「CV-PA30」は、日立から2014年7月19日に発売となった、新型(マイナーチェンジ)の紙パック式掃除機です。
これは "かるパック" というシリーズ名で呼ばれる、日立製紙パック式の上位シリーズの1機種で、業界トップの吸込仕事率680Wがウリとなる、その中位バージョンということになります(※ただし、下位バージョンは、今年度から廃止されています)。
ただ、重量が軽いということで、"かるパック" のはずですが、吸引力が高いというだけで他に特に特徴のない機種としては、軽いという訳ではありません。単純にこれはこの程度だと思います。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (5)
この「CV-PA30」のヘッドは、"スマートヘッド" と呼ばれる日立製の最高性能ヘッドです。これは、日本製の大抵の他メーカー製の最上級ヘッドと同様に、フローリングの菌までその内蔵回転ブラシで拭き取る性能があるとされています。
これは、ヘッド幅が30cmと、シャープ製と共に例外的な広さを誇り、一度に広い面積を掃除できるよう作ってありますが、カーボン素材を用いることと、余分なスペースをなくすことでの軽量設計となっています。
以前のモデルでは、ヘッドを手前に引く際には、どんな掃除機にも吸込口後方に大抵付いている起毛部分(※これは、吸い逃したゴミ、及び回転ブラシが後方に弾いたゴミを逃さないようにする為の物であるはずです)が邪魔をし、ゴミを吸い込めないことがあるそうですが、2013年度からはそれを解決する為に、起毛部分をヘッドを引く際にのみ回転する、現行機種では日立だけのローラー式となっています。
2014年度からはそれに加え、ヘッド両サイドに開いた横方向から吸引する為のすき間に、強く吸う為の "サイドブレード" という吸気の流路を調節する為の部品が設置され、横方向の吸引にも強くなっています。
これらにより、この "スマートヘッド" は、2014年度から "四方向吸引スマートヘッド" とも呼ばれています。
また、このヘッドは付け根の可動部が柔軟に動く為、ヘッドを横に90度曲げて縦にすることで、家具の間等の狭い場所に押し込んだり(「クルッとヘッド」)、ヘッドと延伸管をほぼ水平にまで出来ることで(「ペタリンコ構造」)、高さ8cm以上の家具の下等のすき間を、掃除しやすく出来ています(※⇒公式サイトによるヘッド機能の解説)。
▼ 吸込仕事率 (5)
この機種の吸込仕事率は680W〜約110Wです。
680Wは業界最高ですが、毎年律儀に10Wづつ上げなくて良いだろうとそろそろ呆れます。
それよりも、運転音をどうにかした方が良いでしょう(※⇒「掃除機の吸引力ランキング」)。
▼ 清掃力 (5)
ヘッド性能は高いですし、吸込仕事率も文句なしです。
▼ 吸引力持続 (2)
この「CV-PA30」には、日立製紙パック式の吸引力持続の仕組みである "パワー長持ち流路" と "パックチリ落とし機構" の2つが設けられています。
まず、"パワー長持ち流路" ですが、これは紙パックの後部だけではなく、上部からも吸う為の構造です。これはないよりはある方がずっと良いでしょう。
"パックチリ落とし機構" とは、電源コードを出し入れする度にそのエネルギーを利用してギアを回し、紙パックの上部(※実はパワー長持ち流路の部品そのもの)を振動させて、紙パック内のゴミを下に落とすという仕組みです。
これは一見合理的ですが、紙パック内にゴミが溜まって来るとあまり意味がなくなる仕組みです。そもそも、紙パックの繊維内に入り込んだ微細なチリは、幾らか振動させる程度では落ちないでしょう。
▼ 標準紙パック性能 (4)
日立製紙パック式の上位機種であるこの「CV-PA30」の系統の製品には、標準紙パックとして日立製上位紙パック「GP-130FS」が付属しています。
この本体にはHEPAフィルター相当の高性能フィルターが内蔵されていますので、それを詰まらせたくなければ、これかこれより上の紙パックを使用することが必要とされます。
▼ 標準紙パックの容量 (4)
この機種を含む日立製紙パック式・上位シリーズ "かるパック" では、紙パックの容量は1.7Lですので、普通より若干多めに入ります。
▼ フィルター (4)
この「CV-PA30」のフィルターは、高性能で有名なHEPAフィルター相当のはずです。
実は以前、日立が "分かりにくいから" という理由でHEPA/ULPA表記を止めた際に、代々HEPAフィルター表記のあった、この「CV-PA30」の直接の "先祖" となる紙パック式の1機種と、サイクロン式の1機種とで、この機種と同じく0.3μm以上のホコリの約99%が捕塵可能だと表記され始めました。なので、そう判断しています。
(※HEPAフィルター[HEPA規格のフィルター]と呼ばれる為には、フィルターの単独性能として、0.3μm以上のホコリの99.97%以上の集塵率が必要です。しかし、日立製の場合には、ドイツ・SLG社によって、フィルター単独ではなく実機を用いた計測が行われている為、控えめな数値が出ていると思われます)
▼ 本体重量 (3)
この機種の本体重量は3.7kgなので、掃除機として普通程度です。
ただし、本体前部・ホース付け根部に装着可能な "サッとハンドル" を装着すると、100g増しとなります。それでもまだ普通の範囲内ではありますが。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (2)
それらの重量は1.7kgですので、全体としては重めですし、モーター式回転ブラシの機種としてもどちらかというと重いです。
それでも、ヘッドの回転ブラシの軸部分と、延伸管とに軽量カーボン素材を用いることで軽量化がなされた(「カーボンライト」)というのが、この機種のウリの一つとなっています。
ただし、日立製は手元ブラシ、もしくは延伸管先端ブラシとして使う "クルッとブラシ" が後付け式となっており、これが実は150gもあります。なので、もしかすると合計で1.9kg近くあるかもしれません。これだと現在では重い範疇に入ります。
▼ 運転音(最大値) (1)
この機種の運転音は、65〜約59dBですので、単に普通のうるさい掃除機です。パワーが非常に高い割に、特別うるさい訳ではないと言うことは出来ますが。
▼ エコモード (3)
この「CV-PA30」のエコモード(自動パワー制御)は、"床面検知" と、恐らくはその仕組みを応用した、ヘッドの操作速度等を検知する "操作力検知"、そしてヘッドを止めていると自動でパワーダウン⇒停止へと至る "アイドリング&ストップ" から成ります。
"床面検知" と "操作力検知" を用いて6分間フローリングを掃除した場合、「強モード」のみで同等の条件下を掃除した場合と比べて、最大約75%の省エネになるとされています。しかし、それは要するに、「強」と「中」が殆ど使用されず、ほぼ「弱」のみで運転された場合との比較を表しているはずです。
メーカーサイトには、エコモードと「強」で掃除した場合とを比べて、"ごみ取れ性能は同等です" とありますが、差は勿論あるはずです。
▼ 付属ブラシ類 (2)
付属ブラシ類は、通常のすき間ノズル("すき間用吸口")と、延伸管先端部か手元グリップ部のどちらかに接続して使うブラシ、"クルッとブラシ" のみとなります。
日立製の高額ヘッドは、ヘッド付根の関節が横に90度曲がることで、比較的狭い場所も掃除出来ます。なので、延伸管先端部はそちらに任せて、"クルッとブラシ" に関しては、手元グリップ部に付けておくのが、普通なのではないかと思います。
また、すき間ノズルについてですが、別売の "すき間用吸口ホルダー" なしでは、本体・延伸管に取り付けて保管することが出来ないはずです。勿論、そのようなことはどちらでも構わなければ、問題はありません。
▼ 特記項目 "サッとズームパイプ" (4)
この「CV-PA30」を含む、日立製の中程度以上の機種には、"サッとズームパイプ" という、足でヘッドを抑えて手元トリガーを指で引きながら、延伸管を伸び縮みさせて長さを調節する機能があります。これは、日立製掃除機に慣れた使用者が、同社製から離れられない要因となっています。
▼ 特記項目 "消費電力" (2)
この機種の消費電力は1,190〜約250Wですので、"強" で使用時には平均より19%消費電力は高いです。
もっとも、エコモードで使用すれば、それなりに省エネとなるはずですが、それでも褒められたものではありません。
吸込仕事率は600Wもあれば十分高く、それならば消費電力の最大値は従来通りの1,000Wで済みますので、消費電力を上げてまで吸込仕事率を上げるのは、電気代と開発努力の無駄でしかありません。
しかし、吸込仕事率の数値が高ければ、アピールポイントとなって売れやすくはなりますので、結局消費者に高い電気代を強いてまで、"商売上手" として吸込仕事率を上げていると言えるでしょう。
ちなみに、ダイソン等海外メーカーの吸込仕事率は200W程度ですが、床に吸引力を集中させていますので、それでも十分な清掃力を誇ります。
▼ 価格 (3)
この機種は、最安時には2万円強程度で買うことが出来るはずです。割とお得な価格設定です。
▼ 総合評価 (3.27)
この「CV-PA30」は、ヘッドが日立製の最高性能品で、吸込仕事率も業界最高、排気性能も日本メーカーの紙パック式としては2番目相当で、重い訳でもなく、基本的に相当優秀な製品です。
しかし、運転音だけは、ごくごく普通にうるさい掃除機なのですが、そこは特に気にならないのであれば、良いのではないでしょうか。
当「CV-PA30」と、前年度型「CV-PY30」との違い
CV-PY30 | CV-PA30 | |
発売日 | 2013年7月20日 | 2014年7月19日 |
ヘッド | スマートヘッド | (新)スマートヘッド |
吸込仕事率 | 670W〜約110W | 680W〜約110W |
"スマートヘッド" の新旧の違いとしては、2014年度型では吸引口後部に付いているヘッドを引く際にのみ回る起毛ローラーが、旧型のように二つに分かれ、中央はローラーが途切れている中途半端なものではなく、吸引口の横幅全体をカバーする立派なものとなっています。
また、先程も述べたように、ヘッド両サイドに開いた横方向から吸引する為のすき間に、強く吸う為の "サイドブレード" という吸気の流路を調節する為の部品が設置され、横方向の吸引にも強くなっています。
これらにより、2014年度版は一応 "四方向吸引スマートヘッド" と呼ばれています。
日立・紙パック式 上・下位機種との比較
CV-PA300 (かるパック) | CV-PA30 (かるパック) | CV-PY9 | |
ヘッド | (新)スマートヘッド | ごみハンターヘッド | |
吸込仕事率 | 500W〜約80W | 680W〜約110W | 650W〜約100W |
消費電力 | 1,000W〜約200W | 1,190W〜約250W | 1,170W〜約240W |
運転音 | 55dB〜約50dB | 65dB〜約59dB | 66dB〜約60dB |
エコモード | [強][中][弱]自動 | [中][弱]自動 | |
アイドリング &ストップ | 〇 | × | |
捕塵率 (0.3μm以上) | 99.999% (ULPAフィルター相当) | 99% (HEPAフィルター相当) | 未記載 (※通常未記載) |
標準紙パック | GP-2000FS | GP-130FS | GP-110FS |
手元グリップ | らくわざグリップ (輪状) | 通常型 (三日月状) | |
本体/全体重量 | 3.7/5.2kg | 3.7/5.4kg | 3.5/5.2kg |
スマートホース (小径&軽量ホース) | 〇 | × | |
クルッとブラシ | 〇 | × | |
すき間ノズル | 通常版 | 先端ブラシ付 | |
ワイド曲が〜る ロング吸口 | 〇 | × |
上位機種「CV-PA300」は、こちらとは違い、吸込仕事率ではなく、運転音の静かさと一段上の排気性能を追及しています。
その代りに、吸込仕事率は紙パック式としては最低限です。
下位機種「CV-PY9」も、吸込仕事率の高さに特徴のある機種ですが、当「CV-PA30」より安価な代わりに、全般的に劣っています。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・CV-PA30 かるパック | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・ヘッド形状:スマートヘッド(自走式) ・目詰まり対策:コード連動式紙パック振動機構(&パワー長持ち流路) ・吸込仕事率:680〜約110W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.7kg/ 全体重量:5.4kg ・運転音:65〜約59dB ・排気方法:分散上方排気 ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・すき間ノズル収納:なし ・色:シャンパン(N)、ルビーレッド(R) ・HEPAフィルター(と同等)仕様 ・標準紙パック:GP-130FS(1枚付属) | |
前年度型
・日立 CV-PY30 かるパック | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:スマートヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:コード連動式紙パック振動機構(&パワー長持ち流路) ・吸込仕事率:670〜約110W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.7kg/ 全体重量:5.4kg ・運転音:65〜約59dB ・排気方法:分散上方排気 ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・色:シャンパン(N)、フレッシュピンク(P) ・HEPAフィルター(と同等)仕様 | |
関連ページ:
・CV-PC30 かるパック(2015年度型後継機種)
・CV-PA300 かるパック(上位機種)
・CV-PY9(下位機種)
・CV-PY30 かるパック(前年度型)
関連サイト: