「MC-BR31G」は、2014年12月20日にパナソニックから発売となった、珍しいキャニスター型(ヨコ型)のコードレスサイクロン掃除機の最新モデルです。
これは同社製の小型サイクロン掃除機 "プチサイクロン" をコードレス化した製品なので、外観やフィルター性能は共通です。しかし、充電式の分で吸引力は弱く、充電池を搭載する分で本体重量は900gも重いです。
…もっとも、コードレスですので、コードを気にすることなく掃除をすることが可能で、それこそがこの機種のウリなのですが。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (3)
この「MC-BR31G」のヘッドは、"小型軽量パワーノズル" と呼ばれます。モーター式回転ブラシの内蔵型ですが、コードレスであることも手伝って「自走式」ではありません。
これは、モーター式ですので、絨毯上でも一応威力を発揮します。しかし、フローリングにおいても、"ふき掃除" 効果が謳われていますし、また、そもそもコードレスタイプであるが故に吸引力は弱いので、絨毯上では最低限の能力だと思っておいた方が良いかもしれません。
また、これは、足踏みペダルでヘッド部(親ノズル)が外れて子ノズルが現れる、"親子のノズル" 式でもありますので、狭いすき間やテレビの裏などを掃除する場合にノズルを付け換える必要がありません。
そして、それらのそれぞれには、前方を照らす白色LEDライトが装備されています。なので、今まで勘で掃除をしていた暗い物陰も、視認しながら掃除をすることが可能です。
▼ 吸込仕事率 未公表 (-)
ダイソンやマキタ等では、コードレス機でも吸込仕事率を公表していますが、パナソニックでは未公表で、この機種でも未公表です。
▼ バッテリー性能 (5)
この「MC-BR31G」では、50.4Vというコードレス機掃除機としては超高電圧のリチウムイオンバッテリーを搭載していますので、パワー(吸引力)はそれなりに高いはずです。
しかし、吸込仕事率が未公表なところを見ると、ダイソンデジタルスリム「DC74」や「DC62」の最大100Wには遠く及ばないはずです。
そもそもダイソン製コードレス機で採用されている上級・高回転モーターのデジタルモーターをこちらでも採用しているという話もありませんので、こちらでは通常のACモーターが採用されているはずです。
また、一応1,500回も充電可能とされていますが、1回の使用が6分だとされていますので、それだと放電しきってから充電するより、かなり充電可能回数は多くなるはずです。
なので、実際はダイソンやマキタの500回ともそれ程違わない可能性があります(少しは多いかもしれないという程度だと思われます)。
▼ 清掃力 (2) [コードレス評価: (4)]
これはコードレス機としては、清掃力は高いですが、通常のコード式掃除機と比べると、かなり低いはずです。
ヘッドにはモーター式の回転ブラシがありますが、実はその回転ブラシの回転力も、電力が制限されている影響を受けてしまいます。
なので、コード式の同等ヘッド機と比べると、その面での差も免れません。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (2)
この「MC-BR31G」では、サイクロン部に "ダブル反転気流遠心分離" という、サイクロンの中心部にある筒型フィルターの内と外で気流の向きを逆にするという荒業で、遠心分離率を上げています。
しかし、パナソニック製はすべてそうですが、この機種でもサイクロンは多段式の本格的なものではなく、大きなサイクロンを一つだけ持つ低性能なものですので、高性能だということはあり得ません。
また、遠心分離しきれずにフィルターに達したゴミは、ダイヤル式のフィルター振動装置をガチャガチャと回し、下に落とすことになります。
また、この機種はそもそもコードレス掃除機なので、吸引力は弱いです。それはサイクロン(空気の渦)を生じさせるパワーが弱いことをも意味しています。
その上、サイクロン機構はコード式と共通のはずなので、この遠心分離力はコード式プチサイクロンの「弱」モード時と同じか、それより低い程度かもしれません。
▼ ゴミ圧縮 (0.5)
パナソニックのパワープレスサイクロン、及びプチサイクロンのシリーズでは、円柱形のダストカップの下部に膨らみを持たせ、そこにサイクロンで生じる空圧を集中させることで、ゴミを強力に圧縮します。
しかし、このコードレス機の場合には、やはりゴミを圧縮する程強いサイクロンが生じないのか、圧縮については特に触れられていません。
▼ ゴミの捨てやすさ (1.5)
この機種は、ダストボックスが下開きなので一見ワンタッチで便利ですが、ゴミをそっと捨てにくいです。
しかも、ゴミの圧縮効果もあまりないので、他のコード式プチサイクロンよりも若干厄介かもしれません。
▼ ダストボックスの容量 (1)
この「MC-BR31G」のダストボックスの容量は、コード式プチサイクロンとも同じ0.25Lです。
この数値はヨコ型としては少ないですが、何と言ってもこれはコードレス機で、そもそも使用時間が限られていますので、これでも十分なのではないでしょうか。
▼ フィルター (3.5)
プチサイクロンシリーズのフィルターは、0.5μm以上のチリの99.9%を捕塵可能な "逃さんフィルター" (※今年度型はその固有名詞は未使用ですが)です。
また、機体後部フィルターとして "アレル物質抑制・抗菌酵素加工フィルター" という、2つの作用のある物も装着しています。
▼ 本体重量 (3)
このコードレス・プチサイクロンの重量は、3.6kgです。
コード式プチサイクロンの上位機種は2.7sですので、やはりバッテリーがかなり重いです。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (2)
それらの重量は1.6sですので、ヘッドにモーター式回転ブラシを内臓する機種としては普通程度ですが、全体としては重めです。
▼ 運転音(最大値) (4)
この「MC-BR31G」の運転音は、57〜約51dBですので、割と静かです。
もっとも、パワーがない分で静かだと言える部分もあるのですが・・・。
▼ エコモード (4)
この機種に付くエコモード(パナソニック名:エコナビ)は、吸気内の異物を赤外線で検知して吸引力を調整する "ハウスダスト発見センサー" と、ヘッドが床から離れると約3秒で吸引を停止する、"アイドリングオフ" を備えています。
▼ 付属ブラシ類 (3)
この「MC-BR31G」には、手元グリップ下の手元ブラシと、延伸管部先端ブラシ(子ノズル)が揃っています。
普通のすき間ノズルも、勿論付属します。
▼ 価格 (2)
この機種は、前年度の「MC-BR30G」から見て、数か月後(半年程度以上)の最安時には3万円程度になるはずです。
▼ 総合評価 (2.75) [※コードレス評価]
パナソニックにはAC電源とコードレスの兼用タイプ「MC-HS700G/MC-HS500G」もありますが、この「MC-BR31G」はヘッドがコードレスの吸引力に最適化されて作られているはずの分で、吸引性能は多分高いと言えるでしょう。
また、同兼用タイプのUSBポート機能無しの「MC-HS500G」と、この「MC-BR31G」のバッテリー価格は同じ(税抜15,000円)ですし、型番も殆ど共通なので(「AMV97V-GM」と「AMV97V-GE」)、両者は同等品のはずです。
その上で、こちらの「強」時の可動時間は5分短い10分間ですので、吸引力は更にその分高いはずです。
しかし、「自動」モードでは、逆にこちらが10分間長い30分間稼動しますので、その分吸引力は弱いはずです。
昨年度型までだと、その分は、ヘッドがコードレスの吸引力に合わせて設計されている分で、カバーされているだろうと推測出来ました。
しかし、今年度型では運転音の最小値が3dBも下がると共に、充電可能回数が1.5倍となり、充電池にかかる負担が少なくなっているようです。なので、事実上の「弱」運転時には、もしかしたら兼用機よりも吸引力は低いかもしれません。
もっとも、ヘッドにはモーター式回転ブラシも付いていますので、ほぼフローリング用と言える事実上の「弱」モードであれば、それで十分という判断なのかもしれませんが・・・。
◆ 前年度型「MC-BR30G」との違い
MC-BR31G | MC-BR30G | |
サイクロン部 | ダブル反転気流型 | 通常型 |
最小運転音 | 約51dB | 約54dB |
充電可能回数 | 1,500回 | 1,000回 |
ヘッド部LEDライト | 親&子ノズル | 子ノズルのみ |
全体重量 | 5.2s | 5.3kg |
サイクロン部の変更により、パナソニック製のAC電源とコードレスの兼用タイプの下位機種「MC-HS500G」と同じ仕組み⇒上位機種「MC-HS700G」と同じ仕組みに変わりましたので、一応性能は上がっているはずです。
実は部品素材も、通常のナイロン樹脂的な物から、ステンレス製に変更されていますので、部品価格も上がっているはずです。
運転音の最小値が3dBも下がり、充電可能回数が1.5倍に増えていますが、これは先ほども述べたように事実上の「弱」運転時のパワーが下がり、充電池にかかる負担が小さくなったことからくるものと思われます。「強」運転時には特に変わりはないはずですので、単に最適化されたものと思いたいものです。
全体重量が100g減っている件は、ホースが細くなった分となります。
あと、ボディカラーも変わっていますが、前年度型は幾らなんでも男向けに振りすぎであったのに対し、今年度型はセンスが酷すぎて言葉もありません。AC電源&コードレス兼用型は素晴らしいカラーリングなのに、一体どうなっているのでしょうか。ちなみに、これは充電台に載せて出しっぱなしにするのが前提の製品なので、見栄えの酷さはそれなりに深刻です(笑)。
仮に私であれば、3万円程度で買えるのであれば、性能的に昨年度型でも嫌ではありません。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MC-BR31G | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:小型軽量(親子)パワーノズル ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:未公表[エコ自動モード有] ・50.4Vリチウムイオン充電池採用 ・本体重量:3.6kg/ 全体重量:5.2kg ・運転音:57〜約51dB/ 集塵容積:0.25L ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/延伸管先端ブラシ:子ノズル ・すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:グラデーションピンク(P) ・5時間充電・「強」10分/「自動」30分可動 ・充電台付属、クイックスタンド付 | |
前年度型
・MC-BR30G 充電式プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:小型軽量(親子)パワーノズル ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:未公表[エコ自動モード有] ・50.4Vリチウムイオン充電池採用 ・本体重量:3.6kg/ 全体重量:5.3kg ・運転音:57〜約54dB/ 集塵容積:0.25L ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/延伸管先端ブラシ:子ノズル ・すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:メタリックシルバー(S) ・5時間充電・「強」10分/「自動」30分可動 ・充電台付属、クイックスタンド付 | |
関連ページ:
・MC-HS700G MC-HS500G(上位機種/コードレス・AC電源両用式)
・ダイソンV6 Fluffy/V6 Motorhead(スティック+ハンディタイプ)
・ダイソンDC74 モーターヘッド(スティック+ハンディタイプ)
・MC-BR30G コードレス・プチサイクロン(前年度型)
関連サイト:
・家電製品ミニレビュー キャニスター型だけどコードレス!? プチサイクロンは掃除がはかどる(家電Watch)