東芝は掃除機では、2012年にダイソンの本格的な2段サイクロン構造を模した新シリーズを発売して以来、サイクロン式に注力しつつあります。
サイクロン式の特徴
2015年現在、サイクロン式では「トルネオ」の4シリーズが展開中です。
- トルネオV
- トルネオVコンパクト(※ジャパネット販売用のみ)
- トルネオミニ
- 初代トルネオ(※ジャパネット販売用のみ)
まず現在基本であるのは、1番目の「トルネオV」です。
この方式はダイソンと基本同じなのですが、透明なダストカップ内でゴミが回っているのが外部からも見える、第一の大きなサイクロン(空気の渦)で大〜中のゴミを遠心分離します。
そして、そこでは分離しきれなかった小さなゴミを、ダストカップ上部の外周部にある12個の小サイクロンで強力に遠心分離します。
そこでも遠心分離出来なかった微細なチリは、本体に内蔵されたメインフィルターで集塵し、綺麗になった空気のみを排気口から排出します。
これは、一応「バーティカルトルネードシステム」と自称されています。
その意味としては、まず "トルネード" は "渦巻き" なので、そのままサイクロンを意味しています。
"バーティカル" は "垂直の" という意味ですが、実はこれは単に東芝の内部事情によるものです。既に生産終了した、東芝の初代の本格2段式サイクロン掃除機「トルネオW」が、2段目のサイクロンを1段目のサイクロンの上ではなく、何と横(奥)に設置していたことから、今の普通に縦になっている方式が "バーティカル(垂直の)" ということになるようです。
確かに、語感はカッコ良いですが、これだと言葉からそのまま意味を推察できませんので、困ったものだと思います(汗)。
2番目の「トルネオVコンパクト」は、前述「トルネオV」を、性能をほぼ維持したままで小型化した製品です。
吸引力の目安を表す吸込仕事率は1割下がっていますが、ボディは細身となり、後輪が本体カバーに隠れることで取り回しは良くなっています。
尚、これは2013年度新登場でしたが、2014年度には通常型トルネオVの軽量化に伴ってか正規型番は早くも姿を消し、ジャパネットたかた専売用型番「VC-JS4000」のみが販売されています。
3番目の「トルネオミニ」は、「コンパクト」よりも更に小型の製品です。こちらにおいては、「バーティカルトルネードシステム」における2段目の複数の小サイクロンが丸ごと省略されており、1段目のダストカップ内のサイクロンのみが採用されています。その為、遠心分離力は他より大幅に劣ります。
上位機種で複数の小サイクロンがあるスペースには、円形のメインフィルターが設置されており、唯一の大きなサイクロンで遠心分離できなかったゴミを集塵しています。そのメインフィルターには、手動レバー式の振動機能が付いていますので、ゴミを捨てる前等に、ガチャガチャと手で動かしてホコリを落とすという、簡易的なフィルター掃除をすることが出来ます。
それでも、上位2シリーズよりもフィルターは目詰りやすいはずで、そうなった場合には手作業で清掃しなければなりません。
尚、この1段(目)のサイクロンは、一応「デュアルトルネードシステム」と呼ばれています。
"デュアル" は、"二つの" という意味ですが、上のYouTube動画を再生すれば出てくるように、カップの上の部分でゴミを遠心分離(青い部分)し、底の辺りではゴミをゴロゴロと転がしながら固めています(赤い部分)が、それらを強引に2つのサイクロンということにしているようです。
これは勿論、「トルネオミニ」にのみあるものではなく、他の上位2シリーズにおいても普通にあるものです。
トルネオ・上位2シリーズにおける「バーティカルトルネードシステム」は、少なくとも日本においては、ダイソンに次ぐ高性能さです。ただし、ダイソン社の創始者で社長のジェームズ・ダイソン氏は、
模造品は、イノヴェーションを阻害します。製品を簡単にコピーできるのであれば、人はイノヴェートしなくなるでしょう。なぜならイノヴェーションにはコストがかかるからです。特許の申請や維持にも多額のお金がかかります。各国政府はこの問題に対して何らかの策を講じるべきです。(WIRED.jp)こんなことは、日本企業は恐らく高度成長期に散々言われたことで、現在言われなければならないことではないはずです。
ダイソン氏は、実は元々サイクロンの特許を世界中の企業に貸して、それで収益を上げようとしていたようですが、どこの企業にも相手にされなかったので(笑)、仕方なく一から自分で現在のダイソン社を設立し、自社生産する羽目になったという話です。
ダイソンは、売り方に関しては無茶苦茶な会社ですが、ダイソン氏が苦労しているのは事実ですので、東芝・トルネオをダイソンより安いからと買うのは、若干感じが良くないかもしれません。
ダイソンとトルネオVの違いに関しては、最新のダイソンDC63では小サイクロンは24個もあり、その分遠心分離力が強いです。しかも、ダイソンは技術系企業で、長年実証実験を重ねているので、同じような物を作っても、東芝より性能は良いと思われます。
また、モーターの消費電力がトルネオVが850Wであるのに対し、ダイソンは1,150Wで、しかも使っているのが全メーカー中ダイソンのみ上位モーターで、専用開発品でもあるデジタルモーターです。これは通常のACモーターが最大でも毎分4万回転程度であるのに対し、10万回転が可能で、しかも性能が落ちにくく長寿命だとされています。
なので、専業メーカーとしてサイクロンに賭けている根性のような物が一応全く違います。
あと、設計・構造上のな問題として、トルネオV(+コンパクト)の小サイクロンは、遠心分離したチリがダストカップの下に落ちず、一度分離したチリをまた巻き込みやすいので、正直私としては欠陥品に近いと思います(東芝は、色々ときちんと作る気があるのかに少々疑問があります ^^;。サムソン電子製のロボット掃除機を、OEMであることを隠して売っていた実績までありますし)。
このように書くと、ダイソンを売りたいみたいですが(笑)、ダイソンは根本的に掃除機の価格ではないので、紙パック式にしましょう!、というのが私の立場です(^^)。
サイクロンが1段しかない「トルネオミニ」に関しては、実は日立の「パワーブーストサイクロン」や、パナソニックの「パワープレスサイクロン」、シャープの「スクリュープレスサイクロン」「パワーサイクロン」も皆基本的に同じ仕組みです。
なので、「トルネオミニ」が低性能というよりは、「トルネオV(+コンパクト)」が高性能なのだと捉えるのが正確です。
また、実のところトルネオで最も有名なのは、ジャパネットたかたの名物社長がTVで宣伝している「VC-J3000」かもしれません。
これは、2011年で既に生産を終了した初代の単なる「トルネオ」で、トルネオミニと同じくサイクロンが1段式の「デュアルトルネードシステム」の機種となります。
「初代」と「ミニ」との違いは、フィルターの目詰まり対策にあり、「ミニ」がフィルターを手動レバーで振動させてチリを落とすのに対し、「初代」はそれを何と電動で行います。
それは電源を切る度に行われるのですが、その際には派手なカタカタ音が生じます。この方式は以前国内メーカーの高額機種で流行ったのですが、その音が大変不評で、シャープ製の1機種を除けば、既にこのジャパネット版「VC-J3000」のみに残る機能ということになっています。
紙パック式の特徴
東芝製の紙パック式に関しては、シャープ程極端ではないものの、種類が少なく高性能でもありません。
特筆すべきは、運転音の大きさで、本体が軽い代わりに、中・下位機は有名メーカー製として最悪です。
ただし、このメーカーの純正紙パックは、入口にすき間が出来ないようにとゴムの輪っかが付いた、高性能な特製品です。
しかも、紙パック式の2015年現在の最下位機種(VC-PD7A)でも、0.5μ(マイクロ)メートル以上の微細塵の99%を捕塵するとされていますので、排気性能はそこそこ高いです。
東芝に関しては、これらの点だけは称賛せざるを得ません。
本体も、そういった性能を発揮するのを前提として、設計してあるはずですので、東芝製の紙パック式掃除機をご使用の際には、特に純正紙パックを使った方が良いだろうと思います。
(つまり、純正紙パックを使うつもりのない方は、別のメーカー製にした方が良いのかもしれません^^;)
ゴミ残しまセンサー
東芝製高額機種には、"ゴミ残しまセンサー" なるダジャレのゴミセンサー(※吸気内のホコリを赤外線で識別)が付いています。
これは、パナソニックが元祖の同等機能 "ハウスダスト発見センサー" と同じく、ゴミを検知すると使用者にランプで知らせると共に、自動パワーコントロールのエコモードと連動しており、吸引力を1段階引き上げます。
現行型/2015年度 | ||
サイクロン式 | 紙パック式 | |
上位シリーズ | VC-MG900 VC-MG800 VC-MG600 VC-S500 (トルネオV) | VC-PG314 |
中位シリーズ | VC-C4[小型] VC-C4A[小型] (トルネオミニ) | VC-PD9 |
下位シリーズ | VC-PD8A VC-PD7A VC-PC6A | |
ヨコ型機以外 | ||
スティッククリーナー | VC-Y80C | |
スティック+ハンディ (コードレス) | VC-CL1200 VC-CL200 (トルネオVコードレス) | |
ハンディクリーナー | VC-Z100L (エスカルゴ) | |
布団クリーナー (コードレス) | VC-CLF1 (トルネオVコードレス) | |
フィルター式 | ||
ロボットクリーナー | VC-RCX1 VC-RVD1 VC-RV1 (トルネオロボ) |
※価格は変動します。時価は必ずリンク先にてご確認下さい。
2015年8月中旬発売
・VC-MG900 トルネオV | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:イオンファイバーヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.6kg ・運転音:64〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・色:グランレッド(R)、ターコイズブルー(L) ・ULPAフィルター(相当)仕様 ・ゴミ残しまセンサー、ワイドピカッとブラシ(延伸管先端)付 ・電動布団用ノズル等、付属品多数 | |
※VC-MG900の特集 |
・VC-MG800 トルネオV | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:イオンファイバーヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.6kg ・運転音:64〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・色:グランレッド(R)、グランホワイト(W) ・ULPAフィルター(相当)仕様 ・ゴミ残しまセンサー、ワイドピカッとブラシ(延伸管先端)付 ・付属品多数(※電動布団用ノズルを除く) | |
※VC-MG800の特集 |
・VC-MG600 トルネオV | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:イオンファイバーヘッド(自走式パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.6kg ・運転音:64〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・色:グランレッド(R)、メタリックピンク(P) ・ゴミ残しまセンサー付 ・HEPAフィルター(相当)仕様 | |
※VC-MG600の特集 |
※2015年9月1日追加発売
・VC-S500 トルネオV | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:カーボンヘッド(自走パワーブラシ) ・目詰まり対策:(2段サイクロン/12気筒) ・吸込仕事率:200W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.7kg ・運転音:64〜約58dB ・排気方法:― ― ― /集塵容積:0.4L ・持ち手(本体):固定式 ・色:シルキーバイオレット(V) | |
※VC-S500の特集 |
2014年12月上旬発売
