「DC61」は、2013年9月13日(オフィシャルサイトでは9月1日より先行販売)にダイソン社から発売となった、ハンディタイプのコードレスクリーナーです。
その特徴としては、強モード時の吸込仕事率が100Wもあり、他社製では充電式ハンディ掃除機として2番目に強力なボッシュ「GAS18V-LI」の32Wの、実に3倍以上の吸引力ということになります。
ヘッドには、モーター式回転ブラシを内蔵したモーターヘッド(MH)(ミニモーターヘッド)と、先端部にブラシを脱着可能なコンビネーションノズルを備え、隙がありません。
また、サイクロン部に関しても、ダイソンが原点となる大きなサイクロン1つと、ゴミを空気から分離する遠心力を高める為の複数の小さなサイクロン(15個)からなる2段式(=2Tier Radial Cyclone[2ティアー・ラジアルサイクロン])で、強力にゴミを遠心分離することが出来ます。
前作「DC34」との違い、及びその他の特徴
これを先代モデル「DC34」(※お手頃価格でまだまだ売っています)と比べると、モーターパワーの強化で、吸込仕事率の最大値が65W⇒100W、つまり約1.5倍になっています。
サイクロン部でも、以前は2段目の小サイクロンが6個しかなかったものが、2.5倍の15個に増えています。更に、1段目の大サイクロンの中央にある簡易フィルターの目が細かい物に変更されたことで、ゴミを遠心分離する力も相当上がったはずです。
ただし、メインフィルターの掃除の必要頻度は、「DC31」以来1ヶ月に1度程度だったものが、期間が長くなったかと思いきや、これは1ヶ月に1度程度のままでした。2ヶ月に1度程度とまでは言えないので、1ヶ月に1度程度のままになったのでしょうか。
今回、サイクロン部が強化された上で、吸込仕事率も約1.5倍に上がっていますので、新開発のダイソン・デジタルモーターV6と、再設計されたというニッケルマンガンコバルトバッテリーの組み合わせは、従来比1.5倍では済まない高性能さのはずです。
充電時間は、約3.5時間、強モードでの稼動時間も6分間のままですが、通常モードで約15分だったものが20分に、そして通常モードでのモータ式回転ブラシ使用時にも、13分⇒17分へと大きく伸びています。
また、この系列の製品は電源スイッチはトリガー式なのですが、前作まではを引いていると疲れるとの話がありました。今回、それを受けてトリガーが微妙に引きやすく改良されており、と同時に、やはり押しにくかった「MAX(強モード)」ボタンも、押しやすい低い位置で大きなボタンに変更されています。
そしてまた、洗浄が必要なフィルターの位置が、ダストボックス後部⇒ダストボックスの中心に移され、その形状も、少し歪曲した平面状の物から、円柱形の物に変更されています。
なので、本体の形状こそ、前年度までの型とよく似ているものの、フルモデルチェンジということになっています。
本体重量についても80g減っていますが、モーター式回転ブラシの入ったミニヘッドの重量が100g増えたようで、総重量は20g増の1.55sとなっています。ノズルに関しては、先端に脱着可能なブラシの付く "コンビネーションノズル" の方が使用頻度が圧倒的に高いはずなので、そちらを使う際には、単に80g軽くなったとみて良いでしょう。
今回は、バッテリーも変更されており(リチウムイオン⇒リチウムイオン系のニッケルマンガンコバルト型)、交換用の価格は6,300円だったものが8,640円(送料540円)となっています。
ただ、バッテリーに関しては、今回取り外しがネジ式に変更されています。そのため、予備バッテリーを用意して、電力が切れたら交換するという使い方は基本出来なくなりました。また、バッテリーだけ取り外してコンセントの傍らで充電するという方法も基本困難となり、本体も一緒にコンセントの傍らに置かなければならなくなりました(※バッテリー交換においては、説明書には取り外しの方法が記載されていませんが、実際は自分で交換することになります)。
あとは付属品として、布団・布用ノズルの "フトンツール"(※4,200円) が追加となっています。
そして定価ですが、同じモーターヘッドモデルで、34,000円だったものが5,800円高い39,800円ということになりました。その内、フトンツールが4,200円、バッテリーの差額が2,100円ですので、本体価格はほぼそのままということになっています(本体とセットだと、付属品も安く買えているはずです)。
この新型「DC61」では、吸込仕事率が大幅に上がりましたが、このパワーアップは実のところ、この製品に床用ヘッドを付けたタイプの「DC62」の為に行われた可能性があります。
床用モーターヘッドは、キャニスタータイプ(ヨコ型)とも大きさは共通ですので、高い吸込仕事率が必要とされます。ダイソンのヨコ型の最新型「DC63」では吸込仕事率は170Wですので、「DC62」の100Wではそれでもまだ足りません。
しかし、この「DC61」は小さなヘッドを付けたハンディクリーナーに過ぎません。なので、標準モードの28Wでも一応十分で、前作「DC34」の最高65Wもあれば、ハンディクリーナーとして問題なく使えるはずです。
また、進化したサイクロン部に関しても、フィルター清掃の目安の数値自体は変わっていませんし、前作までのサイクロン部でも、酷使は考えにくいコードレスタイプ用としては十分な性能がありました。
勿論、せっかく買うのですから、吸込仕事率の高い方を買っておけば良いと言えるのですが、安く買える旧モデルで済ませてしまうのも、買い方としてありかなと思えます。
※ただし、家電Watchのスタバ齋藤氏の「DC62」のレビューで、ダストボックス中央の簡易フィルターにホコリが付着しにくくなり、また、ゴミが底部で固まりやすくなった、とありますので、やはり新しい方にしておくのが鉄板のようです。
本体以外では、フトンツールが4,200円で、バッテリーの差額が2,100円、合計6,300円でしたので、3万円を少し超える位なら、この「DC61」で問題ないと言えるでしょう。
ただ、メインノズルとされているモーター式回転ブラシの入った "モーターヘッド" は、ソファ等用ですので、実のところフトンツールと役割が被ります。しかし、フトンツールの方が一度に掃除できる面積が広いので、あればあるで便利ですが、逆に言えばその程度なので、なくても特に困らないと言うことも出来ます。
勿論、ハンディクリーナーにそのような役割を求めなければ、困ったことに両方不要なのですが・・・。メインノズルの "モーターヘッド" 、実のところなくて良い人も多いと思います。
ダイソンで布団掃除(フトンツール使用)
布団掃除にはレイコップよりダイソンの掃除機の方が効果的(家電Watch)。韓国製のレイコップは、動かしやすさが割合重視されているので、こういう結果となります。
当「DC61」と、同じダイソン社製のキャニスタータイプ(ヨコ型)と比べる場合には、装着するフトンツールは実は同一品ですので、吸引力で勝るそちらの方が、良い結果が出るはずです。
布団用のノズルは、別にダイソン社の専売特許ではなく、国内の有名・無名を問わずの数多くのメーカーから、以前から普通に販売されていますので(⇒「布団用掃除機ヘッド」)、既に掃除機をお持ちの方であれば、そちらを安く買って使用することも可能です。
ダイソンのフトンツールの価格は、定価で4,320円となっていますが、実のところこれこそが本物のボッタクリ価格で、高過ぎて買えません(笑)。
その構造としては、若干樹脂的なプラスチックの成形品に、エチケットブラシ(右の写真の赤い部分)を張り付けてあるだけですので、ブランドを考慮して高めの価格設定をするとしても、定価で1,600円、実売価格として1,200円程度が妥当だと個人的には思います。ただ、これを4,320円で売って成り立っている訳ですから、やはりダイソンは凄い!としか言いようがありません。
フィルター掃除
フィルター清掃に関しては、「DC62」や「DC74」とも共通ですが、このようにして洗浄し、その後24時間乾かす必要があります。
フィルターが完全に乾かない内に使用すると、悪臭が染み付く恐れがあります。
ダイソンのサイクロン掃除機における洗浄が必要なフィルターは、スポンジタイプなので乾きにくいですが、他社製のプリーツタイプ(波型)でも、24時間の乾燥が必要だとされている場合が多いはずです。
「DC61」の国内外での価格差
この「DC61」は、ダイソン社の本国・イギリスでは「DC58 Animal」として、アメリカでも「DC58」として販売されています(※「DC58」は外国用の型番で、非日本向けです)。「Animal」というのは、日本では付属するのが普通の "ハンディ用モーターヘッド" が付属することを意味するので、アメリカではそれは付属せずに、販売されていることになります。
それらは日本版「DC61」とは、機能や性能の数値は皆同じですので、少なくともほぼ同一のものであるはずです。
定価は、日本版が40,937円であるのに対し、アメリカでは何と249.99ドル、つまり約2万5千円です。アメリカではフトンツールも付いておらず、コンビネーションノズル(先端ブラシ付ノズル)と、すき間ノズルが付属するだけですが、ハンディクリーナーとしてはそれで一応十分です。
アメリカのamazon.comでは何故かこの取り扱いが殆どなく、357ドルと公式サイトで購入した方がずっと安い有様です。200ドルくらいで買えれば最高なんですが。ちなみに、DC34(※ハンディ用モーターヘッド未付属。日本での定価は32,914円)であれば、定価で199.99ドルでamazon.comでは169ドルとなっています。何と言ってもハンディクリーナーなんですから、やはりそんなところでしょう。
イギリス本国ではどうなっているかと調べてみると、定価は229.99ポンド、日本円に直すと約39,880円(※計算時:1ポンド=約173円)で、日本版「DC61」とほぼ同じです。
しかし、イギリス版には "フトンツール" が付いていないのですが、にもかかわらずその価格です。
イギリスのamazon.co.ukで価格を見てみると、何と211.99ポンド=36,758円。・・・売れてるの?と驚愕しましたが、皆さんきっとどこかのサイトで、アメリカからの並行輸入品(非正規輸入品)を買っているのではないでしょうか。
イギリス本国に比べれば、日本は一応恵まれていることは分かりましたが、やはり使わないかもしれない高価なツールを余分に付けて、高く売るようなやり方は感心できません。ハンディ用モーターヘッドとフトンツールの付属はなしで、定価で25,000円位にしてもらわないと、若干納得が行きません。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・DC61 モーターヘッド(DC61MH) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ ・目詰まり対策:(2段サイクロン) ・吸込仕事率:100W〜28W ・21.6Vリチウムイオン充電池採用 ・本体重量:1.22kg/全体重量:約1.55kg ・運転音:未公表 ・色:パープル×ニッケル、アイアン×ニッケル ・3.5時間充電・「強」約6分/「標準」約20分(モーターヘッド稼働時約17分)可動 ・付属品:コンビネーションノズル(ブラシ付ノズル)、すき間ノズル、フトンツール | |
先代モデル
・DC34 モーターヘッド(DC34MH) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ ・目詰まり対策:1ヶ月間フィルター掃除不要 ・吸込仕事率:65W〜28W(標準モード) ・22.2Vリチウムイオン充電池採用 ・本体重量:1.3kg /全体重量:約1.53kg ・運転音:未公表 ・色:アイアン×サテンパープル ・3.5時間充電・「強」約6分/「弱」約15分(モーターヘッド稼働時約13分)可動 ・コンビネーションノズル(ブラシ付ノズル)、すき間ノズル付 | |
DC61&DC62用別売ロングパイプ
・DC61&DC62用ロングパイプ | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・色:パープル、レッド、グレー ・DC34,35,45用とは、接続部の形状が少し違うようです | |
現在、「DC61」用のロングパイプは、並行輸入品(第三者による非正規輸入品)なら販売されていますが、別売ヘッドがありません。「DC34&DC35」や「DC45」用なら売っていますので、1〜2年以内には誰かが輸入販売する可能性は高いです(※別売ヘッド、販売されています)。
ダイソン社によるそれらの別売品としての正規品は、これまで販売されたことがありません。なので、その「DC61&DC62」用が販売される見込みも、あまりありません。
それらは「DC62」としてセットで買っておいた方が安く済む可能性は常に高いはずですが、なので、床用セットは当面必要ないけれども欲しくなるかもしれない、という程度であれば、「DC61」を購入すれば良いのではないでしょうか。
ちなみに、床用ヘッドがなくても、実はハンディ時用ミニモーターヘッドをロングパイプの先に取り付けて、それで床掃除をすることは可能です。
それの場合車輪がないので、フローリングでは傷を作る可能性があり、好ましくはありません。しかし、絨毯上であれば吸引口が小さい分で、実のところ非常に高い性能を発揮しますので、使うのも悪くはないと思います(ただし、部屋全体を掃除するには小さすぎですが・・・)。
あと、この「DC61」では、「DC62」には付属する "壁掛け用ブラケット" がありません(※ブラケットもまた、「DC62/DC61」用と、それ以前の物用とでは別物です)。
これは、収納時に邪魔なロングパイプと床用ヘッドがなければ、特に必要ないと思います。
しかし、何らかの理由で必要なのであれば、やはり並行輸入品の別売もあります。
関連ページ:
・V6 マットレス&トリガー〔HH08COM/HH08MH〕(2015年度型)
・ダイソンV6における違い(新型「V6」俯瞰ページ)
・DC74 Fluffy/DC62 モーターヘッド(当機の床用ヘッド&延伸管付属モデル)
・DC34(前年度型)
・DC35(Digital slim™ multi floor)
・ダイソンの吸引力の真相(DC61,62のCMの秘密)
・ダイソン掃除機用別売オプション(ノズル類等)
関連サイト:
・DC61 モーターヘッド(DC61MH)|ダイソン公式サイト
・ハウスダストは、屋内アレルギーの最大の原因物質(ダイソン公式サイト)
・ダイソンのハンディクリーナーでソファを掃除したら、ゴミが取れすぎてドン引き!!(家電Watch)
・家電製品ミニレビュー 付属ツールの充実でダイソンの掃除機がもっと楽しく!(家電Watch)