「CV-SY20」は日立から2013年8月24日に発売となった、新型(マイナーチェンジ)のサイクロン掃除機です。シリーズ名として "ごみダッシュサイクロン" とも呼ばれます。
その特徴としては、2013年度型のサイクロン掃除機としては、吸込仕事率(吸引力)が単独トップの650Wもあることが挙げられます。また、ヘッドやフィルター性能も高レベルです。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (5)
この「CV-SY20」のヘッドは、内部に自走式のモーター式回転ブラシを内蔵した "ワイドごみハンターヘッド" です。これは、2012年度までの日立製の最上位ヘッドだったものです。
これは "ワイド" の名が示すように、他社製と比べて、少なくとも4cm程度は幅広のヘッドとなっており、通常より広い面積を一度に掃除することが出来ます。
また、これはふき専用のブラシを組み込むことで、パナソニックや東芝と同じく、フローリング表面に付着した菌まで拭きとれることをウリとしています。
そしてまた、ヘッドが左右90度にまで曲がる "クルッと構造" により、横幅の狭い場所にヘッドを無理矢理ねじ込むことが可能となっており、更に "ペタっと構造" により、ヘッドと延伸管が床に対して水平近くになるまでの関節可動域があるので、床上8cmの家具等の下のすき間を、ヘッドを外さずに掃除することが可能です。
▼ 吸込仕事率 (5)
この「CV-SY20」の吸込仕事率の最大値は650Wですので、紙パック式をも含めての、家庭用掃除機としてトップクラスの吸引力ということになります(※⇒「掃除機の吸引力ランキング」)。
ただし、これはこの機種のサイクロン部が事実上遠心分離をしておらず、ダストボックスが単にプラスチックの容器とその後部にフィルターを取り付けただけの構造で、紙パックこそセットしないものの、紙パック式掃除機と同様の構造でしかないことから来るものです。
▼ 清掃力 (5)
ヘッドは日立製でも最上位級で、吸込仕事率も業界トップクラスですので、清掃力もハイレベルのはずです。
ただ、ダイソン等海外製のように、ヘッド前に床との間のすき間を開けて、米粒等の固形物を吸い込むのを諦め、床面を強く吸うのを重視した機種と比べると、絨毯の奥を吸う性能は低いです。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (2)
この「CV-SY20」を含む "ごみダッシュサイクロン" と呼ばれるシリーズでは、単にダストボックスにフィルターを設置してゴミを濾し取るタイプですので、事実上サイクロン掃除機ではありません。
ただ、電源コードの出し入れのエネルギーを利用してギアを回すことで、そのフィルターを振動させてチリを落とし、フィルターの詰りを防止する仕組みがあるのと、フィルター前にティッシュを1枚挟み、そのティッシュをフィルター代わりにしてゴミを濾し、汚れたティッシュを使い捨てにすることで、フィルターを保護する仕組みがあります。
なので、掃除中に働く吸引力の持続の仕組みはないものの、それらの仕組みを使用した上でゴミを捨てることで、吸引力はかなり回復することになります。
▼ ゴミ圧縮 (4)
"ごみダッシュサイクロン" におけるゴミ圧縮効果は、仕組みとして単に紙パック式と同等のはずです。とは言え、紙パックのように中が一杯になる前に、ゴミを捨てることになるので、あのように圧縮される訳ではありませんが。
ただし、圧縮効果があるのは、ティッシュで集塵する大きなホコリのみで、メインフィルターから出る微細なチリは、舞いやすいので捨てるのが厄介です。
▼ ダストボックスの容量 (3)
やはり "ごみダッシュサイクロン" におけるダストボックスの容量は、0.4Lです。これは普通程度の数値ですが、ゴミ圧縮効果もありますので、少し多めに入るはずです。
▼ フィルター (4)
この「CV-SY20」のフィルターは、高性能で有名なHEPAフィルター相当ですので、性能はかなり良いです。0.3μm以上のホコリの約99%を捕塵可能です。
(※HEPAフィルター[HEPA規格のフィルター]と呼ばれる為には、フィルターの単独性能として、0.3μm以上のホコリの99.97%以上の集塵率が必要です。しかし、日立製の場合には、ドイツ・SLG社によって実機を用いた計測が行われているはずである為、低めの数値が表示されているはずです)
▼ 本体重量 (3)
「CV-SY20」の本体重量は3.9kgなので、掃除機としては普通程度です。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (2)
それらの重量は1.7kgですので、モーター式回転ブラシの機種としては普通程度です。
ただ、重量とは関係ありませんが、この機種には "サッとズームパイプ" という、足でヘッドを抑えて手元トリガーを指で引きながら、延伸管を伸び縮みさせて長さ調節ができる機能があり、日立製掃除機に慣れた使用者が、同社製から離れられない要因となっています。
▼ 運転音(最大値) (2)
「CV-SY20」の運転音は、64〜約59dBですので、掃除機それ自体がうるさい中でも、うるさい方の機種ということになります。
▼ エコモード (3)
この「CV-SY20」のエコモード(自動パワー制御)は、"床面検知" と、恐らくはその仕組みを応用した、ヘッドの操作速度等を検知する "操作力検知"、そしてヘッドを止めていると自動でパワーダウン⇒停止へと至る "アイドリング&ストップ" から成ります。
"床面検知" と "操作力検知" を用いて6分間フローリングを掃除した場合、「強モード」のみで同等の条件下を掃除した場合と比べて、最大約75%の省エネになるとされています。しかし、それは要するに、「強モード」が(ほぼ)使用されず、「中」と「弱」のみで運転された場合との比較を表しています。
▼ 付属ブラシ類 (2)
付属品は、通常のすき間ノズル("すき間用吸口")と、延伸管先端部か手元グリップ部のどちらかに接続して使うブラシ、"クルッとブラシ" のみです。
日立製の高額ヘッドは、ヘッド付根の関節が横に90度曲がることで、比較的狭い場所も掃除出来ますので、延伸管先端部はそちらに任せて、"クルッとブラシ" は手元グリップ部に付けておくのが、普通なのではないかと思います。
また、すき間ノズルについてですが、何と別売の "すき間用吸口ホルダー" なしでは、本体・延伸管に取り付けて保管することが出来ません。勿論、そのようなことはどちらでも構わなければ、問題ありませんが・・・。
▼ 価格 (3)
この「CV-SY20」の価格は、最安時に2万円強程度のはずです。
▼ 総合評価 (3.31)
この「CV-SY20」は、日立製の最高性能ヘッドに加えて、サイクロン式としては異常な高吸込仕事率、そして高いフィルター性能を誇りますが、そもそもまともなサイクロン式だとは言えません。
ティッシュをフィルター代わりに使う "ティッシュフィルター式" だと思えば、そういうものだと言うことになりますが、それに多額のお金をわざわざ払おうという方はあまりいないでしょう。
しかし、それでも良い方には、別に良いのではないでしょうか。実際、あまり売れない機種ではありますが・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・CV-SY20 ごみダッシュサイクロン | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ワイドごみハンターヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着 ・吸込仕事率:650〜約100W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.9kg/ 全体重量:5.6kg ・運転音:64〜約59dB ・排気方法:分散上方排気 ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・すき間ノズル収納:なし ・色:シャンパン(N) ・HEPAフィルター(相当品)仕様 | |
前年度型
・CV-SW20 ごみダッシュサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ワイドごみハンターヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着 ・吸込仕事率:640〜約100W[エコ自動モード有] ・本体重量:4.0kg/ 全体重量:5.7kg ・運転音:65〜約59dB ・排気方法:分散上方排気 ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・すき間ノズル収納:延伸管横 ・色:シャンパン(N)、フレッシュピンク(P) ・HEPAフィルター(相当品)仕様 ・ワイド曲が〜るロング吸口付 | |
関連ページ:
※2014年度以降の後継機種はありません
・CV-SY9(下位機種。「CV-SY10」は発売なし)
・CV-SW20(前年度型)
関連サイト: