パナソニックから2014年2月20日に発売となった、サイクロン掃除機「MC-SXD430 エアシス」です。
(※ジャパネットたかた専売品「MC-JPX1-W」はこちら▼)
その特徴としては、「エアシス(airsis)」との名で呼ばれるように排気性能が優れており、掃除機としての最高性能規格の高性能フィルター "ULPAフィルター" それもリング状の特殊な "ULPAリングフィルター" を装着していることが挙げられます。これにより、0.08μ(マイクロ)メートル以上のホコリの約99.995%を集塵することが可能です。
これは家庭用掃除機のフィルターとして、少なくとも国内で販売されている物の中では最高性能となっています。
…ただ、良い所はそれ位で、高価な割にイマイチです。
この機種は一応サイクロン式(パナソニック名:ツインサイクロン)ですが、実態としてはフィルター前に挟んだティッシュにゴミを集め、ティッシュごと捨てる "ティッシュフィルター式" の掃除機です。
そのティッシュ部で止めきれなかったホコリは、メインフィルターで集塵し、ゴミ捨て時にそこに備え付けの振動式チリ落としを手動でガチャガチャと動かして清掃し、フィルターの詰りを防ぎます。
先程挙げた高性能なULPAフィルターは、その更に後にあるフィルターで、メインフィルターでも防げなかった分を集塵することになっています。そちらはお手入れ不要です。
パナソニックには "パワープレスサイクロン" という、サイクロン式本来の、遠心分離によるゴミの空気からの分離を行う機種も一応あるのですが、そちらにも実はULPAフィルターが付いています。
性能的には、こちらの方が上ですが、なので、実のところこの「MC-SXD430」の排気性能には、大きなメリットはありません(※2014年度には、パワープレスサイクロンは小型の "プチサイクロン" のみのラインナップとなってしまい、それに伴ってULPAフィルター装備型はなくなってしまいました。しかし、他社製であれば、まだ数種類あります)。
ヘッドには、パナソニック製の高性能ヘッドである "パワフル自走ノズル" を装備していますが、これが他の同名品とは少し違う特殊な物となっています。
まず、この機種では回転ブラシ部に、フローリングシートを巻き付けて床拭きをしながら使うことが可能となっています。これは、床にシートを敷き、シートセット用専用ボタンを押すことで自動でなされます。
しかし、パナソニックの通常の "パワフル自走ノズル" は、回転ブラシによる "フローリングの菌までふき掃除" をウリとしていますので、本来あまり必要とされない機能であるように思えます。
しかも、シート拭き機能があるからか、この機種では、回転ブラシによる床拭き効果が "フローリングの菌までふき掃除" ではなく、一段低い単なる "ふき掃除" だとされています。本来シートを付けなくても、高い清掃力を発揮するのに、シートを付けない状態での性能を落としてしまっては、掃除道具として褒められたものではありません。
シートの装着には、ドライシートだけではなく、ウェットシートの取り付けも可能ですが、吸込の風ですぐに乾いてしまいますし、そもそも湿り気を吸わせること自体、ホコリがフィルターに張り付く要因になるはずなので、感心できません。
"パワフル自走ノズル" には、足踏みでヘッド部分が大きく外れて、子ノズルが現れる仕組みがあるのですが、それはこの「MC-SXD430」にもあって使いやすいはずです。
ただ、このタイプには、本来ゴミを照らすLEDライトが、ヘッド部とその子ノズル部の2箇所にありますが、この機種では子ノズル部のみとなっています。
また、エコモード時の吸引力選定の一因となる、"床面検知機能" と、"ブラシ回転数制御機能" も省かれています。
これらは、ふき掃除能力の劣化やLEDライトの省略と合わせて、この新型エアシスには、パナソニック製掃除機の最高装備が投入されていないことを意味しています。
これは良い点ですが、吸気内のホコリを探知してランプで知らせると共に、エコモード時の吸引力選定に使用される "ハウスダスト発見センサー" は、他のパナソニック製高額機種と同じように装備されています。新型エアシスのエコモード時の吸引力選定は、この機能によってのみ行われています。
ちなみに、この機能はパナソニックと東芝にのみにあるものですが、パナソニックが本家で、視認性でも優位に立っています。
あとは、根本的な問題として、パナソニック製は、ヘッド+延伸管+ホース部の重量が重いです。この「MC-SXD430」では、通常より100g軽い1.9kgですが、それでもやはり重めです。
この機種では、掃除機の吸引力を表す吸込仕事率も300Wしかなく、通常の3分の2程度ということになっています。
ただこれは、以前の機種より本体が小型化された為で、小型機としてならこれで普通程度です。
とは言え、この新型エアシスの本体重量は3.9kgなので、残念ながら小型機とは言えません。小型機と呼ぶには、3.0s程度にまで絞る必要があります。
なので、これはそこそこ重い割に、パワーがないということになります。
ただ、パワーがないせいで運転音は比較的静かな部類に入り、最大で58dBということになっています。
この新型エアシス「MC-SXD430」には、"空気清浄モード" なるものも付いています。
これは掃除が終わった後に本体からホースを抜き、本体のスイッチをオンにして、10分間「弱」運転をさせ、空気清浄機の代わりをさせようというものです。
排気性能が高い掃除機で、排気を(部屋を循環させるために)後ろ斜め上に出せる機種であれば、同じことが出来ない訳ではないので、アイデアの勝利であるように思えます。
ただし、シャープの2011年度型「EC-WX300」と2012年度型「EC-WX310」であれば、掃除中、及び掃除後にも、15分間本体上部から専用モーターで室内の空気を吸い、専用フィルターで濾過して(+掃除機レベルでは効果がないと断定されたプラズマクラスターイオンを付加して)送り出す機能がありましたが、エアシスとは違ってフィルター性能と風量に疑問がありました。
この機種には、今は亡き三洋電機の設計だった前年度型「MC-SXD420」があったのですが、違いとしては、
- 吸込仕事率が530〜60W⇒300〜120Wに
- 運転音が61〜約55dB⇒58〜約55dBに
- 本体重量が4.8kg⇒3.9kgに
- 本体サイズ(cm)が、28.0×34.7×24.0(幅×奥行×高さ)⇒27.0×41.5×22.8に
- ヘッドが三洋製ハイエンドヘッド "逆立ちパワーブラシ" ⇒ "パワフル自走ノズル" に
- サイクロン部が "ティシュdeブロック" ⇒ "ツインサイクロン" に(どちらも同レベルのなんちゃってサイクロン)
- フィルターの自動振動機構⇒手動式振動機構に
- "ハウスダスト発見センサー" の装備
- 回転ブラシ部のシート装着に関し、ワンタッチ取り外し用ブラシ逆回転ボタンの省略
- 先端にブラシの付くすき間ノズル "2WAYブラシ" ⇒普通のすき間ノズルに
- 延伸管やホース部もパナソニックの設計品に
ということになります。
メインフィルターの自動振動機構が手動式になったことに関しては、電源を切る度にガタガタガタと5〜9秒間大きな音がしていたのがなくなりました。
なので、運転音がその点でも改善されたのですが、手動式ではゴミ捨て時にしか振動させられませんので、その分メインフィルターが詰りやすくなったかもしれません。
回転ブラシに巻き付けたシートを取り外すボタンがなくなったことに関しては、新型「MC-SXD430」では、巻き付いたシートを手で剥がさなければならないので、ただでさえ微妙なシート装着機能が、更に微妙になったと言えるでしょう。
この新型エアシス「MC-SXD430」は、パナソニックの設計になってみれば、何のことはなく、単に低級サイクロンの "ツインサイクロン" の上位機種に過ぎませんでした。しかも、重量の割にパワーは低いです。
フローリングシート取付機能は、あっても構わないものの、シート非装着時の回転ブラシによるふき掃除性能が落ちていては、他の高額機種に見劣りします。
また、排気性能こそ最優秀ですが、サイクロン式は結局ゴミ捨て時に不潔なので、それでもOKの人しか使えません。
空気清浄機能は、他の排気性能が高い機種でも出来ない訳ではありません。しかし、手軽に実行できる仕組みとなっているのはエアシスだけですので、実際に使うのであれば悪くはないでしょう。…本当に空気清浄が必要な方は、素直に空気清浄機を買った方が良いと思いますが(汗)。
「エアシス」のシリーズは、ネームバリューがありますし、通販のジャパネットたかたが大量仕入れをしてくれるので残したかったのでしょうが、何だかキョンシーみたいになってしまいました。
安ければまだ選びようもあるかもしれませんが、これは高い製品です。…せっかくのフルモデルチェンジでしたが、どうにもならないかもしれません。
ジャパネットたかた用「MC-JPX1-W」
2014年2月20日の同日に、テレビ通販王手の "ジャパネットたかた" から、エアシスの同社専売用型番「MC-JPX1-W」が発売となっています(「W」はホワイト色を意味しています)。
