2013年9月1日に発売となった東芝の「VC-SG513/VC-SG413」です。これらは同社製サイクロン掃除機「TORNEO(トルネオ)」の最新シリーズで、「TORNEO V(ヴィ)」とも呼ばれます。
その特徴としては、
- ダイソンと同じようにサイクロン部が2段で、2段目が多数(トルネオVは12個)の小さなサイクロンから成る
- 本体重量3.3kg/総重量4.8kgの小型・軽量機である
ということになります。
小型で "本格派" のサイクロンであるのは良いのですが、しかし、吸込仕事率は200Wしかありません。なので、最新のダイソンDC63の170Wと比べると高いですが、日本メーカー製としては最低ランクとなります。近年、日本製の小型サイクロン掃除機が増えていますが、これはその中でも2番目に低いです。
もっともこれは、サイクロンの渦が強いことのもう一つの側面だとも言えるはずですが。
実はこの「TORNEO(トルネオ) V」シリーズは、他メーカーの小型サイクロン掃除機とは違い、本体重量が少し重いこともあって、集塵容積が0.25Lではなく、普通のサイクロン掃除機のサイズの標準的と言っても良い0.4Lあります。しかも、ダストカップ内でゴミを約5分の1に圧縮する効果があるとされていますので、ゴミの入る量が少ないという訳でもありません。
東芝は、この本体重量3.3kgのシリーズを、サイクロン式の主力機種として売っていますので、小型機とは言え、普通の掃除機として買って欲しいという事なのでしょう。
この「VC-SG513/VC-SG413」にも搭載された、ダイソン製に似た "バーティカルトルネードシステム(12気筒)" とは、2012年3月1日発売の旧・上位機種「VC-SG711/VC-SG611 トルネオW」に初搭載された、横に2段に並べたサイクロンを縦に2段(※=vertical[垂直の])に並べることに成功した製品で、他の日本メーカー製よりは、さすがに遠心分離の効率は良いはずです。
しかし、ダイソンDC63の消費電力は1,150Wであるのに対し、このトルネオVのシリーズは、日本メーカー製掃除機として小型機の標準と言って良い、850Wでしかありません。
なので、そもそもモーターのパワーが弱く、せっかくの複雑なサイクロンでも、遠心分離の効率は、凄く高い訳ではないかもしれません。…もっとも、サイクロン部の構造=遠心分離の効率で、簡単にダイソンに並べるとはとても思えませんが。
トルネオVの透視図を見る限り、12の小サイクロンが生じる内部が空の逆円錐状の部分の、その円錐の角度がダイソンに比べると緩く見えますので、その分そこで生じさせている遠心力も、弱いものである可能性が高いです。
その12の小サイクロンの下の部分は、仕切りのプラスチックの部分(一応の床となっている)がとても近くにあるので、せっかく遠心分離したチリを再び巻き込みやすいのではないかと思えます。
また、その部分のチリは、自然にダストボックスに落ちる構造ではないので、ゴミ捨ての際にティッシュ等で拭う等して、人が落としてやる必要があるでしょう。なので、ホコリに弱い方は、苦手だと感じるかもしれません。
しかし、良い点としては、ダストカップが、ボタンを押して下が開くタイプの物ではなく、本当に単なるカップ状ですので、静かにゴミを捨てやすいです(ダイソンのように下に開くタイプは、ゴミがバサッと一気に落ちて、ホコリが舞ってしまうのです)。
また、これらの機種は、消費電力とパワーが低い割に、運転音は64dBとされているので、意外とごく普通のうるさい掃除機並みの音はするはずです。ダイソンDC63も、その程度の音はするはずですが。
この「VC-SG513/VC-SG413」では、ヘッド+延伸管+ホース部の重さも、約1.5kgとかなり軽く、取り回しは良いと言えます。
ヘッド "イオンカーボンヘッド" は、モーター式回転ブラシによる自走式で、静電気を抑えるマイナスイオンの発生機能も一応あり、床に付着する菌の98%を除去する効果があるとされています(パナソニックと日立の高性能ヘッドでは、99%だとされていますが・・・)。
また、使い勝手として、ヘッドと延伸管を水平にした場合にも、ヘッド裏は床から浮かないとされています(これはいつも日立が "ペタリンコ構造" としてウリとしていますが、一応向こうは高さ8cm以上で、こちらは小型の分高さ6.5cm以上で掃除可能とされています)。
お手入れで回転ブラシ部分を掃除する際にも、このヘッドの場合、裏返すのではなく、上面のカバーを取り外す珍しいタイプです。その為、普通よりお手入れがしやすいとされています。
延伸管部には、ゴミセンサーの "ゴミ残しまセンサー" が付いており、これはエコ自動モードとも連動していますが、ホコリを示すランプ表示を見ながら、掃除を進めることが出来ます。
これは、あくまでダイソン社が実施したテスト的デモンストレーションによればですが、トルネオV(試験機は、今年度型とほぼ同型の前年度型「VC-SG512」)では絨毯に撒いた小麦粉を十分に吸い取れないようです。日本メーカー製のヘッドは、固形物を吸い取れるように、ヘッド前と横の床とのすき間を比較的大きく開けているので、床に吸い付く力が弱くなります。
ダイソンを始め、欧米製では床への吸い付きが強く、その代りに固形物の吸込や、壁際掃除に弱さがあるのですが。
