ダイソン社が「ダイソンの真実」と称して、良識派ぶった妙な啓蒙キャンペーンを行っていますので、一応分かることを書いておきます。
(※実は、ダイソン側にこれらとは別の初期バージョンがあったのですが、それはもっと酷かったです)
「いいえ。 吸引力が変わらないのはダイソンだけです。」
…いきなりですが、ちょっと待った。
今回、この複数の円錐状の筒の先にコアセパレータと呼ばれる筒を追加して従来2層構造だったサイクロン部分を3層構造に変更。他のサイクロン掃除機よりも効率をアップすることによって、従来97%強だった分離が99%近くになり、モータへのホコリの流入がほとんどなくなった。(マイコミジャーナル)
…という訳で、ダイソンでは、DC22で99%弱、DC12plusでは97%程度のゴミ分離率となっています。DC26だとスペック上での判断として、その中間でしょう。
また、DC26の2009年度型だとそんなに使ってなくてもこの状態となります。


なので、吸引力が変わらないというのは、まず嘘です。また、少なくとも、99%以上であることを仄(ほの)めかしたがっているように見えますが、99%にも届かない可能性が高いです。
しかし、日本製のサイクロンが酷かったのは本当です(笑)。実質的な詐欺だった、と言っても良いかもしれません。最近だと、以前よりはマシかもしれませんが。
2.[イオン発生装置]や[床上に舞うホコリも吸うヘッド]で空気をきれいにできる。
「いいえ。これらの装置に顕著な効果は期待できないことがわかりました。掃除機で部屋の空気をきれいにするには、床のゴミをきちんと取り除くことがもっとも重要なのです。」
イオン発生機能に関しては基本的にその通りで、無駄なおまけです。掃除機でサッとイオンを出すだけではほぼ意味がありません。イオンは、効果が欲しければ、密閉した部屋である程度の長時間出すべきでしょう。
ただ、シャープはダストカップ内にイオンを放出することで内部の静電気を取り除き、ゴミが付着しないように工夫しています。この点に関しては、高級機であるダイソンも出来ればすぐに真似すべきです。ケチを付けている場合ではありません。確実に今より好ましい製品となることでしょう。
また、パナソニックの「エアダストキャッチャー」に代表される床上のホコリも吸うヘッドですが、効果には確かに謎が残ります。ただ、ヘッドに穴をあけると吸引力を(幾らか)失うというのは、多少の事実誤認があり、実はヘッドの上からは、どのメーカーでもそんなに吸っていません。なので、吸引力への影響は殆どありません。
しかし、ダイソンは自社のタービンヘッドの機種のヘッドの構造をすっかり忘れ去っています。DC26だと、吸込仕事率はたった170Wしかないのにヘッド横に大穴をあけて、タービンを高速で回すための空気を取り込んでいます。吸引力への影響云々というのであれば、あれこそ問題でしょう。
「高い吸引仕事率(W)=より多くのゴミを吸い取るわけではありません。」
これはそうです。また、吸引力が(あまり)変わらないと、ヘッド裏の形状を吸引力に対して最適化しやすいというメリットがあります。
しかし、日本のメーカーでは高い吸込仕事率(ダイソンの約3倍以上)を生かして、固形物を吸いやすいようにヘッドの前をある程度の高さで開けており、そのせいで壁際のゴミも吸いつけ易く出来ています。
また、ダイソンは、ヘッドの回転ブラシに硬めの物を採用していることもあり、絨毯には強いです。
しかし、硬いが故に、フローリングや畳を傷つける可能性があるので、回転を止めなければならないケースも存在します。その場合、回転を止めなくて済む国内メーカー製に対し、清掃力で不利になります。
なので、実際はかなりややこしいです。「吸込仕事率は低いけれどもダイソンが一番」、なんてダイソン社の望む簡単な話にはなりません。
ちなみに、結局日本に住む日本人が一番納得するように作ると、国内メーカー製のやり方になるような気がしますが。
はい、ダイソンの掃除機は強力なサイクロンのために、他よりも音が大きく感じられるかもしれません。 独特の運転音はサイクロンテクノロジーがきちんと機能している証拠なのです。
音が凄いのは、実はDDM(ダイソン・デジタルモーター)という特殊モーターによるところが大きいはずです。なので、それを採用していないDC26は、日本の安めの掃除機と同程度です。・・・書いてる人が分かっているのか、分かっていないのかもよく分かりません。
「いいえ、DC26は市場で最小クラスのサイクロン掃除機です。」
確かにDC26は最小クラスですが、ホースとヘッドの重さは基本的に日本製より重いです。なので、DC26だと全体では結局普通位のはずです。
ただ、カーボンファイバー(CF)シリーズではない普通のDC26 motorhead completeだと、延伸管部が半端なく重いです。女性には向かないでしょう。
また、先代の主力機種DC22だと最悪です。使用者が女性の場合、買うのはちょっとどうかと思います(ダイソンはよく売ったなあ・・・)。
いいえ、ダイソンは、壁際だけではなく、家中からより多くのゴミを取り除くために設計されています。
まず、ヘッドの前では残ります。日本製だと、そういった苦情が出ないように設計されていますが。ただ、ヘッドの横だと、回転ブラシは届きませんが意外と吸うようです(とりあえずDC26)。なので、一応壁際はヘッドの横で吸わせましょう。
映像のエンジニアは、ヘッドは場所に合わせて色々あるなんて言っていますが、それこそもう一回一般家庭を回って、意見を聞いてもらいたいところです。ヘッドを付け替えずに、どれだけ部屋を綺麗に出来るかが、日本の消費者の望みであり、また、日本の掃除機の一つのトレンドです。
いいえ、ダイソンは日本家庭のために、日本専用の掃除機を開発しています。
一応日本向けに開発されていますが、外国育ちの外国人が一時的に日本に住んで、持ち家・分譲マンションも持たずに開発した物です。なので、フローリングでも安心して使えるといった、日本人には当たり前の視点がないのです。
とにかく、ダイソン社は日本の常識が通じないところです。自社製品をどう沢山得るかだけを考えて、色々言っているようにしか、私には見えません。例え外国メーカーでも、ずっと日本で商売をするつもりであれば、それではマズいだろうと思うのですが。
よくは分かりませんが、恐らくノルマが厳しいので、やり方に無理が出ている可能性が考えられます。
もっとも、"なんちゃってサイクロン" を平気で売り続けた国内メーカーも、少なくとも掃除機の分野では、実質的に酷さには何ら違いはないのですが・・・。
私は、ビジネスマンでなくエンジニア。売上や市場拡大でなく、消費者の生活をより豊かにする新たな技術の開発に力を注ぐことが一番のミッションだと考えている。(ボール型ボディでらくらく操作、ダイソンのスタイリッシュな新作掃除機 by AFPBB)
社長のジェームズ・ダイソン氏はそのように発言していらっしゃるようですが、さてさてどうでしょうか・・・。
関連ページ:
・DC26
関連サイト:
・そんなダイソンをヨイショヨイショな・・・(マイコミジャーナル)