(※⇒パワープレスサイクロン一覧)
一昨年の夏〜秋には "JET SPIN CYCLONE(ジェットスピンサイクロン)" という方式の珍しいサイクロン掃除機を作り上げ、専門サイトまで立ち上げてあんなに喜んでいたというのに、もう諦めて今度は、「遠心分離方式パワープレスサイクロン」と名乗り始めました。
前回は、外観が奇抜であったためか全然流行らなかったので、今回はあまりに分かりやすくダイソン風の外観でのチャレンジです。
まず、この「MC-SS300GX」で採用された「遠心分離方式パワープレスサイクロン」という複雑な名前からです。
遠心分離とサイクロン、の語は事実上被っているのですが、それはともかく、パワープレスというのが何かと言うと、円形ダストカップの下部を不自然に膨らますことにより、回転しているゴミが上へ上がりにくくするとともに、回転中に圧縮する効果をもたらすもののことを言うようです。
なので、本来 "パワープレス" と言うより、 "エアプレス" とでも言った方が、名が体を表すのではないでしょうか。それが出来ないところに若干の自信のなさを感じてしまいます。一応空力を使った良い工夫だとは思いますが。
"「メタルメッシュシリンダー採用」髪の毛やペットの毛を通しにくく、目詰まりを防止" 等とも書かれていますが、そんな高そうな部品(名前以上に特殊な形状なのです)を使わずとも、シャープでもダイソンでも、そこを髪の毛やペットの毛が通り抜けてフィルター部まで達することは、普通ありません。
"業界初「リニア振動フィルター自動クリーニング」" というものは、1秒間に220回フィルターを振動させるそうですので、これは凄いかもしれません。まあ、振動式のフィルタークリーニング自体非常に情けなく、また使用者にとっては耳障りなのですが。
ただ、電源を切る度に音がするはずの電動除塵機構が嫌な方には、下位機種の「MC-SS100G」があります。これはフィルター振動が手回しなので、面倒と言えば面倒ですが、それで良いという人も一定数いるものと思われます。ヘッドはそちらでも同じですし、パワーもほぼ同じですので、性能は基本的にそう変わりません。
その他では、今や伝統の「ハウスダスト発見センサー」や「エアダストキャッチャー」、ヘッドがその付け根から外れる「親子ノズル」。本当に必要なのかよく分からない「ナノイー発生機能」もありますし、今回からは他社のサイクロン掃除機に合わせたのか、高性能な「HEPAフィルター」も採用されています。ただ、紙パック式の最上位機種では付属品である「ふとん清潔ノズル」は付いていませんが、これには別売もあります。
また、密かに特筆すべきは本体の持ち手の位置で、本体上部に(折り畳み式ではなく)固定式が付いているのは最高です。その位置にあると本体を持ち上げての掃除がしやすいのです。ただ、ダイソン(DC22とDC26)のようにその位置に縦に付いているのがベストだと思いますので、ダイソンには負けていると思いますが。
運転音も、パナソニックとしては結構静音性を重視しているようですし、今のところは何とも言えませんが、どれも耳障りなフィルタークリーニング機構の音質次第では、日本製サイクロンで一番になる可能性もない訳ではないと思います。
レンタル出来ましたので、自宅で使用することが出来ました。感想としては、まず音はやはりそれなりに静かです。ただ、掃除機の運転音の特に豪快な部分を削っただけという感じで、ごく普通の掃除機の音はします。
また、コンセント接続時に1度と、運転停止時毎に2度鳴るフィルター振動音は、この掃除機が発する音の中で一番五月蠅いです。家電量販店の店頭で聞いたのとは違い、これは結構豪快です。ただ、店頭でシャープ製最高性能機種EC-VX210と比べると、こちらの方が圧倒的に静かでしたので、恐らくこれでもかなりマシなのでしょう。
仕方がないので(?)、シャープの2009年度型最上位機種のEC-VX210も借りてしまいました。実際自宅で並べて聞くと、意外にもMC-SS300GXの方が、フィルター振動の音自体は大きかったです・・・。家電量販店のざわついた店内だと、紛れやすい(得な)音だということでしょうか。それはともかく、MC-SS300GXは4秒程度、EC-VX210は8秒程度フィルターを振動させますので、その差もそれなりに大きいです。ただ、どうちらでもお好きな方をお選び下さい。
ちなみに、シャープ製2010年度型のEC-VX220も、音のレベルは特に変わっていないと思います。
ダストカップ下部を膨らませた "パワープレス" 構造ですが、正直あまり意味はないと思います。膨らみにより、確かに下へ圧力がかかりますが、ゴミは横方向に逃れることが可能なのです。
これは、このパワープレスサイクロンでも、ダイソンでも、シャープの廉価版機種でも皆同じなのですが、ゴミが溜まって来ると、内部にあるゴミが上へ上がらないようにする大きな円形の部品にゴミが引っかかって、ゴミが回らなくなるのです。
そうなっても、内部で空気自体は回転を続けようとしますので、その圧力でゴミは自然に圧縮されます。そして、そうなったら、サイクロンが弱まることもあり、ゴミの捨て頃なのです。
なので、はっきり言ってどれも同じで、パナソニックは下部を膨らませた多少複雑な形にした分、コスト増となっていると思います。
パワープレスサイクロンシリーズでは、パナソニック製高額機種にいつも装着されている「Wパワフルドライブノズル(親子自走)」が、「パワフル自走(親子)ノズル」に変更されています。
上段・左右両方の写真で、左側にあるのがMC-SS300GXの「パワフル自走ノズル」で、右側が回転ブラシが2本仕込まれた「Wパワフルドライブノズル」(旧型で、しかもエアダストキャッチャーのないもの)です。大きさはほぼ同じですが、重量はやはりWの方が重く、音もWの方が五月蠅いです。
肝心の清掃力としては、少なくともフローリング上では、Wパワフルの方が上だと思います。掃除をした後の床の輝きがはっきり違いますので。なので、清掃力の面では、パワープレスサイクロンだと、他のパナソニック製高額機種と比べて少し落ちることになります。ただ、他社製と比べると、多分単に同等だと思いますが。
また、下段の延伸管への差し込み口を見て頂ければお分かりと思いますが、形状が違いますので、互換性はありません。
レバーを足踏みすると子ノズルが現れるパナソニック特有の仕組みも、この通り付いています。これはかなり実用的なので、シャープ製より優れている点となります。
この最上位のMC-SS300GXに特有の機能であるナノイーとダストカップのコンデンサー(蓄電池)機能ですが、まず、搭載されているナノイー発生装置は、恐らく2畳程度かそれ以下を適用床面積とする小型のもので、家中をさっと掃除しただけではほぼ効果がないと思います。シャープがプラズマクラスターを掃除機に載せたので、対抗上やっているに過ぎないのではないでしょうか。
ダストカップを取り外している時に電動でのフィルター振動を可能とする蓄電池機能は、これもやはりほぼ意味がありません。例え一瞬でも本体の電源をON/OFFすれば、フィルター振動は作動してしまいますので、ゴミを捨てる際には、ダストカップを取り外す前に、何度でも気の済むまでフィルター振動をさせることが出来ます。
あと、気になるところでは、このMC-SS300GXは、本体が大きく妙に長いので、狭い場所ではクルッとその場で反転させにくいです。
また、本体が自分のコードを踏んだ場合も、乗り越える能力が少し弱いように思います。
本体が5.1kgとそこそこ重いこともあって、取り回しは何となく良くないです。持ちやすい本体部の持ち手が付いていることが救いですが・・・。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
・MC-SS300GX パワープレスサイクロン ― ― ― | |
・楽天 ― ― ― ・amazon [レビュー有] ・口コミ・評価:感想(_件)を参照 ・DMM家電レンタル シルバー・レッド 5,490円(1ヶ月間)〜 ・ヘッド形状:パワフル自走(親子)ノズル ・目詰まり対策:リニア振動フィルター自動クリーニング ・吸込仕事率:460W ・本体重量:5.1kg ・運転音:55〜約48dB ・排気方法: ― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・色:シャイニーシルバー、シャイニーレッド ・HEPAフィルター仕様 ・ハウスダスト発見センサー ・エアダストキャッチャー ・ナノイー発生機能 | |
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関連サイト:
・電気掃除機 MC-SS300GX | Panasonic