「VC-PD9」は、2014年7月1日に発売となった、東芝製の中程度で、実のところ結構安くなるはずの、新型(マイナーチェンジ)の紙パック式掃除機です。
その特徴としては、業界トップクラスの吸込仕事率640Wを誇り、ヘッドにも "自走式カーボンヘッド" という程々に性能の良いモーター式回転ブラシを内蔵していることが挙げられます。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (4)
この「VC-PD9」のヘッドは "自走式カーボンヘッド" と呼ばれています。
"自走式" とは、ヘッド内に仕込まれた回転ブラシの回転力が強く、その力でヘッドを若干前進させることが出来ることを意味しています。
これにより、使用者は軽い力での操作が可能となっています(引く時には通常より力が必要ですが、押す時より引く時の方が楽なのと、引く時にはヘッド後部を僅かに浮かせる事が出来るため、総合的には使いやすいです)。
この機能は、国内メーカー各社の高額機種には普通にある機能です。
そして、"カーボン" とは、軽量の炭素素材を意味しており、これを用いることでヘッドの軽量化がなされています。
つまり、この名前は、一応このヘッドが使いやすいものであることを表すものとなっています。
その他でも、ヘッドを横に90度近くに曲げて縦にすることで、家具の間等、ヘッドを外さずに狭い場所に押し込めたり、ヘッドと延伸管を水平にまで出来ることで、家具の下等の約6.5cm以上の高さのすき間を掃除することが可能です。
また、回転ブラシに毛等絡んだ場合には、ヘッドを裏返すことなく、ヘッド上のカバーを取り外すことで、お手入れをすることも可能です。この仕組みは東芝独自のもので、現在はこの "自走式カーボンヘッド" 及びその上位版の "イオンカーボンヘッド" にしか採用されていません。
▼ 吸込仕事率 (4)
この機種の吸込仕事率は、640〜約60Wです。この数値は、全体の中でかなりの高さです(※⇒「掃除機の吸引力ランキング」)。
▼ 清掃力 (4.5)
ヘッドがそこそこ優秀な上に、吸込仕事率がかなり高いので、まあこんな感じだろうということで・・・。
▼ 吸引力持続 (0)
東芝製の紙パック式には、吸引力持続の機能・構造はありません。
▼ 標準紙パック性能 (4)
「VC-PD9」に標準付属している紙パックは、「VPF-7」です。これは東芝製の最高性能紙パックで、排気のきれいさと吸引力持続の効果、そして強力な脱臭力までもが謳われています。
また、東芝製は紙パックの入口にゴムの輪っかが付いており、掃除機に装着されて使用されている際に、その脇からゴミを含む空気が漏れないことに関しては、非常に信頼性が高いです。
尚、これは割と高価な品ですが、もっと安い東芝製紙パックを買って装着することも可能です。
▼ 標準紙パックの容量 (2)
2014年度型東芝製紙パック式の紙パック容量は、1.4Lです。これはどちらかというと少ないですが、それでも普通の範囲ではあります。
▼ フィルター (3)
この機種に紙パックとは別に付いているフィルターは、"一般フィルター" とだけ書かれています。
しかし、最終的な(ゴミ)捕塵率は、0.5μm以上のチリの約99%だとされていますので、どちらかというと優秀です。
▼ 本体重量 (4)
「VC-PD9」の本体重量は3.2sですので、通常サイズの掃除機としては相当軽いです。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (2)
それらの重量は1.7kgですので、全体としては重く、モーター式回転ブラシの機種としては、少し重めながらも普通の範囲です。
これでも一応、ヘッドにカーボン素材を使用して軽量化されたのがウリとなっていますが、他メーカーも軽量化には取り組んでいるので、最近は大抵どれも軽くなりつつあります。
▼ 運転音(最大値) (0)
この「VC-PD9」の運転音は、68〜約61dBです。これは有名メーカー製の家庭用掃除機としては、最悪の数値です(※ダイソンのみ未公表)。
使用者にとってこの面での過去最悪、もしくは最悪の一つとなる可能性も高いでしょう。
勿論、アパート・マンション等には向かないはずですし、一軒家でも夜に使いたいとは思わないものだと思います(※⇒「掃除機の騒音ランキング」)。
▼ エコモード (2)
この機種のエコモード(自動パワーコントロール)は、
- 床面識別
- 節電アイドリング機能
- 及び、強モードの不使用
の2+1からなっています。
"床面識別" は、回転ブラシにかかる負荷により、絨毯とフローリングとを識別する機能のことです。絨毯と識別した場合には、高い吸引力を選択します。
"節電アイドリング機能" とは、ヘッドを浮かすと1秒でパワーを低減⇒6秒で一時停止⇒その状態を60秒継続で電源OFFとなる機能のことです。
最後の "強モードの不使用" に関してですが、この機種の消費電力は1,150W(強)〜約160W(弱)となっているのですが、実はエコモード時には最大消費電力は600Wと、本来の最大値の約半分に制限されます。
この機種には何と "中モード" がないのですが、そのエコモード時の最大吸引時が、事実上の "中モード" に当るはずです(「中」にしては少し低い気もしますが)。
この機種のエコモード時は、消費電力を最大42%削減するとの記載がありますが、"強" を使用しないだけで、既に最大48%の削減が達成されるはずですが・・・どうなっているのでしょうか。それはともかく、こういった方法をとるのは、他メーカーでは日立の中位機種だけですので、ちょっとにどうかと思います。
結局、絨毯上では "強" を使い、フローリングや畳上では、"エコモード" を使えということなのでしょう。
▼ 消費電力 (2)
この機種の消費電力は1,150〜約160Wですので、"強" で使用時には平均より15%消費電力は高いです。
もっとも、エコモードで使用すれば、消費電力600Wの "中モード" 以下ですので問題ないですが、ずっと "強" で使ってしまう人も多いだろうということで、減点項目となります。
▼ 付属ブラシ類 (2)
この「VC-PD9」の付属ブラシ類は、(グリップ部下の)手元ブラシ、及び通常のすき間ノズルとなっています。
▼ 価格 (4)
この機種の最安値は、モデル末期に13,000円強程度となるはずです。性能の割にかなり安いです。
▼ 総合評価 (2.68)
この「VC-PD9」は、掃除機として一番肝心な清掃能力は高いですし、排気性能も悪くなく、本体も軽いです。その上で、価格が安いです。
しかし・・・運転音は酷いですので、一軒家にお住まいで、掃除機は昼間使うから音は気にならないという方には、最適と言えるかもしれません。
ただ、運転音に関しては、安価な製品であればどれもそれなりにうるさいですので、そういうものだと思ってしまえば、悪いポイントにはならないかもしれません。
前年度型「PC9」との違い
VC-PC9 | VC-PD9 | |
発売日 | 2013年2月16日 | 2014年7月1日 |
吸込仕事率 | 640〜約50W | 640〜約60W |
ボディカラー | シルバー(S) ピンク(P) | シルキーレッド(R) |
今年度型では、消費電力は同一ながらも吸込仕事率の最低値が10W上がっています。一応モーターの変更があったのかもしれません。
それ以外だと、ボディカラーの変更があったことしか違いは見つかりません。
これらは型番が変わっただけで、事実上の(ほぼ)同一機種だと思われます。
東芝紙パック式 上・下位機種との比較
VC-PG314 | VC-PD9 | VC-PD8A | |
ヘッド | 自走式 カーボンヘッド | フローリング ターボヘッド | |
吸込仕事率 | 550〜約90W | 640〜約60W | 620〜約100W |
消費電力 | 1,000〜約250W | 1,150〜160W | 1,100〜約250W |
本体/全体重量 | 3.4/5.0kg | 3.2/4.9kg | 3.2/4.6kg |
運転音 | 64〜約58dB | 68〜約61dB | |
フィルター | ・フラボノイド フィルター (※抗菌・ウィルス抑制) ・脱臭フィルター | 一般フィルター | |
床面検知&節電 アイドリング機能 (※エコモード) | 〇 | × | |
ゴミ残しま センサー | 〇 | × | |
手元ブラシ | 〇 | × | |
延伸管先端 ブラシ | 〇 | × | |
布団用ノズル& 小型ホース | 〇 | × | |
別売品 アタッチメント | × | 〇 |
下位機種「VC-PD8A」は、主にヘッドがタービン(風力)式にダウングレードされた製品となります。一般的にフローリングであれば、モーター式ではなく、タービン式でとりあえず十分だとされています。
この製品の場合、名前にそのまま "フローリング" と入っていますが、毛ブラシ製の典型的な回転ブラシの代わりに、絨毯向けとして回転するゴム板が組み込まれたタービン式もある中で、これの場合フローリング向けに特化したのか、ブラシというより起毛のような素材だけが回る方式となっています。
吸込仕事率の最低値も高めですが、これはタービン式の回転ブラシを回す必要があるからであるはずです。
エコモード(パワー抑制&自動コントロール)機能に関しては、省略されています。
上位機種「VC-PG314」は、ボディーが異なる別系の上位シリーズとなります。
そちらでは吸込仕事率、及び消費電力が低めですが、その分運転音も低めです。
また、赤外線で吸気内のチリを探知し、エコモードに反映させたり、ランプで使用者に知らせるハイテク装備 "ゴミ残しまセンサー" を装備しています。
あと、付属ブラシ&付属オプション品にも差があります。
"別売品アタッチメント" という物は、別売ノズルを接続する際に間に挟むアダプターですが、これのみ少々特殊で、「VC-PG314」にはその必要がないので、付属していないはずです(そもそもアダプターが必要な方が少ないのです)。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:自走式カーボンヘッド(モーター式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:640W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.9kg ・運転音:68〜約61dB ・排気方法:やわらか分散排気 ・持ち手(本体):折り畳み式 ・すき間ブラシ収納:延伸管裏 ・色:シルキーレッド(R) ・標準紙パック:VPF-7(1枚付属) |
前年度型
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![]() | ・楽天 ― ― ― ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:自走式カーボンヘッド(モーター式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:640W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.9kg ・運転音:68〜約61dB ・排気方法:やわらか分散排気 ・持ち手(本体):折り畳み式 ・すき間ブラシ収納:延伸管裏 ・色:シルバー(S)、ピンク(P) |
関連ページ:
・VC-PG314(上位機種)
・VC-PD8A(下位機種)
・VC-PC9(前年度型)
関連サイト: