2014年5月30日に韓国・モニュエル社から発売となった、ロボット掃除機「MR6850M」です。"クレモン" と呼ばれるシリーズの、最新の1機種ということになります。
▼ 水拭き
この「MR6850M」の特徴は、本体裏にその表面積に半分を占めるかという大きなモップパッドを装着することが可能で、これは水分を含ませることでの水拭き用ということになっています。
水拭きは、ルンバと同じiRobotのブラーバか、既に事実上販売を終えているやはり韓国のマミロボットにしか出来ないので、貴重ではあります。
しかし、水拭きとは言っても、単に保水性の高い特殊素材シートを本体裏に取り付けるだけですので、高度な技術を使っているわけでは全くありません。
水拭きと、ロボット掃除機としての本来の掃除方法である吸引は、同時に使用するのが前提ですが、吸引を止めて水拭きだけをさせる(=シートを付けた上で単に走り回らせる)事も可能です。
その場合には、限界稼働時間が1時間⇒2時間と長くなります。
▼ リチウムイオンバッテリーの採用&充電可能回数1,000回
この「MR6850M」のバッテリーには、高性能なリチウムイオンバッテリーを採用しています。また、60分充電で60分の使用が可能と、稼働時間こそ短いものの、充電時間はロボット掃除機の中では際立って早く、使用可能回数も約1,000回と平均の2倍程度あります。
もっとも、やはりバッテリー自慢のココロボやトルネオロボとは、バッテリーの種類・充電回数に関してはこれで互角なのですが。
ただ、それだとやはり稼働時間が短いのが気になるのか、120分充電で、120分稼働が可能なオプションバッテリーも販売されています。
▼ ブラシレスDCモーター
クレモンでは、吸引モーターには高性能な上に有害なカーボンダストを排出しない、高価格の "ブラシレスDCモーター" が採用されており、通常の同程度のDCモーターと比べてパワフル(掃除効率1.5倍)、かつ10倍近い5,000時間の作動が可能とされています。
ただ・・・他のロボット掃除機のモーターが500時間で寿命を迎えるのであれば、毎日使えばおよそ1年半しか使えません。
掃除機の寿命は、基準として7年と決まっていますので、そこから計算するとどれでも2,500時間程度は使用可能のはずですが・・・。
作動音も静かだとされていますが、他のロボット掃除機と比べても、数値的に優れている訳ではありません。
あと、この妙に高性能だとされるモーターは、韓国製や中国製ではなく日本製だとされています。
▼ 大容量ダストボックス
この「MR6850M」のダストボックスは、0.6Lと大容量です。
ちなみに、ルンバ800の場合は0.42L程度、シャープ・ココロボは0.1L、東芝・トルネオロボは0.2Lということになっています。
なので、ペットの抜け毛が多いような場合には、良いのかもしれません。
本体の大きさは、他機種と比べて大きい訳ではないので、内部スペースを上手く使えているのかもしれません。
▼ シャドウモード
照度センサーがあるのか、ソファーやベッドの下の暗い箇所を専門に掃除するモードが設定されています。
これは、あればあるで良いと思いますが、一度掃除をしてしまえば、ホコリが溜まりやすいのは、そこ以外ということになるのではないかと思います。
▼ モーションコントロール・リモコン&別売ハンドル型リモコン
高額機種にはよくあるように、この「MR6850M」にもリモコンが付きますが、これは珍しくもその傾き方で方向を指示できる、モーションコントロール機能付きです。
また、別売でハンドル型の、やはりモーションコントロール付きのリモコンがあり、それがあると楽しく操縦が出来るとされています。
しかし、ロボット掃除機はスピードがないですし、結構うるさいので、楽しいのは最初の30秒位に限られると思います。
これに1万円を使うなら、おもちゃのラジコンを買う方がマシでしょう。
▼ 段差乗り越え能力は1.0cm
モニュエルのクレモンシリーズは皆そうですが、1.0cmまでの段差しか乗り越えることが出来ません。
ルンバやトルネオロボ、BotVac等は2.0cmですが、それですら完璧とは言えませんので、これの場合使用者を選ぶことになります。
もっとも、この機種のウリとなるのは床の水拭き機能ですので、完全にフローリング用として購入するのであれば、この性能に関しては気にする必要はないでしょう。
▼ 前輪が多方向キャスターになっていない
実はこのクレモンシリーズは、前輪が多方向キャスターになっておらず、固定されています。その為、方向転換の際には床を擦ってしまっているはずです。
▼ バーチャルウォール機能が未実装
ロボットに入って欲しくない領域を赤外線で指定する "バーチャルウォール" の設置機能ですが、何とこの「MR6850M」にはありません。
以前から販売されているクレモンには、その機能・専用機器がありましたが、機能自体が採用されていない為、そちらの機器を流用することも出来ないそうです。
▼ タイマー機能が貧弱
この「MR6850M」の時刻予約機能は、1時間後に起動するものと、24時間後に起動し、それを毎日繰り返すものしかありません。
なので、自動スタートする曜日を選択したり、曜日ごとに時間を変更したい方には、今回は無理ということになります。
▼ 製造メーカー・モニュエル社は破綻済
クレモンの製造メーカー・モニュエル社は、虚偽輸出を基に巨額の融資を受け、返せなくなったからと破綻しています(⇒「ベンチャー神話の詐欺行為、対応無策で被害にあった金融業界」)。
日本語版の公式サイトにも、「法定管理申請に関するご報告」と称したPDFファイルがアップされており、製品の保障・保守に関しては、日本国内のグループ会社なので問題ないということと、今後の経緯については報告して行くと書いてあります。
しかし、(2014年)11月中には "指定機関内での決定" が出るはずで、続報があるはずですが、12月の終わりになってもそれがありません。
なので、モニュエルが日本法人も含めてどうなるのかは、何とも言えないのかもしれません。
逆に言えば、欲しい方は買っておいた方が良いということになるのかもしれませんが。
▼ まとめ
この「MR6850M クレモン」は、水拭きが可能なのと、バッテリーとモーターが高性能であることを除けば、少しイマイチなロボット掃除機であるに過ぎません。
なので、水拭きがどうしても必要な訳でなければ、他でも良いのではないでしょうか。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MR6850M クレモン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:パワーブラシ(+サイドブラシ×2) ・吸込仕事率:未公表/対応床面積:約25畳 ・リチウムイオンバッテリー採用 ・本体重量:2.7kg ・運転音:68〜約49dB ・色:プレミアムグレー(H) ・サイズ:直径34.8cm×高さ8.6cm ・60分充電・60分(モップのみで120分)可動 ・リモコン付 ・ウェット&ドライ拭き掃除用シート装着可 | |
関連ページ:
・MR7780J/MR6680J CLEMON(クレモン)(従来型)
・シャープ・ココロボ「RX-V200/RX-V90/RX-V50」
・東芝・トルネオロボ「VC-RCX1,VC-RVD1,VC-RV1」
・ネイト Botvac85/80/75/コーボルトVR100
・LG電子・HOM-BOT(ホームボット)スクエア VR6260LVM
関連サイト:
・MR6850M | MONEUAL ロボットクリーナー クレモン特設サイト
・水拭きまでできる! ロボットクリーナー「クレモン MR6850M」で毎日の掃除がラクに!(日経トレンディネット)
・ロボットクリーナー「クレモン」にはペットフレンドリーな魅力がたくさん!(家電Watch)