パナソニックから2014年11月25日に発売となった、小型・軽量タイプの紙パック式掃除機「MC-JP500G」です。
同社製の小型・軽量タイプの紙パック式は他にもありますが、これは特に小型で本体重量は2.0sしかなく、ヨコ型としては世界最軽量だとされています。
しかし、その反面吸込仕事率は300Wで、他の紙パック式の半分程度しかありません。
それでもヘッドは高性能なもので、パナソニックご自慢のゴミセンサー "ハウスダスト発見センサー" も搭載されており、比較的高性能な機種ということになっています。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (4.5)
この「MC-JP500G」に付くヘッドは、"小型軽量パワーノズル" です。
これは、モーター式回転ブラシを内蔵していますので、絨毯上でも威力を発揮します。
フローリングにおいても、"フローリングの菌までふき掃除" 効果が謳われていますので、効果は絨毯上以上に高いです。
また、足踏みペダルでヘッド部(親ノズル)が外れて子ノズルが現れる、"親子のノズル" 式でもありますので、狭いすき間やテレビの裏などを掃除する場合にノズルを付け換える必要がありません。
そして、それらのそれぞれには、前方を照らす白色LEDライトが装備されています。なので、今まで勘で掃除をしていた暗い物陰を、初めてまともに掃除が出来るようになります。
パナソニック製最上位ヘッド "パワフル自走ノズル" にもそれらと同一の機能がありますが、こちらでは回転ブラシの回転による自走力が謳われていない+小型・軽量型であるのが違いということになります。
▼ 吸込仕事率 (2)
この機種の吸込仕事率は、300W〜約100Wです。
紙パック式では、この最大値は500W以上あるのが標準ですので、この数値はかなり寂しいです。不自然に軽くした代償がこれだと言えるでしょう。
▼ 清掃力 (4)
吸込仕事率は低いですが、ヘッドが高性能かつ小型ですので、酷い訳ではないはずです。
▼ 吸引力持続 (1)
この「MC-JP500G」には "パワー持続センサー" が付いています。
これは紙パックが目詰まりするとモーターパワーを高める仕組みですが、"自動モード(エコナビ運転)" 時にのみ働く機能で、しかも "強" 運転以外で発動する機能です。
さすがに、"強" モード時のモーターパワーを更に高めることはできません。
▼ 紙パック+フィルター性能 (3.5)
この機種で使用される標準紙パックは「AMC-HC11」です。これは0.5μm以上のゴミの99.9%を捕塵する性能を持ちますので、紙パックとしてはかなり優秀です。
また、本体には排気口部の最終フィルターとして、"アレル物質抑制・抗菌酵素加工フィルター" が採用されています。
抗菌加工と、アレルギー性物質を抑制する効果の両方を持たされているのは、比較的高価な機種の証です。
▼ 標準紙パックの容量 (1)
これに装着可能な紙パック自体は、少なくとも1.6Lのゴミの収容が可能ですが、この 「MC-JP500G」は本体が小型なので、1.2Lしか入りません。
これにはさすがに感心できませんが、この機種は小型であることがウリなので、それが最優先となっています。
▼ 標準紙パック価格 (2)
この標準紙パック「AMC-HC11」の1枚の価格は、何と300円程してしまいます。amazonの最安値だと、送料込で250円程度の場合もありますが。
ただし、どのメーカーでも、高性能な紙パックではこの程度の価格はしてしまいます。
実は、もっと安いパナソニック製紙パックを装着して使うことも可能ですが、排気の綺麗さを求めるのであれば、やはりこのクラスの製品が必要です。
▼ 本体重量 (5)
この「MC-JP500G」の本体重量は、2.0kgです。
この数値とは紙パック式としては驚異的なもので、前述の通りヨコ型の紙パック式としては世界最軽量ということになるそうです。
ただし、従来の半分の重さになったかの宣伝もなされていますが、それはあくまで上位シリーズの中型機と比べた場合であり、実際は同社製の他の紙パック式小型機(2.7s)の約4分の3であるに過ぎません。それでも勿論凄いことではありますが。
国内有名メーカー製のサイクロン式となると、東芝のトルネオミニ「VC-C4,VC-C4A」が2.2kgとなっています。
