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VC-SG414 トルネオV〔3.13点〕

VC-SG414は、2014年9月1日に東芝から発売となった新型(マイナーチェンジ)のサイクロン掃除機です。シリーズ名としては "トルネオV(ヴイ)" と呼ばれる、東芝製の小型ながら本格サイクロンシリーズの1機種で、これはその最上位機種の、バリエーション豊かな余分の付属品が付かないタイプとなっています。

しかし、遠心分離力の高い本格サイクロンであることと、小型機であることをウリとするそれらの性質から、吸引力の目安を表す吸込仕事率は200Wと、国内有名メーカー製としては異例の低さとなっています。

評価はおおよそのものです。


▼ ヘッド 5 (5)

この「VC-SG414」のヘッドは、東芝掃除機用の最高性能ヘッド "イオンファイバーヘッド" です。

まず、"イオン" とは、ヘッド内部で回転ブラシとマイナスイオンプレートとの摩擦で生じている、静電気を抑える効果があるものです。これと銀イオンを練り込んだ回転ブラシとで、フローリングから細かなチリを掻き取りやすく出来ています。

"グラスファイバー" とは、軽量のガラス繊維素材を意味しており、これを用いることでヘッド(及び延伸管)の軽量化がなされています。

また、このヘッドは、各社の上位品であれば当然ではありますが、回転ブラシの回転力が強い "自走式" でもありますので、軽い操作が可能です。

それに加え、2014年度型トルネオV上位2機種には、ヘッド前を照らす白色LEDランプが装備されています。なので、暗い場所を掃除するのにも便利です。

その他でも、ヘッドを横に90度近く曲げて縦にすることで、家具の間等、ヘッドを外さずに狭い場所に押し込めたり、ヘッドと延伸管を水平にまで出来ることで、家具の下等の約6.5cm以上の高さのすき間を掃除することが可能です。

回転ブラシに毛等絡んだ場合には、ヘッドを裏返すことなく、ヘッド上のカバーを取り外すことで、お手入れをすることも出来ます。この仕組みは東芝独自のもので、現在はこの "イオンファイバーヘッド"、及びその下位版 "イオンカーボンヘッド" 、廉価版 "(自走式)カーボンヘッド" にしか採用されていません。


▼ 吸込仕事率 1 (1)

このトルネオVの吸込仕事率は200Wです。この数値は、最新のダイソン・DC63の170/160Wに比べれば少し高いですが、国内有名メーカー製の掃除機としては、相当な低さということになります。


▼ 清掃力 3.5 (3.5)

海外メーカーであるダイソン社や、ドイツのミーレ社、スウェーデンのエレクトロラックス社では、200W前後の吸込仕事率が標準ですので、この機種の200Wが一概に不可だとは言えません。

しかし、それらのメーカーでは、ヘッドと床のすき間を最低限にして床に吸引力が集中する設計になっているのに対し、この東芝製の最上級ヘッドでは、そうはなっていません。これにおいても他の国内メーカーと同様に、ヘッド前の米粒等固形物を吸いやすいよう、床とのすき間を多めに開けた設計となっているので、物理的・原理的に無理があると思えます。

もっとも、ヘッドには回転ブラシが付いているので、元々「弱」運転でも問題はないと言われるフローリング上では特に問題ないはずですし、絨毯上でも、モーター式の回転ブラシが絨毯表面のゴミは掻き取るはずですので、その面では問題はないはずです。つまり、絨毯内部に入り込んだチリには弱いだろうという話となっています。


▼ サイクロン部(吸引力持続) 4 (4)

このシリーズのサイクロン部は、"バーティカルトルネードシステム" と称されており、ダイソンと同じく大きなゴミを遠心分離する大きなサイクロンと、2段目としての小さなゴミを遠心分離する複数の小さなサイクロンから成っています。

バーティカルトルネードシステムの解説動画。再生してみて下さい。

遠心分離力は、数を増やしてでも、小径のサイクロンを使用する方が高まるという話で、ダイソンDC63では、上下2層の計24個の小サイクロンを、前作のDC48では計10個を採用しています。この「VC-SG414」を含むトルネオVシリーズでは、12個の小サイクロンを採用していますので、その数だけで見れば、遠心分離力はそこそこのはずです。

しかし、ダイソンでは消費電力が1,150Wある、通常の1,000Wより15%も高いモーターを使用しているのに対し、トルネオVシリーズでは、逆に15%低い850Wのモーターを使用しています。

ダイソンでは、高性能・高回転の上級モーター "デジタルモーター" を使用しており、非デジタルの日本製と比べて性能は高いはずで、少なく見積もってもその消費電力分、遠心分離力は高いはずです。

東芝とダイソンとのサイクロン部での詳細な性能差については、ダイソンがそのサイクロン部で発生する遠心力を、DC36では29万G、DC46では36万Gと公表しており、それ以降のDC48とDC63では非公表ながら、それに近い数値だと推測できます。しかし、東芝側では全く非公表の為、具体的な比較は不能となっています。

ダイソンの2段サイクロン方式(ルートサイクロンテクノロジー)は、特許で守られているので、他メーカーは真似できないでいるはずです。しかし、東芝がダイソンの特許を回避できた要因として、ダイソンでは、複数の小さなサイクロンで分離したゴミを、ダストカップの中心部の空洞を通して落とす構造であるのに対し、東芝ではダストカップの外延部に溜め、下には落とさない構造となっていることが挙げられるはずです。

この点は、そこに溜まるゴミを再びサイクロンの渦に巻き込みかねない問題と、その部分のゴミの、ゴミ捨ての際の若干の扱いづらさに繋がっています。

尚、トルネオシリーズのサイクロン部の正式な名称は、外からゴミの回るのが見えるダストカップのサイクロン部は、"デュアルトルネードシステム" 。トルネオVにある、ダストカップ上部に追加された12個の小サイクロン部は "バーティカルトルネードシステム" となっています。どちらもカッコ良い名前ではあるものの、単なる自称に過ぎません。


▼ ゴミ圧縮 3 (3)

トルネオシリーズのゴミ圧縮は、大サイクロン部の下部で、サイクロンの回転の余波でゴミが転がり続けている内に、約5分の1になるとされています。

小サイクロン部の下部に溜まる細かなチリも、サイクロンの渦で下に押しつけられるせいか、再び吸われずにそこに残っている分は、ある程度固まっています。


▼ ゴミの捨てやすさ 2 (2)

この「VC-SG414」を含むトルネオシリーズでは、ダストカップは、底がパカッと開くダイソン方式とは違って普通のカップ型ですので、そっとゴミを捨てることが可能です。しかも、確かにある程度ゴミが圧縮されて塊となっていますので、捨てる際にも舞いにくいです。

ただし、小サイクロンで遠心分離された細かなチリは、小サイクロンの直下にくっ付いていますので、お手入れブラシかティッシュか何かで、時々取ってやる必要があります。


▼ ダストボックスの容量 3 (3)

このシリーズのダストボックスの容量は0.4Lで共通です。一応は、平均的な一軒家全体を掃除できるだけの容量となっているはずです。


▼ フィルター 3.5 (3.5)

この「VC-SG414」を含むトルネオVシリーズのメインフィルターは、0.5μm以上のホコリの99.9%を捕塵可能な "空気清浄・脱臭フィルター" です。この集塵性能は比較的高めです。

また、排気口部の最終フィルターとして、抗菌・ウィルス抑制効果のある "イチョウ葉エキス入りフラボノイドフィルター" も装備されています。


▼ 本体重量 4 (4)

このシリーズの本体重量は3.2kgで共通です。実際小型ではあるものの、通常サイズ機扱いされる製品の中では相当軽いです。とは言え、サイクロン掃除機の本命であるダイソンDC63の2.75sにはかなり負けていますが。


▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 3 (3)

この機種のそれらの重量は1.4kgですので、全体としては少し軽めという程度です。しかし、モーター式回転ブラシ内蔵のメーカー最上級ヘッドとしては驚異的な軽さです。ヘッドの項目で既述ですが、グラスファイバー素材の採用で、軽く出来ているのがウリの一つとされています。


▼ 運転音(最大値) 2 (2)

このシリーズの運転音は、64〜約58dBで共通です。これは単に普通のうるさい掃除機といったレベルです。ただ、消費電力が少ない割には、数値は悪いです。


▼ エコモード 3 (3)

