「MC-SR32G/MC-SC32RG」は、2014年8月下旬にパナソニックから発売となる、新型のサイクロン掃除機です。シリーズ名としては "プチサイクロン" と呼ばれており、これは3種類あるその2014年度型の、中位機種ということになります。
型番は2種類ありますが、ボディカラーのみが違う同一品で、「MC-SR32G」はメーカー正規型番、「MC-SC32RG」は量販店専用型番となります。これは量販店で売る製品は値引き競争が激しいので、それ以外の販売店を保護する為の処置であるはずです。
性能的な特徴としては、その名の通りの小型機で、本体重量はたった2.7kgしかありません。
ヘッドは、前方を照らすLEDライトの省略版ではあるものの、パナソニック製最上位ノズル "パワフル自走ノズル" ですし、吸気内のゴミを見分ける "ハウスダスト発見センサー" と、その情報を元に吸引力を上下させるエコナビ(エコモード)も付いています。なので、かなり高性能な仕様となっています。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (5)
この「MC-SC32RG/MC-SR32G」のヘッド "パワフル自走(親子)ノズル" は、モーター式回転ブラシを内蔵した上で、多少の自走能力を持つ自走式です。
その回転ブラシの回転には、ふき掃除効果があり、このパナソニック製最上位ヘッドの場合、「フローリングの菌まで拭き取れる」高性能なものだとされています。
そのブラシは毛先が2股に分かれたY字状となっていて、効果的に床を掃くことが出来るようになっており、また、この2014年度型からは、毛先が球状となることで、絨毯にくっついたゴミも掻き取りやすい形状となっています。
また、ヘッド左後方にある足踏みペダルでヘッド部(親ノズル)が外れ、すき間ノズル的に使える "子ノズル" が現れる便利な仕組みも付いています。
その子ノズルには白色LEDが内蔵されており、家具の間等暗い場所を明るく照らすことが出来ます。これは、(必要ないと思っていたけれども)意外と便利だという声が多い機能となっています。
▼ 吸込仕事率 (2)
この「MC-SC32RG/MC-SR32G」の吸込仕事率は、300〜約110Wです。小型のサイクロン掃除機としては普通程度ですが、全体としては低い数値です。
▼ 清掃力 (4)
ヘッド性能は高いものの、吸込仕事率は低いのでこういった程度だろうと・・・。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (3)
プチサイクロンシリーズの上位2機種は、サイクロン部の中央にある円筒フィルター部分に "ステンレスガード" (※昨年までは "メタルメッシュフィルター" と呼ばれたもの)という風向きとは逆斜めに極小の穴を開けた金属製フィルターを採用し、更に、円筒フィルターの内と外とで気流の向きを逆にすることで遠心分離力を上げ、ホコリは弾いて空気だけを吸い込みやすい構造としています。
それでもメインフィルターに溜まるホコリは、振動用の手回しハンドルを回すことで、下に落としながら使います。
▼ ゴミ圧縮 (1.5)
このプチサイクロンシリーズは、ダストカップ下部全体が膨らみを持つ形状となっており、遠心力でその部分にゴミを集中して押し付けることで、それを約3分の1に圧縮するとされています。
ただし、ある程度大量のゴミを吸い込まないと、ゴミは回転しながら横に逃げるだけですので、圧縮は(ほぼ)されません。
▼ ゴミの捨てやすさ (1.5)
ゴミ捨て時には、一応ワンタッチでダストカップの底が開きますが、そのままボトッと落とすとホコリが舞いますし、下開きの蓋の内側に残るゴミを落とすのも厄介です。
また、実はこのプチサイクロンには、フィルター振動ハンドルを回して落としたチリを、ダストカップに掃き落とす部品がありません。下にまで自然に落ちるチリは、ダストカップ上部の円形フィルターの中央付近から出るチリだけとなります。
なので、そのチリをきちんと捨てようと思えば、円形フィルターを上に外してダストカップをひっくり返し、はたく必要があります。勿論それを怠れば、フィルター振動で落ちたチリの数割は、またフィルターに吸いよせられて付着してしまうと思います。
▼ ダストボックスの容量 (1)
プチサイクロンシリーズのダストカップ(ボックス)の容量は、0.25Lです。これは超小型機としては普通ですが、一軒家を掃除しようとするには心許ない数値です。
少なくとも、ゴミは毎回捨てるつもりでいた方が良いでしょう。
▼ フィルター (3.5)
プチサイクロンシリーズのフィルターは、0.5μm以上のチリの99.9%を捕塵可能な "逃さんフィルター" (※今年度型はその固有名詞は未使用ですが)です。
また、機体後部フィルターとして "アレル物質抑制・抗菌酵素加工フィルター" という、2つの作用のある物も装着しています。
▼ 本体重量 (5)
この「MC-SC32RG/MC-SR32G」の本体重量は、2.7kgです。超小型機相当となります。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (1)
それらの重量は1.8kgとなっています。これは日本製としてはかなり重く、特にこの小型がウリのプチサイクロンには不釣り合いです。
しかし、その代りに足踏みペダルで子ノズルが出る仕組みや、子ノズルのLEDライト、ハウスダスト発見センサー&それ専用のランプが付いています。
▼ 運転音(最大値) (4)
この「MC-SC32RG/MC-SR32G」の運転音は、57〜約54dBです。かなり小型なのに、比較的静かなのは素晴らしいです。
▼ エコモード (4)
この機種に付くエコモード(パナソニック名:エコナビ)は、吸気内の異物を赤外線で検知して吸引力を調整する "ハウスダスト発見センサー" と、ヘッドが床から離れると約3秒で吸引を停止する、"アイドリングオフ" を備えています。
▼ 特記項目 "ハウスダスト発見センサーランプ" (5)
"ハウスダスト発見センサー" はエコモードで使用されるだけでなく、ゴミを吸引した際に使用者にランプで知らせます。なので、人の目には見えないゴミを、掃除機が吸っているのを確認しながら掃除が出来るという、画期的な機能となっています。
ただし、この機能により、思わず念入りに掃除を行う羽目に陥ります。
なので、これはエコモード機能でもあるのに、掃除時間そのものが増えることで、電気代も幾らか増えるかもしれません。もっとも、掃除機は掃除道具ですので、室内が綺麗になるのが一番だと思いますが。
▼ 特記項目 "消費電力" (3.5)
プチサイクロンシリーズ(※コードレス機を除く)の消費電力は、850W〜約380Wですので、その最大値は標準的な掃除機の15%減となっています。
しかし、通常クラスのモーターを載せて遠心分離力を高めるのが、サイクロン掃除機として本来のあり方だと思います。
特に、このシリーズとほぼ同サイズのダイソンDC63は、1,150Wモーターですので、サイクロンに対する本気度が足りなのではないか、としか言いようがありません。
▼ 特記項目 "半円型手元グリップ" (2)
延伸管最上部の手元グリップですが、これは輪になった物の方が手前に引き易く、掃除が楽に進みます。勿論、これでも付いていないよりは、付いている方がずっと良いのですが。
▼ 付属ブラシ類 (3)
この「MC-SC32RG/MC-SR32G」には、手元グリップ下の手元ブラシと、延伸管部先端ブラシ(子ノズル)が揃っています。
普通のすき間ノズルも、勿論付属します。
▼ 価格 (3)
この機種は、前年度の「MC-SC31RG」から見て、最安時に2万円台の半ば程度にはなるはずです。
▼ 総合評価 (3.06)
プチサイクロンは、本格的なサイクロン掃除機だとは言えず、フィルターに付いたチリを手動式の振動装置で落としながら使う掃除機に過ぎません。
しかし、この「MC-SC32RG/MC-SR32G」は、ヘッドの性能が高く、ゴミを吸うと光って知らせるセンサーも付いており、排気性能も高いです。しかも、ダイソンはともかく日本製では、特別これという製品もありませんので、これに決めるというのもありでしょう。
ただし、ヘッド+延伸管+ホース部は日本製としては重いですので、その点が気になるなら、他メーカー製にした方が良いかもしれません。
前年度型「SR31G/SC31RG」との違い
MC-SR31G | MC-SR32G | |
発売日 | 2013年8月25日 | 2014年8月下旬 |
ヘッド部LEDライト | 親&子ノズル | 子ノズルのみ |
筒型フィルター | 標準型 | ステンレスガード |
本体/全体重量 | 2.8/4.6kg | 2.7/4.5kg |
今年度は、前年度とは殆ど同型で、モーターの軽量化により100g減となったのと、筒型フィルターがステンレス製の上位品になったのが改善点です。
前年度のフィルターは、目の細かな割と良い物なので、それでも悪くはありません。パナソニック製の事実上の最上位機種の充電・コード式両用機「MC-HS700G/MC-HS500G」でも、下位機種にはそれと同じ(はず)のフィルターが使われているので、旧機種でも問題ないと思います。
逆に、改悪点として、ヘッド前を照らすLEDライトがなくなっています。しかし、それは元々なかったと思えば、それまでかもしれません。
今年度においては、新登場の最上位機種との差別化を図るためだと思いますが、つまらないことをしたものだと思います。
プチサイクロン 上・下位機種との比較
MC-SR520G | MC-SR32G | MC-SR22J | |
ヘッド | パワフル自走ノズル | 小型軽量 パワーノズル | |