なので、全体として見れば、これが桁外れに凄いということではありません。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (2)
それらの合計は、1.6kgということになりますが、この数値は、比較的重いモーター式回転ブラシ採用型の中での平均程度であり、全く軽くはありません。
これは、ヘッドに関してで先に述べたように、子ノズルが現れる仕組みや、LEDライト、そして赤外線で吸気内を見張るセンサーという多機能さがその原因となっています。
シニア世代をターゲットとして、軽さをウリとするなら、少なくとも親子ノズルを排してもう200g軽く出来るはずです。
なので、結局 "軽さ" をトレンドとして捉えて製品を設計しているだけで、本当に軽い掃除機を、それを望む消費者に届けようという設計思想に基づいている訳ではないのです。
▼ 運転音(最大値) (2)
この機種の運転音は、63db〜約57dBですので、特別うるさい訳ではないですが、やはりそこそこうるさい掃除機です。
ただ、"弱" モード時の57dBは、全体の中で比較的マシではあります。
▼ エコモード (4)
この「MC-JP500G」に付くエコモード(パナソニック名:エコナビ)は、吸気内の異物(20μm以上のゴミ)を赤外線で検知する "ハウスダスト発見センサー" のみを参照して吸引力制御を行うバージョンです。
これにより、強モードで使い続ける場合と比べて、約35%の消費電力削減効果があるとされています。
また、ヘッドが床から離れると約3秒で吸引を停止する、"アイドリングオフ" 機能も付いています。
▼ 消費電力 (3.5)
この機種の消費電力は、850W〜約380Wですので、その最大値は標準的な掃除機の15%減となっています。
つまりは、パワーが低くモーターも小型の分、消費電力も低く済んでいます。
▼ 付属ブラシ類 (3)
この機種には、手元ブラシと、少しブラシの付いた子ノズル、及び通常のすき間ノズルが付属しています。
▼ 価格 (2)
この機種は、殆ど新登場と言って良いレベルのモデルチェンジ品ですので、最安値がどの程度になるのかは何とも言えません。
※この後継機種が発売された結果としては、3万5千円程度ということになりました。
▼ 総合評価 (2.82)
この「MC-JP500G」は、本体が例外的な程に軽いのは良いのですが、常に重量を感じることになるヘッド+延伸管+ホース部はどちらかというと重めです。
また、その上でモーター式の回転ブラシによる自走力もありませんので、使用感も重めとなります。
パナソニックは、老人向けとしてこの機種を設計したのであれば、何故軽さを徹底しないのか、また、百歩譲っても、下位機種扱いで構わないので、何故そういったバージョンを出さないのかが不思議でなりません。
その他に関しては、単に小さいだけで普通の紙パック式掃除機です。
老人であっても、そうでなくても、こういった製品が欲しい方にはちょうど良いのではないでしょうか。
Jコンセプト
これは、"Jコンセプト" と名付けられたパナソニックの5,60代向けの新企画シリーズの一つなのですが、以下のように説明されています。
健やかに、和やかに、ニッポンの暮らしを楽しめるように機能とデザインに徹底的にこだわりました。
ニッポンの心づかいと美意識をかたちにした新しいコンセプト家電。
「ジャパン」の“J”と、こだわりをもった「上質」の“J”から「Jコンセプト」と名づけました
これが分かるようで、分からないような不思議な説明ですが、何故か5,60代向けという重要であるはずのコンセプトが定義として含まれていません。
自分たちでも何をしたいのかよく分かっていないので、それが抜け落ちており、また、読んでみてもよく分からないのではないかと思えます。
この名前のセンスは、実のところ、Jリーグが発足した20年前のものに過ぎません。
特に、この「MC-JP500G」のデザインに関しては、更に古い昭和に属する懐古的なものでしかなく、軽さは良いにしても、美意識を持った人がデザインしたとはちょっと思えません。
パナソニックは、以前も "アラサー(Around30)世代に新提案" と称して、"NIGHT COLOR(PLAY!! NIGHT COLOR)" という既存のパナソニック製家電のボディカラーを黒にしただけのシリーズを展開していたのですが、これがいつの間にか消滅しています。
