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CV-SA200 2段ブーストサイクロン〔3.03点〕

CV-SA200は、日立から2014年8月9日に発売となった、新型(マイナーチェンジ)のサイクロン掃除機です。シリーズ名としては "2段ブーストサイクロン" と呼ばれています。

実は、このシリーズは昨年度までは大型機が標準だったのですが、今年度ではそれはモデルチェンジに伴って廃止され、更に小型機でも高吸込仕事率の小型・強力版も廃止されてしまい、昨年度新登場の小型・軽量版3機種のみが残ることとなりました。そしてこの機種は、その中での最上位機種ということになっています。

その性能的特徴としては、日立製の最上級ヘッド "スマートヘッド" を装着しているので清掃力が高めで、フィルターも高性能なHEPAフィルター相当品ですので、排気性能も高いです。

しかし、吸込仕事率は、この系統の機種(2段ブーストサイクロン)としては低い340Wしかありません。

また、サイクロン掃除機として肝心なサイクロン部分は、ティッシュをフィルター代わりにして集塵する方式であり、遠心分離も一応取り入れてはいるものの、あってもなくてもあまり変わらない中途半端なものとなっています。

評価はおおよそのものです。


▼ ヘッド 5 (5)

この「CV-SA200」のヘッドは、"スマートヘッド" と呼ばれる日立製の最高性能ヘッドです。これは、日本製の大抵の他メーカー製の最上級ヘッドと同様に、自走力と共にフローリングの菌までその内蔵回転ブラシで拭き取る性能があるとされています。

これは、ヘッド幅が30cmと、シャープ製と共に例外的な広さを誇り、一度に広い面積を掃除できるよう作ってありますが、カーボン素材を用いることと、余分なスペースをなくすことでの軽量設計となっています。

以前のモデルでは、ヘッドを手前に引く際には、どんな掃除機にも吸込口後方に大抵付いている起毛部分(※これは、吸い逃したゴミ、及び回転ブラシが後方に弾いたゴミを逃さないようにする為の物であるはずです)が邪魔をし、ゴミを吸い込めないことがあるそうですが、2013年度からはそれを解決する為に、起毛部分をヘッドを引く際にのみ回転する、現行機種では日立だけのローラー式となっています。

2014年度からはそれに加え、ヘッド両サイドに開いた横方向から吸引する為のすき間に、強く吸う為の "サイドブレード" という吸気の流路を調節する為の部品が設置され、横方向の吸引にも強くなっています。

これらにより、この "スマートヘッド" は、2014年度から "四方向吸引スマートヘッド" とも呼ばれています。


また、このヘッドは付け根の可動部が柔軟に動く為、ヘッドを横に90度曲げて縦にすることで、家具の間等の狭い場所に押し込んだり(「クルッとヘッド」)、ヘッドと延伸管をほぼ水平にまで出来ることで(「ペタリンコ構造」)、高さ8cm以上の家具の下等のすき間を、掃除しやすく出来ています(公式サイトによるヘッド機能の解説)


▼ 吸込仕事率 2 (2)

この製品の吸込仕事率は、340W〜約40Wです。数値的に、小型機として普通程度ではあります。


▼ 清掃力 4 (4)

これのヘッド性能は、勿論高いです。ただ、これは軽量タイプなのですが、この本来の姿である強力タイプの吸込仕事率が最大400Wあることを考えると、こちらはそこから約2割も低いです。そこはやはり、ネックとして考えざるを得ないでしょう。


▼ 吸引力持続 2 (2)

この「CV-SA200」を含む "2段ブーストサイクロン" は、基本的にメインフィルター前にティッシュを挟み、それをフィルター代わりにして使い捨てにする "なんちゃってサイクロン" です。

ただし、ややこしいのは、この "2段ブーストサイクロン" では、下位シリーズの "ごみダッシュサイクロン" とは違い、そのティッシュを挟んだ集塵部に吸気が届く前に、吸気を横に(原則)一回転させて、その円状の風路の中心部に吸気の一部を強引に抜き出して吸い上げ、遠心力でそちらに曲がり損ねて本来の円状の風路に沿って進んだ大きなゴミを含む空気のみを、ティッシュを挟んだ集塵部に届けています。

それは遠心分離だと言えばそうなのですが、その程度の仕組みで細かなチリまで遠心分離出来るとはとても考えることは出来ません。

そして、その円状の風路の中心に抜き出して吸い上げられた、大きなゴミと分けられた吸気は、ティッシュ部を通らずに、何とメインフィルターに直接到達します。

遠心分離されて、ティッシュ側に分けられた大きなゴミを含む吸気も、そのティッシュ部で濾されて、その後にメインフィルターに到達することになります。

なので、遠心分離とは言っても、そこで2手に分けられた吸気は、どちらもメインフィルターを通ることになります

しかし、主な集塵部となるティッシュ側には、大小を問わずのゴミが溜まることで、空気の流れが早めに悪くなります。そうなると、吸気はメインフィルターに直接到達する側の風路に多く流れ始めますので、遠心分離の効率も下がり、次はメインフィルターが詰まることになります。そしてそうなると、ちょうどゴミの捨て時ということになります。


実のところ、下位シリーズの "ごみダッシュサイクロン" のように、遠心分離部を持たず、全てのゴミがティッシュ部を通っても、結局は "2段ブーストサイクロン" と同じく、全ての吸気はメインフィルターを通ることになります。なので、中途半端な遠心分離を行う必要は特にないはずです。

事実上、上位シリーズの "2段ブーストサイクロン" では、そのティッシュ部にゴミが溜まって詰まってきた際に、まだ余裕のあるメインフィルターにゴミを多く含む空気を直接流すことで、吸引力を若干長続きさせるという方式となっています。

メインフィルターは、電源コードの出し入れと連動したフィルター振動で、到達したチリを自動で落としてある程度綺麗に維持される仕組みとなっていますが、それでもフィルター振動で落ち切らないチリが徐々に溜まって行きます。

なので、メインフィルターに出来るだけチリを到達させないことで、1回1回ではなく、長い目で見て吸引力を持続させようとするならば、メインフィルターに直接チリを流す風路のある、中途半端な遠心分離部を設けずに、吸気は全てティッシュ部を通過させ、そこが詰まれば、それでゴミを捨てましょう、とした方が良いはずです。

つまり、このような方法をとるのであれば、そもそも下位シリーズのティッシュ部だけを持つ "ごみダッシュサイクロン" で良いのではないかと思えます。

しかし、自社製品を "サイクロン掃除機" として堂々と売る為には、明らかに遠心分離をするサイクロン部がどうしても必要なので、少し高めのこのシリーズでは、そのようなよく分からない方式でも、ないよりはマシと採用しているのではないかと思います。

日立製サイクロン掃除機の構造 ダストボックス・逆側

▼ ゴミ圧縮 3 (3)

"2段ブーストサイクロン" におけるゴミ圧縮原理は、単に紙パック式と同様のはずです。

ただし、下位シリーズの "ごみダッシュサイクロン" においては、全ての吸気がティッシュを挟んだダストボックスを通るのに対し、この "2段ブーストサイクロン" では、直接メインフィルターに流れる分の吸気もありますので、圧縮効果もその分劣るはずです。

また、これらにおいては、紙パックの場合のように中が一杯になる前にゴミを捨てることになるので、あのように無理やり圧縮される訳ではありませんが。

ただし、圧縮効果があるのは、ティッシュで集塵する大きなホコリのみで、メインフィルターから出る厄介な微細なチリには、圧縮は無関係です。


▼ ゴミの捨てやすさ 1 (1)

この "2段ブーストサイクロン" は、ダストボックス部は "ごみダッシュサイクロン" と同一の構造で、ゴミ捨て時に開口ボタンを押すと、ティッシュを挟んだ部分がバネで飛び出す仕組みとなっています。

また、ティッシュを挟んでおいてゴミを捨てる際には、下に落ちた際にティッシュが上に被さる形になることにより、ゴミの舞い上がりを抑えることが出来るとされています。

そしてそれらにより、これらの機種では、"ごみ捨て簡単・清潔" と堂々と謳われています。

しかし、バネで飛び出してボトッと落ちれば、やはり落ちた際にホコリが舞います。なので、そうならない為には、中身が飛び出さないように容器を開け、溜まったホコリをティッシュを持ってそっと取り出す必要があります。

また、フィルター振動によりメインフィルターから出る微細なチリは、ティッシュを通り抜けており、ティッシュとは別に捨てなければならないので、舞いやすく厄介です。


▼ ダストボックスの容量 1 (1)

小型版 "2段ブーストサイクロン" におけるダストボックスの容量は、0.25Lです。この数値はサイクロン式の小型機としては標準ですが、ゴミ圧縮効果もありますので、少し多めに入るはずです。

ただ、この容量だと、一軒家向けという感じではありません。ゴミは毎回捨てるつもりでいた方が良いでしょう。


▼ フィルター 4 (4)

この「CV-SA200」のフィルターは、高性能で有名なHEPAフィルター相当ですので、性能は十分以上です。0.3μm以上のホコリの約99%を捕塵可能だとされています。

(HEPAフィルター[HEPA規格のフィルター]と呼ばれる為には、フィルターの単独性能として、0.3μm以上のホコリの99.97%以上の集塵率が必要です。しかし、日立製の場合には、ドイツ・SLG社によって、フィルター単独ではなく実機を用いた計測が行われている為、控えめな数値が出ているようです)


▼ 本体重量 5 (5)

「CV-SA200」の本体重量は2.9kgなので、一応超小型機相当です。


▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 3 (3)

それらの重量は1.5kgですので、全体としては普通程度ですが、モーター式回転ブラシの製品としては軽いです。

ヘッドの回転ブラシの軸部分と、延伸管とに軽量カーボン素材を用いると共に(「カーボンライト」)、細くて軽く、表面が滑りやすくて取り回しの良い "スマートホース" を用いることで軽量化がなされているというのが、この機種のウリの一つとなっています。


▼ 運転音(最大値) 3 (3)

この機種の運転音は59〜約55dBですので、星の数こそ3つですが、それでも掃除機としては比較的静かな部類です。


▼ エコモード 3 (3)

当「CV-SA200」のエコモード(自動パワー制御)は、"床面検知" と、恐らくはその仕組みを応用した、ヘッドの操作速度を検知する "操作力検知"、そしてヘッドを停止させていると自動でパワーダウン⇒停止へと至る "アイドリング&ストップ" から成ります。

"床面検知" と "操作力検知" を用いて6分間フローリングを掃除した場合、「強」のみで同等の条件下を掃除した場合と比べて、最大約75%の省エネになるとされています。しかし、それは要するに、「強」と「中」が殆ど使用されず、ほぼ「弱」のみで運転された場合との比較を表しています。


▼ 特記項目 "消費電力" 3.5 (3.5)

2014年度型2段ブーストサイクロンの消費電力は、840W〜約180Wですので、その最大値は小型サイクロン掃除機としては標準的ながら、通常の掃除機より16%少なく、その分エコだと言えばエコとなります。

ただし、最小値の約180Wも妙に低いですが、弱モード時に低いのは諸刃の剣です。掃除機は掃除道具なのでしっかり吸ってくれた方が良いと言えますし、また、特にサイクロン式の場合は、しっかり吸引しないと遠心分離力が上がりません。


▼ 付属ブラシ類 2 (2)

この製品には、通常のすき間ノズル(「すき間用吸口」)と、延伸管先端部か手元グリップ部のどちらかに接続して使うブラシ、"クルッとブラシ" のみが付属します。

日立製の高額ヘッドは、ヘッド付根の関節が横に90°曲がることで、比較的狭い場所の掃除も可能です。なので、延伸管先端部はそちらに任せて、"クルッとブラシ" に関しては、手元グリップ部に取り付けておくのが、普通なのではないかと思います(使わなければ、その分軽くなります)。

また、すき間ノズルについてですが、何と別売の "すき間用吸口ホルダー" なしでは、本体・延伸管に取り付けて保管することが出来ません。勿論、そのようなことはどちらでも構わなければ、問題はありません。


▼ 特記項目 "サッとズームパイプ" 4 (4)

この「CV-SA200」を含む、日立製の中程度以上の機種には、"サッとズームパイプ" という、足でヘッドを抑えて手元トリガーを指で引きながら、延伸管を伸び縮みさせて長さを調節する機能があります。これは、日立製掃除機に慣れた使用者が、同社製から離れられない要因となっています。


▼ 価格 3 (3)

この機種の最安値は、この機種の発売寸前の段階で前年度型の「CV-SY200」がまだ3万円弱でしかないので、何とも言えませんが・・・2万円台前半程度にはなると思います。


▼ 総合評価 3 (3.03)

この「CV-SA200」は、小型・軽量がウリとなる製品ですが、同程度の製品は各メーカーから発売されています。

その中でも日立製は、サイクロン部の構造が何とも残念で、特に上位シリーズのこの "2段ブーストサイクロン" では、遠心分離部はなくても良いのではないかと思えます。

しかし、日立製で最上位のヘッドを付けていますし、フィルターも高性能ですので、価格次第では買っても悪くないかもと思えます(あくまでチャレンジャー気質の方向けです ^^;)。

