「CV-SA8」は、2014年8月9日に日立アプライアンスから発売となった、新型(マイナーチェンジ)のサイクロン掃除機です。
この機種は、"ごみダッシュサイクロン" と呼ばれる、同社製中・下位の非高性能なサイクロンシリーズの1機種で、従来それらは3〜4機種が発売されていました。しかし、比較上位のシリーズ "2段ブーストサイクロン" の低価格機種の正式投入に伴い、今年度の "ごみダッシュサイクロン" は、これが超低価格機種であるが故に、唯一残存する型番となっています。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (2)
この「CV-SA8」のヘッドは、"パワフルエアーヘッド" と名付けられており、ヘッド内に吸込の風を使用して回るタービン式回転ブラシが内蔵されています。そしてその回転により、フローリング上のゴミを掻き込んだり、絨毯内のゴミを掻き出したり出来ます。
"パワフル" というのは、勿論意味は "強力" ということですが、恐らく、印象が良く、且つ、それっぽい言葉を付けてみただけだと思います。
ただし、これはモーター式の回転ブラシ内蔵型のヘッドに比べると、性能が劣ります。
また、このヘッドは、左右90度にまで曲がる "クルッと構造" により、横幅の狭い場所にヘッドを無理矢理ねじ込むことが可能となっており、また、"ペタっと構造" により、ヘッドと延伸管が床に対して水平近くになるまでの関節可動域があるので、家具等の下のすき間を、掃除しやすく出来ています。
▼ 吸込仕事率 (4)
この機種の吸込仕事率の最大値は620Wですので、サイクロン掃除機としてはかなりの吸引力ということになります。
ただし、これはこの製品のサイクロン部が事実上遠心分離をしておらず、ダストボックスが単にプラスチックの容器とその後部にメインフィルターを取り付けただけの構造で、紙パックこそセットしないものの、紙パック式掃除機と同様の構造でしかないことから来るものです。
▼ 清掃力 (3)
吸込仕事率はハイレベルですが、ヘッド性能は高くはないので、結果清掃力もそれ程ではありません。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (2)
この「CV-SA8」を含む "ごみダッシュサイクロン" と呼ばれるシリーズは、単にダストボックスにフィルターを設置してゴミを濾し取るタイプですので、事実上サイクロン掃除機ではありません。
ただ、電源コードの出し入れのエネルギーを利用してギアを回すことで、そのフィルターを振動させてチリを落とし、その目詰りを防止する仕組みがあるのと、フィルター前にティッシュを1枚挟み、それをフィルター代わりにしてゴミを濾し、汚れたティッシュを使い捨てにすることで、フィルターを保護する仕組みがあります。
なので、掃除中に働く吸引力の持続の仕組みはないものの、それらの仕組みを使用した上でゴミを捨てることで、吸引力はかなり回復することになります。
▼ ゴミ圧縮 (3.5)
"ごみダッシュサイクロン" におけるゴミ圧縮効果は、仕組みとして単に紙パック式と同等のはずです。とは言え、紙パックの場合ように中が一杯になる前にゴミを捨てることになるので、あれほど圧縮される訳ではありませんが。
ただし、圧縮効果があるのは、ティッシュで集塵したホコリのみで、メインフィルターから出る微細なチリは、舞いやすいので捨てるのが厄介です。
▼ ゴミの捨てやすさ (1.5)
この "ごみダッシュサイクロン" のダストボックス部は、ゴミ捨て時に開口ボタンを押すと、ティッシュを挟んだ部分がバネで飛び出す仕組みとなっています。
また、ティッシュを挟んでおいてゴミを捨てる際には、下に落ちた際にティッシュが上に被さる形になることにより、ゴミの舞い上がりを抑えることが出来るとされています。
そしてそれらにより、これらの機種では、"ごみ捨て簡単・清潔" と堂々と謳われています。
しかし、バネで飛び出してボトッと落ちれば、やはり落ちた際にホコリが舞います。なので、そうならない為には、中身が飛び出さないように容器を開け、溜まったホコリをティッシュを持ってそっと取り出す必要があります。
また、フィルター振動によりメインフィルターから出る微細なチリは、ティッシュを通り抜けており、ティッシュとは別に捨てなければならないので、舞いやすく厄介です。
▼ ダストボックスの容量 (3)
やはり "ごみダッシュサイクロン" におけるダストボックスの容量は、0.4Lです。この数値はサイクロン式としては普通程度ですが、ゴミ圧縮効果もありますので、少し多めに入るはずです。
▼ フィルター (2)
この「CV-SA8」には、抗菌加工が施されたフィルターが装着されています。
▼ 本体重量 (3)
この機種の本体重量は3.9kgなので、掃除機としては普通程度です。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (3)
それらの重量は1.5kgですので、基本的には普通程度ですが、タービン式回転ブラシの製品としては少し重いです。
▼ 運転音(最大値) (1)
この製品の運転音は、65〜約50dBですので、単に安物掃除機のレベルです。
▼ エコモード (0)
この「CV-SA8」は、単なる安めの掃除機ですので、エコモードの類は付いていません。
▼ 付属ブラシ類 (1)
この機種の付属品は、通常のすき間ノズル(「すき間用吸口」)のみです。
▼ 価格 (4)
この「CV-SA8」の価格は、最安時には12,000円程度となるはずです。
▼ 総合評価 (2.36)
この「CV-SA8」は、日立のサイクロン掃除機としては最安ですので、タービン式回転ブラシを装備した製品位は欲しい方には良いかもしれません。
吸込仕事率はかなり高く、その面では心強くもありますが・・・この機種に相応しい価格帯を考えれば、吸込仕事率はもう少し下げて、価格ももう少し下げるのが良いのではないかと思えます。
また、この "ごみダッシュサイクロン" のシリーズは、そもそもまともなサイクロン掃除機とは言えません。
ティッシュをフィルター代わりに使う "ティッシュフィルター式" だと思えば、そういうものだということになりますし、安めの製品ですので、単に紙パックが必要ない掃除機として買うのであれば、それも良いだろうと思います。
前年度型「SY8」との違い
…何と公表されている限りにおいて、両者は性能的に全くの同一品です。電化製品においては、こういった製品は実は他にない訳でもありません。
"ごみダッシュサイクロン" で残った機種はこれ一つですし、日立で一番安いサイクロン掃除機として残しただけですので、多分もうどうでも良いのでしょう。
ただし、実は外装が、今年度は消滅した上位機種の昨年度型「CV-SY9」の、クリアブルーの部品を比較的多く使ったバージョンに変更されています。なので、今年度は見た目が少しだけ良くなっています。
上位機種の2段ブーストサイクロン「CV-SA90」との比較
CV-SA90 | CV-SA8 | |
吸込仕事率 | 330〜約40W | 620〜約100W |
消費電力 | 840〜約180W | 1,170〜約240W |
遠心分離 | 〇(一応) | × |
本体/全体重量 | 2.9/4.2kg | 3.9/5.4kg |
運転音 | 59〜約55dB | 65〜約60dB |
集塵容積 | 0.25L | 0.4L |
静電気防止 ダストケース | 〇 | × |
上位シリーズの2段ブーストサイクロン「CV-SA90」は、当機とはヘッドが同じで、価格は最安値時で3,000〜4,000円程度高いはずです。
本体重量はこちらが1.0kg重いですし、消費電力も最大で約1.37倍もあり、運転音も5dB悪いですが、吸込仕事率は2倍に近いです。ダストカップの容量も標準的な0.4Lですので、掃除機としての本来的な性能は、高いと言って良いかもしれません。
しかし、こちらは本当の安物で、そちらは多少は凝った製品ですので、所有する満足感のようなものは(多分)そちらの方が上で、その分大事に使おうと思えると言えば、そうなのかもしれません。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・CV-SA8 ごみダッシュサイクロン | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフルエアーヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着 ・吸込仕事率:620W ・本体重量:3.9kg/ 全体重量:5.4kg ・運転音:65〜約60dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):折り畳み×1 ・すき間ノズル収納:延伸管横 ・色:ブルー(A) | |
前年度型
・CV-SY8 ごみダッシュサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフルエアーヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着 ・吸込仕事率:620〜約100W ・本体重量:3.9kg/ 全体重量:5.4kg ・運転音:65〜約60dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):折り畳み×1 ・すき間ノズル収納:延伸管横 ・色:ブルー(A) | |
関連ページ:
・CV-SC8 ごみダッシュサイクロン(2015年度型後継機種)
・CV-SA90 2段ブーストサイクロン(上位機種)
・CV-SY8 ごみダッシュサイクロン(前年度型)
関連サイト: