「EC-SX200」は、2014年5月下旬にシャープから発売となった、ハンディ・スティック兼用・2WAYタイプの新型コードレス掃除機です。一応、「FREED(フリード)」というサブネームでも呼ばれるようです(※意味は後述)。
この製品は、スティックタイプではなくハンディタイプを元にして作られており、重心が高いので、構造としては床掃除にそれ程向いていません。どちらかと言うと、主にハンディクリーナーとして使いたい方向けだと言えるでしょう。
◆ パワー
このシャープ・「EC-SX200」は、見るからにダイソン・デジタルスリムのシリーズを意識して作られており、ハイパワーがウリとなっています。しかし、バッテリーは18Vで、SRモーター(永久磁石不使用のデジタルモーター)は1分間に8万5000回転ですので、バッテリーの電圧も、モーター回転数もダイソン製は勿論として、国内メーカーとして先行した東芝製にも及びません。
ダイソン製は、最新の「DC62」では100W、旧型の「DC45」では65Wと、掃除機の吸引力の目安を表す "吸込仕事率" を公表していますが、シャープ及び東芝では公表を見合わせています。安定したパワーを発揮可能なリチウムイオンバッテリーを採用しておきながら、吸込仕事率を公表できないということは、やはりダイソン製に及ばないのでしょう。
※家電Watchの「最新スティッククリーナー5機種の実力をガチ比較 前編」をぜひ見て下さい。決定打です(汗)。
EC-SX200 | VC-CL100 [東芝] | DC62 [ダイソン] | DC45 [ダイソン] | |
製品タイプ | ハンディ基本型 | ハンディ基本型 | ハンディ基本型 | ハンディ基本型 |
バッテリー電圧 | 18V | 18.5V | 21.6V | 22.2V |
吸込仕事率 | 未公表 | 未公表 | 100W | 65W |
モーター回転数/分 | 85,000回 | 100,000回 | 110,000回 | 104,000回 |
充電可能回数 | 1,100回 | 2,100回 | 500回 | 500回 |
バッテリー価格 | 8,000円 | 15,000円 程度 | 8,400円 | 8,400円 |
サイクロン数 | 大1のみ | 大1+小6 | 大1+小15 | 大1+小6 |
重量[本体/全体] (ハンディ時ノズル付) | 1.5/2.2kg | 1.8/2.3kg | 1.29/2.03kg | 1.37/2.30kg |
スイッチ | タッチ スイッチ | タッチ スイッチ | トリガータイプ | トリガータイプ |
◆ サイクロン部
サイクロン部に関しても、ダイソンの最新「DC62」は遠心分離力の高い15個の2段目の小サイクロンを備え、東芝「VC-CL100」もやはり同様の効果の2段目の小サイクロンを6個の備えるのに対し、このシャープ「EC-SX200」では、遠心分離力の高い2段目のサイクロンそのものを備えていません。
その為、メインフィルターに達するホコリの量が(原理的に)多く、ダイヤル式フィルター振動装置をそのメインフィルターに取り付け、ゴミ捨て時に使用者がそれを回してフィルターからチリを落とすことで、その目詰まりによる吸引力の低下を防ぐ方法をとっています。なので、ダイソンは勿論として、東芝製と比べても高性能だとは言えません。
ただ、吸気を無理に曲げることでの遠心分離にエネルギーを割いていない分で、この「EC-SX200」では吸引力が高めである可能性、特に東芝製「VC-CL100」に対しては有利に立っている可能性が存在します。
しかし、先程も述べたように、東芝は勿論としてシャープも吸込仕事率は未公表ですので、確かなことは一般人には分からないようになっています。
◆ バッテリー
バッテリーに関しては、東芝製は高価ですが、1日に1回充電しても、5.75年持ちますので、2日に1回だと11年以上持つことになります。掃除機の想定使用年数は7年間ですので、その辺りが買い替え時となるのかもしれません。ただし、その代りに本体部が妙に重く、特にハンディクリーナーとして使用時に、少し不便かもしれません。なので、それらの面で、このシャープ製「EC-SX200」は妥協のしどころ・・・と言えるのかもしれません。
◆ スイッチのタイプ
これに関しては、ダイソンのみ人差指でトリガー型のスイッチを引いて電源をONにするタイプで、電力の節約には有利なのですが、「DC45」では長時間使用時に指が疲れるとかなり不評でした。これは最新の「DC62」では改良版となり、楽になったとされています。
しかし、主な用途が床掃除時であれば、やはり長時間使用の必要も出てくるので、ダイソンではない方が無難かもしれません。ただし、床掃除が主な用途であれば、スティッククリーナーを基本として、ハンディクリーナーとしても使用できるように設計された、エレクトロラックスの「エルゴラピード」や、日立の「PV-BA100」が相応しいかもしれません。
◆ 実は延伸管が短い
このシャープ製、実はスティックタイプとして使うには、延伸管が少し短すぎます。前へ押すときはまだ良いにしても、後ろに引く際には必ずヘッドが浮いてしまう感じです。
適性としては、平均身長程度までの女性にしか、普通の扱いは無理だと思います。
延伸管は、海外製だけあってかダイソン製が一番長く、東芝製もこれよりは長いですが、ダイソン製よりは短いです。
▼ 「EC-SX200」の長所
◆ 自走式ヘッド
このシャープ製「EC-SX200」のヘッドに内蔵された回転ブラシは自走式ですので、掃除の際にヘッドを動かすのが特に絨毯上で楽なはずです。それに加え、その強力な回転ブラシの回転で、フローリングを掃除する場合には、から拭き効果も得られます。
◆ エコモード
また、コードレスとしては珍しい、自動パワーコントロール=エコモードを搭載しており、床質を自動で見分けて、吸引力と回転ブラシの回転数の制御を行うことが可能です。
ヘッドが浮くと自動で運転を停止する "節電アイドリングストップ" も付いていまして、それらの機能で最大で58%の省エネが可能とされています。
◆ 高性能フィルター
フィルターも、高性能品を装着しており、0.3μm以上のホコリの約99%が捕塵可能とされています。これは、実機による実測値のようですので、恐らく使用されているのは高性能フィルターの代名詞・HEPAフィルターだと思われます(※シャープ製のコード式ヨコ型サイクロン掃除機は、皆HEPAフィルターを装着しています)。フィルター性能は、ダイソン製や東芝製に勝るはずです。
◆ 標準の2倍の充電可能回数
先程も述べましたが、充電回数は約1,100回だとされています。ダイソンも含めて、リチウムイオンバッテリーは通常は500回程度ですので、その約2倍の充放電可能回数となっています。
ただし、東芝の「VC-CL100」は例外的な2,100回だとされていますので、それと比べると霞みます。
◆ そこそこの急速充電
稼動時間は、「強」で8分、「自動」で最大20分ですので、この種の掃除機としては標準的ですが、充電時間が80分と短く、5分の充電で1分間だけ使用可能という緊急時の便利機能も用意されています。
◆ 角度を変えて持ちやすい "ラウンドハンドル"
ダイソン製と東芝製は、持ち手部分を一つの角度でしか持つことが出来ませんが、この「EC-SX200」の場合、持ち手部分が弧を描いていますので、使いやすい角度を選んで持つことが可能です。
◆ 収納
東芝とダイソンの「DC62」では、必ずコンセントから近い所に本体を置いて充電を行わねばならず、そこが普段の置き場所となることが多いので、それが製品を選ぶに当っての微妙な制約となります。
しかし、「EC-SX200」では、バッテリーを取り外して充電できるので本体の置き場所を問わないことをウリとしており、"セパレート・チャージ" 等と英語を持ち出して、新方式であるかのように宣伝しています。
この機種には「FREED(フリード)」という愛称が付けられていますが、プレスリリースには、バッテリーを取り外して充電できる「セパレート・チャージ」で、掃除も収納もフリースタイル
とのコピーがあることから、その意味「解放された」は、ハンディ・スティック兼用のコードレス機であること+主にはこちらの部分を指しているはずです。
しかし、ダイソンでも旧型「DC45」以前の型の2013年4月までの製造分や、マキタ製コードレス全般では、同様の充電が可能&必須となっています。なのに、こんなことをウリとして大袈裟に取り上げるとは・・・絶句しました。
(※他社製既存機種にもある特徴で大々的なウリを作れたわけですから、強運や妙な実力があると言えば、そうかもしれません ^^)
尚、この「EC-SX200」の標準的な本体保管方法は、バッテリーは別で充電しておいて、押し入れやクローゼットにでも入れておくか、あるいは付属の壁掛け用フックを壁に取り付けて、それに本体を引っ掛けるかです。専用スタンドの別売もありますので、高価な本体を気に入った方は、それを購入なさるのも良いかもしれません。
◆ ヨコ型コードレス機「EC-DX100」との違い
シャープは、2013年2月にはコードレスのキャニスター(ヨコ)型「EC-DX100」を発売していましたが、積極的にキャニスターを選んだわけではなく、どうやら小型・高性能のSRモーターの開発が遅れた為、キャニスターにせざるを得なかったようです。「EC-DX100」用のモーターは、約700gで回転数は約6万回転/分、この「EC-SX200」用は420gで約8万5000回転/分ですので、完全に新世代モーターになっているように見えます(⇒「日経トレンディネット」)。ただ、「EC-DX100」には軽量化が特には不要だったはずのヘッドが付いているのと、稼動時間がずっと長いことから、完全にこちらに劣るということではないはずです。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・シャープ EC-SX200 FREED(フリード) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:自走式パワーブラシ ・目詰まり対策:フィルター振動機構 ・吸込仕事率:未公表[自動モード(+アイドリングストップ)有] ・18Vリチウムイオン充電池採用 ・本体重量:1.5kg/ 全体重量:2.2kg ・運転音:未公表/ 充電回数:約1,100回 ・色:ゴールド系(N)、ブルー系(A)、レッド系(R) ・80分充電・強8分/自動10〜20分可動 ・ハンディ部ノズル用ブラシ "ベンリブラシ" 付 | |
EC-SX200専用別売品
・BY-5SA 別売バッテリー | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・個数:1 ・定価:8,000円(税別) ・これを複数所有することにより、バッテリーを交換しながらの長時間使用が可能 | |
・EC-01FU 2WAYベンリヘッド | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・個数:1 ・定価:2,800円(税別) ・布用ノズルです。布団やソファ、カーテン等に。ゴムブレードの付いた吸口と、エチケットブラシの付いた吸口を使い分けることが出来るので "2WAY" ということになっています | |
布団用ノズルは、この「EC-SX200 FREED」にしかないものではなく、通常のヨコ型掃除機向けの物が多数販売されています。2WAYノズルも、シャープ製の高額機種には、ヨコ型用(多分金型が少し違う物)が付属する場合があります。
・EC-D1 専用スタンド | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・個数:1 ・定価:7,200円(税別) ・EC-SX200の本体を丸ごと立てて置けるスタンドです。限定生産品 ・本体セットに壁掛け用フックがありますので、この別売品を買わなくても壁掛けは可能です。ただし、その場合、壁にネジ穴を開ける必要があります | |
関連ページ:
・EC-SX310/EC-SX210 FREED(フリード)2(2015年度型)
・V6 Fluffy/V6 Motorhead(ダイソン)
・CS3250 ORA(オーラ)(ブラック&デッカー)
・エルゴラピードリチウム(エレクトロラックス)
・VC-CL1200/VC-CL200 トルネオVコードレス(東芝)
・HC-VXE20P iNSTICK〜やってしまった家電〜(三菱)
・PV-BA100は遅すぎた(日立)
・EC-DX100(シャープ製ヨコ型コードレス機)
・MC-HS700G MC-HS500G(パナソニック製AC電源・コードレス両用ヨコ型)
関連サイト:
・コードレスサイクロン掃除機「FREED(フリード)」<EC-SX200>を発売|シャープニュースリリース
・80分でフル充電! 吸引力十分なスティッククリーナー「FREED」(家電Watch)
・コードレスサイクロン掃除機FREEDは女子の部屋にピッタリだった(週アスPLUS)
・掃除をなくす、掃除機を開発したい - 消費者ニーズの変化を汲み取ったシャープのコードレス掃除機「FREED」(マイナビニュース)