・VC-C4 TORNEO mini(トルネオミニ) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:軽量コンパクトパワーヘッド ・目詰まり対策:手動式チリ落とし ・吸込仕事率:290W[エコモード有] ・本体重量:2.2kg[小型機]/ 全体:3.6kg ・運転音:63〜約58dB ・集塵容積:0.25L[アパート・マンション向き] ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・色:グランレッド(R) ・床上ダストゲッター(ヘッド上のチリも吸引) | |
※VC-C4の特集 |
・VC-C4A TORNEO mini(トルネオミニ) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:フローリングターボヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:手動式チリ落とし ・吸込仕事率:290W ・本体重量:2.2kg[小型機]/ 全体:3.5kg ・運転音:63〜約58dB ・集塵容積:0.25L[アパート・マンション向き] ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):固定式 ・色:シルキーピンク(P) ・床上ダストゲッター(ヘッド上のチリも吸引) | |
※VC-C4Aの特集 |
2014年7月1日発売
・VC-PG314 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:自走式カーボンヘッド(モーター式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:550W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.4kg/ 全体重量:5.0kg ・運転音:64dB〜約58dB ・排気方法:やわらか分散排気 ・持ち手(本体):固定式 ・色:グランレッド(R) ・ゴミ残しまセンサー(ゴミセンサー) ・ふとん用ブラシ&付属品用ホース付 | |
※VC-PG314の特集 |
・VC-PD9 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:自走式カーボンヘッド(モーター式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:640W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.9kg ・運転音:68〜約61dB ・排気方法:やわらか分散排気 ・持ち手(本体):折り畳み式 ・色:シルキーレッド(R) | |
※VC-PD9の特集 |
・VC-PD8A | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:フローリングターボヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:620W ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.6kg ・運転音:68〜約61dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):折り畳み式 ・色:ライトブルー(L) ・「床上ダストゲッター」(ヘッド上空のホコリを吸引) | |
※VC-PD8Aの特集 |
・VC-PD7A | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:フローリングターボヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:580W ・本体重量:3.2kg/ 全体重量:4.6kg ・運転音:68〜約61dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):折り畳み式 ・色:ブルー(L) ・「床上ダストゲッター」(ヘッド上空のホコリを吸引) | |
※VC-PD7Aの特集 |
2013年3月1日発売
・VC-PC6A | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:フローリングターボヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:520W ・本体重量:3.1kg/ 全体重量:4.3kg ・運転音:68〜約58dB ・排気方法:やわらか分散排気 ・持ち手(本体):固定式 ・色:ブルー(L) ・「床上ダストゲッター」(ヘッド上空のホコリを吸引) | |
※VC-PC6Aの特集 |
ロボット掃除機(2014年9月発売)
・VC-RVD1 TORNEO ROBO(トルネオロボ) | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワーブラシ+サイドブラシ×2 ・目詰まり対策:(充電時ゴミ自動排出) ・吸込仕事率:未公表/対応床面積:約30畳 ・リチウムイオン充電池採用 ・本体重量:3.4kg/ 運転音:54〜約52dB ・色:グランレッド(R)、グランホワイト(W)、メタリックグレイ(H) ・約5時間(自動)充電・最大70分可動 ・段差乗り越え:2.0cm程度 ・サイズ:直径35cm×高さ8.7cm ・リモコン&時刻予約機能付 ・充電基地への自動ゴミ移送機能 ・バーチャルガード(仮想障壁)別売 | |
※トルネオロボの特集 |
関連ページ:
・【2013年度】/【2012年度】/【2011年度】/【2010年度】
・VC-JS4000 トルネオVコンパクト(ジャパネットたかた)
・【リコール情報】東芝・サイクロン掃除機「VC-Y2C/VC-H2C」
・ハウスダスト発見センサーとゴミ残しまセンサー
・各社エコモード比較
関連サイト:
・掃除機(クリーナー):家電製品 Toshiba Living Doors
・家電製品Q&A > クリーナー(掃除機)(東芝公式サイト)
・下記、サイクロンクリーナーをご愛用のお客様へ [型名:VC-S20E、S21C、S22C、S2V7、BC21] (東芝公式サイト)
・東芝不正会計、本当の責任者を出せ!(日経ビジネスオンライン)