口コミ前年度型「CV-SY200」との比較


CV-SY200CV-SA200
ヘッドスマートヘッド新スマートヘッド
(4方向吸引)
吸込仕事率(最大値)330W340W
消費電力850W840W
集塵率(0.3μm以上)未公表
(非高性能)
約99%

前年度型との違いは、主にはこのようにヘッドのスマートヘッドが最新版になったことと、排気性能が強化されて日立としてのHEPAフィルター相当になったことです。

"スマートヘッド" の新旧の違いとしては、吸引口後部に付いているヘッドを引く際にのみ回る起毛ローラーが、2014年度型では旧型のように二つに分かれ、中央はローラーが途切れている中途半端なものではなく、吸引口の横幅全体をカバーする立派なものとなっています。

また、先程も述べたように、ヘッド両サイドに開いた横方向から吸引する為のすき間に、強く吸う為の "サイドブレード" という吸気の流路を調節する為の部品が設置され、横方向の吸引にも強くなっています。

これらにより、2014年度版は一応 "四方向吸引スマートヘッド" と呼ばれています。

つまり、あまり変更はないので、旧型が安ければお買い得だと言えますが、この旧型は何故かあまり価格が下がらなかったりします・・・。

口コミ日立製サイクロン 上・下位機種との比較


CV-SA300
(パワーブースト)
CV-SA200
(2段ブースト)
CV-SA100
(2段ブースト)
ヘッドスマートヘッド
(自走式)
ごみハンターヘッド
(非自走)
吸込仕事率400〜約50W340〜約40W
消費電力950〜約190W840〜約180W
サイクロン構造パワーブースト
(一応の遠心分離)
2段ブースト
(遠心分離のフリ)
エコモード「強・中・弱」自動「中・弱」自動
アイドリングストップ
(エコモード時に動き
を止めるとパワー抑制
⇒停止)
×
本体/全体重量3.5/5.0s2.9/4.4kg
運転音56〜約51dB59〜約55dB
フィルターHEPA級
(捕塵率約99%)
標準品
軽ワザグリップ
(円状グリップ)
×
クルッとブラシ×
すき間ノズル通常型先端ブラシ付

上位機種「CV-SA300」は、当「CV-SA200」とは、サイクロン方式もボディーも違う全く別の製品です。主な違いはサイクロン部なのですが、そちらの方が遠心分離性能が幾らか高いはずです。


下位機種の「CV-SA100」は、こちらと基本同型機種ですが、ヘッド+延伸管&エコモード&フィルター性能に差がある機種です。

"ごみハンターヘッド" は、モーター式回転ブラシでありながら、自走力はない比較的低性能なものです。ただし、これはフローリング上程度であれば、それなりに高い清掃力を発揮するものと思われます。

エコモードであるパワー自動切替の機能では、下位機種の一部では「強」モードが含まれていません。「強」モードは絨毯を掃除する際に基本的に必要なので、その際は手動で切り替える必要があります。

"軽ワザグリップ" というのは、延伸管最上部についている "持ち手" の種類を表しています。

これは他メーカーの比較的高価な掃除機と同様に、グリップ部分が輪になっており、その一部が欠けて三日月状になった物よりも、一般的に掴みやすく使いやすいとされています。

すき間ノズルに関しては、下位機種「CV-SA100」には "クルッとブラシ" が付属しないので、その代わりに先端に折り畳み式ブラシが付いたバージョンが付属するようです。

 価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。


CV-SA200 小型軽量版2段ブーストサイクロン
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楽天レビュー:レビュー(_件)を参照
ヘッド形状:4方向スマートヘッド(自走式)
目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着
吸込仕事率:340〜40W[エコ自動モード有]
本体重量:2.9kg/ 全体重量:4.4kg
運転音:59〜約55dB
排気方法:分散上方排気
持ち手(本体):固定式×2
すき間ノズル収納:なし(要別売ホルダー)
色:レッド(R)
HEPAフィルター(とほぼ同等)仕様

某サイトでの100%OFF表示に関して。



前年度型

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楽天レビュー:レビュー(_件)を参照
ヘッド形状:スマートヘッド(自走式)
目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着
吸込仕事率:330W[エコ自動モード有]
本体重量:2.9kg/ 全体重量:4.4kg
運転音:59〜約55dB
排気方法:分散上方排気
持ち手(本体):固定式×2
すき間ノズル収納:なし(要別売ホルダー)
色:レッド(R)


関連ページ:

CV-SA300 パワーブーストサイクロン(上位機種)

CV-SA100 2段ブーストサイクロン(下位機種)

CV-SY200(前年度型)

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関連サイト:

CV-SA200(R)|日立公式サイト