その辺りはタイプの違いなので好みの問題となりますが、アレルギーがある等して、絨毯の奥をしっかり吸ってもらいたい方は、ダイソン・・・ではなく、吸引力に関する海外基準のダストピックアップ率を公表しているエレクトロラックス社の「エルゴスリー」が良いかもしれません。ダイソンは、以前はダストピックアップ率を公表していましたが、DC26の後期型以降公表しなくなってしまいました。エルゴスリーであれば、紙パック式ですので、ゴミ捨ての際のホコリの舞いを心配する必要もありません。
今回発売される2機種「VC-SG513/VC-SG413」での違いとしては、単に付属品(及びボディカラー)の差となっています。
上位機種の「VC-SG513」には、「VC-SG413」には付かない、
- 伸縮ロングノズル
- ロングブラシ
- 布団用ブラシ
- 洋服布用ブラシ
- 付属品用ホース
- 付属品収納バッグ
といった豊富なアタッチメントが付属します。
前年度型となる「VC-SG512/VC-SG412」と、これらの違いとしては、
- ダストカップに加えて、その上のサイクロン部の分解・水洗いが可能となった
- 全体重量が100g増加
- (ボディカラーの違い)
単にこれらだけとなります。
ダイソンも水洗い出来ないですし、出来ないなら出来ないで特に問題はありませんが、出来た方が感じが良いのは確かです。
重量については、変更点がサイクロン部の分解が可能になった点だけですので、そこで若干重さが増えて、四捨五入で100g増となったのかもしれません。
これら最新のトルネオV「VC-SG513/VC-SG413」は、日本製のサイクロン掃除機としては優秀、かつ小型・軽量機ですので、そういった掃除機をお求めの方には、まあ良いのではないでしょうか・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:イオンカーボンヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200〜約50W ・エコモード:ゴミ残しまセンサー+床面識別+アイドリングオフ ・本体重量:3.3kg/ 全体重量:4.8kg ・運転音:64dB〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:収納なし ・色:グランレッド(R)、ターコイズブルー(L) ・ゴミ残しまセンサー付 ・伸縮ロングノズル、ロングブラシ、布団用ブラシ、洋服布用ブラシ、付属品用ホース、付属品収納バッグ付 |
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:イオンカーボンヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200〜約50W ・エコモード:ゴミ残しまセンサー+床面識別+アイドリングオフ ・本体重量:3.3kg/ 全体重量:4.8kg ・運転音:64dB〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:収納なし ・色:メタリックピンク(P) ・ゴミ残しまセンサー付 |
前年度型
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:イオンカーボンヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200〜約50W ・エコモード:ゴミ残しまセンサー+床面識別+アイドリングオフ ・本体重量:3.3kg/ 全体重量:4.7kg ・運転音:64dB〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:収納なし ・色:グランレッド(R)、ピンクゴールド(N) ・ゴミ残しまセンサー付 ・伸縮ロングノズル、ロングブラシ、布団用ブラシ、洋服布用ブラシ、付属品用ホース、付属品収納バッグ付 |
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:イオンカーボンヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200〜約50W ・エコモード:ゴミ残しまセンサー+床面識別+アイドリングオフ ・本体重量:3.3kg/ 全体重量:4.7kg ・運転音:64dB〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:収納なし ・色:メタリックオレンジ(D)、シャンパンゴールド(N) ・ゴミ残しまセンサー付 |
関連ページ:
・VC-SG514/VC-SG414(2014年度型トルネオV)
・VC-S43 トルネオVコンパクト(下位機種)
・VC-SG712 トルネオW(上位機種)
・VC-SG512 VC-SG412 VC-S312 トルネオV(前年度型)
関連サイト:
・吸引力が99%以上持続するサイクロン式クリーナー「TORNEO V」シリーズの発売について(東芝プレスリリース)
・東芝の「トルネオV」は“掃除をしたくなる掃除機”だ![前編]/[後篇](家電Watch)