拭き掃除効果 | フローリングの 菌まで拭き掃除 | (単なる)拭き掃除 | |
ヘッド部 LEDライト | 親&子ノズル | 子ノズルのみ | ― ― ― |
吸込仕事率 | 300〜約110W | 300〜約50W | |
筒型フィルター | ステンレスガード | 標準型 | |
帯電フィルター | 〇 (0.3μmのチリの 99.9%を集塵) | × (0.5μmのチリの 99.9%を集塵) | |
本体/全体重量 | 2.7/4.6kg | 2.7/4.5kg | 2.9/4.4kg |
運転音 | 57〜約54dB | 59〜約56dB | |
ハウスダスト 発見センサー | 〇 | × (※エコモードなし) | |
手元グリップ | サークル(輪)状 | 三日月状 | |
ローラー加飾成形 | 〇 | × | |
付属品 | 3段伸縮ロング すき間ノズル, ふとん清潔ノズル | すき間ノズル |
上位機種「MC-SR520G」との最大の違いは、メインフィルターの性能です。ただし、当機でもそこそこ高性能ですので、アレルギーがある等こだわる理由がある訳でなければ、どちらでも問題ないでしょう。
"ローラー加飾成形" のローラーとは、掃除機に特有の2つの大きな後輪のことです。そして、これに何と特殊なプリントを施したのが、加飾成形ということになります。
下位機種「MC-SR22J」との最大の違いは、ヘッドです。下位の "小型軽量パワーノズル" には自走力があるとは書かれていません。また、子ノズルが出る "親子ノズル" 機能もありません。なので、不便ですが、その分軽量ではあります。
筒型フィルターに関しては、上位2機種はステンレス製となりましたが、こちらでは前年度までの物が継承されています。
パナソニック製のウリである "ハウスダスト発見センサー" はなくなっていますが、そのせいでエコモード自体が消滅しています。現在エコモードで使うのが当たり前になっている方は、気を付けた方が良いでしょう。
本体重量は、何故か200gも重いですが、ヘッド+延伸管+ホース部で300gも軽いので、結果、全体重量は100g軽いです。
運転音も2dB悪化していますが、最大59dBであれば、掃除機としては比較的静かな部類です。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MC-SR32G プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:パワフル自走ノズル(子ノズルLEDライト付) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300〜110W[エコナビ有] ・本体重量:2.7kg/ 全体重量:4.5kg ・運転音:57〜約54dB ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・色:メタリックシルバー(S) ・ハウスダスト発見センサー ・エアダストキャッチャー | |
・MC-SC32RG プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・色:メタリックレッド(R) ・「MC-SR32G」と性能・装備が同一の量販店販売用型番。赤色の方が良い方向けです。 | |
前年度型
・MC-SR31G プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフル自走ノズル(LEDライト付) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300〜約110W ・エコモード:ハウスダスト発見センサー+アイドリングオフ ・本体重量:2.8kg/ 全体重量:4.6kg ・運転音:57〜約54dB ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:メタリックシルバー(S) ・エアダストキャッチャー付 | |
・MC-SC31RG プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・色:メタリックレッド(R) ※「MC-SR31G」と性能・装備が同一の量販店販売用型番。赤色の方が良い方向けです。前年度の2色が、価格比較できないように(?)分けられてしまいました(汗) | |
関連ページ:
・MC-SR33G プチサイクロン(ダブルメタル)(2015年度型後継機種)
・MC-SR520G プチサイクロン(上位機種)
・MC-SR22J プチサイクロン(下位機種)
・MC-BR31G コードレス・プチサイクロン(充電式)
・MC-SR31G/MC-SC31RG プチサイクロン(前年度型)
関連サイト: