「EC-CT12」は2011年6月10日にシャープから発売となった、新型(マイナーチェンジ)のサイクロン掃除機です。シリーズ名として、"POWER CYCLONE(パワーサイクロン)" とも呼ばれます。
その特徴としては、サイクロン掃除機として、一応のまともな遠心分離機構を備えると共に、高性能なHEPAフィルターや、手回しダイヤル式のフィルター振動清掃機構、そして、ヘッドにはタービン式の回転ブラシを備えていることが挙げられます。
※評価はおおよそのものです。
▼ ヘッド (2)
この「EC-CT12」のヘッドは、シンプルに "タービンヘッド" とだけ呼ばれています。
その意味は、風力(タービン)式の回転ブラシを内蔵したヘッドということになり、実はそれはほぼ一般名称なのですが、シャープとしては潔くも(?)それで済ましています。
回転ブラシとは、このヘッドの場合には、毛(ブラシ)とゴム板が交互に付いた横長の回転棒のことで、それが回ることで床からゴミを掻き取ります。
▼ 吸込仕事率 (3)
「EC-CT12」の吸込仕事率は、450〜約70Wです。一応の遠心分離をするサイクロン掃除機としては少し高めですが、3年位前まではこれ位が標準的でした(最近は、遠心分離にパワー使う本格サイクロンが増えたのと、小型機が増えたのとで、吸込仕事率は低い機種が多いです)。
▼ 清掃力 (2)
タービン式回転ブラシ付ヘッドの特徴としては、専用のモーターを内蔵したモーター式に回転力で劣るので、一般にフローリング向けだとされています。
それでも、ヘッドに回転ブラシのないタイプに比べれば、例え絨毯上でも清掃力は優れています。
▼ サイクロン部(吸引力持続) (2.5)
この「EC-CT12」を含むシャープ製 "POWER CYCLONE" は、本格的なサイクロン掃除機ではなく、サイクロンは1段式で、基本的に大きなゴミを遠心分離できる程度です。
それでも、サイクロン掃除機には、まともな遠心分離機構を備えないのに、空気が回るという程度でサイクロンを名乗る製品もありますので、このシャープ製はマシな仕組みに出来ています。
細かなチリは、ダストカップ上部の円形のメインフィルターで集塵されますが、主に掃除終了後のゴミ捨て時に、フィルター振動用ダイヤルをガチャガチャと動かしてその振動で溜まったチリを下に落とすことで、ある程度の吸引力が回復します。
しかし、フィルターには振動では落ち切らないゴミが徐々に溜まって行きますので、そうなると手作業でのフィルター掃除が必要となります。
これは勿論、本来的なサイクロン方式とは言えず、褒められた方法ではありません。
しかし、それでもダストボックス中央にある筒型フィルターに、比較的まともなフィルターが装着されていることと、フィルターの振動装置があることとで、同様の仕組みのもう少し安い製品と比べれば、マシだと言うことが出来ます。
▼ ゴミ圧縮 (1)
シャープ製 "POWER CYCLONE" シリーズでは、特にゴミ圧縮効果は謳われていません。
ただ、ダストボックス内でゴミが回っている間に、ゴミ同士が自然とくっついてある程度固まる効果ならありますし、また、ゴミが多く溜まり、ダストボックスのどこかで引っかかると、そこでゴミは圧縮されることになります。
▼ ゴミの捨てやすさ (2)
この「EC-CT12」のダストボックスは、ダイソンのように底が開く方式ではなく、カップ式ですので、ゴミをそっと捨てることが出来ます。
しかし、これは殆どのサイクロン掃除機に共通ですが、やはりゴミを舞わせない為にゴミ袋内に直接捨てるのが好ましいですし、また、底に最後まで残る粉末状のチリは厄介です。
▼ ダストボックスの容量 (2)
「EC-CT12」のダストボックスの容量は、0.35Lです。この数値は微妙に少なめですが、それでも標準的な範囲内にはあります。
▼ フィルター (3.5)
この機種には、高性能なHEPAフィルターが採用されていますので、フィルター性能は高いです。
ただ、フィルター取り付け部は、使用者が時々外してフィルターの汚れをチェックするはずですし、そこはフィルター振動でチリが大量に落ちる場所である為、接合部分は汚れやすいですので、気密性に関しては若干怪しいものがあります。
▼ 本体重量 (3)
この「EC-CT12」の本体重量は、3.8kgですので、掃除機としては普通程度です。
サイクロン掃除機は、5kg弱の製品が元々は標準的だったので、これは軽い方でした。しかし、最近は小型機が多くなったので、それらと比べるとこれもさすがに重いです(ただし、小型機は吸込仕事率や集塵容積で劣るのですが)。
▼ ヘッド+延伸管+ホース部重量 (4)
それらの重量は1.2kgですので、全体としても、また、タービンヘッドの製品としても軽いです。
▼ 運転音(最大値) (2)
「EC-CT12」の運転音は、64〜約57dBです。これは数値的には微妙にはマシながらも、普通にうるさい掃除機です。
▼ エコモード (0)
この「EC-CT12」は、安価な製品なので、エコモードの類は付いていません。
ただし、"やさしさモード" というものならありますが、それは事実上の "弱モード" に過ぎません。
▼ 付属ブラシ類 (1)
「EC-CT12」には、通常のすき間ノズルのみが付属します。
▼ 価格 (4.5)
この機種は価格の優等生で、10,000円前後で買うことが可能です。これは、発売日が2011年06月で、それ以来ずっと売っているということもありますが。
▼ 総合評価 (2.32)
この「EC-CT12」は、本格的ではないものの、一応のまともな遠心分離機構、それもまともな筒型フィルターと、性能が高く見えるフィルター振動機構を持った製品です。
しかも、フィルターとして高性能なHEPAフィルターを採用しており、排気性能も高いです。
それが1万円で買えるのであれば、物凄く安いです。
なので、安いサイクロン掃除機が欲しい方や、とりあえずサイクロン掃除機というものを使ってみたいと思う方には、良いのではないでしょうか。
ただし、勿論ですが、静かなサイクロン掃除機や、もっと清掃力の高い掃除機が欲しい方は、もっと高い機種を買うべきです。なので、ご購入に当っては、所詮価格の範囲内の性能しかない、というような認識を持つことも、必要だとは思います。
当「EC-CT12」と、2009年度型「EC-CT11」との比較
この「EC-CT12」は、2009年度モデル「EC-CT11」からのマイナーチェンジとなっていますが、違いとしては、
- 本体部持ち手形状の変更
- 運転音の最小値が2dB悪化
- 集塵容積が0.05L増加
- ヘッドの若干の小型・軽量化
- 延伸管部のデザイン変更
…主なところではこのようなところです。
なので、実質殆ど変っていません。ただ、これはもうほぼ完成形で、変えるところはあまりないはずです。
※店頭で見て来ましたが、何と実のところ、旧CT11より劣化しています。
まず、ダストカップ部の円筒形フィルターのフィルターの目が明らかに粗くなっています。なので、メインフィルターに達するホコリも多くなるはずです。しかも、フィルターが粗くなったのであれば、空気が通りやすくなる分パワーが上がって良いはずですが、数値は旧型と全くの同一値、つまり実質モーターパワーが落ちているはずです。
ちなみに、先代の筒型フィルターは、普段回転する吸引の風にさらされている為か、髪の毛が絡む程度で、目詰まりは基本的に起こりません。目の粗い筒型フィルターの方が、ホコリが引っかかる余地があるので、マズイと思います。
下の写真はもっと高額の機種の物ですが。


また、ヘッドも、洗練されたのではなく、一段安い造りとなり、以前は簡単に外せた回転ブラシが、コイン等で捻らないと外れない仕組みとなっています。
メインフィルター部も、前作にあった "しっかり感" のようなものがなくなり、安っぽくなっています。
一見カッコ良くなった本体の持ち手部分も、改良したというよりは、廉価版にした感じが漂っています。
ただ、現在(2014年)となってみれば、元々価格が下がるのが前提となっており、メーカーがそれに合わせて製造したと見えなくもありません。実際、価格の割には良いものであるように見えます。
また、質が下がったとはいえ、(価格の割に)それでも他メーカー製よりはまともに作ってある製品だと思えます・・・。
フィルター部にティッシュを装着すると・・・


右の写真のように、フィルター振動で落ちたチリをダストカップに掃き落とす回転するゴムベラが、ティッシュを破ってしまいます。
なので、フィルター部へのティッシュ装着は、基本的に出来ない構造となっています。(※⇒「サイクロン掃除機におけるフィルター部へのティッシュの装着について」)。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:タービンブラシ ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:450W ・本体重量:3.8kg/ 全体重量:5.0kg ・運転音:64〜約57dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・色:ベージュ(C) ・HEPAフィルター仕様 |
先代モデル
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![]() | ・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:タービンブラシ(高トルクタービンヘッド) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:450W ・本体重量:3.8kg ・運転音:66〜約55dB(2009年新基準)/61〜約55dB(従来基準) ・持ち手(本体):固定式 ・色:ホワイトシルバー(S) ・HEPAフィルター仕様 |
関連ページ:
・EC-CP12(上位機種/※生産終了)
・EC-FX60T(現在の上位機種/小型機)
・VC-C4A トルネオミニ(東芝製タービン式/小型機)
・EC-CT11(先代2009年度モデル)
関連サイト: