、1枚220円です。これならば実のところ普通程度に過ぎません。
しかし、日立製の紙パックであれば、もっと性能と価格が高い物を使用することも可能ですし、また、もっと性能の低い安い物を使用することも可能です。
▼ 標準紙パックの容量 (3)
この「CV-PA9」を含む日立製紙パック式・中・下位シリーズ "スタンダード" では、紙パックの容量は1.5Lですので、丁度普通程度となっています。
また、日立製紙パック式の殆どでは、紙パックが膨らみきった状態でも交換しやすくするために、プラスチックの枠がスライドする "紙パックするりん構造" を採用しており、それはこの機種でも採用されています。
▼ 紙パック+フィルター性能 (2)
標準紙パック「GP-110F」は、日立製としては上から3番目、下から2番目の性能ですが、悪いという程ではありません。
また、本体のフィルターには、標準紙パックと同様に抗菌加工も施されています。
▼ 本体重量 (2)
「CV-PA9」の本体重量は3.5kgなので、掃除機としては従来普通程度です。
しかし、現在は小型機が増えたため、相対的には重くなっています。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (2)
それらは1.7kgなので全体としては重い部類でが、モーター式回転ブラシ内蔵型としても、現在は重めということになります。
▼ 運転音(最大値) (1)
この機種の運転音は、66〜約60dBですので、単に普通のうるさい掃除機です。
▼ エコモード (2)
この「CV-PA9」のエコモード(自動パワー制御)は、"床面検知" と、恐らくはその仕組みを応用した、ヘッドの操作速度等を検知する "操作力検知" から成り立っています。
ただし、この機種の場合、上位機種との格差を作る為か、パワーの切替は「中」と「弱」のみで、「強」は対象外となっています。
そのエコモードを用いて6分間フローリングを掃除した場合、「強モード」のみで同等の条件下を掃除した場合と比べて、最大約75%の省エネになるとされています。
しかし、それは要するに、この機種ではエコモード時に選択されない「強」は勿論として、「中」も殆ど使用されず、ほぼ「弱」のみで運転された場合との比較を表しています。
▼ 消費電力 (2)
この機種の消費電力は1,170〜約250Wですので、"強" で使用時には平均より17%消費電力は高いです。
もっとも、エコモードで使用すれば、"強" は使用されませんが、それでもやはり褒められたものではありません。
吸込仕事率は600Wもあれば十分高く、それならば消費電力の最大値は従来通りの1,000Wで済みますので、消費電力を上げてまで吸込仕事率を上げるのは、電気代と開発努力の無駄でしかないでしょう。
しかし、吸込仕事率の数値が高ければ、アピールポイントとなって売れやすくはなりますので、結局消費者に高い電気代を強いてまで、"商売上手" として吸込仕事率を上げていると言えるはずです。
ちなみに、ダイソン等海外メーカーの吸込仕事率は200W程度ですが、床に吸引力を集中させていますので、それでも十分な清掃力を誇ります。
付属ブラシ類は、先端に折り畳み脱着式のブラシの付いたすき間ノズル、"クルッと切換えブラシ吸口" のみとなります。
尚、延伸管にはすき間ノズル用ホルダーがありますので、上位機種とは違って別売ホルダーを買わなくても、延伸管に取り付けておくことが可能です。
▼ 特記項目 "サッとズームパイプ" (4)
この「CV-PA9」を含む、日立製の中程度以上の機種には、"サッとズームパイプ" という、足でヘッドを抑えて手元トリガーを指で引きながら、延伸管を伸び縮みさせて長さを調節する機能があります。
これは、日立製掃除機に慣れた使用者が、同社製から離れられない要因となっています。
▼ 価格 (4)
この機種は、モデル末期の最安時には16,000万円程度で買うことが出来るはずです。
▼ 総合評価 (2.67)
「CV-PA9」は、吸引力が優秀で、ヘッドも一応合格点ではあります。
また、日立だけにある "サッとズームパイプ" も使いやすく、便利な機能です。
ただし、消費電力は高く、せっかく付いているエコモードも "強" を外したおかしなバージョンなので、それらの点では全く関心出来ません。
なので、他に特に欲しい機種がないのであれば、購入を考えても良いのではないでしょうか。
当「CV-PA9」と、前年度型「CV-PY9」との違い
前年度型「CV-PY9」と今年度型では、性能面での違いは一切見られません。
ただ、本体紙パック装着部のカバーのカラーリングに僅かな変更が見られ、元々すっきりしていた下位機種に合わせた形となっています。
紙パック式 上・下位機種との比較
CV-PA30 | CV-PA9 | CV-PA8 | |
ヘッド | スマートヘッド [モーター自走式] | ごみハンターヘッド [モーター式] | パワフルヘッド [モーター式] |
床の菌まで 拭取り | 〇 | × | |
吸込仕事率 | 680〜約110W | 650〜約100W | 640〜約100W |
消費電力 | 1,190〜約250W | 1,170〜約240W | |
パワー持続 | パックチリ落とし パワー長持ち流路 | ― ― ― | |
重量(本体/全体) | 3.7/5.4kg | 3.5/5.2kg | 3.5/5.1kg |
運転音 | 65〜約59dB | 66〜約60dB | |
エコモード | [強][中][弱]自動 | [中][弱]自動切替 | ― ― ― |
紙パック | GP-130FS | GP-110F | |
フィルター性能 | 捕塵率99% (※0.3μm以上) | 標準品 | |
排気口フィルター | 〇 | × | |
排気 | 分散上方排気 | ― ― ― | |
延伸管伸縮用ボタン | トリガー型(サッとズームパイプ) | 通常型 | |
クルッとブラシ | 〇 | ― ― ― |
上位機種「CV-PA30」は、業界最高の吸込仕事率を誇る機種です。排気のきれいさも持ち合わせているので、掃除機としてのレベルは高いです。
下位機種「CV-PA8」は、この「CV-PA9」とはパワーはほぼ同等ですが、ヘッドとフィルターで少し劣り、エコモードと、日立製のウリの一つ "サッとズームパイプ" もありません。
どうせなら、パワーをもう少し下げて、消費電力を最大1,000Wとすれば、積極的に選ぶ理由も生まれるのですが・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・CV-PA9 | |
・楽天 ・amazon ― ― ―[レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ごみハンターヘッド(モーター式回転ブラシ) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:650W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.5kg/ 全体重量:5.2kg ・運転音:66〜約60dB ・排気方法: ― ― ― ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・色:シャンパン(N) ・標準紙パック:GP-110F(1枚付属) | |
前年度型
・CV-PY9 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:ごみハンターヘッド(モーター式回転ブラシ) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:650W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.5kg/ 全体重量:5.2kg ・運転音:66〜約60dB ・排気方法: ― ― ― ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・色:シャンパン(N) | |
関連ページ:
・CV-PA30 かるパック(上位機種)
・CV-PA8(下位機種)
・CV-PY9(前年度型)
関連サイト: