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サイクロン掃除機の原理的欠点

サイクロン掃除機と言えば、もはや一般的と言えますが、決して完成された製品ではありません。このページではサイクロン掃除機の原理欠点を書き出してみたいと思います。

(サイクロン式を紙パック式と比較した場合のデメリットに関しては、「サイクロン式か紙パック式かで悩みます」のページをご覧下さい)


ダイソン社の特許技術「ルートサイクロンテクノロジー」

サイクロン掃除機の本家、ダイソン社の誇るサイクロン技術の中核は「ルートサイクロンテクノロジー」と呼ばれる仕組みにあります。

実はサイクロン自体は自然現象であり、特に何でもない物です。お湯を貯めた風呂の栓を抜くと、穴の直上で渦巻きが出来ると思いますが、あれが実はサイクロンです。

つまり、原理としては、小さな穴から液体や気体を猛烈な勢いで引き抜こうとすると、その入り口付近で液体や気体が回転をしながら穴に引き寄せられて吸い込まれることにあります。

しかし、普通に掃除機のモーターの吸引力で空気の渦巻き(サイクロン)を起こしても、大きなゴミこそ遠心分離できるものの、小さなホコリは遠心分離など出来ないのです。

そこでダイソンがどうしたのかと言えば、掃除機内の空気の流路を分けて、鉛筆の直径程度の穴6〜10か所程度から同時に吸引させることにしたのです。

更に、その下の部分にサイクロンの速度を加速させるべく逆円錐状の部品を設置することにより、小さいけれども回転速度が速く、細かなホコリも遠心分離できるサイクロンの生成に成功したのです。

(⇒ダイソンによるDC22のルートサイクロンの図解はこちら。動画内の機種はDC12 plus entryです)

国内メーカーのシャープも同じようなことをやっていますが(2009年末時)、サイクロンは大きな物が一つ生まれるのみです。なので、回転速度が上がらず、微細なホコリの多くはその部分を通り抜けて、フィルターで回収されているはずです。

何と最近では、こういうDIY用初級サイクロンの作成パーツも販売されています。

勿論それは、ダイソンがサイクロン掃除機の開発初期に、これではダメだと放棄した段階に過ぎないはずです。

変に安い値段で売っている無名メーカー製のサイクロンもそのシャープと同じ方式で、かつモーターの出力はシャープの半分以下程度となります。

当然値段に比例して、サイクロンだけでなく、フィルターの質も悪いでしょう(多くの場合一応高性能なHEPAフィルターだと自称していますが)。


ただ、ダイソンの、市場を席巻するその画期的な方式にも原理的な欠点があります。

それは、必ず吸い始めと吸い終わり、つまり、モーターの始動時と停止時に、吸引力の極めて弱い時間帯があるということです。

モーターは急に巡航速度にまで回転が上がる訳ではありませんし、また、電源を切ったからといって急停止する訳でもありません。

そしてその回転の弱い時間帯には、細かいホコリどころか少し大きめのホコリまで、遠心分離できずにフィルターまで通してしまうはずです。

[レビュー] DC26 motorhead complete 吸引力が半減した状態

(⇒他の参考「GIZMODE JAPAN(記事ページ)」)

なので、サイクロン方式はフィルターレスにまで進化させるのが理想ですが、そこに至るにはもう一つ特許レベルの技術が必要となるでしょう(やる気でやれば、出来ない訳ではないと思いますが)。


◆ フィルターレスサイクロン

ちなみに、2015年現在、フィルターレスサイクロンは存在しません。あるのは、"ダストボックス・フィルターレスサイクロン" ということになります。つまり、本体側に通常のメインフィルターが付いていますが、少なくともダストボックスには付いていません、という製品です。三菱製の初代風神は、この説明で世の中を混乱に陥れました。(^^;

現在、一応その架空の "フィルターレスサイクロン" に分類される掃除機は、三菱・風神と、東芝・トルネオV&Vコンパクト、シャープの2段階遠心分離サイクロンパラレルフローサイクロンパナソニック・ダブルメタルプチサイクロン、及び家庭用サイクロンの本家・ダイソン製ということになります。

ただし、そのダイソンですが、2011年発売のDC36以降、フィルターはもれなくダストボックス内にありますので、"フィルターレスサイクロン" は勿論として、"ダストボックス・フィルターレスサイクロン" という呼び方にも無理のある存在と化しています。(^^

つまりのところ、"フィルターレスサイクロン" という呼び名は、今まで偽物のサイクロン掃除機を作ってきたメーカーが、

「ウチのこの製品は、もう偽物のサイクロンじゃないよ、本物だよ。だって、(昔のダイソン製と同じように)サイクロン部にフィルターがないんだよ」

と主張したいがためのものなのです。

ちなみに、元々本物を販売しているダイソン社は、"吸引力が変わらない" というやはり少々問題のある表現を使いたがるものの、"フィルターレス" という表現を使ったことは一度もないはずです

(ダイソンのサイクロンによるゴミの分離率は、DC12シリーズでは97%強で、DC22では99%弱程度だったようです。とすると、DC26では98%程度と推測できます。・・・あまり高くないような気も。⇒「マイコミジャーナル)


また、強いサイクロンを作ろうとすれば作ろうとする程、そこでエネルギーを消費する、つまり、吸引の風が渦を巻く分、吸気の勢いが殺がれてしまいます。

その為、吸口の先でゴミを吸う力自体は、サイクロンの回転が強い程、必要とされるエネルギーの割に弱いものとなる、つまり、効率が悪くなってしまいます。

なので、実のところ、サイクロン式とは紙パックがいらない代わりに、電気(代)を使ってゴミを空気から分ける方式だと言えるでしょう。


シャープ「遠心分離サイクロン

そもそもゴミを遠心分離するからサイクロン式であるのに、「遠心分離サイクロン」とはそれは何??とある程度の知識のある方なら思われるものと思います。

しかも、更にわざわざ(ダイソン製よりも)遠心分離力の足りないサイクロン掃除機に、「遠心分離サイクロン」(⇒進化したのか新しいものは「スクリュー遠心分離サイクロン」)等と名付けるところに、家電業界におけるサイクロン掃除機の救いようのなさが表れているといって良いでしょう。

何故「遠心分離サイクロン」などという変な言い方が成り立つかというと、当然遠心分離しないサイクロン掃除機が存在するからです。日立、三洋、パナソニック、東芝はサイクロン掃除機でも遠心分離していません(ゴミを遠心力でフィルターの一角に押し付けています)。

東芝の "クワイエ" や、日立の "ロボットサイクロン" & "2段ブーストサイクロン" は一見遠心分離しているように見えますが、中途半端、かつ殆ど無駄に遠心分離しているだけで、しっかりフィルターで全てのホコリを受けています。

日立の下位機種のサイクロンは、実際上サイクロンという言葉を使うとアウトであり、あれがサイクロンと呼べるのであれば、紙パック式だってサイクロンと呼べるはずです。なぜなら、日立製サイクロンの下位機種と同様で、紙パック式でもゴミが紙パックの内部で少しくらいは回るであろうからです。日立のあれは、モロに紙パックをティッシュに変えただけの製品です。

それはともかく、一応遠心分離をするシャープ製サイクロンの問題点は遠心力が足りないことですが、実のところ "強" 運転で遠心力が足りないのであれば、 "弱" 運転(「エコモード」を含む)だともっと遠心力が足りなくなるのです。当たり前ですが。(笑)

シャープの場合は、ダストケース内部の筒型の部品に張ってあるフィルターが結構細かいので、大きめのホコリがメインフィルターにまで達することは元々ありません。しかし、そこを通過できる細かいホコリは、弱運転時には殆ど全部がメインフィルターにまで達しているのではないかと推測されます。

なので、シャープの場合(シャープ以外の類似機種もですが)、エコを考えて "弱" 運転で多く使うと、今度はフィルターの寿命を縮めかねないと言えるでしょう。

ちなみにダイソンの場合には、弱運転でも十分な遠心分離が可能だという話です。勿論向こうがそう言っているだけで、なかなか確認出来る話ではないのですが。


ゴミが回転すればサイクロン・・・それは誤解です!(←リンク先をお願いします)

…シャープの人はよくこんなことが言えるもんだと感心します。

これが旋回分離が不十分なサイクロン掃除機になると、ダストカップの形状が四角だったり半円だったりする。丸くなければ本当は旋回分離できるはずがないんです。

これに関してシャープの人が、あちこちの家電量販店に実験器具(透明なプラスチックの四角いダストカップと丸いダストカップ)を置いていましたが、実のところ四角いダストカップで遠心分離をしようとしているサイクロン掃除機なんてないのです(例外が一つだけ無名メーカー製の格安品でありましたが。半円も私は知りません)。

なので、自分のところの他より少しはマシな偽サイクロンを自慢しようとして、訳が分からなくなってしまっています。


ダイソンDC26の場合、ダイソン社のパンフレットには、あの外からゴミが回るのが見える透明なダストカップ部で発生する遠心力は500Gとあります。それに対し、2段目の小さなサイクロンを幾つも作るルートサイクロン部では、150,000G(カタログにはそう書いてありましたが、最大値はどうも268,000G説が有力です)が発生するとあります。なので、見えない部分では、見えている部分の300倍の遠心力が発生していることになります。

その後継機種DC36では、293,000G、その更なる後継機種DC46では360,000Gということになっています(※これ以降の機種では未公表となりました)

シャープ製の場合、吸引仕事率はダイソン製の2倍以上ありますので、外から見えているダストカップ部で生じる遠心力はもっと強いはずです。しかし、シャープには2段目のサイクロンはなく、単にそれで終わりです。なので、単純に言って、生じている遠心力はダイソンの100分の1以下だと言えるでしょう。それが国内メーカーで、サイクロン掃除機では一番マシと言われるシャープの現実です。

シャープは前述のように、ダストカップが丸いのが自慢のようですが、勿論丸ければ良いというものではないのです。


ただ、勿論日本製の場合、静粛性や日本の家庭に合った使いやすさの追求で、ダイソンとの差を埋めようとしています。

紙パック代はかかるけれども扱いは楽な紙パック式を含めて、「どれを使うか」という話としては、勿論皆それぞれで良いのではないでしょうか。


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ダイソンの「吸引力が変わらない」の真相

ダイソンの真実の真実

掃除機選びの基礎知識





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