充電式の自動ロボット掃除機、「ルンバ(Roomba)」をご存知の方は多いと思いますが、一応ご説明いたします。
- 語源
- 機能的特徴
- ルンバだけあれば良いの?
- 正規輸入品と並行輸入品
- ランニングコスト(バッテリー等)
- 新旧が混在するルンバ
- 最初はロボット掃除機は売れなかった
- 元々は拭き掃除ロボだったルンバ
- 日本メーカーがロボット掃除機を作らない(かった)訳
- ルンバが売れる理由!?
- ルンバが大失態!
- アイロボット社のCEOによれば・・・
- アイロボット社の売上における各国シェア
- 偽物に注意!?
- 機種別ページ
- 日米公式サイト等関連サイト
語源
まず、不思議な「ルンバ(Roomba)」の名の由来・語源ですが、Room(部屋)とダンスのRunba(ルンバ)を合わせた造語なのだそうです。
外国の映画で、ホウキを持って歌いながら掃除とダンスをするシーンがありそうですが、そういった感じでしょうか。
ルンバには、クルクル回るサイドブラシがありますが、それが丁度ホウキに相当するようにも見えます。
iRobot(アイロボット)社
ルンバの製造メーカーは、アメリカのiRobot(アイロボット)社です。
このメーカーは1990年の設立で、当初は軍事・商用ロボットを販売していました。
しかし、2002年に家庭用のルンバを発売し、現在は同社の売上の9割を占めるに至っています。
東日本大震災の際には、同社により無償提供された2機の「iRobot 510 PackBot」が、実は無力だった日本製を後目に、福島第一原発の原子炉建屋構内に真っ先に投入されたことでも有名です。
こちらの名の由来は、アイザック・アシモフの有名なSF小説、「われはロボット(I,Robot)」だとされています(※⇒「iRobot研究:ITmedia」)。
これは、2004年にウィル・スミス主演で映画化されていますので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
日本でのルンバの販売・アフターサービスについては、iRobot社自身ではなく、日本正規輸入代理店のセールスオンデマンド社が担当しています。
直販ではないですが、しかし、両者の関係はかなり密接で、日本国内における要改善情報等は素早く伝達されています(※以前テレビで特集をしていました)。
実際私も2台持っていますが、なので品質に関しては、近年は殆ど日本メーカー製とも見分けがつかないレベルだと言って良いと思います。
機能的特徴
これの大きさは直径34cm・厚さ9.4cm程ですが、人工知能とごみセンサー、モーター式回転ブラシ×2を搭載し、部屋の形状・広さを判断しながら、同じ場所を平均4回、別角度で隈なく自動で掃除します。
※この2本の回転ブラシがルンバの清掃力の要です。双方内側に回ります。注)ダストボックスを外した状態です。
※左の写真の少し開いた部分が、500シリーズまでの吸引口です。すき間は1mm程度しかなく、回転ブラシが掻き込み残した細かなゴミを吸いこみます。
障害物はまず赤外線センサーで探知し、スピードを緩めた上で接触。壁際・物際まで掃除します。また、階段では段差を赤外線センサーで認識し、回避します。
ルンバに入って欲しくない領域がある場合には、付属品のバーチャルウォールという、専用の赤外線で壁を作る装置を設置することが出来ます。
(※その時々のルンバの最上位機種には、赤外線の壁で区切られた空間を順番に掃除させる機能を持つ、その上位機器の「お部屋ナビ」が付属しています。)
そして、自己判断で掃除を終えると充電ベースに自動で戻り、自分で充電します。…下段の写真のように、直接コードを挿し込んで充電することも出来ますが。
1度で清掃可能な面積は、メーカー公表値で約25畳までとされますが、要するに、リビング+ダイニング+キッチン程度の広さということになるはずです。
ちなみに、ルンバの大きさですが、椅子の足の間を無理なく通過することが出来、また、ベッドの下に入り込むことが出来、更に出来るだけ広い面積を掃除できるようにと考えられて、その大きさとなっているという話です。
…なので、ルンバより小型だというのは、ロボット掃除機としてあまりウリにはなりません。
スケジューラー機能(時刻予約機能)のある上位の機種では、デジタル時計を内蔵しています。
普段は非表示ですが、左の写真では "CLOCK" というボタンを押して現在時刻を表示させており、右の写真では、予約の時刻を表示させています。これは、曜日毎に掃除をする/しないと、する場合には、やはり曜日毎に時刻を設定出来ます。
…勿論、使わないなら使わないで済む機能です。
回転ブラシは、このように取り外して掃除をすることが出来ます。赤いリング状の物はルンバの部品ではなく、ブラシに絡みついた髪の毛等を、グルッと通してむしり取る為の道具です。
これは、ルンバの "持ち手(ハンドル)" です。これ以上の角度には開かないよう頑丈に出来ていますので、ここを持つ場合には、ルンバは縦になって持ち運ばれることになります(実際には腰の辺りで、内側に持って吊り下げる感じとなります)。
ルンバは円形で、見た目のバランスが良い割に重量バランスが悪く、不慣れな内にハンドルを持たずに持ち上げると、落とすケースが多く発生しているのではないかと思われます。ルンバは初期に故障が多いと言われますが、もしかしたらこの件も噛んでいるかもしれません。これからお買いになる方は、お気をつけ下さいませ。
ルンバだけあれば良いの?
ただし、それでも、完璧な掃除が出来るかと言えば、そうでもありません。
具体的には、
- 乗り越え可能(2cm未満)な段差の直下は回転ブラシや吸引口が届かない
- カーペット部屋の壁際・物際は "エッジクリーニングブラシ(サイドブラシ)" では絨毯内部に届かない
- ホームベース(充電基地)を中心として半径30〜45cmの範囲内は、ルンバが避けてしまうので掃除出来ない
- フローリングに溝がある場合も怪しい
- (書くのは野暮ですが、階段掃除を任せるのはかなり酷、かつ面倒)
となります。
なので、平日にはルンバに掃除をさせて、休日には普通の掃除機をかけるというような使い方が、普通となります。
また、ルンバのダストボックス&フィルターを掃除する際にも、普通の掃除機はあった方が便利で、説明書にも実は、お手入れの際に用意するものとして、"一般的な掃除機" と書かれています。
たまに、何とダイソンが良いか、ルンバが良いのかと悩む方がいらっしゃるようですが、そういう訳で実は両方必要なのです(笑)[※ダイソンはロボット掃除機も発表しています]。まあそれは冗談ですが、ルンバ+1万円強程度の掃除機を買えば、とりあえずOKなのではないでしょうか。(⇒「おすすめの掃除機」)
あと、これは書くまでもない話ですが、ルンバにはすき間ノズルの類はありません。
正規輸入品と並行輸入品
この製品は、アメリカのiRobot(アイロボット)社製ですので全て輸入品なんですが、実は日本における正規輸入代理店・セールスオンデマンド社による正規輸入品と、別ルートでの並行輸入品(※個人輸入も含みます)の2種が存在します。
正規輸入品でない物は、正規の修理を受けられないのが、その安い価格と並んでの最大の特徴となります。正規輸入品にはメーカーの1年保証が付いていますので、そこに触れない品にはご注意下さい。
しかし、近年は、自社で輸入し、保証や修理も自社で請け負うという店がかなり増えています。それらが良い店なのかまでは、なかなか分からないのですが。
また、実際にご利用になる方は少ないはずですが、セールスオンデマンド社では、年に1度程度の7,000円での有料メンテナンスを推奨しています(※+10,500円を払うと、バッテリー交換もしてもらえます)。
メンテナンス自体は、動作確認や、ブラシ類や前輪を外してホコリを取る等だけですので、説明書を読みながら、簡単な "機械いじり" が出来る方には問題ないはずです。
しかし、メンテナンスのサービス内容には、実は "最新のソフトウェアへのアップデート" が含まれており、アップデートされたプログラムがある場合には、それをインストールした上で送り返されることになります。
このアップデートは、それのみを申し込むことは出来ず、常にメンテナンス料の全額=7,000円を支払う必要がある、もしくは修理に出した際には、無料サービスで行ってもらえます。
ただ、これは、どこが変わったかよく分からない些細な更新に留まるケースもあるという事なので、7,000円の価値があるのかは疑問なのと、更新は不定期ですので、毎年申し込む価値はもっとないだろうと思われます。
なので、この件を分かっていても、それ目的でのメンテナンスを申し込む方は、多分あまりいないだろうと思われます。
しかし、少し問題なのは、並行輸入品だと、修理と共にその有料メンテナンスも受けることが出来ない、つまりその場合には、プログラムのアップデートを受ける機会が、全くないということになってしまうのです。
実際、修理は販売店でやってもらえば良いし、メンテナンスは高額なので利用する機会はないだろうと思ってはみても、プログラムの更新を受けることが絶対に出来ないという話になると、並行輸入品を躊躇する気持ちも生まれるのではないでしょうか(汗)。
並行輸入品ではあっても、まともなショップであれば、日本語版の説明書を用意していて無料で同梱して下さいます。
しかし、一部ショップや個人オークション等ではそれがない場合がありますので、必要な方は注意が必要です。
この日本語版説明書は、恐らくショップ単位で作成している訳ではなく、専門の業者が作って卸しているのだろうと思います(そういうまともな完成度です)。
(※ ⇒ 「並行輸入品などに関する注意。 - iRobot 自動掃除機ルンバ公式サイト -」)
ランニングコスト
実のところ、このようなロボット掃除機には、それなりのランニングコストが必要です。
ルンバの場合、 "電気代は一時間一円" などと言われていますが、それは本当に単なる電気代の話でしかありません。
充電式の電化製品は皆同じですが、バッテリー(充電池)の交換が必要となります。
一般的に充電池の寿命は充電回数300回〜500回ですが、ルンバの場合にも、
- 新800シリーズ[885,875](※リチウムイオンバッテリー採用):約6年
- 旧800シリーズ+622,621(※「Xlifeバッテリー」採用):約3年
- 700,600シリーズ+537J,527J:約1.5年
- それ以外の500シリーズ+それ以前のルンバ:約1年
に1度の充電池交換が必要です。
ただ、実はルンバの場合、その目安は週に4回使う場合を想定して計算されています。なので、
- 約6年=約1,251回
- 約3年=約625回
- 約1.5年=約312回
- 約1年=約208回
が充電可能回数ということになり、理論上旧モデルではかなり少ないです。
もっとも、これはその回数で使えなくなるのではなく、使用可能時間が性能表示より短くなるかもしれないという数値となっています。
バッテリーの価格は、新800シリーズのリチウムイオンバッテリーは発売未定ですが、従来の長寿命型 "XLifeバッテリー" までは皆同様で、正規品は定価で10,000円(税別)します。
より多く出回るXLifeの約3年を例にとり、その価格を使用可能日数=約625日で割ると、1日換算で約16円となります。
それに "電気代は一時間一円" の1円を加えて、結局1度の掃除に必要な電力絡みの合計金額は、約17円ということになります(※⇒バッテリー寿命に関する注意点)。
iRobot社は、「ルンバはエコ家電」とし、根拠として消費電力&電気代が一般掃除機の20分の1であることを挙げていますが、1円×20倍=20円ということで、一般掃除機の電気代は約20円とされていることが分かります。
ただし、それは1時間使う場合の話ですが、一般家庭で掃除機を毎日1時間もかける人は多分いません。
仮にルンバと同じく週に4回で、1回につき15分掃除機を使うとすると、電気代は1日換算で5円なので、電力絡みの費用は、一般掃除機の方がXlifeバッテリー搭載ルンバの(約17円の)約3分の1ということになります。
更に、このロボット掃除機の集塵方式は、"ダストピン式" などという実態の分かりにくい呼び方をされていますが、要するにこれは "フィルター式" の製品です。
なので、約3〜4ヶ月に1度のフィルターの交換が必要となり、マニュアル通りに交換すれば、1年でおよそ3,150円(3枚/正規品)以上必要となります。これは1日換算で約8.6円となります。
※このように引き抜くので "ダストピン" なのかも。白い扇状の部品がフィルターです。
もっとも、現在は安い海賊版部品が花盛りなので、それで良いのであれば、もっと安く済みますが。
その他でも、 "エッジクリーニングブラシ(サイドブラシ)" が、現在はごく普通に丈夫ですが、以前は頻繁に折れて交換が必要だったという話です。
あと、ルンバは故障が多いという話を以前からよく聞きますので(現時点では何とも分かりませんが、昔は酷かったらしいです)、多少高くても延長保証のある店で買っておくのが、無難かもしれません。
新旧が混在するルンバ
2015年現在、ルンバの最新モデルは、2015年10月10日発売の900シリーズ「ルンバ980」です。
このシリーズでは、室内をカメラ撮影してマッピング(地図作成)する機能が加えられており、その使用で室内の重複通過を避けることにより、最大112畳もの広大な面積の清掃が可能となっています。
これは、「最初のルンバ以来、最大の発表」であるとされています。
また、同日600シリーズの2度目の機種追加があり、「ルンバ654」が発売となっています。
800シリーズの全機種、及び700,600の一部機種も継続販売されており、現行ラインナップは意外と多岐にわたっています。
- プロトタイプ 1997年
実は拭き掃除ロボだったという試作機 - 初代ルンバ 2002年
タカラとプライムが販売。充電時間12時間 - プロ 2003年
スポット(1畳程度)モード搭載 - 400シリーズ ディスカバリー, レッド(日本未発売) 2004年
自動充電、室内面積自動判定機能を搭載 - 400シリーズ スケジューラー 2005年
スケジュール機能を初搭載 - 500シリーズ 2007年
人工知能の改良型。現在も若干数販売中 - 700シリーズ 2011年
人工知能が高速応答型に&吸込口を回転ブラシ部に変更 - 600シリーズ 2012年
500シリーズのメインブラシを、700と同等の物に変更した型
[※2013年11月、国内累計出荷台数100万台突破] - 800シリーズ 2014年
700系をベースに、集塵力1.5倍、バッテリー寿命2倍、集塵量1.6倍に強化 - 新600シリーズ 2014年
620をベースに、バッテリー寿命2倍&オートバーチャルウォール付属 - 新800シリーズ 2015年
880/870をベースに、更に寿命が2倍となるリチウムイオンバッテリーを搭載 - 900シリーズ 2015年
ルンバとして初のマッピング機能を搭載。従来比約4.5倍の最大112畳に対応
公式サイトには「ルンバ・ヒストリー|iRobot研究所」というページがあるのですが、ルンバの歴史は何故か2012年で途絶えています。これは何かを示唆するのでしょうか??(笑)
最初はロボット掃除機は売れなかった
1990年の創業から10年間ほどは売り上げがなかなか伸びず、2003年にようやく5000万米ドルを突破した《中略》初期のユーザーからの反応は『これは体重計ですか?』とか『iPodのスピーカーですよね?』といったものだった。“市場に存在しないもの”を理解してもらうことの難しさを実感した。国内の販売では、製品の実演と人による説明を重視し、ユーザー・サポートを充実させることで、少しずつ理解が深まったと思う
日経テクノロジーオンライン:「技術革新に意欲的」、“ルンバ”の日本代理店が語るiRobot社の強み
今や、ルンバは世をときめくロボット掃除機の王者ですが、さすがに何事も最初から上手く行くわけではないようです。
2013年11月には、日本国内出荷100万台を達成しましたが、2010年4月には日本国内販売台数は13万台に過ぎず、何とルンバ537を100台もモニター参加でプレゼントキャンペーンを行いました。
今現在ルンバを100台もプレゼントしたら、大騒ぎになると思います。しかし、当時はロボット掃除機は、まだきちんと掃除が出来るとの評価が確立されていない、若干怪しげな物だったので、それ程騒ぎにならなかったと記憶しています。
日本メーカーは、こういった過程を経ておらず、お掃除ロボットの評価がかなり確立されてからタダ乗りしようとしていますので、なかなか上手く行く訳がありません。
「“ロボット”という言い方を封印したところからヒットが加速し始めたんですよ」と同社の役員は意外な話を明かしてくれた。
「掃除をしてくれるロボット」という今まで見たことも聞いたこともない概念を、人はにわかには受入れられない。
《中略》
ルンバは洗濯機や食器洗い機などの「家電の仲間」なのだと。掃除機も食洗機も全自動。掃除も全自動でやってくれる家電があってもいいじゃないか。そんなアプローチだ。
《中略》
そんな背景をもって、ルンバは「自動掃除機」というキャッチフレーズに変更された。そして、2004年から明らかにユーザー層が変わっていったという。それまで同様のマニアな層は一定数存在するものの、家庭において主に家事を担っている女性層が購入意思決定をするようになった。
東洋経済オンライン:キャズム越えへ!掃除ロボット「ルンバ」の挑戦!
私は以前は、ロボットと言えば人型の機械のことだと思っていました。なので、床をタイヤで移動して吸引をするだけの円形の機械を「ロボット」と言われても、単なる "なんちゃってロボット" じゃないかと思っていたような記憶があります。
実際、日本はロボットで人型にこだわり過ぎ、とiRobot社の人にも言われており、世界では機能特化型ロボットこそが本当に有用なロボットだとされるようです。しかし、ルンバのヒットを経て、日本でもその認識の仕方が一般的となった気がします。
そういった意味で、ロボット掃除機を日本国内でヒットさせるのは、実は外国メーカーにしか出来なかった事なのかもしれません。
外国メーカー製の家庭用電化製品を日本で流行らせるのは、特に以前はかなり困難だったはずですので、それだけiRobot社の実績は凄いと言えるのかもしれません(ダイソン社のサイクロン掃除機と同時進行でしたが・・・)。
元々は拭き掃除ロボだったルンバ
ルンバは当初、ゴミを吸い込むということはまったく想定しておらず、底面に布をつけて、床を拭き掃除するロボットとして作るつもりでした。プロトタイプもそのように作りました。
しかし、モニターの方たちからは「こういうものを買ったからには、通常の掃除機と同様に、吸い込むことを期待してしまう」という声が多くあがったため、様々なテストを重ねて、吸い込み機能を取り付けて商品化しました
最初は意外と安易な発想でやっていたようですが、それはともかくアイロボット社は、2012年9月に拭き掃除ロボットの名機「Mint(ミント)」のEvolution Robotics社を約60億円で買収し、当初の構想通りのロボット掃除機を改めて手にすることとなりました。その後同製品は「Braava(ブラーバ)」と改名されて販売されています。
Evolution Robotics社時代の1時期、TV通販のショップジャパンが同製品を日本国内で正規輸入販売していましたが、iRobot社による買収後には販売終了となり、正規輸入品の日本販売は2年近くなくなりました。
しかし、2014年7月3日にセールスオンデマンド社から、とうとう「Braava(ブラーバ)380j」として発売となっています。
技術力で世界の家電業界をリードしてきた日本メーカーが、どうしてルンバ発売から10年以上が経過しても同様の製品を製造しないのか
「技術はある」。パナソニックの担当者はこう強い口調で話しながらも、商品化しない理由について「100%の安全性を確保できない」と説明する。
例えば、掃除ロボットが仏壇にぶつかり、ろうそくが倒れ、火事になる▽階段から落下し、下にいる人にあたる▽よちよち歩きの赤ちゃんの歩行を邪魔し転倒させる――などだという。
MSN産経WEST:日本の家電各社が「ルンバ」を作れない理由
これに関しては、逆にアイロボット社やその他ロボット掃除機の製造メーカーが、どう考えているかが気になるところです。
しかし、訴訟社会のアメリカにおいても、そういった理由で訴えられたという話は何故か聞きませんが・・・。
ルンバが売れる理由!?
特に共働きだと、掃除は切実な問題になります。週末くらいしか掃除できないと、床にうっすらとほこりがたまる。これにイライラして夫婦げんかになることが少なくありません。《中略》 ルンバの購入者からは「夫婦げんかが劇的に減った」という声が実際に寄せられているそうです
高齢者がルンバを購入する主な理由は、私にとっては意外でした。「掃除機のコンセントを挿さなくてもいい」ということだそうです。《中略》 「いったんしゃがんでコンセントを挿し、立ち上がる」という動作は、高齢者にとってはとても負担が大きいとのこと。しかも、違う部屋を掃除するときには、コンセントを挿し替えなければなりません
Tech On!:ロボット掃除機「ルンバ」が高齢者にウケている意外な理由
数年前、娘夫婦宅で一生懸命動き回って掃除するルンバの姿に自分を重ね、愛しく思った。腰痛と50肩に悩まされていた私には、ルンバはぴったりだと思った。
しかし、当初はとても高額だったのであきらめた。
《中略》それから数年、処置の甲斐なく50肩はいまだ完治せず。特に掃除機の使用後に痛みが出ると判明。
《中略》50肩は徐々に楽になってきた。もっと早くわが家に迎え入れておけばよかったなぁ、とルンバを見つめている
なるほど、ルンバは50肩や腰痛対策として良いようです。と言いますか、要するに自分で動けなくなってきたら、ロボット掃除機はあった方が良いのかもしれません。
使い方は、時刻予約を除けば基本「CLEANボタン」を押すだけで簡単ですので、ハイテク物ながら、お年寄りにも意外と使いやすいと思います。
お年寄りと言えば、ルンバに餌(ゴミ)をやるおばあさんの話も2度程聞きましたので、もしかしたらボケ防止にも少しは役立つかもしれません。
ルンバが大失態!
「稽古が終わり、家に帰ると、なぜか部屋が犬のウンチだらけ」と明かし、「原因を探ると。ル、ル、ルンバの裏がウンチまみれ」《中略》
「おそらくおトイレシートを外してウンチをしてしまったおそらくチワワのペコ。そこにルンバが稼働してウンチを清掃しにかかったのだが、結果ルンバが行ったとこ全て汚れる」と事の顛末を紹介
ORICON STYLE:中尾明慶、家庭内の惨事明かす「ペットとルンバ飼ってる方は気をつけて」
この種の話は、実のところ結構定番です(汗)。私なら、その場で卒倒しそうなんですが、ペットオーナーの方は慣れっこなんでしょうか??
ところで、こういった場合、「事故物件ルンバ」のその後はどうなるのでしょうか? 実は中古ルンバにこういうのが多かったり、なんて・・・(笑い)。
ルンバがまた迷子になったようです。東京・神田の路上で、ロボット掃除機「ルンバ」のさまよう姿が目撃されています。Twitterには現地の写真が投稿されており、道端でポツンとしている様子が何だか可愛らしいです
ねとらぼ:路上にポツン 東京・神田で「ルンバが迷子」の目撃情報
これはネタなのかもしれませんが、玄関がバリアフリー的な造りになっていて、かつ開いていれば、ごく普通に出て行ってしまう可能性があります。
しかも、外であれば、掃除終了認定が出ないでしょうし、ホームベース(充電基地)もありませんので、バッテリーが尽きるまで2時間程度逃げ続ける可能性があります。
たまに出て行ってしまう問題児には、住所と持ち主名を書いておいた方が無難かもしれません。
迷子のお知らせです。地場もん屋に自ら自動ドアを開けて入って来た自動掃除機ルンバ。ういんういん言ってかわいいぜ!というわけで本当に迷子みたいなので心当たりのある持ち主はグランドプラザまで! http://twitpic.com/5rj09q
— グランドプラザ (@grandplazaJP) 2011, 7月 17
あ、迷子のルンバも持ち主が見つかりました。さよならールンバー。
— グランドプラザ (@grandplazaJP) 2011, 7月 18
確かに理論上あり得ますが、放浪ルンバが他人宅を訪問するケースも実際にあったようです。(笑)
ここの家主は小さなロボットを作業台に起き、こぼしたシリアルを掃除させていたのです。そして家主はロボットがその仕事を終えた時に、電源を落としたと言っています。ですが台所の調理台は、電源が入ったままになっていました。
44歳の家主は、奥さんと息子さんと暮らしており、その悲劇が起こった時は全員一緒に外出していたのです。そして、どういう訳かロボットが再起動してしまい、調理器の上に歩を進めました。
ロボットの足元は急速に溶け出してしまい、その場所にハマって動けなくなってしまったのでしょう。そして本体に火が着いたということです。我々が到着した頃にはもう、灰の塊となっていました。
KOTAKU:オーストリア発:室内お掃除ロボが焼身自殺する悲劇に小さな村が震撼
出ました、想定外の訴訟リスクです。日本企業はこういうのが嫌で、ロボット掃除機をなかなか作ろうとしなかったはずです。
実際、ルンバは床掃除用ですが、火の元のある台所の上で使う人がいるなど、こういう事態になるまで誰に想像が出来るのでしょうか(広くは見えないのに、しかも常駐させているよう)。
この持ち主は保証を求めて訴える、もう二度とルンバは買わないと言っているようですが、持主にとっても、iRobot社にとっても、まだ誰も死んでいないだけ幸いだったと思います。
これがアメリカであれば、相手の弁護士の腕次第でiRobot社は負けそうですが・・・。
アイロボット社のCEOによれば・・・
市場に投入されたものは面白い特徴を兼ね備えているが、(ルンバ700シリーズのように)99%のゴミを取り除くことはできない。我々のテストでは、他社のロボット掃除機では80%を除去できるものすらなかった
アイロボットCEO、「ルンバ」発表会で競合他社へのアドバンテージをアピール
…どういう条件下でかは分かりませんが、アイロボット社の社内テストではそういうことになるようです。時期的に多分、シャープのココロボや東芝のスマーボV(+トルネオロボ)は含まれていないはずですが・・・。
アイロボット社の売上における各国シェア
- 北アメリカ 30%
- 日本 25%
- 西EU 17%
- 南EU 11%
- 東EU+ロシア 7%
- 北EU 5%
- その他 5%
いつのデータかははっきりしませんが、2012年9月の600シリーズ発表時にiRobot社が示したものです。これによると、日本は同社にとってアメリカにも匹敵するメイン市場です(布団用掃除機「レイコップ」も日本で30%程度売れています)。
コリンCEOは 認知度に関していえば、おそらくアメリカより高いでしょう
等と言っていますので、何とアメリカでは日本国内程には、ルンバは知られていないようです。(汗)
実際、アメリカの人口は日本の約2.6倍なので、普及率が互角とするなら日本の約2.6倍のシェア(単純計算で65%)が必要ですが、実際は1.2倍のシェアしか保有していません。
偽物に注意!?
…もっと上手に作ろうと思えば作れるのでしょうが、なかなかハイレベルな「コレじゃない感」に感心しました(「マイナビニュース」&「コレジャナイロボ」)。これが3,000円位で売っていたら、思わず買ってしまいそうです。
実は以前にも、ルンバが集めた1年分のゴミでルンバのぬいぐるみを作る等という、面白いけれども暇なことを思い付いた方もいらっしゃいましたが(「デイリーポータルZ」)。
新型ルンバ、今ならなんと!
2520億円!!!!!!!!!!!!!!
#新国立競技場クソコラグランプリ pic.twitter.com/cHbdsw9JK2
— へやんぐ (@Heyanggggggg) 2015, 7月 11
…偽ルンバ?(笑)
(※続く⇒「ルンバ機種比較」)
関連ページ:(2010,13年度型は発売されていません)
・980(2015年度型)
・654(2015年度型)
・885/875(2015年度型)
・622/621(2014年度型)
・880/870/871(2014年度型)
・630/620(2012年度型)
・780/770/760(2011年度型)
・527/525(エントリーモデル)(2009&08年度型)
・530J/570J(2008年度型)
・530/570(2007年度型)
・790/660,650/595/560/550/530(並行輸入品)
・ルンバの選び方 〜お部屋ナビの必要性と電波障害〜関連サイト:
・iRobot 自動掃除機ルンバ 日本公式サイト(セールスオンデマンド社)
・iRobot Corporation(アメリカ本社)/iRobot - wikipedia
・地雷探知のノウハウを受け継ぐ、自走式掃除機ロボット「Roomba」(日経テクノロジーオンライン)
・iRobot CEOのコリン・アングル氏が語る「ルンバとロボット作りの今後」(家電Watch)
・米国製「ルンバ」に日本勢が勝てないワケ -アイロボット社、最高技術責任者に聞く-(東洋経済オンライン)
・お掃除から軍事用まで手掛けるiRobot社のロボット開発(IT MONOist)
・ロボット掃除機「ルンバ」の歴史を振り返る--初号機からカラフルな試作品まで(ZDNet Japan)
・米iRobot社、介護ロボを日本に投入へ、当面は開発プラットフォーム提供(日刊工業新聞)
・米iRobot、テレメディスン用のロボット「RP-VITA」を国内初公開〜家庭用掃除ロボットの次に狙う市場はネット経由の「遠隔医療」(PC Watch)
・低価格化で普及の兆しが見えはじめた代理ロボット、「家族の見守り」市場に活路(現代ビジネス)
・iRobotから掃除機能を省いたお掃除ロボ "Create" (Engadget)
・iRobot Ember 自走式ルータロボ LANdroidsプロトタイプ(Engadget)
・iRobotとTaser、スタンガンロボを開発(Engadget)
・ルンバ・スケジューラー5510とルンバ530(同居嫁のため息)
・「犬とルンバの関係を良好にするにはどうすればいい?」→あっさり解決する方法があった(らばQ)
・ネコのルンバ: ルンバを使った新感覚ブロック崩し。ルンバでルンバを踊るネコは必見!無料。(APPBANK)
・iRobot公式サイト アウトレット・ルンバ(ある時とない時が・・・)