2015年現在のサイクロン掃除機のサイクロン部の構造を中心に、おすすめの製品について書いてみます。基本的に該当部の性能が良いと思われる順に、ランキング形式で並べています。
日本製のサイクロン掃除機は、空気の渦による遠心分離をしない物までが何故か "サイクロン" の名を使って良いことになっており、同じ名を名乗っていても、実は全くの別物であったりするので、かなり注意が必要です。
(※ダイソン社による解説です)
また、サイクロン式は、以前は5.0sに近い大型機が多かったのですが、最近は3.0sを切る小型機も多く、4.0kgを超える機種は姿を消しています。ただし、3.0kgを切るような小型機(集塵容積:およそ0.25L)だと、ダイソンを例外としてあまり一軒家向きではなくなりますので、これにも注意が必要です。
ちなみに、私としては、高価な物を買うのであれば、"紙パック式でいいじゃないか" という立場です。元祖のダイソンであればまだしも、他は "何だかもう・・・" という感じです(笑)。
上位シリーズ・ランキング
1. ダイソン
⇒2ティアー・ラジアルサイクロン:2段型(大1+小24)
2015年度該当機種:ダイソンボール(小型)「フラフィ(CY24MH,CY24MHCOM)」「モーターヘッド(旧DC63)」[0.5L]
2. パナソニック
⇒ダブルメタルプチサイクロン:2段型(大1+小8) 99%
2015年度該当機種:(小型)「MC-SR530G,MC-SR33G」[0.25L]
2. 東芝
⇒バーティカルトルネードシステム:2段型(大1+小12) 99%
2015年度該当機種:トルネオV(中型)「VC-MG900,VC-MG800,VC-MG600,VC-S500」[0.4L]
2. シャープ
⇒パラレルフローサイクロン:2段型(大1+小8) 99%
2015年度該当機種:小型機「EC-VX700,EC-LX700」[0.25L]
⇒2段階遠心分離サイクロン:2段型(大1+小8) 99%
【継続販売】2014年度該当機種:小型機「EC-LX600」[0.25L]
5. 三菱
⇒風神サイクロン:1段型(大1+ゴミ用別室有) 99%
2015年度該当機種:風神(中型)「TC-ZXE30P,TC-ZXE20P」[0.7L]
6. パナソニック
⇒パワープレスサイクロン:1段型(大1) 99%
【継続販売】2014年度該当機種:充電式・コード式兼用(大型)「MC-HS700G,MC-HS500G」[0.4L]
2015年度該当機種:プチサイクロン(小型)「MC-SR23J」[0.25L]
7. 日立
⇒パワーブーストサイクロン:1段型(大1) 99%
2015年度該当機種:中型機「CV-SC700,CV-SC500,CV-SC300」[0.4L]
8. パナソニック(※エアシス限定)
⇒ツインサイクロン:ティッシュフィルター型
【継続販売】2013年度該当機種:エアシス(大型)「MC-SXD430」[0.7L]
※99%というのは、日本電機工業会自主基準による試験で、吸引力が99%以上持続することを表します。
※本格サイクロン掃除機は、原則として2段型で、2段目の「小」サイクロンは複数設置されています。そして、やはり原則としてその数が多い程、遠心分離性能も高いです。
※家電Watchによる、小麦粉を使ったサイクロンの性能実験によれば、やはりダイソンとトルネオVが優秀です。尚、シャープ製のパラレルフロー&2段階遠心分離型、及びパナソニックのダブルメタル型は実験未参加ですが、トルネオVに準じるはずです。
上からの5が、特別サイクロンの遠心力が強く(所謂「フィルターレス」)、吸込仕事率がダイソンは170/160W、東芝とパナソニックが200W、シャープが210Wしかありません。これは空気の回転に吸引モーターのパワーを割いているためです(※参考⇒「掃除機の吸引力ランキング」)。
ダイソンの場合には、その低吸込仕事率をカバーするために、ヘッドを床にかなり密着させていますが、その分ヘッドの前の固形物には弱いです。
しかし、日本製はそういう極端な方法はとりませんので、床面の吸引力は、回転ブラシの掻き取り力に寄る所が大きいと思われます。
実際、ダイソンを始めとする海外勢は、そのレベルの吸込仕事率で掃除機を作るのが標準ですので、特に問題はありません。しかし、日本製は500W程度あるのが従来普通ですので、その(低)レベルの吸込仕事率で掃除機を作るのは、付焼刃的で信頼性には欠けてしまいます。
(※やはり家電Watchによる絨毯上の小麦粉を吸い取る実験によれば、国内メーカー製だと、200W級でも300,400W級でもあまり違いはないようです。この実験だとダイソンの完勝ですが、やはりヘッド前の固形物には一番弱いはずです)
尚、これらには、フィルターの振動機構は必要ないのでありませんが、フィルター掃除の必要がない訳ではなく、一番性能の高いダイソンにしても、実際は数カ月に一回程度、フィルターを洗わなければならないはずです。
ダイソンは性能はともかく、価格はとてもお勧め出来ませんが(笑)、購入できる方には良いだろうと思います。ただ、ダイソンは使い勝手はイマイチですので、基本的に絨毯を高レベルで綺麗にしたい方向けとなります。
東芝は、性能はまあまあのはずですが、それでも2段目のサイクロンで遠心分離したチリを溜めるスペースがなく、再び渦に巻き込みやすいので、構造として好ましくないと思います。
また、ヘッド前の床面とのすき間が大きな構造が私としては納得できないので・・・ただ、これに関してはフローリングメインであれば、特に問題ないだろうと思います。
シャープは、まず "パラレルフロー" と "2段階遠心分離" の2種類がありますが、両者はほぼ同じ物です。前者は2015年度発売品で、後者は2014年度発売品ですが、新型は "微細なホコリが付きにくい新構造" とだけ紹介されています。
それらの構造は、2段目となる8個の小サイクロンで遠心分離されたチリが、ダストカップ外縁部の隔離されたスペースを通って底にまで落ちるものとなっています。その為、1段目のサイクロンの直径が他より小さく、これにより吸気の速度が他より落ちやすいはずという難点がまずあります。
また、サイクロン中央の筒型フィルターの目がかなり粗いので、その分ゴミの分離性能も低いはずです。
更に、2段目の小サイクロンが何故か湾曲しているので、その数が8個と少ない上に、余計な空気抵抗が発生しているはずです。
しかし、前述の通り、2段目のサイクロンで遠心分離されたチリは、ダイソンと同じくダストカップの底にまで落ちます。なので、東芝製とは違って2段目で一旦遠心分離したチリを再び巻き込みにくく、その分事実上遠心分離力は高いと言えるかもしれません(どちらも日本製としてはマシですが・・・でも、どっちもどっちだと思います)。
パナソニックの上級・本格機 "ダブルメタル" は2015年度新登場の製品です。これは、8個の遠心分離したチリをサイクロン部の中心部の空洞を使ってダストカップにまで落としますので、東芝製やシャープ製のような欠点はありません。
なので、実のところ、ダイソンを除くそれら日本製の中で、一番良いのではないかと思います。
ただし、それらのシャープ製とパナソニック製は小型機で、集塵容積が少ないですので、どちらかというと一軒家というよりアパート・マンション向けとなります。
三菱に関しては、サイクロン部分は複数の小サイクロンを持たない "ギリギリ本格派" でしかないのと、ヘッドの回転ブラシが、フローリングであれば絨毯であれ、削りそうな硬いものが付いていまして、私としても、"もし安かったら1台テスト用に買ってみようか" と思うことすら出来ません。
なので、私としてはお勧めではありませんが、それでもヘッドの毛絡み除去機能が優秀ですし、集塵容積が多いのでペットをお飼いの方には良いのではないでしょうか。
6番目のパナソニック製には、充電&コード式兼用機と小型機(プチサイクロン)があるのですが、吸込仕事率は兼用機のコード式での使用時と、小型機において300Wです。つまり、上述の機種と比べるとやはりその数値は高く、遠心分離に多くのパワーを割いていないのです。
しかし、ハウスダスト発見センサーと、ヘッドが外れて子ノズルが出る機能がありますので、パナソニック製品が欲しいという方には良いと思います。高価ではありますが、コードレスとコンセント式の両用・ハイブリッド機「MC-HS700G,MC-HS500G」を "便利だ!" と思う方には、もしかしたらそれらが最適なのかもしれません。
そして正直、一応であれお勧めとなるのは、ここまでということになります。
実のところ、ロボット掃除機でどうにか合格点が出るのが米・アイロボット社のルンバで、サイクロン式でどうにか合格点が出るのが、英・ダイソン社の製品、といった感じです。それら以外は80点未満の存在で、ルンバやダイソンの名前に惹かれて集まった人達に、どう売るかがその課題、といった形に見えます(汗)。
ここでは、"日本製" という鉄板ワード自体、その一環に利用されていると思います。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
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※DC63の特集 |
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![]() | ・楽天![]() ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ![]() ・ヘッド形状:小型軽量パワーノズル(LEDライト付) ・目詰まり対策:(ダブルメタルサイクロン) ・吸込仕事率:200W[エコ自動モード有] ・本体重量:2.6kg/ 全体重量:4.2kg ・運転音:61〜約57dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.25L ・持ち手(本体):固定式 ・色:ピンクシャンパン(P) ・HEPAフィルター相当品仕様 ・ハウスダスト発見センサー付 |
※MC-SR530Gの特集 |
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※VC-SG514の特集 |
日立のパワーブーストサイクロンに関しては、基本的には6位のパナソニック製パワープレス型と同等です。しかし、弱モード時の消費電力がパナソニックやシャープと比べて妙に低く、きちんと遠心分離しているのかに疑問があります。
また、唯一の遠心分離部であるダストカップ内で、空圧で圧縮しながらゴミを溜めこむのが前提(1ヶ月のゴミ捨て不要がウリ)なので、それが空気抵抗の原因になると思われます。
それらに加えて、手動のフィルター振動レバーの感触も手応えがイマイチなので、あまり信用できません。
更に、これはサイクロンの問題というより、使い勝手の問題となりますが、この日立製は手動式のフィルター振動機構を使用しつつ使用する機種となっています。
しかし、その振動で落ちたチリはダストカップにまで落ちる構造となっていないので、一応正式な使い方としては、フィルター部を丸ごと外して、ゴミを捨てることが可能な場所に移動させてフィルター振動をさせることになります。
なので、こっそりと若干面倒です。
パナソニック製のエアシスの場合は、フィルター前に挟んだティッシュの隅に、遠心力でホコリを単に押し付ける仕組みとなっています。勿論、そこを通り抜けられる細かなホコリは、メインフィルターに行き着きます。
そしてそのホコリは、手動式でのフィルター振動装置で下に落ちることになります。
このタイプは、そのメインフィルターから出るチリを捨てるのが2度手間、かつやっかいなので、特にアレルギーがある方には(多分)無理ですし、私としても考えただけで嫌になってしまいます。
尚、これらの吸込仕事率は、日立は410〜430W、エアシスは現在は中型機のカテゴリーに入り、300Wとなっています。
下位シリーズ・ランキング
1. シャープ
⇒2段階遠心分離サイクロン:2段型(大1+小8) 99%
2015年度該当機種:小型機「EC-PX700」[0.25L]
【継続販売】2014年度該当機種:小型機「EC-FX60T」[0.25L]
2. 東芝
⇒デュアルトルネードシステム:1段型(大1) 99%
2014年度該当機種:トルネオミニ(超小型)「VC-C4」「VC-C4A」[0.25L]
3. シャープ
⇒パワーサイクロン:1段型(大1)(99%
【継続販売】2012年度該当機種:超小型機「EC-QX310」[0.25L]
【継続販売】2011年度該当機種:大型機「EC-CT12」[0.35L]
4. 日立
⇒2段ブーストサイクロン:基本1回転+ティッシュフィルター型 99%
2015年度該当機種:小型機「CV-SC100,CV-SC90」[0.25L]
5. パナソニック
⇒ツインサイクロン:ティッシュフィルター型
2015年度該当機種:中型機「MC-SK16J」「MC-SK16A」[0.6L]
6. 日立
⇒ごみダッシュサイクロン:ティッシュフィルター型
2015年度該当機種:大型機「CV-SC8」[0.4L]
7. ツインバード
⇒トリプルアクセルサイクロン:3段型(大1+中1+小1)
⇒デュアルサイクロン:2段型(大1+小1)
【継続販売】2013年度該当機種:大型機「YC-T212BL」[1.4L]、中型機「YC-T009BL」[1.2L]
7. 三菱
⇒ティッシュdeガード:ティッシュフィルター型
2015年度該当機種:ビケイ(超小型)「TC-EXE10P」「TC-EXE8P」「TC-EXE7J」[0.6L]
※99%というのは、日本電機工業会自主基準による試験で、吸引力が99%以上持続することを表します。
安価、及び中価格程度な製品だと、このような形となります。こちらにおいて、実用的な遠心分離型は、シャープ製と東芝製のみとなっています。なので、お勧めも一応そこまでです。
シャープの2段階遠心分離サイクロンは、上位シリーズにもありましたが、どちらかと言えばこちらということになるようです。なので、こちらにおいては勿論一番となります。
しかし、(最)下位機種である「EC-FX60T」だと、吸込仕事率が200Wと低い上に、ヘッドの回転ブラシが回転力の劣るタービン(風力)式で、しかもそのタービンを回すのにも吸引力を使ってしまいますので、あまり感心できません。なので、一応「EC-PX600」の一択となります。…2万円程度してしまいますが。
2位のシャープ製パワーサイクロンと東芝製トルネオミニでは、まず、安価な製品が必要なのであれば、1万円程度で購入可能なシャープの「EC-CT12」で決まりだと思います。この価格でこの性能の機種があるのは、素晴らしいと思います。
万が一にもシャープが潰れると、これが無くなるのが、世の中にとって困りものだと私は思っています。
それ以外だとシャープ・パワーサイクロンには、メインフィルターを振動させて下に落とした細かなチリを、内部で下に掃き落とす回転するゴムベラがあるのですが、東芝製の場合には、チリを掃き落とす機能は以前は装備していたものの、2年前のモデルチェンジでなくなってしまいした。
その為、ゴミ捨ての際には、何とダストカップ部とは別にフィルター部分も開けて、落ちたチリを捨てる少し面倒な方式に変更となっています。
しかし、東芝製は、サイクロン部の中心部にある筒型フィルターの網目がシャープ「EC-QX310」よりずっと細かいです。その為、フィルターに達するチリが少なくなるのと、ダストカップ内で大きなゴミが転がりながら固まって捨てやすいので、それらで欠点を埋め合わせている感じです。
シャープ「EC-QX310」の場合には、筒型フィルターの網目が粗く、フィルターにまで達するチリが多くなるので、フィルター掃除の必要性が増すはずです。
しかし、フィルターを振動させて落としたチリは、ゴムベラの回転でダストカップ内に落ちますので、ゴミ捨ては容易となります。
どちらを取るかは、普段のゴミ捨ての面倒さを我慢するか(東芝)、フィルター掃除の頻度が少し多くなるであろうことを我慢するか(シャープ「EC-QX310」)の問題かもしれません。
もっとも、時価の問題も絡んできますが・・・。シャープは余計なマイナーチェンジをしないので、比較的お得に買うことが可能です。
※価格は変動します。時価はリンク先にてご確認下さい。
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※EC-PX600の特集 |
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※EC-QX310の特集 |
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※VC-C4Aの特集 |
※上位機種「VC-C4」有
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※EC-CT12の特集 |
※安価なサイクロン掃除機が欲しい場合には、これが定番機種となっています。
ツインバード(安物家電メーカー)のサイクロンも一応遠心分離しています。しかし、原理的に性能はそれ程高くないはずである上に、筒型フィルター部にホコリの侵入を食い止めるまともなフィルターが付いていません。
また、メインフィルターに振動によるチリ落としの機能もありませんので、手作業によるフィルター掃除も頻繁に必要とされるはずです。
日立の2段ブーストサイクロンも、一応少し遠心分離しています。
ただ、日立製は、遠心力が不足して分離できないホコリを直接メインフィルターに流す吸気流路、特にティッシュをフィルター代わりに挟んで付けてあるダストボックスが一杯になって来ると、そこからかなりのホコリが直接メインフィルターに流れてしまう流路がありますので、感心できません。
ダストボックス側に無事に流れたホコリは、挟んであるティッシュに濾されて止まり、そこを通り抜け可能な細かなホコリは、何故かやはりメインフィルターに行き着きます。
パナソニックと三菱、日立のごみダッシュサイクロンは、どれも遠心分離は行わず、フィルター前に挟んだティッシュで主にゴミを濾しとる方式です(※パナソニックは上のダストボックスの写真と同一)。そして、日立の2段ブーストサイクロンとごみダッシュサイクロンには、電源コードの出し入れのエネルギーを利用する方式の、そしてパナソニックには手動でレバーを左右に動かす方式の、チリ落とし用メインフィルター振動機能が付いています。
三菱にも、フィルター清掃用ブラシのプラスチック製の後端を、フィルターに設けられたプラスチック製のガイドに沿って擦り付けて、フィルターを振動させる簡易的な仕組みがありますが、これはあまり機能しません。
また、ティッシュのセットのしやすさとしては、日立製は少し挟みにくいので、残るのは一応パナソニック製ということになりますが、日立製でも悪い訳ではありません。
ただし、上位機種のエアシスのツインサイクロンに関連してで述べたように、このタイプはメインフィルターから出るチリの処理が厄介です。なので、綺麗好きで何でも気軽にこなせてしまうような方であれば問題ないかもしれませんが、そうでない方は避けておいた方が無難です。
小型機のメリット・デメリット
サイクロン掃除機は、2009年4月のダイソンDC26の発売以来、小型化の傾向にあります。
ただ、ダイソンは、重くて不便というメーカーとしての悪評を覆そうと、可能な限りの小型化を進めたものと思います。
しかし、シャープは、"お年寄りの家庭にピッタリの掃除機を作りたい" という動機で小型化を始めています。
また、パナソニックは、マンション向けにコンパクトな製品をということで、小型機を開発しています。
それらのメーカーでは、以前は通常品とは別に、小型機がラインナップされていました。しかし、現在では主力シリーズでは、何と小型機のみがラインナップに残っています。
日立と東芝では、現在も通常品とは別に、その小型版として小型機を販売しています。
そういった由来・ラインナップ上の役割分担があるので、ダイソン以外のそれらのメーカー製小型機では、実はダストボックスの容量が少ないという欠点を抱えています。
それらの問題となる小型機のダストボックスの容量は0.25Lですが、それだと一軒家を掃除するには少々少ないです。
とは言え、掃除機を例えば1日おきには掛けるとか、ダストボックスがゴミで一杯になった場合には、その都度捨てながら使うのであれば、特に問題はありません。
つまり、例え一軒家での使用でも、心掛け次第、もしくは慣れ次第では、それは特に欠点ではないのかもしれません。
シャープとパナソニックで、小型機のみを残せたのは、勿論通常品が売れなくなったという事情もありそうですが、結局はどうにかなるという判断なのでしょう。
なので、一軒家にお住まいで、小型機をお求めになる場合には、それらを承知しておく必要があります。
勿論、マンション・アパート暮らしの方々とお年寄りの方にとっては、小型機は従来存在しなかった、使い勝手の良い掃除機という事になるでしょう(※⇒「小型機の一覧/紙パック式も有」)。
フィルター部へのティッシュの装着について
サイクロン掃除機には、ティッシュをフィルター前に装着し、それをフィルター代わりにしてゴミを集塵するタイプ、言わば "ティッシュフィルター型" も存在しています。


しかし、そもそもサイクロン式とは、ゴミを高速回転させて空気から遠心分離し、ダストボックスに溜める物のことを言います。
ティッシュの装着が推奨されているタイプは、それが出来ないのでその手段を取っています。つまり、それは本来サイクロン式とは言えないものなのです。
ティッシュに集塵可能なゴミは、中〜大程度の物であり、細かなチリの多くは空気と一緒にティッシュをすり抜け、メインフィルターに達します。
ダイソン製や東芝製上位機種のようには強い遠心力を生じさせることが出来ない、低遠心分離タイプのサイクロン掃除機においても、処理出来るゴミに関してはそれと同様です。つまり、それらにおいても、中〜大程度のゴミは遠心分離できるものの、細かなチリはやはり容易にメインフィルターに達します。
稀に、ティッシュ装着推奨型ではなく、遠心分離型のサイクロン掃除機に、ティッシュを付けようという方もいらっしゃるようです。
しかし、遠心分離型では中〜大程度のゴミは、基本的に遠心分離出来ていますので、ティッシュを無理やり取り付けてもそれ程意味はありません。
また、遠心分離型のメインフィルターは、普通円筒形のダストカップの上に付いているので大抵円形です。その為ティッシュを挟もうとしても、形として向いておらず、無理に挟もうとすると、余計なすき間が生じかねません。その場合、チリが漏れかねませんので、排気性能の観点から、あまりお勧めできません。


これがシャープ製の場合には、フィルター下部に振動で落ちたチリを下に掃き落とす為の回転ベラが付いています。ティッシュを挟むとそれがティッシュを破る可能性が高いので、特に向いていません。
そして、ティッシュを挟むと、一応フィルターが1枚増えるのと同じ影響があります。例えば旧サンヨー製では、ティッシュを挟むと吸込仕事率が10W下がるとされていました。
なので、若干はメインフィルターに達するチリが減るであろうことから、長期的に見ればプラスになる可能性があるにしても、当初から吸込が少し悪くなるというマイナス点もあります。
遠心分離型に無理にティッシュを付けても、大きなメリットがある訳ではないはずですので、決められているように使うのが良いのではないでしょうか。
吸込力持続率99%以上
有名メーカー各社の遠心分離をウリとするサイクロン掃除機の殆どでは、日本電機工業会自主基準「電気掃除機の吸込力持続率測定方法」による試験結果として、「吸込力持続率99%以上」と表示しています。
これは、フィルターやダストカップにゴミがない状態から、試験ゴミをそれぞれのダストカップで満量と規定されている量になるまで吸引させ、風量の持続性を測るものです。
99%以上と言われると、ほぼ完璧のような印象を受けるかもしれません。しかし、仮にそれが約99%であるとすると、10回ダストカップ満量まで使うだけで、約10%吸引力は低下します。この性能で高性能だと思う方は、それ程いらっしゃらないのではないでしょうか。
また、単純計算では1回で1%吸引力は低下しますが、フィルターという物は、一旦ゴミが溜まり始めると、どんどん細かなゴミが引っ掛かるようになります(本来、ゴミが取れるのは良いことですが・・・)。なので、その詰り具合は加速度的に増すはずで、1%で済むのは初期だけであるはずです。
この表示制度で問題であるのは、遠心分離力の強い東芝・トルネオV(+コンパクト)と三菱・風神が持続率99%以上となっており、また、低遠心分離サイクロンのパナソニック製やシャープ製に加えて、もっと性能が微妙な日立・2段ブーストサイクロンまでが、99%以上と全く同じ表示になっていることです。
東芝には、トルネオVに加えて、低遠心分離サイクロンの単なるトルネオもありますが、それも99%以上です。
また、日立には2014年度からは、2段ブーストサイクロンだけではなく、上位シリーズのパワーブーストサイクロンもありますが、それも99%以上です。
なので、同じメーカーでサイクロン性能に差があるはずの機種ですら、同じ表示となってしまっています。
ダイソンとツインバード以外のサイクロン掃除機を販売する有名メーカーは、皆その「電気掃除機の吸込力持続率測定方法」を自社のサイクロンの性能を表すのに使用していますが、現状では表示は何故か、
1.吸込力持続率99%以上
2.無表示
の2種類(1種類)しかないのです。
これでは結局、現実として、
1.遠心分離型(高〜低)
2.非遠心分離型(≒ティッシュ装着推奨)
に対応して、表示の有無として分かれているだけに過ぎません。
なので、"吸込力持続率99%以上" の表示があれば、少なくとも最低限高性能だという目印にはなりますが、現状ではそれ以上を表す機能はありません。
現状ではこれは、国内メーカー製低遠心分離サイクロンを、高性能サイクロンであるかのごとく宣伝する為の救済措置である、と言われても仕方がないでしょう。
日本電機工業会自主基準「電気掃除機の吸込力持続率測定方法」は、2013年度に登場していますが、シャープ製は実は、2段階遠心分離型以外はその基準の確立前の発売となっており、その基準でのデータがありません。
しかし、方式は(低)遠心分離型ですので、実質99%以上(※「EC-QX310」のみ厳し目の独自基準で、99%以上との記載あり)であるはずです。
関連ページ:
関連サイト:
・ダイソン・ルートサイクロン解説図(Dyson.co.jp)