この「VC-SG414」のエコモード(自動パワーコントロールモード)は、

  • ゴミ残しまセンサー
  • 床面識別
  • 節電アイドリング機能
  • 及び、強モードの不使用

の3+1からなっています。

"ゴミ残しまセンサー" とは、赤外線センサーで吸気内のゴミ(チリ)を見分けて、吸引力を上下させる仕組みのことです。これは東芝とパナソニックの上位機種にしかありません。

"床面識別" は、回転ブラシにかかる負荷により、絨毯とフローリングとを識別する機能のことです。絨毯と識別した場合には、高い吸引力を選択します。

"節電アイドリング機能" とは、ヘッドを浮かすと1秒でパワーを低減⇒6秒で一時停止⇒その状態を60秒継続で電源OFFとなる機能のことです。

最後の "強モードの不使用" に関してですが、この機種の消費電力は850W(強)〜約300W(弱)となっているのですが、実はエコモード時には最大消費電力は500Wに制限されます。

この機種には何と "中モード" がないのですが、そのエコモード時の最大吸引時が、事実上の "中モード" に当るはずです。

この機種のエコモード時は、消費電力を最大52%削減するとの記載がありますが、"強" を使用しないだけで、既に最大42%の削減が達成されています。こういった方法をとるのは、他メーカーでは日立の中位機種だけですので、さすがにどうかと思います。

結局、絨毯上では "強" を使い、フローリングや畳上では、"エコモード" を使ってくれということなのでしょう。


▼ 消費電力 3.5 (3.5)

先程も述べたように、このシリーズの消費電力は、850W〜約300Wですので、その最大値は標準的な掃除機の15%減となっています。

しかし、通常クラスのモーターを載せて遠心分離力を高めるのが、サイクロン掃除機として本来のあり方だと思います。特に、このシリーズより小型のダイソンDC63は1,150Wモーターですので、サイクロンに対する本気度が足りなのではないかとしか言いようがありません。


▼ 特記項目 "ゴミ残しまセンサーランプ" 4.5 (4.5)

エコモードで使われる "ゴミ残しまセンサー" は、吸気内のゴミを探知すると、赤いランプを点灯させて使用者に知らせます。このゴミ吸引の視覚化は、掃除のモチベーションを上げるのに一定の効果があります。

ただし、このせいで念入りに掃除をする羽目になると、消費電力が増えますが、それでも室内が綺麗になるのは良いことだと言えるでしょう。


▼ 付属ブラシ類 3 (3)

当「VC-SG414」には、手元ブラシと延伸管先端部ブラシ(併せて「2WAYブラシ」)に加えて、通常のすき間ノズルのみが付属しています。

ただし、延伸管先端部ブラシには、前方を照らす白色LEDライトが付いていますので、暗いすき間も掃除しやすい便利な物となっています。


▼ 価格 2 (2)

この機種の最安値は、発売後1年近くにまでなれば、3万3千円程度にまで下がる可能性があります。


▼ 総合評価 3 (3.13)

このトルネオV「VC-SG414」は、ヘッドの回転ブラシは優秀ですし、サイクロン部も日本メーカー製としては最優秀の一つですが、やはりヘッドの構造と低吸込仕事率の組み合わせの問題で、信用が置けません。フローリング用としてなら十分のはずなので、その用途であれば、やたらと高いダイソンよりは良いかもしれませんが。


また、"ゴミ残しまセンサー" と "床面検知" に制御される自動パワーコントロール機能(エコモード)が付いているのは良いのですが、切替モードが "中" と "弱" のみで、肝心の "強" が含まれていません。トルネオVシリーズは吸引力がただでさえ弱いのに、エコモードで使うと "強" まで失ってしまうとは、正直本当に真面目に作るつもりがあるのか? 掃除性能より "消費電力量最大約52%削減" と書くことが出来る方が、東芝には重要なのではないか、と思えてしまいます。

ヘッドを浮かせると吸引が止まるアイドリングストップ機能も、エコモード時にしか働かない為に、必然的に最大吸引時には一切使えない設定となってしまっているので、何ともな話です。

しかし、やはりフローリングであれば、"強" でなくても十分ですので、やはりこの機種はフローリングで使うのが好ましいのではないでしょうか。


ダイソンの欠点として、サイクロン部分(2段目の複数の小サイクロン部分)を掃除出来ないということがあるのですが、このシリーズでは何と同部分は分解・水洗いが可能です。勿論、そこは掃除出来なくて問題がないですし、分解できる構造にすると、やはり微妙な空気漏れや騒音の増加に繋がりますので、真面目にサイクロンを作るとなると、妥協できない部分となるのではないかと思います。

実のところ、その部分の清掃不能が気になる方も、慣れてしまえば気にならなくなるのではないかと思いますが、慣れてしまうまでは東芝のように分解できた方が、気分的に楽と言えばそうなのかもしれません。

ちなみに、サイクロン掃除機にも必ずフィルターは付いていますので、掃除機内部がホコリで汚れていても、そのホコリが外へ漏れ出ることは、フィルター性能の範囲においてないはずです。

そういった所が気になって仕方がない方は、きっと殆ど毎日掃除するタイプの方でしょうから、そう考えると気になる気持ちも分かります。しかし、そういう方は紙パック式にしておけば、分解して洗おう等と余計なことを考える必要もなく、安心して掃除ができるのではないでしょうか(笑)。

◆当「VC-SG414」と、前年度型「VC-SG413」との違い


VC-SG413VC-SG414
発売日2013年9月1日2014年9月1日
ヘッドイオンカーボンヘッドイオンファイバーヘッド
回転ブラシ用モーター従来型小型・軽量版
延伸管カーボン素材採用グラスファイバー素材採用
ホース従来型径小型
本体モーター従来型軽量型
本体/全体重量3.3/4.8kg3.2/4.6kg
ワイドピカッとブラシ
(延伸管先端ブラシ用LEDライト)
×
手元グリップ新らくわざグリップ(最新)らくわざフリーグリップ

これらは要するに、

  1. 本体と、ヘッド+延伸管+ホースで、それぞれに100gの軽量化
  2. 延伸管先端部に、前方を照らす白色LEDライトを装備
  3. 手元グリップが、人間工学に基づいてより丸みを帯びて使いやすい(とされる)新型に

の3点ということになります。

◆トルネオV 上・下位機種との比較


VC-SG514VC-SG414VC-SG314
ヘッドイオンファイバーヘッドイオンカーボンヘッド
床の菌まで拭き掃除効果×
本体/全体重量3.2/4.6kg3.2/4.7kg
ワイドピカッとブラシ×
付属品すき間ノズル
伸縮ロングノズル
ロングブラシ
布団用ブラシ
洋服布用ブラシ
付属品用ホース
付属品収納バッグ
すき間ノズル

上位機種「VC-SG514」との違いは、そちらには多数のオプションが付属することと、ボディカラーの違いだけです。

尚、そちらに付属する布団用ブラシと、洋服用ブラシは、別売品としても販売されています。

下位機種「VC-SG314」との違いは、そちらではヘッドにグラスファイバー素材が採用されておらず、その分少し重いことと、"ワイドピカッとブラシ" (延伸管先端部LEDライト)の省略、そして回転ブラシの力で、フローリングの菌まで拭きとるというブラシ性能が失われています。

これら3機種は、要するに皆同じような物なのです・・・。

 価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。


VC-SG414 トルネオV
東芝 サイクロン式クリーナー(自走式パワーブラシ)ターコイズブルー【掃除機】TOSHIBA TORNEO V(トルネオV) VC-SG414-L楽天
amazon [レビュー有]
楽天レビュー:レビュー(_件)を参照
ヘッド形状:イオンファイバーヘッド(自走式パワーブラシ)
目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒)
吸込仕事率:200W[エコ自動モード有]
本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.6kg
運転音:64dB〜約58dB
排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L
持ち手(本体):固定式
すき間ノズル収納:収納なし
色:ターコイズブルー(L)
ゴミ残しまセンサー、ワイドピカッとブラシ(延伸管先端)

前年度型

VC-SG413 トルネオV
東芝 【自走式ブラシ搭載】サイクロンクリーナー 「トルネオ」 VC-SG413-P メタリックピンク楽天
amazon [レビュー有]
楽天レビュー:レビュー(_件)を参照
ヘッド形状:イオンカーボンヘッド(自走式パワーブラシ)
目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒)
吸込仕事率:200W[エコ自動モード有]
本体重量:3.3kg/ 全体重量:4.8kg
運転音:64dB〜約58dB
排気方法:― ― ―
持ち手(本体):固定式
すき間ノズル収納:収納なし
色:メタリックピンク(D)
集塵容積:0.4L
ゴミ残しまセンサー付


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関連サイト:

VC-SG414(L)|東芝公式サイト

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