これは「MC-SXD430」と基本同型モデルですが、安く仕上げるためにか、延伸管には2世代前の物が採用されています。これは持ちやすさでは新型に劣るものの、その分数十グラム軽く・安く出来ています。
また、付属品からパナソニック純正布団用ノズルの "ふとん清潔ノズル"(※別買可) と "ペタすき間ノズル"(※床面用すき間ノズル。)、"つぎ手パイプ"(※別買可ながら、本来ふとん清潔ノズルとセット) 、"ホース掛け" (※スタンド収納時のホース固定用。別買可)が省略されることで、更なるコストダウンが図られています。
両機種における違いは、ジャパネットが公表する限りそれらだけですが、価格は、不要な掃除機の下取り有で、税込32,184円+送料972円+下取手数料540円=33,696円ということになっています。
この「MC-JPX1-W」は一応発売後半年程度ですが、既にまるでモデル末期のような安さですので、パナソニック正規版より圧倒的にお買い得です。
パナソニック サイクロンクリーナー エアシス MC-JPX1-W
※2015年1月18日までの限定(※高田明社長は16日で退任です)で、ジャパネット版レイコップ「RT-300J」とのセット販売があり、
◆ 39,800円(+消費税:3,184円+送料:972円=総額:43,956円)
ということになっています。
ジャパネットのレイコップは税別で19,800円しますので、この「MC-JPX1」だけでは何と20,000円ということになり、普段より10,000円も安いということになります。
また、このセットの場合、下取りが必要ありませんので、下取り手数料分の540円も、総額の段階で安くなります。
なので、大変お得であると言えば、確かにお得なセットです。
尚、"下取り手数料" とは何かと言いますと、基本的に購入者のご自宅からジャパネットへ下取り掃除機を送るための送料だと思います。
何年か前にはなかったものですが、下取りしたものを中古販売するのでなければ、下取り制度は中止した方がその分(少なくとも送料分)安くできるじゃないか!という意見がありまして、それに対応することになったのかもしれません・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MC-SXD430 エアシス | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフル自走ノズル ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300〜約120W ・エコモード:ハウスダスト発見センサー+アイドリングオフ ・本体重量:3.9kg/ 全体重量:5.8kg ・運転音:58〜約55dB ・排気方法:斜め後方排気(エアブロック) ・持ち手(本体):固定式 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:ホワイト(W) ・ULPAフィルター仕様 ・エアダストキャッチャー付 ・簡易空気清浄機機能有 ・ふとん清潔ノズル&ペタすき間ノズル付 | |
前年度型
・MC-SXD420 エアシス | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:隅とり逆立ちパワーブラシ ・目詰まり対策:フィルター自動クリーニング&ティッシュdeブロック ・吸込仕事率:530〜約60W ・(エコ)自動モード:床質識別のみ ・本体重量:4.8kg/ 全体重量:6.7kg ・運転音:61〜約55dB ・排気方法:斜め後方排気(エアブロック) ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・手元ブラシ:〇/すき間ノズル収納:延伸管裏 ・色:ホワイト(W) ・ULPAフィルター仕様 ・簡易空気清浄機機能有 ・純正ふとんブラシの「ふとん清潔ノズル」付 ・ペタすき間ノズル&2WAYノズル(ブラシ付きすき間ノズル)付 | |
関連ページ:
・MC-HS700G MC-HS500G(AC電源・コードレス兼用型)
・MC-SXD420 エアシス(前年度型)
・MC-SS330G(2013年度型パワープレスサイクロン)
・VC-JS4000 トルネオVコンパクト[ジャパネット仕様]
・VC-J3000 トルネオ[ジャパネット仕様]
・CV-S100J[ジャパネット仕様]
・RT-300J レイコップRT[ジャパネット仕様]
関連サイト:
・MC-SXD430(W) エアシス|パナソニック公式サイト