日立は『モーターの日立』と言われていまして、モーターを使う製品には定評があります。そして、モーター式回転ブラシ装備の掃除機は、モーターを2つも中核部品として使う家電である為、一応日立の "見せ場" だと言えるのかもしれません(何がモーターの日立だ!と、がっかりする人達もそれなりに発生しています・・・ ^^;)。
ただし、このメーカーの掃除機は、紙パック式は優秀で無難ですが、サイクロン式はそうでもありません。
パワーブーストサイクロン(上位シリーズ)
2014年度発売のサイクロン式の新上位シリーズ "パワーブーストサイクロン" は、サイクロンの構造として、東芝の下位シリーズ "トルネオミニ" と殆ど同格です。
まず、メインフィルターを振動させてチリを落とす仕組みが、全体を満遍なく振動させる回転式ではなく、左右にレバーを動かす簡易的なものであることが共通です。
また、両者において、振動で落ちたチリがダストカップまでは落ちず、サイクロンの中心にある筒型のフィルターの内側に留まります。なので、メインフィルターを外してその部分をひっくり返して捨てるか、メインフィルターそのものを外して、ゴミ袋の中で振動させるかしなければなりません。
しかし、この日立製では、筒型フィルターの目がかなり細かく、より細かいチリ以外メインフィルターに達しない分、多少目の粗い筒型フィルターが使われている東芝・トルネオミニより勝っています。
これにおいては、"約1か月ゴミ捨て不要" と宣伝されていますが、それはそれが仮に本当だとしても、厄介度の低い大きなゴミの話で、上記の細かなチリは頻繁に捨てていないと、フィルターが詰りやすくなります。
このシリーズにおいては、ダストカップに溜まる(大きめの)ゴミが、突起状のパーツによって下に押し出されるのも宣伝の目玉になっています。しかし、カップの底が下に開くタイプは、ゴミが下に落ちた際に舞いやすいですし、下開きの蓋の内側に残るチリが厄介です。なので、トルネオミニのような底の開かない本当のカップ型ダストカップでも全く構いません。
勿論、トルネオミニと、このパワーブーストサイクロンでは、サイクロン部以外の格が違いますので、総合的にはさすがにこちらが優れています。しかしつまりのところ、このシリーズのサイクロンはその程度でしかないということです。
2段ブーストサイクロン(中位シリーズ)&ごみダッシュサイクロン(下位シリーズ)
"2段ブーストサイクロン" と "ごみダッシュサイクロン" については、上位シリーズの "パワーブーストサイクロン" とは違うサイクロン部を採用しており、安い分構造はそれ以下です。
中・下位のサイクロンの中核部は、以下の写真の物で共通であり、サイクロンと名乗ってはいても、紙パックを使う代わりに、挟んだティッシュをフィルター代わりに使うだけの物となっています。(※⇒「日立製サイクロン掃除機の構造」)
中位シリーズの "2段ブーストサイクロン" については、吸気はそのダストボックスに辿りつく前に、それ程強くないはずの遠心力で、一応遠心分離させられます。
しかし、分離された大きめのゴミは、左の写真のティッシュフィルター部に辿り着き、たまたま遠心分離された細かなチリは、そこを通り抜けてメインフィルターへと至ります。そして、細かなチリを含む残った空気の側は、何と右の写真のメインフィルターに直接辿り着きます。
つまり、結局ゴミと空気は全てフィルターで濾されることになるので、細かなチリもたまたまティッシュに引っ掛かるのを狙って、全部ティッシュフィルター側に流してやった方が良い位です。(※こういうよく分からない複雑さで、消費者を煙に巻く仕組みです ^^;)。
勿論、気に入った製品が見つかれば、それはそれで良いと思います。しかし、どれにしようかな!?と迷っていらっしゃる方には、私としてはあまりお勧めできません。
人を持ち上げられる程の吸引力!
日立では、新製品発表会において、2015年度の最新サイクロン掃除機「CV-SC700」では、55kgの人間を持ち上げることが出来ると宣伝しています。
しかし、該当機の吸込仕事率は430Wに過ぎません。
この数値は、国内有名メーカー製紙パック式の99%がクリアしている数字であり、決して高くはありません。
しかも、その55kgを持ち上げられない掃除機として、吸込仕事率200Wの「XV-PE9」が "従来モデル" としてテスト機に採用されています。しかし、これは2001年発売の相当な旧型機です。
"従来" と言えば、"以前から今まで" という意味ですので、今まで販売されて来た製品だと捕えるのが普通のはずですが、これはそうではありません。
なので、一見昨年度型から吸引力が2倍=激増したと思い込んでしまいそうですが、そんな極端な話は滅多にあるものではなく、正確には14年で2倍強になったという話であるに過ぎません。
しかし、実はその2001年製旧型機の吸込仕事率の200Wには大きな意味があります。
現在のライバル機である東芝・トルネオVが200Wであり、ダイソンDC63もそれ以下の170Wであるからです。
掃除機の吸引性能は、モーターの性能だけではなく、ヘッドの性能もそれ以上に重要です。
なので、ライバル機と比較したいのであれば、実際にゴミを吸わせてそうすべきであり、このような形で印象操作をすべきではないでしょう(実際は、ダイソン>日立>東芝の可能性が大)。
ちなみに、日立製だと200Wでは55kgは無理だそうですが、ドイツ・ミーレ製であれば、220Wで洗濯機が余裕で持ち上がります。
なので、日立製は気密性が低く、ホースの先端部を塞ぐと、どこかの見えない隙間から空気が入ってしまうのかもしれません。
日立製掃除機のフィルターについて
また、2009年より日立では、高性能フィルターの代名詞である "HEPA/ULPAフィルター" (⇒「排気のきれいな掃除機」)を、少なくとも家庭用掃除機においてはその名称は分かりにくいということで、カタログ表記を改めたという話です(確認済み)。
集じん部(ダストケース部)にあるHEPAフィルターは "クリーンフィルター" に。モーター部にあるHEPAフィルターは "アレルオフフィルター" に。そして、ULPAフィルターは "高集じんフィルター" と現在は表記されています。
推測されるその理由ですが、HEPAやULPAを使用していても、掃除機に装着した場合、フィルター単体でのスペックの通りの性能が出ないので、名前の使用を遠慮したのかもしれません。
現在は、サイクロン式と紙パック式の最上位機種・2015年度型「CV-SC700,CV-SC500」と「CV-PC500」(2014年度型継続販売中)だと、0.3μm以上のホコリは99.999%の捕塵率で、サイクロン式でそれに次ぐ「CV-SC300」が99.9%、そしてそれぞれの方式でその次の高性能機種となる「CV-SC100,CV-SC90」と「CV-PC30」では、約99%と表記されています。なので、それ以下の機種だと、99%を切るということなのだと思います。
しかし、掃除機においては、これに関しては表記されている方がどちらかというと特別で、表記されていないのが普通です。なので、表記されている物を買えば、少なくとも普通よりは高性能ということになります。
現行型/2015年度 | ||
サイクロン式 | 紙パック式 | |
上位シリーズ | CV-SC700 CV-SC500 CV-SC300 (パワーブーストサイクロン) | CV-PC500[小型] CV-PC30 (かるパック) |
中・下位シリーズ | CV-SC100[小型] CV-SC90[小型] (小型軽量版2段ブーストサイクロン) CV-SC8 (ごみダッシュサイクロン) | CV-PA9 CV-PA8 CV-VW7 CV-VP5 (スタンダード) CV-CG3 (廉価版) |
ヨコ型機以外 | ||
スティッククリーナー | PV-SU3 | |
スティック+ハンディ (コードレス) | PV-BC500 (パワーブーストサイクロン) PV-BC200 | |
ハンディクリーナー | PV-H23 (こまめちゃん) | |
布団クリーナー | PV-FC100 |
※価格は変動します。時価は必ずリンク先にてご確認下さい。
2015年9月中旬発売
紙パック式
・CV-PC500 かるパック | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ジェット吸引スマートヘッド(自走式) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:360W[エコ自動モード有] ・本体重量:2.3kg[超小型]/ 全体:3.9kg ・運転音:57〜約51dB ・排気方法:上方排気 ・持ち手(本体):固定式×1 ・色:レッド(R)、シャンパン(N)、ブルー(A) ・ULPAフィルター(と同等)仕様 ・ワイド曲が〜るロング吸口付 | |
※CV-PC500の特集 |
2015年8月8日新発売
サイクロン式
・CV-SC100 小型軽量版2段ブーストサイクロン | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:ごみハンターヘッド(非自走版) ・目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着 ・吸込仕事率:340W[エコ自動モード有] ・本体重量:2.9kg[小型機]/ 全体4.4kg ・運転音:59〜約55dB ・集塵容積:0.25L[アパート・マンション向き] ・排気方法:分散上方排気 ・持ち手(本体):固定式×2 ・色:シルバー(S) ・HEPAフィルター相当品仕様 | |
※CV-SC100の特集 |
・CV-SC90 小型軽量版2段ブーストサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフルエアーヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着 ・吸込仕事率:330W ・本体重量:2.9kg[小型機]/ 全体:4.2kg ・運転音:59〜約55dB ・集塵容積:0.25L[アパート・マンション向き] ・排気方法:分散上方排気 ・持ち手(本体):固定式×2 ・色:ブラック(K) ・HEPAフィルター相当品仕様 | |
※CV-SC90の特集 |
・CV-SC8 ごみダッシュサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー: ・ヘッド形状:パワフルエアーヘッド(タービン式) ・目詰まり対策:コード連動式フィルター振動機構&ティッシュ装着 ・吸込仕事率:620〜約100W ・本体重量:3.9kg/ 全体重量:5.4kg ・運転音:65〜約60dB ・排気方法:― ― ― ・持ち手(本体):折り畳み×1 ・色:ブルー(A) | |
※CV-SC8の特集 |
2015年7月18日発売
・CV-SC700 パワーブーストサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ジェット吸引スマートヘッド(自走式) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:430W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.6kg/ 全体重量:5.2kg ・運転音:55〜約50dB ・排気方法:上方排気 ・持ち手(本体):固定式×2 ・色:ディープレッド(R)、ディープシャンパン(N) ・ULPAフィルター(と同等)仕様 ・ワイド曲が〜るロング吸口付属 | |
※CV-SC700の特集 |
・CV-SC500 パワーブーストサイクロン | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ジェット吸引スマートヘッド(自走式) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:420W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.6kg/ 全体重量:5.2kg ・運転音:56〜約51dB ・排気方法:上方排気 ・持ち手(本体):固定式×2 ・色:ディープブルー(A)、ディープシャンパン(N) ・ULPAフィルター(と同等)仕様 ・ワイド曲が〜るロング吸口 | |
※CV-SC500の特集 |
・CV-SC300 パワーブーストサイクロン | |
・楽天 ・amazon ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ジェット吸引スマートヘッド(自走式) ・目詰まり対策:手動式フィルター振動機構 ・吸込仕事率:410W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.5kg/ 全体重量:5.1kg ・運転音:56〜約51dB ・排気方法:上方排気 ・持ち手(本体):固定式×2 ・色:レッド(R)、シャンパン(N) ・HEPAフィルター(と同等)仕様 | |
※CV-SC300の特集 |
日立製サイクロンのトップモデルのこれら3機種では、勿論価格に差があるのが前提ですが、最下位の「CV-SC300」が一番お買い得です(※比較表)。
紙パック式 /2015年7月18日発売
・CV-PC30 かるパック | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ジェット吸引スマートヘッド(自走式) ・目詰まり対策:コード連動式紙パック振動機構(&パワー長持ち流路) ・吸込仕事率:680W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.7kg/ 全体重量:5.4kg ・運転音:66〜約60dB ・排気方法:分散上方排気 ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・色:シャンパン(N)、ルビーレッド(R) ・HEPAフィルター(と同等)仕様 | |
※CV-PC30の特集 |
2015年2月23日発売
・CV-PA9 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ごみハンターヘッド(モーター式回転ブラシ) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:650W[エコ自動モード有] ・本体重量:3.5kg/ 全体重量:5.2kg ・運転音:66〜約60dB ・排気方法: ― ― ― ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・色:シャンパン(N) | |
※CV-PA9の特集 |
・CV-PA8 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフルヘッド(日立製最下位モーター式回転ブラシ) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:640W ・本体重量:3.5kg/ 全体重量:5.1kg ・運転音:66〜約60dB ・排気方法: ― ― ― ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・色:グレー(H) | |
※CV-PA8の特集 |
2013年4月発売(現行型)
紙パック式
・CV-VW7 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:パワフルエアーヘッド(タービンブラシ) ・目詰まり対策:パワー長持ち流路 ・吸込仕事率:600W ・本体重量:3.4kg /全体重量:4.8kg ・運転音:66〜約60dB ・排気方法: ― ― ― ・持ち手(本体):固定式×1、折り畳み×1 ・色:ブルー(A) | |
※CV-VW7の特集 |
・CV-VP5 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:タービンブラシ ・目詰まり対策:パワー長持ち流路 ・吸込仕事率:530W ・本体重量:3.3kg/ 全体重量:4.5kg ・運転音:65〜約57dB ・持ち手(本体):折り畳み式 ・色:ホワイト(W) ・2010年2月発売 | |
※CV-VP5の特集 |
・CV-CG3 | |
・楽天 ・amazon [レビュー有] ・楽天レビュー:レビュー(_件)を参照 ・ヘッド形状:ノーマルヘッド(とる・ふくヘッド) ・目詰まり対策:― ― ― ・吸込仕事率:200W ・重量:3.1kg/ 全体重量:4.0kg ・運転音:66dB(※2009年12月以降の新基準値) ・持ち手(本体):折り畳み式 ・色:ブルー(A) ・パワー切替&手元スイッチなし ・「つぶれんホース」(!)装備 ・2003年発売 | |
※CV-CG3の特集 |
関連ページ:
・【2014年度型】/【2013年度型】/【2012年度型】/【2011年度型】
・【2010年度型】/【2009年度型】/【2008年度型】/【〜2007年度型】
・セントラルクリーナー (本体隔離型)
関連サイト:
・後方・左右も吸引! 日立サイクロン掃除機はヘッドがさらに進化(日経トレンディネット)