今回の "Jコンセプト" では、お金がなく、今後も給料が上がりそうにない若者を相手にするのは止めて(笑)、お金を持っていそうな老人にターゲットを変え、商品も専用設計品を投入しています。
しかし、それだけにラインナップを継続的に維持できるとは思えず、結局は "NIGHT COLOR" シリーズと同じ道を辿るのではないかと思われます。
パナソニックはそれ以前にもトヨタ等と一緒に "WiLL" という多業種間でのもっと大掛かりな企画もやっていましたが、それも上手く行かずに撤退しています。
>女性セブン2014年12月4日号:荻原博子氏 シニアの貯金に「死んだら無意味。自分に使え」
いや、幾らなんでもここまでしなくても・・・と呆れます。パナソニックによるステマです。
荻原氏は60代を「この世代は本当に価値があるものを見抜くこだわりの世代」などと言っていますが、パナソニックでは5,60代に「目利き世代」等という、"おべっかな" 名前を今回勝手に付けています。
ちなみに、紙パック掃除機以外は使いこなすのが難しいようなことが書いてありますが、ロボット掃除機の場合には時刻予約運転をしようとすると、目覚まし時計をセットする程度のスキルが必要です。
また、サイクロン掃除機では、吸わなくなってきたらフィルターを外して掃除する作業が必要で(紙パック式ではその代わりにその交換が必要ですが)、コードレス掃除機の場合には、充電が必要です。
どれであれ、確かに少し新しいことに挑戦する必要がありますが、それを書いた荻原氏は、新しいものにチャレンジする意欲がもうないのかもしれません。…Jコンセプトの人の場合には、もう後がないのかもしれませんが。
当「MC-JP500G」と、先代モデル「MC-PR2」との違い
MC-JP500G | MC-PR2 | |
発売日 | 2014年11月25日 | 2012年3月1日 |
ヘッド | 小型軽量パワーノズル | パワフル自走ノズル |
ふき掃除効果 | フローリングの菌まで | 単なるふき掃除 |
LEDライト | 〇 | × |
吸込仕事率 | 300〜約100W | 300〜約80W |
消費電力 | 850〜約380W | 900〜約400W |
本体重量 | 2.0kg | 2.8kg |
運転音 | 63db〜約57dB | 65〜約60dB |
集塵容積 | 1.2L | 1.4L |
標準紙パック | AMC-HC11 | AMC-NC5 |
ゴミセンサー | ハウスダスト発見センサー (最新・高性能センサー) | ゴミ発見センサー (旧式センサー) |
排気 | 後方斜め上方排気 (まいあげブロック構造) | 後方標準型 |
手元グリップ | クローズド(円状) | 半月状(=廉価版) |
すき間ノズル | 通常版 | 先端ブラシ付 |
先代モデル「MC-PR2」は、2012年3月1日の発売だったので、この「MC-JP500G」は約2年半ぶりの後継製品ということになります。
先代も小型であることがウリでしたが、今回のフルモデルチェンジでその約7割の重量になりました。
重量対策としては、PPFRP(PP繊維強化樹脂)という従来の2分の1の厚みで強度は同等という高性能素材や、アルミを多用した新型モーター、レイアウトの効率化、ホースのスリム化、延伸管素材の変更等が取られています。
性能としては、以前はヘッドが "パワフル自走ノズル" でしたが、これは回転ブラシによるふき掃除効果が、"フローリングの菌までふき掃除" ではなく、単なる "ふき掃除" で、名前からは何故か分からないですが、事実上の廉価バージョンとなっています。
ゴミセンサーも、今作では上位バージョンの "ハウスダスト発見センサー" に切り替わっていますし、恐らく価格はそれ程変わらない割に、性能はアップしています。
パナソニック・紙パック式 他の小型機との比較
MC-JP500G | MC-PK16G | |
ヘッド | 小型軽量パワーノズル | パワフル自走ノズル |
ふき掃除効果 | フローリングの菌まで | 単なるふき掃除 |
LEDライト | 〇 | × |
吸込仕事率 | 300W〜約100W | 600〜約60W |
消費電力 | 850〜約380W | 1,150〜約200W |
本体/全体重量 | 2.0/3.6kg | 2.7/4.4kg |
集塵容積 | 1.2L | 1.3L |
標準紙パック | AMC-HC11 | AMC-NC5 |
フィルター | アレル物質抑制 +抗菌酵素加工 | アレル物質抑制 |
ハウスダスト発見センサー | 〇 | × |
排気 | 後方斜め上方排気 (まいあげブロック構造) | 後方標準型 |
手元グリップ | クローズド(円状) | 半月状(=廉価版) |
すき間ノズル | 通常版 | 先端ブラシ付 |
同じパナソニック製の、2014年2月新発売の通常の小型機シリーズは、吸引力(吸込仕事率)に関しては紙パック式としての標準レベルを維持しています。
特にその「MC-PK16G」の場合には、新型「MC-JP500G」の何とちょうど2倍です。
それ以外の性能は、おおよそ「MC-JP500G」の方が高いですが、価格に関しては普通の小型シリーズの方がずっと安いです。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MC-JP500G | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:小型軽量パワーノズル(LEDライト付) ・目詰まり対策:パワー持続センサー ・吸込仕事率:300〜約100W[エコ自動モード有] ・本体重量:2.0kg/ 全体重量:3.6kg ・運転音:63db〜約57dB ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・色:ホワイト(W)、ピンクシャンパン(P) ・集塵容積:1.2L(通常の8割程度) ・ハウスダスト発見センサー ・エアダストキャッチャー ・標準紙パック:AMC-HC11(1枚付属) | |
・MC-JP500GS | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・Yahoo!オークション(ある時とない時が・・・) ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・色:ホワイト(W)、ピンクシャンパン(P) ・特別追加付属品:軽量まがるスリムノズル ※パナソニック特約店向け特別モデル | |
■ 特殊型番「MC-JP500GS」
この「MC-JP500GS」は、「MC-JP500G」とは全く同一の製品に、
- 軽量まがるスリムノズル
というLEDライト付きの高所用ノズル(※激安家電のデンマートの商品紹介ページに画像有)を追加しただけの製品です。
原則的に、パナソニック系列の "街の小さな電器屋さん" 向けの製品ということになります。
尚、勿論正規品ですが、商品情報はパナソニックの公式サイトにも載っていません。
前年度型
・MC-PR2 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:新・パワフル親子自走ノズル(径小・パワーブラシ) ・目詰まり対策:(パワー持続センサー) ・吸込仕事率:300〜約80W[(エコ)自動モード有] ・本体重量:2.8kg /全体重量:4.4kg ・運転音:65〜約60dB ・排気方法: ― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・色:ピンクシャンパン(P) ・ゴミ発見センサー ・エアダストキャッチャー ・標準紙パック:AMC-NC5(1枚付属) | |
関連ページ:
・MC-JP510G Jコンセプト(2015年度型後継機種)
・MC-PK16G(パナソニック製通常版小型タイプ)
・CV-PC500 かるパック(日立製排気性能強化型小型機)
・TC-FXE10P Be-K(ビケイ)(三菱製小型機)
・MC-PR2(先代モデル)
関連サイト:
・紙パック式掃除機「MC-JP500G」を発売|パナソニックプレスリリース
・「Jコンセプト」シリーズを発売|パナソニックプレスリリース
・紙パック式掃除機 Jコンセプトのデザイン|パナソニック公式サイト
・電気掃除機 [Panasonic MC-JP500G シリーズ] | 受賞対象一覧 | Good Design Award
・シニアが使いやすい“世界最軽量”本体質量2kgの紙パック式掃除機(家電Watch)
・シニアのための新コンセプト家電、パナソニック「Jコンセプト」登場(ITmeida Lifestyle)