東芝から2014年2月1日に発売となったコードレスハンディ+スティック掃除機「VC-CL100」です。ダイソンに似た同社製2段サイクロン "バーティカルトルネードシステム" を搭載したサイクロン掃除機でもあるため、同社製ヨコ型サイクロンと同じく、「トルネオV」の名で呼ばれます。
▼ 主な特徴
その特徴としては、サイクロン部でダイソンのマネをしている為、ある程度高性能なのですが、商品コンセプトでもダイソン・デジタルスリムのシリーズをマネしています。その為、ハンディタイプを基本としたスティックタイプでありながら、高性能な床掃除用モーター式回転ブラシを備えています。
ただ、高性能なサイクロン部と、充電量が減ってもパワーの落ちにくいリチウムイオンバッテリーを採用しているにもかかわらず、この「VC-CL100 トルネオVコードレス」では、吸引力の目安となる吸込仕事率が公表されていません。ライバル機となるダイソン「DC62」が100Wと公表しているので、恐らくそれに劣るのでしょう。バッテリーの電圧としては、「DC62」は21.6Vで、こちらは18.5Vなので、やはり劣っている可能性はそれなりに高いです。
何故か両社とも、モーターの回転数を公表していますが、ダイソンの最新デジタルモーターV6は最大110,000回転/分で、東芝は100,000回転/分なので、一応1割違います。
尚、両社がそれらに採用したモーターは、有害なカーボンダストを出さず、耐久性に優れる上級モーターの "ブラシレスモーター" だとされますので、どちらもかなり良い物です。
▼ 使い勝手
この「VC-CL100」が「DC62」より優れている点は、標準でホースが付いていることです(※ダイソンでは別売で2,625円)。これにより、片手で本体を持ちながら、もう一方の手でゴミのある部分にノズルを押し付けることが可能です。その上、付属品のショルダーベルトを取り付けて、肩掛けをして使うことも出来ます。
しかし、何故このような仕様になっているかというと、本体重量が重いからです。
「DC62」は、本体+出番の多いコンビネーションノズル(非モーターヘッド)が 1.29s(内ノズル70g)で、「VC-CL100」は1.8kgです。実のところこの510gの差が、この機種にとって致命的です。
ダーティーハリーの拳銃 "S&W M29" を片手で使いこなせるような力のある男性であれば、問題ないかもしれませんが、私は力のない男ですので(笑)、片手で使うのは正直無理です。そして片手で使えないハンディクリーナー等別になくても良いのです。
両手で扱う場合にも、片手でホースに繋がれたノズルを持ち、もう一方の手で本体の全ての重量を水平に保ちながら支え続けなければならないので、片手で扱うよりは負担が小さいものの、楽とは言えません。
専用ストラップを用いて肩掛けをする場合には、ON/OFFスイッチが何と体より後方に位置してしまうので、スイッチを押すのに二手間かかってしまいます。女性等で意識せず買ってしまった方は、ハンディ使用時には恐らく必ずこの使い方になるはずですが、なので正直不便だと思います。
ダイソンではホースは付属しませんが、逆にそちらでのみ、ハンディクリーナーとして使用時の、モーター式回転ブラシ内蔵ミニヘッド(モーターヘッド)が付属します。その為、ソファ等からペットの毛等を取り除くのにはとても便利で、車内清掃にも向いているはずです。
スティックタイプとして使用する場合には、「DC62」がヘッド+延伸管で810gあるのに対し、「VC-CL100」は500gしかないので、本体と合わせた重量差は、270gにまで縮まります。
また、実際に床掃除をする場合には、ヘッドを通じて重量が床に分散されますので、ハンディ時よりも楽に使えます。しかし、これはダイソンも同様ですが、床近くではなく手元に重心があるタイプですので、長時間使うと必ず不要に疲れます。こちらは特に手元が重いので、負担は大きくなるでしょう。
ヘッドの回転ブラシの性能は、ダイソンは導電性のあるカーボンファイバー素材を使用しているので、フローリング上ではそちらの方が良いかもしれません。しかし、「VC-CL100」の物も意外と立派ですので、悪くはありません。
こちらの良い点として、延伸管先端部にブラシ(非回転)が付いており、ヘッドを外せば即そのブラシで狭い場所も掃除出来ます。また、ハンディ部のブラシも常設装備となっており、それを外すことなく延伸管の接続が可能です。そして先程も述べましたが、やはり常設装備の蛇腹ホースがあります。なので、本体をあまり動かすことなく、あちこち掃除が可能です(…ただし、本体が重過ぎ)。
▼ バッテリー
この「VC-CL100」の特徴として、リチウムイオンバッテリーの充放電回数が約2,100回となっており、これはダイソン等に搭載されている平均的なリチウムイオンバッテリーが約500回程度であることから、その約4倍ということになっています。
交換時の価格は、15,000円程度となっていますので(※バッテリーの交換は、メーカーに送って行います。これはDC62も同じですが)、高いことに間違いはないにしても高過ぎる訳ではありません。
「DC62」用バッテリーだと、価格は8,400円しますので、その×4=33,600円分が「VC-CL100」に載っていることになります。これは価格面からだけ見れば、選ぶに当っての決定的な要素となります。
可動時間としても、「DC62」は "強" で6分、"弱" で20分動くのに対し、こちらは "強" で8分、"弱" で20分ですので、吸引力はともかくとして、稼動時間は同等以上です。ただし、充電時間は、ダイソンは約3.5時間で、こちらは約5時間かかります。
▼ 充電台
更に、付属品として、こちらには充電台が付属します。「DC62」等ダイソンのハンディ・スティック両用のデジタルスリムシリーズでは、"壁掛けブラケット" という本体を引っ掛けて収納するためのケースが付いていますが、、壁にネジ穴で固定しなければ使えない為、実際にご使用になっているご家庭がどれ程あるのかは分からないものです。
それに比べると、この「VC-CL100」用のものは、置くだけで良いので、見た目はともかく機能性では優秀です。部品コストも、勿論こちらの方がかかっていることでしょう。
ただし、この東芝製の充電台では、何故だかすき間ノズルの収納が無理なのだそうです。幾らなんでもここまでやっておいてそれは・・・と思います。せめて延伸管の横か裏辺りに取り付け可能であれば救われますが、それもありません。ダイソンの "壁掛けブラケット" には余分なノズルを二つも挿し込めるというのに、やはり東芝は東芝なのか。
▼ 形状について
トルネオVコードレスは、ヨコ型トルネオVとは違って、ダイソンに似ていないのは良いのですが、韓国・サムスン電子製に似ているのでは、ダイソンに似ている方がマシです。
しかも、性能はともかく、とにかく物凄く負けています。まさか東芝が販売するロボット掃除機・スマーボのように、中身がサムスン製なんてことはないでしょうね・・・。(※「東芝の販売するOEM品について」)
▼ まとめ
主な性能や使い勝手では、ダイソンの「DC62」に分がありますが、逆にバッテリーの寿命・コストでは東芝「VC-CL100 トルネオVコードレス」に圧倒的な分がありますので、重さが気にならない男性には良いかもしれません。…あと、すき間ノズルをなくさない自信のある方にも。(^^)
尚、ダイソンデジタルスリムのシリーズでは、電源スイッチが人差指で引くトリガー式となっており、以前の「DC45」「DC35」では指が疲れるという声が圧倒的でした。しかし、2013年9月発売の「DC62」では、トリガーを軽く引けるよう改良されており、amazonのレビューを見ても気にならないという声が多いです。こちらの東芝「VC-CL100」の場合には、電源スイッチは普通のタッチボタンなので、その面では心配ないのですが、本体が重いのでそもそも体力のない方には向いていません。
これらは、ハンディタイプを元にスティックタイプにした型であるために重心が高く、そもそもタイプ的に長時間の床掃除には向いていません。力のない女性等は、エレクトロラックスの「エルゴラピードリチウム」にしておけば、一番無難だと思います。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・東芝 VC-CL100 トルネオVコードレス | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:軽量パワーヘッド(パワーブラシ) ・目詰まり対策:(バーティカルトルネードシステム[6気筒]) ・吸込仕事率:未公表 ・18.5Vリチウムイオン充電池採用 ・本体重量:1.8kg/ 全体重量:2.3kg ・運転音:未公表 ・色:グランレッド(R)、ターコイズブルー(L)、グランホワイト(W) ・5時間充電・「強」約8分/「弱」約20分可動 ・節電アイドリング機能 ・ショルダーベルト、充電台付 | |
関連ページ:
・VC-CL1200/VC-CL200 トルネオVコードレス(2014年度型)
・EC-SX200 FREED(フリード)(シャープ)
・HC-VXE20P iNSTICK(三菱)
・CS3250 ORA(オーラ)(ブラック&デッカー)
・エルゴラピードリチウム(エレクトロラックス)
・PV-BA100は遅すぎた(日立)
・MC-HS700G MC-HS500G(パナソニック製AC電源・コードレス両用ヨコ型)
・MC-BR30G プチサイクロン(パナソニック製ヨコ型コードレス機)
関連サイト:
・トルネオV コードレス VC-CL100(TORNEO V cordless)サイクロン式クリーナー(東芝トルネオ特設ページ)
・コードレスタイプのサイクロン式クリーナー「TORNEO V cordless」の発売について(東芝プレスリリース)
・打倒ダイソンなるか!?東芝のサイクロン式コードレス掃除機『TORNEO V cordless』(@DIME)(当サイトの方が先です ^^;)