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HC-VXE20P iNSTICK 〜やってしまった家電〜

HC-VXE20Pは、三菱電機から2015年3月1日に発売となった、ハンディ・スティック両用2WAYタイプのサイクロン式コードレス掃除機です。

サブネームは「iNSTICK(インスティック)」となっていますが、これは収納時(iN)にスティック(STICK)に見えることから、そう名付けられたようです。

この機種は、勿論掃除機なのですが、そういった邪魔にならないデザイン家電的な収納性と、何故か収納台に内蔵された空気清浄機が、最大の特徴となる機種です。


まず、2WAYタイプの掃除機には、ハンディタイプを基本として作られたものと、スティックタイプを基本として作られたものの2種類がありますが、この三菱「HC-VXE20P」は、その前者となります。

その為、スティッククリーナーとしての使用時には重心が高く、その重量の多くを腕で支えなければならないので、長く使うと疲れやすいです。

なので、この機種はどちらかというとハンディタイプとして使いたい方向けの製品となります。


評価はおおよそのものです。


▼ ヘッド 4 (4)

この「HC-VXE20P」のヘッドは、モーター式回転ブラシの内蔵型で、ブラシが少なくとも3種類植え込まれています。

なので、三菱製のキャニスタータイプ(横型)のサイクロン掃除機 "風神" の最上位機種と似た設計となっているはずです。

掃除機の清掃力には吸引力と共に、ヘッドの性能が大事ですが、そのヘッドに関してはそれなりに良い物を使っているようです。


▼ 吸込仕事率 星ゼロ (―)

未公表。コードレス機は、この数値は通常未測定ですが、これに関してもそうなっています。ただし、ダイソンやマキタは公表していますが。


▼ バッテリー 3.5 (―)

この機種には、高額の充電式では標準的な、高性能なリチウムイオンバッテリーが採用されているとあります。

しかし、吸引力を表す吸込仕事率も電圧も不明で、一体どれだけのパワーがあるかは一切不明です。

なので、高額な掃除機であるにもかかわらず、肝心の掃除性能は何とも言えない状態です。


▼ 充電時間 4 (4)

この「HC-VXE20P」の充電時間は、2時間だとされています。これは結構良い方の数値です。


▼ 稼働可能時間 3 (3)

この機種は、強で10分、弱で20分使用可能です。これは普通程度と言って良いでしょう。


▼ バッテリー充電可能回数 4.5 (4.5)

この「HC-VXE20P」のバッテリーの充電可能回数は、約1,000回だとされています。

通常のリチウムイオンバッテリーは500回程度が普通ですので、これはその2倍程度となり、シャープ製フリードと同水準ということになります。

しかし、それでも東芝製トルネオVコードレスの約2,000回と比べると、負けてしまいます。


▼ サイクロン部(ゴミ集塵部) 3 (3)

この機種はサイクロン式なのですが、実は同社製ヨコ型サイクロンの上位シリーズ "風神" と基本同構造のサイクロン部を備えています。

ただ、遠心分離に効率的な逆円錐状の空気の旋回部こそ持つものの、複数のそれを組み合わせる本格サイクロンではありません。

なので、シャープ日立のただ空気が回るサイクロンよりはマシですが、あまり性能は高くありません。

これは、コードレススティッククリーナーとしては最速となる秒速60mの高速旋回を実現(家電Watch)等と、いかにも高性能であるかのように宣伝されてはいます。

しかし、それは実際は外から見える透明なダストカップ内での回転速度に過ぎず、ダイソン東芝はそのダストカップ上部に本格的な高速旋回部となる複数の小サイクロンをもちますが、そちらは評価対象外となっているはずです。

仮に、本当にダイソン以上であれば、世界的な大発明となります(単純に構造的にあり得ないのですが・・・)。

ただし、この三菱製の場合には、遠心分離されたゴミは旋回部の外側に設けられたすき間に飛ばされて下に落ちますので、その分を再び渦に巻き込むことはまずありません。

また、そのような仕組みである為に、吸気がゴミの中を通り抜にくく、排気の臭いが約73%低減されるとされています。


▼ フィルター性能 4 (4)

この「HC-VXE20P」のフィルターは、0.3μメートルのチリの99.9%以上を捕塵可能だとあります。なので、高性能フィルターのHEPAフィルター級であるはずです。


▼ ごみの捨てやすさ 2 (2)

ダストカップは底開きではなく、底が平らな普通のカップ型で、しかもフィルター等を外さなくてもごみを捨てることが可能です。なので、コードレスのスティック・ハンディタイプでは上出来だと言って良いでしょう。

ただし、こういった低遠心分離タイプのサイクロン掃除機では、フィルターにも多くのチリが溜まります。その為、フィルターには振動機構を付けて、その振動によって簡易的にチリを落とすのが、このタイプとしては一般的です。

同時期発売・類似タイプの日立の「PV-BC500」にも一見フィルターの振動機構はありませんが、実はそちらでは、お手入れ用ブラシの後端でフィルター上部の樹脂加工された部分を擦ることでの、フィルター振動が可能となっています。

しかし、この三菱電機の「HC-VXE20P iNSTICK」ではそれも不能です。

つまり、もうひと工夫必要だったと思います。


▼ 全体重量 3 (3)

ヘッド+延伸管+本体での重量は、2.1kgとなります。このタイプとしては普通程度です。


▼ ハンディ部重量 星ゼロ (―)

未公表。


▼ エコモード 1 (1)

この機種には、動きを止めるとセンサーでそれを察知してパワーダウンし、そのまま30秒経つとOFFにする "節電モード" のみ搭載しています。

センサーは、3軸で加速を計測するようですので、凝っていると言えば凝っているようです。


▼ 付属ブラシ等 2 (2)

この「HC-VXE20P」には、先端ブラシ付きノズルのみが付属します。


▼ 収納性 5 (5)

専用の充電台が付属し、しかも掃除機に見えない収納状態は秀逸ですので、とりあえず最高なのではないでしょうか。


▼ 特記項目 "空気清浄機能" 3 (3)

この機種の最大の特徴は、掃除機本体をセットするとインテリアのように見える充電台に、実は空気清浄機能が付いていることです。

8畳の部屋を51分で1回空気清浄出来るとされていますが、空気清浄機は通常1部屋を30分に1回作業を完了する基準で適用床面積を出しますので、その基準に従えば、適用床面積は4.7畳程度ということになります。

ただし、家具等のある実空間ではもっと狭い部屋でないと使えません。また、空気清浄機は時間が経過するにつれてフィルターが詰まり、性能が落ちますので、大きめの物を選ぶ必要があります。そして、4.7畳用で大きめとなる部屋となると、実際はキッチンや玄関程度しかありません。

なので、勿論掃除機の充電台に無理やり詰め込んだ程度のものですから、そうだろうという予想が働く方も多いと思いますが、あまり実用的な物ではありません。

また、そもそもこういう割高なデザイン家電風の製品をお求めの方だと、空気清浄機位既に持っていらっしゃる方も、それなりにいらっしゃるのではないかと思います。

その場合には、本当に余計なのではないでしょうか。勿論、本当にキッチンにでも置けば、話は別ですが。


この「HC-VXE20P」は、手元部分にモーターやバッテリーのあるタイプですので、重心が高いです。そして、それを置く充電台は、本体をセットした状態で安定しなければならないので、土台部分にそれなりの重量が必要です。

その為、何らかのおもりが必要で、せっかくだからと欲張って空気清浄機を入れたのでしょうが、そんなことをしたら当然価格が高くなります。

しかも、空気清浄機は無音ではありません。なので、幾らインテリア性が高くて姿が室内に溶け込んでも、音が気になる方もいらっしゃるものと思います。勿論、機能をOFFにしておけば良いとは言えるものの、それであれば無理にその機能がある必要もありません。

実際、重さが必要なのであれば、鉄アレイでも入れておけば良いと思います。取り外せば、筋トレが出来ますよ〜というのでも十分面白いのではないでしょうか。

三菱は、何故空気清浄機能を省いて安くしたバージョンも一緒に出さないのか、不思議でなりません。


▼ 価格 1 (1)

この製品の店頭予想価格は、7万円前後だとされています。

それであれば、1年近く経てば4万円程度になるかなと思いますが、これに関しては充電台が空気清浄機になっていますので、順当に価格が下がるかは何とも言えません。


▼ 総合評価(暫定値) 3 (3)

この「HC-VXE20P iNSTICK」は、コードレス掃除機として一応高性能ではあるようですが、それでも特筆すべき性能はありません。

また、確かに収納時のデザインは秀逸ですが、それが優先されているために、実は持ち手(グリップ)部分の形状が持ちにくい角度となってしまっています。スティック型として使うにせよ、ハンディ型として使うにせよ、ゴミは通常下にありますが、これの場合普通に持つと、吸引口は十分に下を向きません。

フィルターの振動機構の不備の問題もありますので、なので、これは実用面での使いやすい掃除機という訳でもありません。

それに加え、三菱は空気清浄機能等という余計な物を付けて、わざわざ割高にしてしまっているので、これを買おうという方は、それで躊躇してしまうこともあるのではないでしょうか。

当然安くはない物ですので、性能を考えれば、ダイソン製が最有力な選択肢となってしまいます。

勿論、収納時のデザインのインパクトはかなり強いですので、単に一目見て気に入った、とお求めになる方が実際は多いだろうと思いますが・・・。

実のところ、この「HC-VXE20P」をご購入になる方には、もしかしたら、2台目のコードレスクリーナーが欲しい方も多いのではないかと思えます。

例えば、パワーのあるダイソンが既に1台あれば、あとは邪魔にならず、手軽に取り出して使える物を、という選び方にもなるのではないでしょうか。


 価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。


HC-VXE20P iNSTICK(インスティック)
iNSTICK HC-VXE20P(N) シャンパンゴールド楽天
amazon [レビュー有]
楽天レビュー:レビュー(_件)を参照
ヘッド形状:パワーブラシ
目詰まり対策:― ― ―
吸込仕事率:未公表[節電モード有]
リチウムイオン充電池採用
ハンディ重量:未公表/ スティック重量:2.1kg/ 充電台重量:2.6kg
運転音:未公表
色:シャンパンゴールド(N)
約2時間・強10分/弱20分可動
70分で90%充電出来る急速充電モード有
サイズ(充電台込)幅25×奥行25.2×高さ108.7cm


ecalic019_110.png似てる!?

Panasonic スリムファン シルバー F-S1XJ-S 

左はパナソニックの2013年製の扇風機です。ダイソンの羽なし扇風機のように土台にファンがあり、上のスティック部の縦のすき間から空気を押し出すことで風を送ります。

デザインが似ていればそういうことになるでしょうが、コンセプトは同じでしょう。

ちなみに、性能としては弱い風しか出せないようで、元々弱モードしか使わないような方向けのようです。

この(右の)三菱「HC-VXE20P iNSTICK」の場合には、掃除機本体はこの手の物としては普通だと思いますが、空気清浄機としては、やはり似たようなものなのかもしれません・・・。ただし、送風口は、こちらはスティック部ではなく土台部分となっています。


これは東芝のトルネオVコードレス「VC-CL1200/VC-CL200」ですが、これらであればデザインも上々で、性能的にも良い方です。

収納状態も、右下に小さな写真が写っていますが、なかなかカッコ良いのではないでしょうか(三菱は、とりあえず空気清浄機の省略バージョンを作ってからでしょう)



関連ページ:

V6 Fluffy/V6 Motorhead(ダイソン)

DC74/DC62/DC45(ダイソン)

VC-CL1200/VC-CL200 トルネオVコードレス(東芝)

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マキタ・コードレス掃除機比較

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掃除機・機種別★(星)評価の基準


関連サイト:

HC-VXE20P(N) iNSTICK(インスティック)|三菱電機公式サイト

三菱コードレススティッククリーナー「iNSTICK」新発売のお知らせ|三菱電機プレスリリース

空気清浄機能で他社と差別化、三菱のスティッククリーナー(家電Watch)

片付ける手間をなくしたスティッククリーナー、三菱「iNSTICK」登場(ITmedia LifeStyle)