「2段ブーストサイクロン」とは、日立製の上級サイクロン掃除機に採用されている、サイクロン構造のことです。
⇒参考図
これが説明困難な妙な物で、日立製の下位サイクロン掃除機、シリーズ名「ごみダッシュサイクロン」のティッシュをフィルター代わりにするダストボックスと、その手前で吸った空気をスクリュー状に上へ導きつつ一回転させ、そのカーブを曲がり切れなかったゴミが、上のダストボックスに放り込まれる構造とを組み合わせた物です。
なので、そこでとりあえず確かに「2段」だとは言えます。
ではブーストはと言うと、吸気が1回転するスクリュー状の風路に差しかかる段階で、多少風路が狭くなっているらしく、そこで風速が上がるようです。それが第一段階の「ブースト」です。
しかし、第二段階が全くの謎で、一応ダストボックス内でサイクロンがあるという話になっていますが、そこには単にティッシュを被せたメッシュフィルターがあって、ゴミがそこで濾し取られるだけの仕組みとなっています。遠心分離する訳では恐らく全くありません。
そこでは、ゴミが圧縮されるという記述がありますが、何故圧縮されるのかと言うと、ゴミがフィルターに押し付けられるからです。ブーストされるという話になっていますが、ブーストされると、単に空気が勢いよくフィルターに押し寄せて、ゴミと空気がそこに押し付けられるだけの仕組みです。
なので、そこでブーストされても、ゴミが圧縮される半面、フィルターを通り抜けるホコリが増えるのではないでしょうか。
ダストボックスのティッシュ部を通り抜けた空気は、"クリーンフィルター" と呼ばれるアコーディオン状の、通常はメインフィルターとして使われるフィルターにたどり着き、そこで本格的に濾されます。今までいい加減なサイクロンを使ったことがある方は、フィルター掃除に悩まされた経験がおありと思いますが、これがそのフィルターに相当します。
勿論、吸ったゴミの多くは、ティッシュ部を通るので、それがないサイクロン掃除機よりはマシです。しかし、問題は、最初のスクリュー状の風路で、ティッシュのあるダストボックスに遠心力で飛ばされなかったゴミが、直接クリーンフィルターにたどり着いてしまう構造になっていることです。
ですので、掃除の必要のあるクリーンフィルターの詰りやすさは、全てのゴミがティッシュ部を通る、下位機種の「ごみダッシュサイクロン」より多いはずなのです。
特に、ダストボックスが満杯だと、1段目のスクリュー部から、直接クリーンフィルターへ向かう風路に、ゴミが殺到してしまうはずです。勿論、そうなるとフィルターが詰まりやすくなるでしょう。
クリーンフィルターには、電動、もしくはコードの引き出しの力を利用するフィルター振動機能が付いており、それでフィルター上に軽く積った程度のホコリは落とせます。
しかし、めり込んだり、湿気で張り付いていたりすると、その分は落ちずにどんどん溜まります。なので、結局はフィルターを外して手で掃除する必要が出てくるはずです。
また、2011年度型からは、電動を廃止して、コードの引き出しと連動してフィルター振動を行う廉価版機種が発売となりましたが、自然と振動機会が少なくなる分、電動の物よりも性能が落ちるはずです。
この「2段ブーストサイクロン」は、一言で言ってしまえば、"なんちゃってサイクロン" なのです。なので、サイクロン掃除機が欲しい方が買うものとは少し違っています。
(※ごみダッシュサイクロンも勿論同様です!)
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