「MC-SR520G」は2014年8月下旬にパナソニックから発売となる、新型のサイクロン掃除機です。シリーズ名としては "プチサイクロン" と呼ばれています。
特徴としては、その名の通りの小型機で、本体重量はたった2.7kgしかありません。
一応コード式専用のサイクロン掃除機としては、これがパナソニックで最上位機種となっていますので(※充電式としても使える「MC-HS700G」有)、ヘッドも最上位の "パワフル自走ノズル" ですし、吸気内のゴミを見分ける "ハウスダスト発見センサー" と、その情報を元に吸引力を上下させるエコナビ(エコモード)も付いています。なので、かなり高性能ではあります。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (5)
この「MC-SR520G」のヘッド "パワフル自走(親子)ノズル" は、モーター式回転ブラシを内蔵した上で、多少の自走能力を持つ自走式です。
その回転ブラシの回転には、ふき掃除効果があり、このパナソニック製の最上位ヘッドの場合、フローリングの菌まで拭き取れる高性能なものだとされています。
一応、そのブラシは毛先が2股に分かれたY字状となっていて、効果的に床を掃くことが出来るようになっており、また、この2014年度型からは、毛先が球状となることで、絨毯にくっついたゴミも掻き取りやすい形状となっています。
また、ヘッド右後方にある足踏みペダルでヘッド部(親ノズル)が外れ、すき間ノズル的に使える "子ノズル" が現れる便利な仕組みも付いています。
そして親ノズルである通常のヘッド部と、子ノズルのそれぞれに白色LEDが内蔵されており、テーブルの下等暗い場所を明るく照らし出すことが出来ます。これは、(必要ないと思っていたけれども)意外と便利だという声が多い機能となっています。
▼ 吸込仕事率 (2)
この機種の吸込仕事率は、300〜約110Wです。小型のサイクロン掃除機としては普通程度ですが、全体としては低い数値です。
▼ 清掃力 (4)
ヘッド性能は高いものの、吸込仕事率は低いのでこういった程度だろうと・・・。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (3)
プチサイクロンシリーズの上位2機種は、サイクロン部の中央にある円筒フィルター部分に "ステンレスガード" (※昨年までは "メタルメッシュフィルター" と呼ばれたもの)という風向きとは逆斜めに極小の穴を開けた金属製フィルターを採用し、更に、円筒フィルターの内と外とで気流の向きを逆にすることで遠心分離力を上げ、ホコリは弾いて空気だけを吸い込みやすい構造としています。
それでもメインフィルターに溜まるホコリは、振動用の手回しハンドルを回すことで、下に落としながら使います。
▼ ゴミ圧縮 (1.5)
このプチサイクロンシリーズは、ダストカップ下部全体が膨らみを持つ形状となっており、遠心力でその部分にゴミを集中して押し付けることで、それを約3分の1に圧縮するとされています。
ただし、ある程度大量のゴミを吸い込まないと、ゴミは回転しながら横に逃げるだけですので、圧縮は(ほぼ)されません。
▼ ゴミの捨てやすさ (1.5)
ゴミ捨て時には、一応ワンタッチでダストカップの底が開きますが、そのままボトッと落とすとホコリが舞いますし、下開きの蓋の内側に残るゴミを落とすのも厄介です。
また、実はこのプチサイクロンには、フィルター振動ハンドルを回して落としたチリを、ダストカップに掃き落とす部品がありません。下にまで自然に落ちるチリは、ダストカップ上部の円形フィルターの中央付近から出たチリだけとなります。
なので、そのチリをきちんと捨てようと思えば、円形フィルターを上に外してダストカップをひっくり返し、はたく必要があります。勿論それを怠れば、フィルター振動で落ちたチリの数割は、またフィルターに吸いよせられて付着してしまうと思います。
▼ ダストボックスの容量 (1)
プチサイクロンシリーズのダストカップ(ボックス)の容量は、0.25Lです。これは超小型機としては普通ですが、一軒家を掃除しようとするには心許ない数値です。
少なくとも、ゴミは毎回捨てるつもりでいた方が良いでしょう。
▼ フィルター (4)
プチサイクロンシリーズのフィルターは、0.5μm以上のチリの99.9%を捕塵可能な "逃さんフィルター" (※今年度型はその固有名詞は未使用ですが)です。
しかし、この「MC-SR520G」の場合には、それに帯電加工を施しており、0.3μm以上のチリの約99.9%を捕塵可能だとしています。これは高性能フィルターとして有名なHEPAフィルターに匹敵する数値です。
また、機体後部フィルターとして "アレル物質抑制・抗菌酵素加工フィルター" という、2つの作用のある物も装着しています。
▼ 本体重量 (5)
この「MC-SR520G」の本体重量は、2.7kgです。超小型機相当となります。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (1)
それらの重量は1.9kgとなっています。これは日本製としては一番重く、特にこの小型がウリのプチサイクロンには不釣り合いです。
ただし、その代りに足踏みペダルで子ノズルが出る仕組みや、2箇所のLEDライト、ハウスダスト発見センサー&それ専用のランプが付いています。
▼ 運転音(最大値) (4)
この「MC-SR520G」の運転音は、57〜約54dBです。かなり小型なのに、比較的静かなのは素晴らしいです。
▼ エコモード (4)
この機種に付くエコモード(パナソニック名:エコナビ)は、吸気内の異物を赤外線で検知して吸引力を調整する "ハウスダスト発見センサー" と、ヘッドが床から離れると約3秒で吸引を停止する、"アイドリングオフ" を備えています。
▼ 特記項目 "ハウスダスト発見センサーランプ" (5)
"ハウスダスト発見センサー" はエコモードで使用されるだけでなく、ゴミを吸引した際に使用者にランプで知らせます。なので、人の目には見えないゴミを、掃除機が吸っているのを確認しながら掃除が出来るという、画期的な機能となっています。
ただし、この機能により、思わず念入りに掃除を行う羽目に陥ります。
なので、これはエコモード機能でもあるのに、掃除時間そのものが増えることで、電気代も幾らか増えるかもしれません。もっとも、掃除機は掃除道具ですので、室内が綺麗になるのが一番だと思いますが。
▼ 特記項目 "消費電力" (3.5)
プチサイクロンシリーズ(※コードレス機を除く)の消費電力は、850W〜約380Wですので、その最大値は標準的な掃除機の15%減となっています。
しかし、通常クラスのモーターを載せて遠心分離力を高めるのが、サイクロン掃除機として本来のあり方だと思います。
特に、このシリーズとほぼ同サイズのダイソンDC63は、1,150Wモーターですので、サイクロンに対する本気度が足りなのではないか、としか言いようがありません。
▼ 付属ブラシ類 (5)
この「MC-SR520G」には、持ち手付近の手元ブラシと、延伸管部先端ブラシ(子ノズル)が揃っています。
その上で、普通のすき間ノズルの代わりに、"3段伸縮ロングすき間ノズル " という先端ブラシ付の長いすき間ノズルと、布団用ノズルの "ふとん清潔ノズル" (※別売有)が付属しています。
ただし、注意点として、"3段伸縮ロングすき間ノズル " は延伸管に取り付けて保管することは出来ません。
▼ 価格 (2)
この機種は、一応前年度にはないバージョンなので、はっきりとは言えませんが、3万円台の半ば程度にはなるはずです。
▼ 総合評価 (3.29)
プチサイクロンは、本格的なサイクロン掃除機だとは言えず、フィルターに付いたチリを手動式の振動装置で落としながら使う掃除機に過ぎません。
しかし、この「MC-SR520G」は、ヘッドはパナソニック製最高性能品ですし、ゴミを吸うと光って知らせるセンサーも付いており、排気性能も高いです。しかも、ダイソンはともかく日本製の機種では、特別これという製品もありませんので、これに決めるというのもありでしょう。
ただし、ヘッド+延伸管+ホース部は日本製としては一番重いですので、その点が気になるなら、他メーカー製にした方が良いかもしれません。
前年度型「SS330G」との違い
MC-SS330G | MC-SR520G | |
発売日 | 2013年8月25日 | 2014年8月下旬 |
吸込仕事率 | 430〜約90W | 300〜約110W |
運転音 | 55〜約48dB | 57〜約54dB |
サイズ(cm) (※幅×長さ×高さ) | 26.8×40.0×31.3 | 23.8×29.3×29.6 |
本体/全体重量 | 5.0/6.9kg | 2.7/4.6kg |
回転ブラシ | 標準品 | 毛先が球 (掻き取り力UP) |
エコモード | ハウスダスト発見センサー 床面検知 ブラシ回転数制御 アイドリングオフ | ハウスダスト発見センサー アイドリングオフ |
フィルター振動 | 自動電動 | 手動 |
手元グリップ | 従来型 | 新型 |
排気性能(フィルター) | ULPAフィルター (※家庭用最高性能) | 帯電加工の標準品 (HEPAフィルター級) |
付属品 | すき間ノズル | 3段伸縮ロングすき間ノズル ふとん清潔ノズル |
前年度型「MC-SS330G」は大型機だったのですが、当機は(超)小型機ですので、本体重量は半分近いです。ただ、サイズ的にはそこまでの変化はありませんが。
それに伴い、吸込仕事率は約3分の2となりましたので心許ないですが、回転ブラシが優秀なので、大丈夫という事なのでしょう(床面までのすき間が1〜2mm違っている可能性もありますが、その程度では・・・)。
エコモードに関しては、昨年度型には、主に床が絨毯かフローリングかを見分けて吸引力を変える "床面検知" と、吸引力だけでなく回転ブラシの回転数も少しだけ変える "ブラシ回転数制御" (※2,400回/分⇔2,100回/分)も付いています。これらは、後者に関しては気休めですが、前者に関しては少しは影響があるはずです。
フィルター振動に関しては、昨年度型ではコードをコンセントにつなぐと、電動シェイバーの応用で「ブーン」と振動したので、単に機能としては便利でした。しかし、その音が余計で、他社にも似たようなタイプはありますが、総じてあまり評判はよくありません。
手元グリップに関しては、新型は "前"・"中間"・"後" のどの位置を握っても、握りやすくなったという話です。
プチサイクロン 下位機種との比較
MC-SR520G | MC-SR32G | |
親ノズル用LEDナビライト | 〇 | × |
帯電フィルター | 〇 (0.3μmのチリの 99.9%を集塵) | × (0.5μmのチリの 99.9%を集塵) |
手元グリップ | サークル(輪)状 | 三日月状 |
ローラー加飾成形 | 〇 | × |
付属品 | 3段伸縮ロングすき間ノズル ふとん清潔ノズル | すき間ノズル |
親ノズル用LEDライトとは、ヘッド前を照らすLEDライトです。これが下位の「MC-SR32G」にはなく、ヘッドを外して出す子ノズルにだけ付いています。
フィルター性能に関しては、下位機種の数値でもそこそこ高性能です。なので、アレルギー等ある訳でなければ、どちらでも問題ないでしょう。
"ローラー加飾成形" のローラーとは、掃除機に特有の2つの大きな後輪のことです。そして、これに何と特殊なプリントを施したのが、加飾成形です。
写真を見れば分かるように、チェック柄のお洒落なものです(笑)。
ダイソンDC74,シャープ・フリードとの吸引力比較実験
ダイソン社が2014年9月に、新開発ヘッド "Fluffy(フラフィ)" 搭載機種・コードレス機「DC74」を発表していますが、その際にこの「MC-SR520G プチサイクロン」と、シャープ製ハンディ・スティック両用型コードレス機「EC-SX200 フリード」とを共演機として、吸引力比較実験が行われています。
そして、一応「DC74」には負けています。
もっとも、ダイソン社が用意した環境下での実験ですし、実は価格もダイソンの方がずっと高いです。
その意味では、非常に順当な結果だと言えるのかもしれません・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MC-SR520G プチサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフル自走ノズル(LEDライト付) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300〜約110W[エコナビ有] ・本体重量:2.7kg/ 全体重量:4.6kg ・運転音:57〜約54dB ・排気方法:まいあげブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・色:ピンクシャンパン(P) ・帯電フィルターでHEPA級の排気性能 ・ハウスダスト発見センサー ・エアダストキャッチャー | |
前年度型
・MC-SS330G パワープレスサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフル自走(親子)ノズル ・目詰まり対策:リニア振動フィルター自動クリーニング ・吸込仕事率:430〜約90W ・エコモード:ハウスダスト発見センサー+床面検知+ブラシ回転数制御+アイドリングオフ ・本体重量:5.0kg/ 全体重量:6.9kg ・運転音:55〜約48dB ・排気方法:まい上げブロック構造 ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:プレミアムレッド(R) ・ULPAフィルター仕様 ・ハウスダスト発見センサー ・エアダストキャッチャー | |
関連ページ:
・MC-SR530G プチサイクロン(ダブルメタル)(2015年度型後継機種)
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・MC-BR31G コードレス・プチサイクロン(充電式)
・MC-HS700G MC-HS500G(AC電源・充電式兼用最上位機種)
・MC-SS330G(前年度型)
関連サイト: