2013年3月中旬に、韓国のLGエレクトロニクスから日本新発売となった「HOM-BOT(ホームボット) スクエア VR6260LVM」です。これは、前年度型「HOM-BOT(ホームボット)2.0 VR6170LVM」の後継機種ということになりまして、普通に自動充電機能も搭載した製品です。
これは、日本では東芝が販売元となっているサムソン電子製「スマーボ」と性能的に似た機種で、部屋をランダムに動き回るのではなく、部屋の端から逆の端まで、雑巾がけのように進路を順序立てての、一度の通過で掃除を終えます。
そして、それを実現するために、やはりスマーボのごとく光学カメラを装備し、最大毎秒30回周囲を撮影することで、現在位置を把握します。
また、スマーボとは違って、こちらでは別カメラで床面も撮影するようで、そちらでは移動距離を割り出しているとされます。
ただ、このような方法では、掃除を終えるのは早いものの、掃除の仕方は多少粗くなるというのが、初代スマーボで得た教訓で、その為、スマーボの2代目・スマーボVからは、念入りに室内を縦横に2往復する方式に変更となっています。
やはりその為か、このLG製新型「HOM-BOT(ホームボット)スクエア」でも、"リピートモード" なるモードが新設されていまして、充電地が切れるまで掃除を繰り返すことも、可能となっています。
充電式の掃除機は、そもそも吸引力が弱いので、同じ地点を多方向から繰り返し通過する位でないと、なかなか綺麗にはならないはずなのです。なので、その方式で十分なのかには、何とも言えないものがあります。
この製品には、"空間拡張モード" という、部屋の内部をブロック分けして掃除する、家具の多い部屋等に向くとされるモードが付いています。しかし、そのモードでも、1個所を1度の通過で掃除を終えるのには違いないので、それでも不充分であろうことには変わりありません。韓国ではどうかは分かりませんが、やはり日本では、少なくとも "リピートモード" が必要でしょう。
この「HOM-BOT(ホームボット)スクエア」では、その他でも、前年度型と比べてかなり多くの改良点が存在します。
まず、その名の通り、形が円形から四角形に近い形となっています。これは、サイドブラシを可能な限り本体の角に設置することで、部屋のコーナー(角)のゴミを掻き取ろうという発想によるものです。
左右に2本付くそのサイドブラシも、従来より1.5cm長くすることで、部屋の角のゴミを従来比89%多く取ることが出来るようになったという話です。
実はルンバも、部屋の角のゴミまでサイドブラシは届いていないのですが、ルンバの場合には、部屋の角付近で方向を変えながらウロウロしている内に、何と後方に出る排気で角のゴミを吹き飛ばして出し、再びその辺りを通過することで見事に殆ど回収します。
室内を結局4度通過するスマーボVであれば、同じ事になっているかもしれませんが、ココロボだと上方排気ですので、恐らく角のゴミは取れないでしょう。
しかし、そもそもロボット掃除機が丸いのは、その場で回転して方向転換をすることが出来、物へのぶつかりを少なくすると共に、狭い場所に入り込んでも脱出しやすくするためです。方向転換時には、それでも物に当ってから少し下がって方向転換すれば良いのですが、狭い場所からの脱出には、この形状は不利となるはずです。
「従来の円形のお掃除ロボットは、椅子の下など狭い場所に入り込んでしまっても、自力で出られるようにあの形を採用していたと思うのだが、四角い形だと椅子の下に入り込んでしまっても出られないのではないか」という質問が出た。これに関しては「HOM-BOTシリーズは、物にぶつかりにくい設計がなされている。基本的には椅子の下に入り込んで掃除するということはしないので、問題ない」という回答があった(by 家電Watch)
…このロボットは狭い場所には入って行かないようです(汗)。
また、この機種は先程も述べたように、カメラで周囲を撮影して現在位置を把握していますが、以前は何と室内が暗いと、そのカメラ撮影が不能となることがあったようです。しかし、今回光度を計算する新システム "デュアルアイ2.0" を搭載し、見事解決に成功しているようです。
…ということは、東芝のスマーボVや、この機種の今年度発売の下位機種「VR6140LVM/VR5942L」では、夜中や雨天でカーテンを閉めた状態では、掃除に失敗することがあるのでしょうか。参考になります(笑)。
また、今年度からは、センサーが感知した壁等には接触しない仕様となると共に、従来の赤外線センサーではなく超音波センサーを使うことにより、透明なガラスまで探知し、また、その場所を記憶することで2回目以降の掃除では、障害物への衝突を初回より63%減らせるとされています。なので、センサーが感知しにくい家具等の角にも、間違って突っ込みにくい性能となったようです。
運転モードとしては、前述の "リピートモード" の他にも、"マイスペースモード" というものが新設されています。これは、リモコンで本体を移動させることで範囲を指定して、その内部空間だけを2度掃除するモードです。本体の半径1m以内を掃除する "スポットモード" は大抵のロボット掃除機にありますが、この範囲指定の機能は今までありそうでなかったものなので、実際使うかどうかはともかく、感心はします。
また、これは他モードとの同時使用が可能なはずですが、回転ブラシに "ターボモード" と絨毯等でONになる "自動ターボモード" が新設されています。これは単なるターボモードのみ、初代スマーボにはありまして、多分スマーボVではターボが通常となり、"マナーモード" なる運転音を落とすモードで、ターボモードを解除する設定になっているはずです。しかし、自動ターボモードは他にはないはずなので凄いと思いますが・・・48dBというこの(系列の)機種独特の低運転音を実現する為には、普段は回転数を落としておくことが必要なのでしょう。それで省エネになったとしても、多分微々たるものだと思います。
この製品では、フィルターもHEPAフィルターを採用している為、排気も綺麗です。しかも、今作では前年度比約2倍程度の大きさの、幅の広い物が採用されていまして、恐らくは比較的目詰まりしにくくなると共に、それと連動してダストボックスの容量も、前年度比約1.5倍の0.6Lと大きなものとなっています。
現在、ロボット掃除機でHEPAフィルターが採用されているのは、このシリーズ以外では、シャープ製の "ココロボ" とやはり韓国のMONEUAL(モニュエル)社製 "CLEMON(クレモン)" だけのはずです。
段差乗り越え能力でも、前年度型ではたった1cmまでとされていましたが、この製品では2cmまでだとされています。2cmまで乗り越え可能だとされている、日本で販売されている製品は、ルンバとコーボルトVR100だけですので、この面でもトップレベルの性能ということになります。
また、この製品には、高性能なリチウムイオンバッテリーが搭載されています。2013年現在、高額なロボット掃除機は、ルンバ以外皆リチウムイオンバッテリー搭載型となっていますので、もはや珍しくはないですが、一定の高性能であるという事にはなります。ちなみに、充放電可能回数は約500回で、ごく普通です。
他では、マイクロファイバー製の布を本体下部に取り付けての、フローリングを乾拭きさせる機能がありますし(これはスマーボシリーズにも有)、音声での案内機能も付いており、また、"スマート診断" という、本体に問題や異常がないか自己診断し、その結果をその音声案内で知らせる機能まで付いています。
実は前年度の「HOM-BOT(ホームボット)2.0」では、タイマー機能が非常に劣っており、予約ボタンを押して、何時間後に起動させるかを選べるだけのようでした。しかし、今回は時刻予約機能が付いています。ただし、それでも曜日毎の予約は、スマーボVと同じくどうも無理のようですが(ルンバとココロボでは可能)。
また、重要な話として、このシリーズの製品には、赤外線でロボットが入れない仮想壁を作る、バーチャルウォール発生装置が付いていません。なので、それが必要な方には、向いていないということになります。シャープのココロボにも、何故かこの機能はないのですが・・・。
VR6270LVMB
2013年10月には、付属品追加版上位機種「VR6270LVMB」が発売となっています。
これには、
- カーペット専用回転ブラシ
- 予備サイドブラシ×2
の2種の付属品が追加となっています。
カーペット専用ブラシというのは、絨毯上ではゴミ除去率が約30%もアップするとされていますが、フローリング上では逆にその数値が落ちるとされています。なので、万能な上位ブラシではなく、使い勝手には問題が残ります。
このブラシは、標準付属となるのはこの機種だけですが、別売もあります。その為、他のホームボットスクエアにそれを買って取り付けることも可能です。
また、付属品以外にも、ボディカラーが全体を黒に変更されていますが、それと同時にUVコーティングも施されています。これにより、紫外線による見栄えの劣化を防ぐと共に、傷や汚れが付きにくくなっています。
VR6340LV
同年11月には、何とホームボットスクエア・シリーズ中、最安・廉価版の「VR6340LV」が発売となっています。
これは、床面用カメラが省略されて、カメラは天井用の一つとなったのが最大の特徴となる機種です。これにより、同シリーズの他機種より、位置測定の精度が劣る、つまり掃除が少し下手だと考えられます。
また、時刻予約機能も省略され、運転モードでも、
- 空間拡張モード(部屋を小分けに認識して掃除する最上位モード)
- ここだけモード(直径1.5mの範囲内のみ掃除)
これら2モードが省略されています。
他では、マイクロファイバー製の布を本体裏に付けて乾拭き掃除をさせる機能と、先行発売の上位2機種には付属した、予備フィルター×1枚も省略されています。
安く買えるのは良いのですが、安いと言っても本当に安い訳ではありませんので、せっかく買うなら上位の普通の物にしておいた方が良いのではないでしょうか。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・HOM-BOT(ホームボット) スクエア VR6260LVM | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ+サイドブラシ×2 ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:未公表 ・本体重量:約3.0kg ・運転音:?〜48dB ・色:チタンシルバー ・約3時間充電・100分可動 ・14.8Vリチウムイオン充電池採用品(1,900Ah) ・サイズ:直径34.0cm×高さ8.9cm ・(ワイド)HEPAフィルター仕様 ・フローリング用専用マイクロファイバーモップ装着可&リモコン有 | |
・VR6270LVMB HOM-BOTスクエア | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ+サイドブラシ×2 ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:未公表 ・本体重量:約3.0kg ・運転音:?〜48dB ・色:ミラーブラック ・約3時間充電・100分可動 ・14.8Vリチウムイオン充電池(1,900Ah) ・サイズ:直径34.0cm×高さ8.9cm ・(ワイド)HEPAフィルター仕様 ・フローリング用専用マイクロファイバーモップ装着可&リモコン有 ・カーペット専用回転ブラシ、予備サイドブラシ×2追加付属型 | |
・VR6340LV | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ+サイドブラシ×2 ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:未公表 ・本体重量:約3.0kg ・運転音:?〜48dB ・色:ブラック ・約3時間充電・100分可動 ・14.8Vリチウムイオン充電池採用品(1,900Ah) ・サイズ:直径34.0cm×高さ8.9cm ・(ワイド)HEPAフィルター仕様 ・リモコン有 ・カメラ×1、予約機能、拭き掃除機構、運転モード×2、予備フィルター省略型 | |
関連ページ:
・HOM-BOT(ホームボット)2.0 VR6170LVM(前年度型)
・シャープ・ココロボ「RX-V200/RX-V90/RX-V50」
・東芝・トルネオロボ「VC-RCX1,VC-RVD1,VC-RV1」
・東芝・Smarbo(スマーボ)V[VC-RB8000/VC-RB7000]
・モニュエル MR7780J/MR6680J CLEMON(クレモン)
・ロボット掃除機(安価なルンバの類似品の数々)
関連サイト:
・VR6260LVM ホームボットスクエア|LGエレクトロ二クス・ジャパン
・VR6270LVMB ホームボットスクエア|LGエレクトロ二クス・ジャパン
・VR6340LV ホームボットスクエア|LGエレクトロ二クス・ジャパン
・日本でロボット産業が育つために必要なことは何でしょうか。(東洋経済オンライン)
韓国はこの7〜8年でロボットに関する技術やノウハウを熱心に磨いてきました。カギとなったのは、単に政府が資金提供などをしただけでなく、研究機関が作られ、企業が互いに技術を統合し製品化につなげる。そして、市場からの反応を企業にフィードバックして、改善を重ねてきたという活動です。
韓国製ロボット掃除機の方式にMAP作成式が多く、皆似ているのには、こういった理由もあったようです。
・中国をめぐる日米欧中メーカーの白物家電戦争〜中国における掃除機関連の発明出願件数(MONOist)
LGとサムスン、特にLGが圧倒的ですが、どうりでこのホームボットはサムスン製の東芝・スマーボより優秀に見える訳だ・・・。
・【動画】ロボット掃除機[※ホームボット・スクエア]に小型カメラを装着 部屋はどう見えているのか?(AOLニュース)
・ロボット掃除機の選び方を『BCNランキング』マガジン編集長が徹底指南![ルンバ780vsココロボRX-V100vsHOM-BOTスクエア](BCN)
・LG“四角いロボット掃除機”はルンバ、ココロボに勝てるか?(日経トレンディネット)
・LG、部屋の隅々まで掃除できる四角い形のお掃除ロボット(家電Watch)
・韓国でルンバよりもLGの「HOM-BOT」が売れている理由(家電Watch)
・LG社長ら在宅起訴 サムスン製洗濯機破損で(ZAKZAK)