「EC-QX310」は、シャープから2012年11月1日に発売となった、新型のサイクロン掃除機です。
その特徴としては、まず丸い、というか巨大な車輪しかないような形状に目を奪われますが、実は有名メーカー製としては、最軽量となる小型機です。本体重量は2.4kg、ヘッド等全て含めてもたった3.8kgしかありません。
ただ、小型だということは、集塵容積=入るゴミの量も少ないことを意味します。なので、これは一軒家用というより、アパート等にお住まいの方用ということになります。
ヘッドには、微弱な自走力を持つと共に、裏に全方位キャスターを備えて横方向にも動かしやすい "こまわり・すみジョーズ自走パワーアシスト" というモーター式回転ブラシを内蔵し、パワー自動コントロール+ヘッドを床から浮かすとOFFになるエコモードも備えているので、安物ではありません。
吸込仕事率は300Wしかありませんが、これは小型サイクロン掃除機としてはまあ普通です。
他では、シャープ製は皆そうですが、一応遠心分離型のサイクロン構造を持っていますし、フィルターも高性能なHEPAフィルターです。更には、(あまり意味なく)プラズマクラスターイオンの放出機能も備えます。
ただ、気になる点として、方向転換の際に倒れ易そうにも見えますが・・・店頭で実機を見てきましたが、普通の掃除機と同じ程度のようでした。ちなみに、残念ながらホースの本体側の付け根の部分は、左右に可動したりはしませんでした。
形状があまりに変わってしまいましたが、この「EC-QX310」には、前年度型として「EC-PX200」がありまして、違いとしては、、、
- 本体重量で300g減。全体重量では数値として出ないものの、ヘッド・延伸管・ホースも発泡性プラスチックを用いる等して軽量化
- 吸込仕事率は330W⇒300Wに減少
- 運転音は最大値で2dBの悪化で64dBに
- フィルターお手入れランプが、本体⇒見易い手元グリップ部に移動
- フィルターの手入れ用(振動用)レバーが、ダストカップを取り外してカバーを開かなくても操作可能に
- ※筒型フィルターが目の粗いものになった
- ※手動のフィルター振動機構の振動で落ちたチリを、ダストカップ下部に掃き落とす為のゴムベラが、あまり効率の良くなさそうな物に変更された
…ということになるようです。
吸込仕事率が下がって運転音が上がったのは、サイクロンの渦を強めた可能性もなくはありません。しかし、アルミ素材を使う等しているようですが、元々軽い物を300gも減らしていますので、多少無理をしたのかもしれません。
また、フィルター振動用のレバーをいつでも操作出来るようになったのは、この手の手動操作式としては元々があまり良い設計だった訳ではなく(ダメだった訳でもないでしょうが・・・)、フィルターお手入れ(催促)ランプが本体から手元グリップ部に移ったのは、地味に良いアイデアだと思います。
※前年度の「EC-PX200」と、その前々年度(シャープ製小型サイクロンの初代)の「EC-PX120」では、ダストボックスの中にある筒型のフィルターが目の細かいものとなっており、比較的細かなホコリもそこで弾かれるようになっていました。しかし、固形物を吸い込んだ場合の耐久性の問題なのか何なのか、この「EC-QX310」では、東芝製辺りよりも目の粗い物に変わってしまいました。
こういう1段しかないサイクロンでは遠心分離の効率は良い訳がなく、また、これの場合には小型機ですので、尚更ホコリの遠心分離力には懸念があり、更に筒型フィルターの目が粗くなってしまいました。なので、ダストカップ部の上のメインフィルターにまで達するホコリの量は多いはずです。
しかも、これはそのメインフィルターを手動のフィルター振動レバーで振動させ、フィルターに付いたホコリを下に落とす仕組みとなっているのですが、そのフィルター振動と連動して落ちたチリを更にダストカップの下部にまで掃き落とす為のゴムベラが、下に掃き落とす効率が良くなさそうな物に変わってしまいました。カバーを開かなくても、振動用レバーを操作できるようになったのは良いのですが、これでは良くなったのか悪くなったのか、よく分かりません。
なので、ホコリを処理する性能は、モデルチェンジで下がっているように見えてしまいます。
この「EC-QX310」は、かなり独創的に見えますが、実のところ円(球)の中にモーターやフィルター等入れてしまうというのは、DC36,DC46 ダイソンボールの発想ですし、また、巨大タイヤの発想も、東芝製メガホイール等以前もたまに販売されています。ただ、ここまで徹底したのは、初めてだろうと思います。
これは、小型機故に実現可能となったアイデアだと思いますが、しかし、ここまでになってしまうと、掃除機として何となく心許ない感じもしますが・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・EC-QX310 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:こまわり・すみジョーズ自走パワーアシスト(パワーブラシ) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:300W〜70W ・エコモード:吸込自動調節+アイドリングストップ ・本体重量:2.4kg/ 全体重量:3.8kg ・運転音:64〜約57dB/集塵容積:0.25L ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):半固定式 ・手元ブラシ:〇 ・色:ピンク系(P)、グリーン系(G) ・HEPAフィルター仕様 ・高濃度プラズマクラスター7000付 ・2WAYベンリヘッド(カーテン・ソファー・布団等用ノズル)付 | |
関連ページ:
・EC-PX210(標準ボディ型)
・EC-PX200(標準ボディ型旧モデル)
・EC-DX100(この「EC-QX310」と基本同型のコードレスタイプ)
関連サイト:
・シャープ、“デカ車輪”採用で総重量3.8kg! さらに軽くなったサイクロン式掃除機(家電Watch)