「TC-EXD10P」は、2014年6月21日に三菱電機から発売となった、新型(マイナーチェンジ)のサイクロン式掃除機です。
これは、三菱製小型掃除機 "Be-K(ビケイ)" の、サイクロン式シリーズ3機種中の上位機種で、三菱製最新・最上位ヘッド "Wクリーン自走式パワーブラシ" を備えた機種ということになっています。
また、この製品は本体重量が僅か2.4sしかなく、サイクロン式として業界2位タイの軽さで、一見とても使いやすそうですが、サイクロン部でまともに遠心分離をしない、"なんちゃってサイクロン" ということになっています。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (5)
この「TC-EXD10P」のヘッドは、三菱製掃除機の最上級ヘッド "Wクリーン自走式パワーブラシ" です。
まず、"パワーブラシ" というのは、ヘッド内にモーター式の回転ブラシが内蔵されていることを表しています。特に絨毯を掃除する際には、その回転ブラシが絨毯を掻き分け、ゴミを掻き出すので、高い清掃力を誇ります。
"自走式" とは、その回転ブラシの回転がヘッドを前進させる程のパワーを持つので、ヘッドが楽に操作出来るものであることを表しています。
"Wクリーン" とは、意味が分かりにくいのですが、ヘッド内部で吸引口が左右二手に分かれて設置されることで、ヘッド裏の中央だけでなく、両端にも吸引力を及ぼしやすく出来ていることを表しています。これは2014年度からの三菱独自の仕組みということになります。
もっとも、そうであれば、ヘッド裏・中央に及ぼされる吸引力は減っているはずですが、まあそこまでは言わないお約束ということで・・・(笑)。
また、「TC-EXD10P」のヘッドには、最大のウリとして "毛がらみ除去機能" が搭載されており、ヘッド横から回転ブラシを引き抜くだけで、回転ブラシに絡んだ髪の毛や糸屑を除去することが可能となっています。
これが出来るのは三菱製の最上位ヘッドだけですので、ペットをお飼いのお宅では、この為だけにこのヘッドを搭載の製品になさったとしても、不思議ではありません。
(※エレクトロラックス社製のコードレススティック・ハンディ2WAYタイプ・「エルゴラピード・リチウム」「エルゴラピード・プラス」「エルゴパワープラス」だと、ヘッドの専用ペダルを足踏みすることで、回転ブラシに巻き付いた髪の毛等を、内蔵カッターで切断・吸引する仕組みがあります)
また、"Wクリーン" では、ヘッドを90°捻って真横にすることが出来るので、その状態で家具の間等狭い空間を掃除することが可能です。
この機能は、元々日立製上位ヘッドにあった機能ですが、2013年度型のシャープ製最上位ヘッドと、この三菱製最上位ヘッドで、ヘッド横にした状態でもっと幅が狭くなるよう工夫されて真似されてしまっています。
また、少なくとも三菱製自走式ヘッドの回転ブラシには、かなり硬いブラシが採用されています。なので、床のゴミを掻き取る力は強いはずですが、フローリングや絨毯、畳等の床に負担をかけたくない方には、向いていません(※モーター式回転ブラシの中でも中・上位の機種であれば、どれでもそういう傾向を持つと思いますが、硬めの回転ブラシは、弱めのヤスリのように、床をほんの僅かづつ削る可能性があります)。
正直、少なくとも私の家では、あまり使いたくない物です(汗)。
▼ 吸込仕事率 (2)
この「TC-EXD10P」の吸込仕事率は、最大310Wです。本体が小型なので、他社の同等サイズのサイクロン掃除機と同じく、吸込仕事率は低くて構わないという判断なのかもしれません。
しかし、まともに遠心分離しないこの種のサイクロン掃除機であれば、紙パック式と同等の吸込仕事率が可能ですので、紙パック式Be-K(ビケイ)と同じく500Wあっても良い位です。
▼ 清掃力 (4)
ヘッドはなかなか強力ですが、吸込仕事率は紙パック式Be-K(ビケイ)と比べて約3分の2しかないので、不信感でいっぱいです(笑)。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (1)
「TC-EXD10P」を含む三菱サイクロン式Be-K(ビケイ)のサイクロン部には、円柱状の透明プラスチックの部品が付いており、吸気とゴミは確かにその周囲を回り、大きなゴミはその渦からはじき出されて脇へ飛ぶはずです。
しかし、そのゴミとそのゴミが遠心分離されて少し綺麗になった空気は、何と同じフィルターを通りますので、せっかく遠心分離をしても意味がありません(※吸気の流路の吹き溜まりとなる位置に、大きなゴミが溜まるという程度の意味はあるかもしれません)。
三菱の新製品紹介ページには、「高速回転が生み出す強い吸引力 高速で回転させることで風とゴミを分離し、強い吸引力を生み出します。」と書いてありますが、そういった形となっていますので、そのように書いて大丈夫なのだろうかと思います。勿論、吸引力も強い訳ではありませんし。
また、こういった実質フィルター式の掃除機には、フィルターの目詰まりを防ぐ為に、張り付いたホコリを落とす目的でフィルターを振動させてホコリを落とす仕組みが付いていることが多いです。それがこの「TC-EXD10P」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)の場合には、何とフィルター清掃用ブラシのプラスチック製の後端を、フィルターに付いたプラスチック製のガイド部分に沿って強く擦り付けることで、振動を起こす簡易的な仕組みとなっています。
勿論それが上手く機能すれば、それでも構わないのですが、実のところこのシリーズの場合、実際にはフィルターは殆ど振動しません。ブラシの後端を擦りつける部分はフィルターの最上部ですが、酷いことに最下部には振動は全く届きません。
▼ ゴミ圧縮 (4)
サイクロン式Be-K(ビケイ)におけるゴミ圧縮効果は、仕組みとして単に紙パック式と同等のはずです。とは言え、紙パックのように中が一杯になる前に、ゴミを捨てることになるので、あのように圧縮される訳ではありませんが。
ただし、圧縮効果があるのは、ティッシュで集塵する大きなホコリのみで、メインフィルターから出る微細なチリは、舞いやすいので捨てるのが厄介です。
▼ ゴミの捨てやすさ (1)
この「TC-EXD10P」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)は、フィルター前にティッシュを挟み、そこで集塵をすることで、メインフィルターへのホコリの到達を軽減する仕組み、言わば "ティッシュフィルター式(「ティッシュdeガード」)" の製品となっています。
そして、ゴミ捨て時には、そのティッシュごとゴミを捨てれば良いですので、このタイプはゴミ捨てが簡単だということになっています。
しかし、本当に厄介な細かいチリは、ティッシュを容易にすり抜けますので、細かなチリにはティッシュは無力だと覚悟しておく必要があります。
メインフィルターは表面積を増す為に幾重にも折り畳まれた蛇腹タイプ(プリーツタイプ)なのですが、その折り畳まれ方が他にはない粗さで、専用ブラシを使ってその谷間を掃除するのにも、通常以上の苦労が予想されます。
三菱掃除機は、日本製(少なくとも組み立ては日本の工場で、女性の工員さん達が流れ作業で作っています)であるのがウリとなっていますが、あんなフィルターを使っているのでは、せっかくの "日本製" の名が泣きます。
▼ ダストボックスの容量 (5)
サイクロン式Be-K(ビケイ)におけるダストボックスの容量は、0.6Lです。これはサイクロン式としては多いですが、更にゴミ圧縮効果もありますので、本体は小型ですが、かなり多く入るはずです。
▼ フィルター (3.5)
この「TC-EXD10P」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)には、ダストボックス部のメインフィルターとして高性能フィルターのHEPAフィルター(2層)、しかも抗菌効果のある銀ナノの練り込まれた特別製が採用されており、モーター後の最終フィルターとしても、"高性能クリーンフィルター" という名称のフィルターが装着されています。
HEPAフィルターが採用されているので、理論上0.3μm以上ののチリの99.97%が捕塵可能なはずですが、これらのシリーズ(※2014年度型以降)の場合には、0.5μm以上のチリの99.9%以上が捕塵可能だとされています。
理論上、HEPAフィルターが付いていれば、その後方の "高性能クリーンフィルター" は不要のはずですので、前方のダストボックス部の(HEPA)フィルターからは、ゴミは漏れると考えることが必要なのかもしれません。
▼ 本体重量 (5)
この「TC-EXD10P」を含むサイクロン式Be-K(ビケイ)の本体重量は、2.4kgですので、2013年度型の東芝・トルネオミニの2.3kgに次ぐ軽さということになります。これはヨコ型掃除機としては、極端な軽さです。▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (3)
それらの重量は1.5kgですので、基本的には普通程度ですが、自走式回転ブラシの機種としては軽いです。▼ 運転音(最大値) (2)
「TC-EXD10P」の運転音は、64dB〜約59dBですので、普通に安めの掃除機のレベルです。
▼ エコモード (1)
この「TC-EXD10P」には、掃除の中断時をセンサーで見分ける "節電モード" のみが搭載されています。
センサーは、手元グリップ部にありますので、ヘッドや延伸管を外して使っている場合にも、"節電モード" は作動します。
▼ 付属ブラシ類 (4)
「TC-EXD10P」には、手元ブラシと延伸管部先端ブラシ( "すみずみブラシ" ×2)に加え、先端にブラシの付いたロングすき間ノズル "2WAYロングノズル" が付属します。
"2WAYロングノズル" は、先端部の角度を変えることが出来ますので、高所の棚の上等を掃除する用途にも使えるようです。
▼ 価格 (3)
この「TC-EXD10P」の価格は、前年度型を見る限り意外と下がらないようで、3万円程度はするようです。最安時には2万5千円程度まで下がったようですが、その期間は長くはありません。仕様を見る限り、2万円を少し超える位が相応しいでしょう。
▼ 総合評価 (3.11)
サイクロン式Be-K(ビケイ)は、サイクロン部の構造が最悪の一つです。加えて、この「TC-EXD10P」の場合、価格が高過ぎるので競争力がありません。
なので、正直見なかったことにして、忘れれるのが良いと思います(汗)。
ただし、ペットをお飼いの方で、抜け毛が多いために紙パックは使わない製品をご希望で、しかも、三菱のみにあるヘッドの毛絡み除去機能のある製品を出来るだけ安く手に入れたいという場合には、これということになるでしょう。
当「TC-EXD10P」と、前年度型「TC-EXC10P」との比較
TC-EXC10P | TC-EXD10P | |
ヘッド | 従来型 (※毛がらみ除去有) | Wクリーン |
集塵率 (※0.5μm以上) | 99%以上 | 99.9%以上 |
三菱製サイクロン掃除機、上・下位機種との比較
TC-ZXD20P (風神) | TC-EXD10P (ビケイ) | TC-EXD8P (ビケイ) | |
ヘッド | (単なる)自走式 パワーブラシ | Wクリーン自走式 パワーブラシ ・毛絡み除去 ・抗菌回転ブラシ ・抗アレル物質植毛 | 軽量パワーブラシ |
吸込仕事率 | 230〜約130W | 310〜約80W | 300〜約80W |
サイクロン部 | 高(※中)遠心分離 | フィルター部ティッシュ装着 | |
運転音 | 65〜約62dB | 64〜約59dB | 63〜約59dB |
本体/全体重量 | 3.7/5.1kg | 2.4/3.9kg | 2.4/3.8kg |
フィルター | ULPA×1 HEPA×1 | HEPA×1 | |
節電モード | 〇 | × | |
延伸管先端部 ブラシ | 〇 | × | |
足踏みコード 巻き取り | 〇 | × | |
車輪 | 4輪 | 3輪 | |
本体後部ヘッド 立て掛け | 〇 | × | |
付属品 | すき間ノズル | 2WAYロングノズル | すき間ノズル |
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・TC-EXD10P Be-K(ビケイ) | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:Wクリーン自走式パワーブラシ ・目詰まり対策:フィルター部ティッシュ装着 ・吸込仕事率:310〜約80W[節電モード有] ・本体重量:2.4kg/ 全体重量:3.9kg ・運転音:64〜約59dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・2WAYロングノズル収納:延伸管横 ・色:シャインバイオレット(V) ・HEPAフィルター仕様 ・ヘッド上空のチリも吸引 | |
前年度型
・TC-EXC10P Be-K(ビケイ) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:自走式パワーブラシ(毛絡み除去機能付) ・目詰まり対策:フィルター部ティッシュ装着 ・吸込仕事率:310〜約80W ・エコモード:×(節電モード) ・本体重量:2.4kg/ 全体重量:3.9kg ・運転音:64〜約59dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.6L ・持ち手(本体):固定式 ・2WAYロングノズル収納:延伸管横 ・色:シャンパンゴールド(N) ・HEPAフィルター仕様 ・ヘッド上空のチリも吸引 | |
関連ページ:
・TC-EXE10P Be-K(ビケイ)(2015年度型後継機種)
・TC-ZXD20P 風神(上位機種)
・TC-EXD8P(下位機種)
・TC-EXC10P(前年度型)
関連サイト: